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キリヤ公国英雄戦記物語  作者: 伊達教宗
第3章 少年王とゲルニアン帝国との戦い。激突!公帝戦争っ!!編
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第26話 少年王と戦勝祝勝会とそれぞれの想いと交錯

 マギアンティア世界統一暦・1555年・8月2日・午後18時30分・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国連合国本国・キリヤ公国本国・キリヤ地方・公王都・キリヤ市・キリヤ城・祝賀宮殿にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 


 取り敢えずの事務的な戦後処理を終えたキリヤ公国連合国中央政府と連合国加盟首脳陣と地方加盟政府らは、連合国内に対して公帝戦争に措ける戦後処理が終わった事を宣言する。


 それと同時に首都である公王都・キリヤ市は、建国して初めての国外戦争に打ち勝った事に対する戦勝に受かれつつ、公王都市民達は、公王都・キリヤ市を上げてのお祭りムード一色に染まって居た。



 そしてこの日、戦勝を祝う為に、キリヤ公国連合国の首脳陣や幹部が集められ、祝賀会が模様されていた。



「キリヤ公国ばんざーい!!ばんざーい!!ばんざーい!!ばんざーい!ばんざーい!!」


「キリヤ公国ばんざーい!!ばんざーい!!ばんざーい!!ばんざーい!ばんざーい!!」


「キリヤ公国ばんざーい!!ばんざーい!!ばんざーい!!ばんざーい!ばんざーい!!」


「キリヤ公国ばんざーい!!ばんざーい!!ばんざーい!!ばんざーい!ばんざーい!!」


「キリヤ公国ばんざーい!!ばんざーい!!ばんざーい!!ばんざーい!ばんざーい!!」


「キリヤ公国ばんざーい!!ばんざーい!!ばんざーい!!ばんざーい!ばんざーい!!」

 

 世界の列強国たるゲルニアン帝国との大戦に勝った事で、公王都キリヤ市の市民達や全キリヤ公国の国民。


 それに加えて連合国加盟国傘下の国々と地域は大騒ぎ、主要な町では、初戦勝を祝ってお祭りが各地で開催されて居た。



「ユウジ陛下っ!!ばんざーい!!ばんざーい!!ばんざーい!!ばんざーい!!ばんざーい!!」


「ユウジ陛下っ!!ばんざーい!!ばんざーい!!ばんざーい!!ばんざーい!!ばんざーい!!」


「ユウジ陛下っ!!ばんざーい!!ばんざーい!!ばんざーい!!ばんざーい!!ばんざーい!!」


「ユウジ陛下っ!!ばんざーい!!ばんざーい!!ばんざーい!!ばんざーい!!ばんざーい!!」


「ユウジ陛下っ!!ばんざーい!!ばんざーい!!ばんざーい!!ばんざーい!!ばんざーい!!」



「ユウジ陛下っ!!ばんざーい!!ばんざーい!!ばんざーい!!ばんざーい!!ばんざーい!!」


「ユウジ陛下っ!!ばんざーい!!ばんざーい!!ばんざーい!!ばんざーい!!ばんざーい!!」


 戦勝祝賀会の当日には、大規模な花火が公王都キリヤ市周辺と横須賀市等のナデシコ自治州区地域で打ち上げられる事と成って居るのだ。



 祝賀行事に参加するべく、中央政府首脳や軍の幹部に連合国加盟傘下の首脳や大使らが会場に集まり、華やかなムードが流れていた。



 また。同盟各国の首脳や軍幹部と大使も招待を受けて居り、開催会場であるキリヤ城・祝賀宮殿に来場して居た。



 だが、それ以外の者が会場に来ていた。



 ゲルニアン帝国に観戦武官を派遣し、ゲルニアン帝国の戦勝は間違い無いと豪語してしまって居た、異世界マギアンティアの各国から遣わされた外交大使や駐在武官達である。



 ゲルニアン帝国との関係を重視し、大国のご機嫌取りをして居た異世界マギアンティア各国は大慌てで、戦勝祝賀会へと外交大使を遣わして、少しでも機嫌を取って置こうと、取り繕う者達である。



 それぞれの国の礼装に身を包んで、隅っこに用意された宴席のスペース、通称お客様と名付けられた招かねざるお客様達、華やかでは無い隅っこの席で、気まずそうに、グラスの酒を飲んでいた。


「全く今回の大戦は、一体どうなって居るのだっ!?」


「全くですな。」


「まさか成り上がりの子供の国が、あの中央世界第一文明圏の一等国であり、ユーラシアン大陸の覇者であるゲルニアン帝国を打ち破るとは・・・・・・・・・・・・」


「お陰で、我が国は大損です。」


「全くだっ!!」


 ゲルニアン帝国に色々と根回しや、賄賂に金の貸し出し、新国土開発の先行投資等にお金を掛けて居た各国の外交官の者達は、今回の一件で、それぞれの自国に対して、大きな損失を出してしまって居た。


 此処に居並ぶ者達は、キリヤ公国連合国の内情を禄に殆んど調べもしないで、ゲルニアン帝国の圧勝だと言い切ってしまった中小国家の国々たちだった。



 大戦結果だけを聞いた彼らは、余りにも有り得ない結果であったが故に、慌てふためいてしまう。


 多くの者達は、何でこんな結果に?と頭を抱えて居る。


 この戦いでハッキリした事は、新興国ながらもキリヤ公国連合国が、ゲルニアン帝国並のレベルか、それ以上の力を持って居た大国だと言う事実の発覚である。



 勇治は、信用が出きない外交大使達を会場の隅へと追いやる事で、自分達がどう言う立場に居るのかを分からせる事にして居た。


 謁見で何を言って来るのかは、分かっていたし、会えば寄生虫の如く群がって来るに違いないだろうと踏んで居た。



 そんな中で、ゲルニアン帝国からの共闘の誘いも在った織田家から使者が送られて来て居た。


 その者は丹羽・米実・永秀と言う織田家では、当主の織田・和紗・信長の秘書官みたいな立場に居る人物だった。


「桐谷勇治陛下、この度の大戦に措けるご戦勝、真におめでとう御座います。」


「我が主、織田・和紗・信長様から戦勝の祝賀を申し上げます。」


「あれ?織田さんとは、移民の協力をお願いしただけで、特にこれと言ったお付き合いは無かったと思いますけど・・・・・・・・」


「はい。大陸の情勢に明るい我が主は、今後ユーラシアン大陸の趨勢を担うのは、キリヤ公国連合国と勇治公王陛下だとお考えでいらっしゃいます。」


「丹羽。あのうつけ殿が、何で勇治に祝賀の使者まで寄越す?祝いの手紙だけでも良い筈だぞ?」


 そう、キリヤ公国連合国は、織田家に一時的な協力要請をお願いし、アマテラスから領土や大勢の移民を連れ去り、有力な技能を持った武士達をスカウトして持ち去り、そして連れ去ったのである。



 勇治とキリヤ公国連合国のした事は、和紗のアマテラス皇国の天下統一を邪魔したのも同然な事だとも言えた。


 それが何で祝賀の使者の送ってまで、お世辞を述べる必要が有るのかが分からないと近衛近習衆軍の筆頭大将にして、国防大臣でも在り、アマテラス神皇国の先の将軍王をやっていた一輝は、付き合い長いので、その事が奇妙で変だと言うのだ。


 彼女は最近まで織田家の庇護下で、織田家に由る足柄幕府の政権委託を条件として、色々と身の回りの面倒を見て貰って居たのだ。


 和紗の気性や織田家の内情に付いて、少なからず知って居たならではの発言でも有るのだった。



「これは、これは一輝様。お元気そうで何よりで御座います。」


「先ほど話の続きで御座いますが、我が主は勇治陛下と事を構える積もりは無いとの意思表示を為されて居るので御座います。」



「信長様が本懐を成し遂げ、目出度く、アマテラスを統一なされた暁には、一国の王としてお会いしたいとの事です。」


「他に理由は御座いません。」



「それなら構わん。キリヤ公国と勇治に関係の有る者とは、事を構えずに一線を引く。そう言う事で良いのだな?」


「はい。」



「勇治。アマテラスの虚けは、油断なら無い。」


「だが、愚か者では無い奴だ。性格は屈折して居るが、悪い輩では無い。」


「お前も何れは会うだろうから、今回はアイツの話を真面目に聞いても良いらしい。」


「分かりました。織田さんには、くれぐれも宜しくとお伝え下さい。」


「はっ!!必ずお伝えします。」


 織田家の逞しい動きに、勇治は警戒を強めつつも、その顔を見てみたいと思った。



 そのやり取りの直後、勇治の背後に通り掛かったのは、キリヤ公国秘密工作諜報情報部局の忍び衆を統括している服部楓が、金髪ロングをして居る貴族令嬢の様な格好で現れた。


 この会場には、他国の貴族や国会議員・元老院議員、その他に国家中枢や地方政府の関係名士らが、祝賀会に招待を受けて、この会場へと家族連れで来て居る。



 楓はそれに紛れて現れ、表向きはガリアナ王国からやって来た貴族令嬢と言う設定と身分証を持ち合わせながら、勇治に必要な情報を言いに来たらしい。


 普段は正体を隠して、日本の秋葉原風のメイド服を着て、勇治のお付の1人として隠れて勤務している楓。


 それも胸を強調したデザインのメイド服を着てでだ。


 メイド服のデザインは、着ている本人の希望や体型に合わせた物と成って居るので、結構、趣味に走って居る物が多かったりするのだ。

 


「陛下。」


「ああ、楓か?」


「織田家の事ですが、キリヤ公国秘密工作諜報情報部局の忍び衆達の諜報員達の聞く所によれば、先の戦争前にゲルニアン帝国からの要請で、毛利家と伊達家、上杉家に攻め入る様にとの外交要請が有ったとの事です。」


「ふーん、それで織田・和紗・信長さんは、どう言う積もりで居るのかな?」


「はい。何でもゲルニアン帝国の要請を聞いただけで、実際は動く積もりは無かった様なのです。」


「それって、どっちにも付けれる様に動いて居たと見るべきだね。」


「私もそう思います。」


「覇王さんは、誰がこの世界の天下を取れるのかを見て居るって所だね。」


「それなら全然、問題無いよ。」


「覇王さんがアマテラスの残りの大名達を、どれだけ従えられるだけの器を持って居るかは、彼女の今後の器量と腕前しだいで、その内自然と僕の前に現れるさ、それほど慌てる必要も無いよ。」


「それに会えたら会えたで、何だか面白そうだし、楽しみだなぁ~とも思えたしね。」


「引き続き諜報のお仕事をお願いね。」


「はっ!」


 返事をした楓は、静に立ち去って行く。


「楓・・・・・恐ろしい程に忠犬な人だな。まぁ、良い仕事してるし、問題は・・・・有るんだよ~な。」


「うん、僕のせいで変態さんに成ったのは反省して居るけど、あんなに仕事が出きる人だと思って無かったから、可愛そうな事をしちゃったよなぁ・・・・・・・・・・」



 織田家の暗躍すら筒抜けさせてしまうキリヤ公国秘密工作諜報情報部局の忍び衆達。


 その働き振りを重宝していて、とても満足に至る組織に発展したと感慨に浸って居たが、楓は有る意味ドMの変態な性格へと移行して居るので、面倒な奴だなとも勇治は思って居た。




 一方の第一連合自治方面軍軍・ナデシコ自治統合軍の幹部らは、戦勝祝賀行事に参加するべく、各方面軍司令部からキリヤ公国本土へと一時帰国をし、公王都キリヤ市にやって来ていた。





「「「「「かんぱーい。」」」」」



 彼女達にも公王都キリヤ市内に希望する形の自宅が与えられ、存命して居る限りは、地元地域の自宅を含めて税金が掛からない勅令法が施行される様に成って居る。


 軍に籍を持って居る彼女達の給与は、一月当たり30万円と成って居る。


 それに加え、遠征出張手当て等を含めると成ると、40万円は支払われて居るだろう。



 これらの給与は勇治のポケットマネーから支払われて居るのだ。 



 勇治の持っている転生特典タブレット、ゴッドタブレットのお陰で、国に関わる人材と高額な出費に付いては、勇治が出す様に成って居て、それ以外は税金を取って賄われている。


 お国の経費の一切の費用で、全く税金が掛からないと言う制度は、非常に良くないので、「キリヤ公国連合国内に住めば所得の3割は税金に納めてね」と言う事に成って居る。



 ナデシコ自治統合海軍の幹部将校達は、指定されたテーブルに集まると、この異世界での初の大勝利を祝い乾杯をして居た。



 山本五十鈴以下、烏柿肇、南雲夕霧、小沢美月、黒島亀代、渡辺祥子、角田晴海、山口多美、近藤信代。草鹿美佐枝らは久し振りに集まっての大宴会を楽しんでいた。


「ぷはあーっ、うめえええぇぇぇーーーーっ!!」


「ちょっと祥子。はしたないわよ。」


「何を言ってだよ肇。こんな時に騒がなきゃ、何時騒ぐってんだよ。」


「まぁまぁ、折角の宴席なのよ。」


 そんな何時ものじゃれ合いを五十鈴は、間に入って宥めていた。



 真面目な性格で、黒髪のショーカットをしている烏柿肇は、豪快な性格で、大雑把な性格をして居る渡辺祥子の豪快な飲みっぷりを嗜めたが、全然気にする様子も無かった。


「しかし、噂は聞いて居ましたが、この世界では、彼方此方で戦争が多いとか、それも国や地域によっては、天と地の差位の開きが有るらしいですね。」


 やや、童顔をしている南雲夕霧は、渋い顔つきで、これからの事を案じている様子である。


「今回は簡単に勝てましたが、陛下のお話では、何れ数の多くの国や地域に加え、異界の国土や文物が現れる可能性も示唆して居られました。」


「陛下は異界の神に、この世界に流れ着く前に、警告の啓示を受けられたとか言って居られましたね。」



 晴海と多美も勇治の真の素性に付いて、数日前に公王都キリヤ市郊外・キリヤ秘密地下大要塞基地内に案内され、其処で明かされ事実を聞いた時の事を思い起こしていた。


 勇治は国家の幹部と見なした人物に、自分が此処に居る本当の経緯と神のタブレット、ゴッドタブレットに付いての云われを説明していた。


 天災で死亡して、女神アルテジアに転生させて貰った事実は伏せてだが、勇治は転生に付いて詳しい話を今まで黙って居たのも、その方が理解がし易いと思ったからでも有る。



 その不思議でチートな道具の力に付いて、何でなのかと腑に落ちないなぁーと思って居たのだが、その出所が神様であると言われると何となく納得したらしい。


「陛下のご使命は、この世界を含めた転移して来る物を如何にかする事。その為に、あの力や我らの様な存在を保護したいと仰られて居る。」


「今回の事で、ハッキリしたぜ。あの大将は、暴力を嫌い。弱い者を甚振る趣味はねえってな。」


「ですが、今の我々の力事態が暴力な気が・・・・・・」


「夕霧、その辺は難しく考えない方が無難よ。それは兎も角として、今後とも似た様な事件や戦争が続くって事よ。」


「だからみんなも無茶しないで、もう故郷である撫子皇国には帰えれないけど、今ある第二の故郷であるキリヤ公国の為に、全力を尽くしましょう。」


 最後に五十鈴が、そう締め括ると、海軍幹部将校達は、宴席から見える町並みを見て、賑やでとても平和に成った、この時を祝う国民達を見て、防人の軍人として、より一層身を引き締める思いで居たのだった。


 だがしかし・・・・・・その祖国、撫子皇国がキリヤ公国連合国と深く関わる出来事が起こるのは、数年後の事と成ってしまうのは、やはり神の悪戯・・・・・・・災厄と言えた出来事と対峙する事に成る。



 この宴席には、伊達家と毛利家も参加していた。



 伊達軍はヒロサキ街道を見事に守り抜いたとして、その面目を保つ事に成功している。


 毛利家も、吉川春美がやらかした失態を補うだけの働きを見せられて、お家に取ってキリヤ公国本国との友好の証が立てられたと言えた。


 特に春美と成美の先陣争いは、迫り来る敵を散々に蹴散らしたと言う嬉しい誤算結果を生んでいた。



 この戦果を打ち立てた春美は、とても満足して居たらしい。



 これで勇治に詫びを入れられ、けじめを付けられたたとね。



 更には上杉軍も友軍部隊として多数の戦功を上げる事で、先代当主だった剣信も甥や若い世代の家臣達に向けてお褒めの言葉を掛けたのだった。



 戦勝祝賀会は夜通しで行われ、官民挙げてどんちゃん騒ぎ、大盛況の内に幕を閉じたのであった。




 マギアンティア世界統一暦・1555年・8月5日・午前9時00分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国連合国・キリヤ地方・キリヤ公国・公王都キリヤ市・キリヤ城・キリヤ城中央棟・謁見の間にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 戦勝祝賀会が終ってから二日後のこと、謁見の儀が、始まろうとして居た。


 謁見の儀とは、キリヤ公国連合国として、論功行賞・領土確定・敗戦国及び戦時中の敵味方の処罰・報奨授与と新加盟国等の盟主王への挨拶、等々である。


 又は何らかの役職の任命式や加盟国元首が宗主国王への挨拶も含まれて居る。


 キリヤ城・謁見の間に入ったキリヤ公国連合国の各国王諸侯や国家元首、各国の文官武官を含めた政府高官達は、それぞれの定位置で勇治の方を見て居並んで居た。




「これより謁見の儀を執り行う。」


「勇治陛下からは、この度の一連の騒動に付いてのお言葉とキリヤ公国宰相内閣府会議に付いてのご連絡が在る。」



「参列して居る一同の者達はお静かに、ご清聴する様にっ!」と、進行役を務めるのは、国防大臣である一輝であるが、これは閣僚幹部が少ない為である。


 このお役目は後に、別の者が務めて行く事に成るのだが、それはもう少し先のお話。


「皆さん、我がキリヤ公国連合国は建国以来の最大の危機に直面する北の大国、ゲルニアン帝国との大戦争に打ち勝つ事が出来ました。」


「偏に、これは皆さんのご協力が有ってこその勝利であると考えて居ます。」


「本当にありがとう御座いました。そして、大変にお疲れ様でした。」と言い終えると、出席者一同は勇治からのお辞儀に対して、それぞれ一礼を返す。


「さて、本日は我が国の初代宰相を任命する任命式を執り行います。」



「メイルシュルフラッド独立自治公国の女公王っ!!リィーゼ・メイルシュルフラッドっ!!前へっ!!」



「はいっ!!」 



 力強く返事をしたリィーゼは、純白を基調とした赤と青のラインが入ったドレスと赤と金とダイヤが入った王冠姿で、勇治の前へと進み出る。



「メイルシュルフラッド独立自治公国の女公王っ!!リィーゼ・メイルシュルフラッドっ!!」


「貴女にはキリヤ公国連合国・中央政府を纏め、キリヤ公国宰相内閣府で公王である僕の補佐を務めるキリヤ公国宰相内閣府大臣に任命する。」


「貴女は、この任命に関して、意義不服の申し立ては有りますか?」


「いいえ、有りません。精一杯っ!務めさせて頂きます。勇治陛下。」と言ったリィーゼは、任命状を受け取ると、はち切れんばかりの拍手が彼女に送られた。


「併せて、貴女には、これを・・・・・」とダイヤ入り指輪の婚約指輪と何の装飾も無い結婚指輪が、リィーゼに送られた。


勿論、セレジアにも似たような品が先に送られて居る。


「・・・これは?」とリィーゼは首を傾げた。



「ああ、セレジアから聞いては居ます。結婚や婚約の記念に何かを送る習慣は在るらしいみたいですが、指輪やアクセサリーを女性個人に贈る事は無いみたいですね。」


「これは僕の居た世界の慣習でして、セレジアには、同じ物をもう送りました。」


「今回はリィーゼにも送ろうと思いましたので、用意させて頂きました。」


「宝石の方はお祝いの席で、只のリングは日常生活様に身に着けたい時に付けて下さい。それも嫌ならレプリカを用意しますので、ご安心ください。」と言ってレプリカも用意する勇治。


 リィーゼは、何だか嬉しくて堪らない様子。


「・・・・・・そう、有り難う。大事にするわ。」と、軽く笑顔を見せてくれた。



 この日、メイルシュルフラッド独立自治公国の女公王、リィーゼ・メイルシュルフラッドと言うマギアンティア世界史上最年少の宰相が誕生し、同時に勇治との婚約も大々的に発表された。


 同時に、この日の出来事が切っ掛けで、プロポーズ、結婚や婚約する際に指輪や他のアクセサリーを送る習慣が無かったこの世界に措いて、勇治が伝えた地球世界での慣習を真似て流行って行く事に成るのは、勇治達の影響が有った事を付け加えて置く。



 マギアンティア世界統一暦・1555年・7月16日・午後11時30分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国連合国本国・キリヤ地方・キリヤ公国・公王都キリヤ市にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 世界の列強国たるゲルニアン帝国との大戦に勝ったキリヤ公国連合国。


 北の列強国を打ち倒した事で、ユーラシアン大陸の新たな列強新興国としての名を馳せて来た。


 季節は夏真っ盛りの季節である。


 キリヤ公国連合国のキリヤ公国本国・公王都キリヤ市に一人の熟年女性が公王都キリヤ市を見渡せる丘の上に現れた。


「ふぅ、流石は夏ね。暑いわ。」


 その人物の風貌はと言うと、艶やかなウェーブが掛かって居る金髪ロングヘアースタイルで、爆乳ボデイスタイルを持った母性愛が溢れ出る雰囲気を醸し出し、服装は青色と白を基調とした農婦の格好をして居た人間族の女性である。


「それにしても、勇治くんってば、故郷そっくりそのままの都市とこの世界にある国々の街並み合わせた、良い街並みね。」


「ユイは頑張って居ると手紙には書いて在るけど、あの子はそそっかしく、ドジっ子な所が目立つから、勇治くんたちの迷惑に成って無ければ良いけれど・・・・・・」



 感慨深げに見て居た女性の正体はと言うと、女神アルテジアにして、彼女がマギアンティア世界へと降り立つ為に作った分身体擬態たるアルテナ・テルシーアであった。


 ユイと別れてから三ヶ月が経ち、彼女との定期連絡は、手紙のやり取りで連絡を取り合って居たが、そろそろユイの様子を見ようと、わざわざ徒歩でロカルノ村の山奥に在るアルテジア神殿からやって来たらしい。



 マギアンティア世界統一暦・1555年・8月6日・午後12時00分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国連合国本国・キリヤ地方・キリヤ公国・公王都キリヤ市・キリヤ城・宮中王妃居公邸・セレジアーナ・ユリテリア・ガリアナ居室エリアにて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 公帝戦争が終ってから数日が経ち、戦争期間中は、公務上のスケジュールが、あれ程忙しかったキリヤ城も、その忙しさが下火に成り果て、今や静かに成って居た。


 後宮や外国使節の応対を手伝って居た勇治の婚約者であるセレジアも、大分暇な日々を謳歌して居た。


 そんな時である。


 セレジアの下に来客が現れた。


 一人の侍女がセレジアの下へと取り次ぎに現れた。


「セレジア様。」


「何かしら?」


「はい。勇治陛下とユイさんにお客様がいらっしゃました。」


「勇治とユイにお客様?誰かしら?」


「勇治だけなら分かるけど、ユイに来客があるなんて事は・・・・・・・ああ、そう言う事ね。」


「ひょっとして、その人は30代半ば過ぎくらいの女性で、とても穏やかな雰囲気のするお方。そして、ユイの母親と名乗り、お世話に成って居る勇治との面会を求めて居るのかしら?」


「はい。如何してお分かりに成られたのですか?」


「うふふ、ユイからお母様のお話を聞いた事が有るのよ。此処にお通してくれるかしら?」


「ですが、セレジア様。勇治陛下は、今は執務室で公務中ですし、ユイさんは、ベル様の下で、お仕事中です。お会いになられるなら数日は待って頂かなければ・・・・・」


「だからよ。折角、公王都キリヤ市に訪ねていらっしゃったのよ。門前払いした上に、待たせるのは失礼よ。」


「それと、お食事も用意してくれる。丁度いい具合にお昼ですもの。ランチのお誘いをして来てちょうだい。」


「はい。畏まりました。」



 侍女は、セレジアに言われるが儘に尋ね人をセレジアの私室へと案内し、昼食の用意をする事に成った。



 マギアンティア世界統一暦・1555年・8月6日・午後12時15分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国連合国本国・キリヤ地方・キリヤ公国・公王都キリヤ市・キリヤ城・宮中王妃居公邸・セレジアーナ・ユリテリア・ガリアナ居室エリアにて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 セレジアは、突如として来訪した女神アルテジアにして、彼女がマギアンティア世界へと降り立つ為に作った分身体擬態たるアルテナ・テルシーアであった。


「「「セレジア様。支度が整いました。」」」


「有り難う。後はベルがやってくれるから、貴女達は下がって良いわ。」


「「「はい。」」」とユイの同僚達である侍女達は、下がって行く。


「セレジア様。ユイのお母様である。アルテナ・テルシーア様・・・アルティ様が起こしに成られました。


「お通しくれる?」


 セレジアの返事と共に、キリヤ公国公王室宮内庁の総侍従長官のベルファ・ファーストこと、ベルに誘われながらセレジアの私室へと入って来た。


 ベルは、アルティを席に案内を終えると、ティーセットが置かれて居る台車近くに立ちつつ、セレジアとは少し下がって立った位置で止まる。


 此処には三人しか居ない。


 そんな誰にも見られて居ない私室に措いて、セレジアは席を立ちあがり、アルティの前へと進むと、ベルも後に続く。


「初めまして、世界主神たる女神アルテジア様。ようこそキリヤ公国へ、そして、ようこそ、キリヤ城の私、セレジアーナ・ユリテリア・ガリアナの私室へと御出で下さいました。」と深々と頭を下げると、同じくベルも臣下の礼を取るが如く、首を垂れて居た。


「貴女達の歓迎、痛み入ります。世界主神の一柱神が一人、アルテジアです。我が眷属神が一人、新米世界神ユイテルシアがお世話になって居ります。」と、アルテナは、本当の名であるアルテジアを名乗り、愛しき下界の民から送られた歓迎の挨拶を快く受けた。


 セレジアは神への挨拶を済ませると、自分の席へと戻り、その場で改めて、王室王女としての挨拶をする。


「改めましてユイのお母様、初めまして、ユイの直属の公務責任者を務めて居ります。桐谷勇治公王の次期第一正妃、セレジアと申します。」


「はい。セレジア様。娘であるユイが大変にお世話に成り、あの娘のお給料からの仕送りで、私も大変に助かって居ります。」


「それと、セレジア様とのやり取りでのお話は、何時もユイから手紙で、兼ねがね聞き及んで居りますわ。」


 今度は娘を訪ねてやって来た母親と、その上司との挨拶を交わし合う二人。


「ベルさんも、有り難う。娘を大事にしてくれて・・・・・・」


「勿体無いお言葉です。お母様。」と、態度を改めて応対するベル。


 ベルも勇治とユイの正体を知って居る人物の一人である。


「さぁ、ランチタイムを楽しみながら、我が国に起こしになられたお話をお聞かせ下さい。」とセレジアは言うと、ベルは紅茶をカップに注ぎ、二人に差し出すと、ランチタイムが始まる。


「頂きますわ。」


「それで、アルティ様は、如何して公王都キリヤ市に?」


「特に特別な理由はありませんわ。」


「ただ、あの子と別れてから三ヶ月が経ちましたし、そろそろ様子をと見に来た次第ですわ。」


「なるほど、母親として見に来たと言う所ですね。」


「はい。あの子は・・・・恐らくはもう知って居るでしょうけど、正体がバれたと報告も在りましたが、特にバレてはいけないとは言っても居ませんしね。」


「それに、そそっかしく、おっちょこちょいなあの子の事ですから、苦労を経験して居るのでは無いかと見て居ます。」



「あはは・・・・その通りですけどね。」


「やっぱり。」


「ですが、ユイは明るく、一生懸命で努力家な女の子です。」


「同僚達とも大変に仲が良く、お互いに上手くやって居ますし、何かとリーダーシップを発揮する場面も多い子です。」


「このまま行けばキリヤ公国公王室宮内庁の総侍従長官のベルの右腕であるキリヤ公国公王室宮内庁・王宮メイド長に推薦しても良いと考えて居ます。」


「まぁまぁ、あの子が?」


「はい。流石は新米女神ですね。知らず知らずの内に、人の上に立つ事を知って居るかのような働き振りです。」


「それを聞いて安心をしました。」と言った所で、デザートに入った二人。


「所で、アルティ様のこの後のご予定は?」


「そうですね。勇治くんとユイに会ったら、この都の観光を楽しんでから、そのままロカルノ村に帰ろうと考えて居ます。」


「そうですか?では、勇治達とは面会時間を後で報せましょう。」


「宿泊先は何方に為さいますか?」


「出来れば、街中の宿が良いんですが・・・・」


「畏まりました。この後直ぐに用意をして置きます。ベル、お願いね?」


「畏まりました。セレジア様。」


「そうそう、勇治が夏休みに旅行に行こうと言って居るんですけど、アルティ様も如何でしょうか?」


「旅行ですか?」


「はい。貴女様の素性を知らない人達には、ユイの家族と言う事で通しますので・・・・・・」


「分かりました。折角のセレジアさんからのお誘いです。予定が決まったらユイに言って下さい。楽しみに待っていますわ。」



 こうして、女神アルテジアとセレジアとの対談は終わる。


 女神アルテジアこと、アルティは・・・この後、勇治やユイと面会をし、楽しいひと時を過ごす事に成る。


 それから数日かけて公王都キリヤ市の観光をしたアルティは、勇治達らと別れの挨拶を済ませると、ロカルノ村へと帰って行った。


 今度会えるのは、夏休みである。


 その夏休みに予定され居る夏休み旅行を楽しみにして、公王都キリヤ市を去って行くのであった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


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