畢生の涯の一歩手前
混沌と縁を交える乱世を望む
「でさ、」
「グス……何ぞよ?」
「何時まで泣いてるの?俺、泣き虫も弱虫も嫌いなんだけど。」
「う゛ぐ…」
「犯しちゃうゾ☆」
「いや、嫌いって言ってるのに、なんで、そうなるぞよか!!?」
「あ、泣き止んだ。残念★」
「……もしかして、ワザとぞよか??」
Sköll流の、慰め方なのだろうか?と、今更ながらに思うHatiだが、真偽の程は残念ながら、分からない。
「それより、其の怪我、大丈夫ぞよか?」
「見て分からない?」
「聞いてるのは、こっちぞよ…」
「Hatiに心配される程、落ちぶれちゃいないからネ」
「あー、そうぞよか!」
「ところで、ふぅん君が“弟”君か。」
「汝等、死スベシ。」
「Hati、此奴も俺の獲物だから、手出ししないでね。」
疑問形ではなく、はっきりと肯定的に、“弟”と言ったDeus ex machinaから目を離さずに言う。
「……後方支援的なモノは?」
「要らない。」
一拍も入れる間もなく、迷わず即答断言したSköllに対して、少々、不満気味にHatiは、其れを了承した。
カチッ
スラァァアア――――……
金の仕込み錫杖から、灼熱に燃え上がる刀身が、姿を現す。
「早々ニ、消去スベシ」
「無理な話だね。だって、俺はHatiと生きるんだから。」
「恥ずかしい事を軽々と口にしないでぞよ!」
赤くなる顔を両手で隠すHati。
そんなHatiに構わず、先程、抜刀した直刀を手に、駆け出した。
一直線に目指すのは、只、己にとって、今の所、2番目に害意を成そうとする、お邪魔虫たる者の首だ。
純陽の加護を持つ太刀をSköllは、笑いながら振りかざす。
Deus ex machinaも、そんな自分にとって暴悪の化生たるSköllの刃を、歯車を密集させ、形成した剣で受け止める。
爆音が響き渡る。
爆風が発生する。
其の後、遅れるようにして、猛火の刃に負けて、溶け折れたDeus ex machinaの剣が、ゴトリッと、落ちる。
Deus ex machinaが後ろに下がり、態勢を立て直そうとする。
そんなDeus ex machinaの首を間髪入れず掴んで、Sköllが刀を掴んだ侭の拳に力を籠め、握り締めて、切るかと思いきや、そうではなく、其の侭、其の横面を思い切り、ぶん殴る。
「俺に敵う奴なんて居ないけど、直ぐには終わらせてあげない。」
自信満々に、そう宣言しながら、今度は、Deus ex machinaを蹴り飛ばす。
ドカッと激しい衝撃音を出し、壁に叩き付けられ、ドサッと、呆気なく地に伏すDeus ex machina。
ゆっくりとした足取りでDeus ex machinaに近付いて行くSköll。
すると、どうした事か、Deus ex machinaの体が、歯車と成り、崩れて消えて行く。
「Hati、伏せ!!」
「我様チャンは犬ぞよか!!?」
文句を言いながらも、Sköllの言う通り、頭を抱え込んで、犬の様に伏せる。
Hatiが伏せると同時に、Sköllは、握り締めて居た紅蓮の太刀をHatiの頭上目掛けて投げ打つ。
ドスッ
投擲した刀は、Hatiの背後に、灰色に、ぼぅ…っと霞の如く姿を朧気に表したDeus ex machinaの胴体の真ん中に突き刺さる。
「ッ!」
「ビンゴ♪」
Deus ex machinaの全身が、純陽の加護の炎に因り、包まれ、燃え尽きる。
カランカランと、軽快な音を立てて、Sköllの緋色の直刀だけを残し、地面に落ちた。
「殺ったぞよか?」
「違うよ、ほら」
Sköllが背後に地球の見える上空の方を指差す。
其処には、無傷のDeus ex machinaと……、至高の存在in闇神が立ち並んで居た。
「あっ……。」
「漸く、役者が出揃った♪」
勝者と敗者。
生き残る者と死に逝く者。
神か戦士、消え去り逝くのは、どちらか……――――。。。
And that's all…?
(それでおしまい…?)




