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キリヤ公国英雄戦記物語  作者: 伊達教宗
第2章 少年王、家臣団をスカウトする編
70/321

第14話 少年王と伊達家と毛利家御一行の来日

 マギアンティア世界統一暦・1555年・7月1日・午前11時10分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸北部地方・ゲルニアン帝国・帝都ベルリナ市・ベルリナ帝城宮殿・皇帝執務室にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸の北部全土7割を支配して居る列強国たるゲルニアン帝国は、間も無くユーラシアン大陸南部地方を統一せんと着々と準備体制を整えつつあった。


 その間の準備期間の時間稼ぎ工作として、キリヤ公国と繋がりある二か国に対して使者を送り付け、キリヤ公国の振る舞いを何とかして欲しいと言い放つ。


 ゲルニアン帝国は長きに渡って小賢しい策謀を巡らしながら、マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸の武力平定を企む。


 その策の一環として、先ずはセレジアの母国であり、キリヤ公国連合国の同盟国のガリアナ王国に対して、抗議分を綴った書簡を送る。


 その差し出し宛はセレジアの父であるジンバル・ユリテリア・ガリアナ国王。


 オルトランタ商業連合国の大統領のヤエス・ヨーデル。  


 メイルシュルフラッド公国の女公王であるリィーゼ・メイルシュルフラッドらの三名に勇治とキリヤ公国連合国の横暴を如何にかして欲しいと抗議文を送るが、丁寧な返書を返すだけで、事実上の無視と成ってしまう。


 この事態にヒットラン・アドルフラー皇帝は、大方の予想通りであるとして、今度は宣戦布告を勧告する使者をユーラシアン大陸南部地方各国政府へと送る事を決めた。


「まぁ、予想通りの反応だな。」


「はい。これで我が国がユーラシアン大陸南部地方各国政府へ宣戦布告を行ったとしても、このマギアンティア世界に措いて、何も言われても素知らぬ顔で攻め入る事が可能性と成る第一段階はクリアと成りました。」


「しかし、オルトランタ商業連合国の大統領のヤエス・ヨーデル奴目は、此方の誘いに乗るかと見せ掛けて、一儲けして行くとは・・・・・・」


「はい。油断の成らぬ貿易商かと、まんまと一杯を喰わされましたな。」


 

 オルトランタ商業連合国の大統領のヤエス・ヨーデルは、ヒットランからキリヤ公国連合国との関係を取り止め様に勧告を受けて居たが、大華天帝国・クーロン・ローマリャニア帝国・ペルシャ―ラ大帝国・モンガル大元王国等と言った大国のと貿易路から仕入れた格安の品々を優先的に売り渡しましょうかと持ち掛けつつ。


 その使者の目の前で、大変に良い物が手に入りましたので、ゲルニアン帝国の貿易商会に、これらを売りましょうか?と聞くと、その海外でしか手に入れられない物珍しい商品を見た外交団は、即決で買い入れる事を決めたと言う。


 何でもゲルニアン帝国・オルトランタ商業連合国外交団の中には、西側諸国との貿易商会との繋がりが強い者達で占められて居た事が、ヤエス・ヨーデル大統領の口車に乗ってしまう事の原因だったと言う。


「くそっ!!まんまと軍資金を相手方に手渡すとは・・・・・・」


「ですが、外交団に参加した法衣貴族や官僚らを処罰する事は成りませぬぞっ!!」


「彼らはあくまで外交をしに行った序でに貿易をして来たに過ぎませぬゆえ・・・・・・・・」


「分かって居るわっ!!」


「こうなったら一日でも早く、ユーラシアン大陸南部地方を統一し、南部の財産と土地を手に入れる事で今日までの出来事を無かった事にするしかあるまいっ!!」


「ロンデルよ、宣戦布告を勧告する使者をユーラシアン大陸南部地方諸国政府に送るのだっ!!」


「開戦の日取りは使者が宣戦布告状を送ってから二週間後に当たる7月20日以降とするっ!!」


「ははっ!!畏まりまして御座いまするっ!!」と一例をしたロンデル大元帥は、ユーラシアン大陸南部地方諸国政府に宣戦布告を勧告する文章を送りだしたのであった。



 マギアンティア世界統一暦・1555年・7月7日・午前13時05分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国連合国・キリヤ地方・キリヤ公国・公王都キリヤ市・キリヤ城中央棟・謁見の間にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 その日の昼下がり、ゲルニアン帝国からやって来た外交官は、宣戦布告を勧告する外交文書をキリヤ公国連合国中央政府と勇治に差し出しにやって来て居た。

 

 その往来方法などの道筋に付いては、戦争へと突入寸前と言う事も在り、キリヤ公国本国のキリヤ列島のヤマト島地方北側から30キロ離れた沖合いに在る出島諸島を経由させ、わざわざカンサイ地方自治州区の州都・オオサカ市を経由させた上での来訪であった。




 キリヤ公国連合国・国防総省を所管する足柄・一輝・宗輝国防大臣とキリヤ公国連合国・外務省を所管する結城・梅晴・春宗外務大臣。


 この二人が未だにキリヤ公国宰相内閣府の閣僚幹部が穴だらけだった中央政府の政務を大体を引き受け、旧足柄幕府王朝家臣団と渡海してきた大名王家の文官家臣団らと共に、国政を如何にかして動かして居た。


 その二人が鬼の形相で外交文書を読み込んで居た。」

 


「・・・・・・」


「・・・・・・」



「勇治陛下、足柄国防大臣閣下。結城外務大臣閣下。この宣戦布告を勧告する布告状に対するご返答は、届けられた日付より二週間後の7月20日以降に布告され、我がゲルニアン帝国軍がヒットラン・アドルフラー皇帝皇帝陛下のご命令より、ユーラシアン大陸南部地方各地へ進軍を開始する。」


「その前により良いご返事を頂ければ幸いですな。」と踏ん反りながら言う。


 それは自分達が大陸覇者と成るのが決まって居るかのようであった。


「・・・・・伊澄っ!!冬香っ!!この無礼極まりない使者共を即刻っ!!国境の向こう側まで送り帰せっ!!何ならナデシコ軍を付けでも構わんっ!!」


「「はっ!!」」と言うのは勇治の専属護衛官と成って居る上泉・伊澄・信綱と 柳生・冬香・十兵衛と言うアマテラス神皇国地方でも指折りの剣豪達が現れ、外交官達を取り囲む。


「お前達っ!!使者殿に無礼な振る舞いはするでない。」


「師匠っ!!」


「御師さま?」


「なぁに、このわしも・・・このゲルニアン帝国の小僧どもを送って行ってやろうか?二人の御目付役としてな?のう、一輝よ?」


「師匠がそう言うのならば跡目はしません。ですが、少しでも妙な真似をすれば・・・・・」と言いながら首をこうだと、右手で横に引く仕草を見せると、外交官達は身震いしたと言う。



 ゲルニアン帝国から外交官から成る宣戦布告を勧告する使者達は、行き来する道筋は同じなれども、厳格な見張り付きでの帰国となったのであった。



 マギアンティア世界統一暦・1555年・7月7日・午前13時30分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国連合国本国・キリヤ公国・公王都キリヤ市・キリヤ城・キリヤ公国・公王執務官邸にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 ゲルニアン帝国からやって来た外交官達が、近衛近習衆の護衛隊に連行される形で、ナデシコ領とは別のルートから叩き出した後の事で在る。



 勇治が執務を行うキリヤ公国・公王執務官邸では、足柄・一輝・宗輝国防大臣と結城・梅晴・春宗外務大臣らと共に今後の予定を決める会議が行われて居た。


「先ずは予想通りと言うか、予想通り過ぎて呆れて物が言えませんね。」と勇治はやれやれと言った感じに言う。


「梅晴。文句は無いな?」


「はい。文句はありません。寧ろ、どうぞお好きにして下さいとしか言いようがありません。」


「あんな外交文書では逃げ道はありませんですしね。それにこの私ですら抜け道を探すのも無理ですもの。」と梅晴も不敵な笑みで言う。


 もう戦争へと突入するしか無いと覚悟を決めて居る様子であった。


「しかしながら、勇治。此処で私から進言をさせて頂きます。」と梅晴は、勇治に何かを提案をしたいと申し出て来た。


「何でしょうか?」


「ゲルニアン帝国との戦争が終わった戦後で構いませんので、どうか宰相をお決めください。」


「ああ、そう言う事か確かにな。」


「・・・・そうしたいんだけど、僕の公国にそんな人物に充ては無いし・・・・・」


「そうだな。ナデシコ領連中から選抜すると言うても・・・」


「いけません。一輝様。これ以上のナデシコ領勢力のキリヤ公国連合国中央政府への権限拡大は、後々に成って大きな禍根を産みかねません。」


「だからと言って、アマテラス神皇国地方組からの仕官者や大名王から選ぶの不味いな。」


「その通りです。ですので私は、次期キリヤ公国連合国の加盟国家と成る予定をして居るメイルシュルフラッド公国の女公王。リィーゼ・メイルシュルフラッド陛下を中央政界へとお呼びしたいと考えて居ます。」


「リィーゼさんを?」


「はい。リィーゼ様は ガリアナ王国の国王であるジンバル・ユリテリア・ガリアナ国王陛下の姪御に在らせられるお方にして、勇治さまのご婚約者のセレジアさまとは従姉妹同士。」


「キリヤ公国連合国内では何所の派閥勢力にも属しては居ませんが、ユーラシアン大陸南部地方諸国とは縁深き人物。」


「それに若くしてメイルシュルフラッド公国をお継ぎに成ってからの国政は中々のご手腕と聞き及んで居ります。」


「今の時点では、我が国のパワーバランスを取るには素晴らしい人物かと思われます。」


「ほう、考えたな梅晴。軍事はナデシコ領、人事と地方はアマテラス地方で、国政中枢部はガリアナ王家から迎えるのか?上手い事を考える。」 


「ですが、それでリィーゼさんが治めているメイルシュルフラッド公国の国家元首と言う立場が空位と成ってしまいます。」


「それに付いては代案があります。」


「暫くは摂政を政務長官として措いて、キリヤ公国連合国の地方自治政府と同じ扱いにします。」


「彼の国程度の国土ならば、我が国内にも多く在りますし、どの道・・・勇治さまとはご婚約者同士。何れは合併を視野に居るべきかと、それでも公爵王として置きたいと言うならば、リィーゼ様とは良くお話をして下さいませ。」


 提案を言い切った梅晴は、後は勇治とリィーゼとの話し合いで決めるべきだと進言し、静かに進言を終えた。


「・・・・・分かりました。戦後に成ったらリィーゼさんとは良く話し合って見ます。」


「ですが、今はゲルニアン帝国との戦争です。」


「分かった。五十鈴達には、この私から言って置こう。」


「お願いします。」

 

 こうして公帝戦争へむけてのキリヤ公国・公王執務官邸での会議は終わった。



マギアンティア世界統一暦・1555年・7月7日・午後14時00分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国連合国・三浦川地方・準独立国特別指定権限保有地方自治州区 ナデシコ地方自治州区・州都・横須賀市・キリヤ公国連合国軍・総司令部及び第一連合自治方面軍・ナデシコ自治統合軍の総司令部・横須賀鎮守府にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 キリヤ公国・公王執務官邸で決定されたゲルニアン帝国との戦争。


 その決定をキリヤ公国連合国防総省のすぐ下に位置する司令本部組織であるキリヤ公国連合国軍・総司令本部へ伝えられる。


 国防大臣である足柄・一輝は、ナデシコ自治統合軍の総司令官兼海軍 統合司令官兼海軍提督として政府の要職に付いている山本五十鈴と統合副司令官兼陸軍元帥は板垣妙子の二人にオンライン画像通信装置で命令を伝えていた。


「・・・・・・と言う訳で、我が国は兼ねてより懸念されて居たゲルニアン帝国との戦争へと突入する事に本格的秒読み段階へと入った。」


「二人には、既に進めている全軍を所定の位置へ移動を続けて欲しい。」


「この戦はナデシコ軍が主力だ。キリヤ公国本国軍とアマテラス加盟国軍とその他の同盟国軍は遊撃戦に徹する事に成る。」


「分かって居るわ。海軍艦隊も粗方の移動は済んで居る。」


「陸軍の方は弾薬を含めた物資の移動が若干遅れて居るくらいだが、何んとか開戦日までには間に合わせる予定で居る。」


「助かる。他に要望している事があれば、中央政府に申し出て欲しい。それではな。」と通信を切る一輝。


「いよいよね。」


「そうだな。」


「この戦争は私達が始めてしまったような物ね。」


「ああ、だがしかし、この世界の世界情勢を見聞きする限りでは、何れ起きた事だったろう。」


「其処まで気に病む必要も無い。」


「妙子にそう言って貰えると助かるわ。家から手伝い行かせた輸送艦隊と人手は足りて居る?」


「今の所はな。」


「そう・・・・・この戦い。絶対に勝つわよ妙子。」


「ふっ、そうだな。」


 二人はそれぞれ部屋から準備体制ん゛着々と進められて居る要塞基地と海軍艦隊へと目をやった。


 妙子はハコダテ国境要塞・ゴリョウカク国境要塞郡の司令部からキリヤ公国のムツ地方を眺め。


 五十鈴はナデシコ自治統合軍の総司令部・横須賀鎮守府からナデシコ自治統合海軍・第一地方統合戦闘艦隊を眺めていた。



 その風景には、夥しい数の兵器や物資が並べられ、多くの作業員と将兵達が世話しなく動き回って居た。


 公帝戦争の開戦まで、残り14日を残すのみと成って居た。



 マギアンティア世界統一暦・1555年・7月9日・午後8時40分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国連合国・三浦川地方・準独立国特別指定権限保有地方自治州区・ナデシコ地方自治州区・州都・横須賀市にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 アマテラス神皇国地方内での一騒動から数日が経ち、多くの新国民を連れて帰国したナデシコ自治統合海軍艦隊。



ピストン輸送を約100回以上を繰り返して、移民者達をキリヤ列島のヤマト島地方北側から30キロ離れた沖合いに在る大小100の島から成る無人諸島を出島諸島と名付けた場所へと移送された。


 其処はゴッドタブレットで開拓整備さたれ所に設置された外務省傘下に外部局。


 一般人の立ち入りは厳しく制限された所で、この出島諸島に入って来られるは、キリヤ公国連合国の国外で、大使館や領事館又はキリヤ公国連合国が公的に公募した移民者が移民申請して入国を許可された者達だけである。


 其処での最終審査で素行や健康状態に問題が無く、最終審査が通れば、いよいよキリヤ公国内に割り振られた土地への大移動が待って居る。



 仕官希望者達は、経歴次第で、直ぐに中央を始めとする重要な赴任地とへ呼ばれる場合が有る。




  公王都キリヤ市は、勇治がゲーム感覚でタブレッド弄り回して作られた唯一、彼が好きに弄り回して良い都市であった。



 まぁ、彼が都市を改造する度に、道順を覚えなければ成らない苦労は有るが、とても利便性に長け、公爵王に成って引っ越したばかり当初の片田舎の街並みから、進んだ文明を思わせる巨大な近代都市へと成長を続けて居た。


 この日、ナデシコ地方自治州区の州都である横須賀市に、公王都キリヤ市へと初上洛をする為にやって来た二組のアマテラス神皇国人達が居た。


 一つは、奥州独立自治王国と国名と家格を上げた伊達家である。


 改めて今後も引き続き勇治に臣従を誓うと、宣言をしにやって来た事とゲルニアン帝国との戦争に参陣する事を申し出る事を直接勇治に言う目的で、護衛の伊達軍と共にやって来たのだった。


 伊達家は今回の上洛に際して、護衛の供回り500人と共に、アマテラス神皇国地方のキリヤ公国連合国領とキリヤ公国連合国本国との間で運行され始めた連絡客船を使って、初めてキリヤ公国連合国の地方自治州区の州都・横須賀市の地を踏んだのであった。


 伊達家の面々は、持ち込んだ荷物と馬、それに下賜され公用の自動車や登城専用の馬車を公都へと繋ぐ電車と貨物列車に乗せて乗車する。


 汽笛が鳴り響き、列車が走り出した。


「おおっ、動いたぞっ!」と伊達家の家臣達は驚きの声を上げていた。


「喜多、私はもう驚くの止めたぞっ!!」


「あはは、流石に此処まで文明が進み過ぎて居ては、驚くのも麻痺してしまいますからね。」


「横須賀市の町並みを見て思った。この国の文明の先進的な度合いは、既存のマギアンティア世界の国々んら見れば、流石に異常だ。」


「留守殿の話で聞きましたが、転移した異界国家の国土を双方で良く話し合ってから、正式にキリヤ公国の領土編入として取り込んだとか。」


「その際に中央世界・第一文明圏・ユーラシアン大陸の7割を支配するゲルニアン帝国とかなり揉めて居るとの事です。」


「それが今回の戦の原因とも言える話だが、このナデシコ地方自治州区を見れば、ヒットラン皇帝が土地の諍いを理由に大戦争を仕掛けてでも欲しがる理由も頷けるな。」


「ですが、ヒットラン皇帝とゲルニアン帝国の政府中枢幹部の者達は、ナデシコの文物は利用できるだけのおもちゃ程度の認識でしか無く。」


「その詳しい利用方法には興味が無いようです。」


「何方かと言うと、ナデシコの進んだ経済力と技術力を利用して、一儲けをするくらいにしか考えては居ないようなのです。」


「詳しく聞くとその様な裏事情があり、ヒットラン皇帝とゲルニアン帝国の政府中枢幹部の者達は、ナデシコ領の技術力の事をおもちゃ程度の認識しか無いと言う物も残念な連中だな。」


「その様な連中から勇治公王陛下が、ナデシコ地方自治州区を取られたくないのも良く分ります。」


「留守殿から聞いた話ですが、今後もこう言った事態は起きるかも知れないと勇治公王陛下は申されて居るそうです。」


「その勇治公王陛下も、異界の故国で起きた天災による事故が原因で、突如としてこの世界に来られて難儀なさって居たお方で有るそうです。」


「その話も伯母上からの電話や手紙なので少々聞いて居たな。相当なご苦労を為さったらしいと聞くな。」



「様々な苦労を経て、勇治公王陛下は次期王妃に成られるセレジアーナ殿下に見初められて、現在の地位をお築きに成られた。」


「これから私は、そう言う心優しいお方にお仕えするのだ。」


「ええ、出自がお低い分、下の者には、とてもお優しいでしょう。」


「私はお陰で奥州を一代で、一つに纏め上げられた。」


「名実共に奥州王ですもね。」


 その後も、伊達政実と片倉影綱との話は尽きない。


 二人は列車の客室で、色々と語り合ったのである。 



 次に一便ほど遅れた船で、やって来たのは、毛利独立自治安芸藩王国を建国を決め、キリヤ公国連合国に加盟予定と成って居る毛利家の一行だった。


 毛利家は、次女である吉川春美が起こしたナデシコ海軍との騒動のお詫びとして、ゲルニアン帝国との戦に参加を申し出て来ていた。


 キリヤ公国としては、同盟国の扱いとしての参陣を許す事にして居た。


「はぁ、疲れたのう。」


「帆船より快適だったでしょう?」


「それでも船旅は、陸の上と違って狭いじゃけん。」


「毛利様ご一行様ですか?」


「はい。」


「お話は キリヤ公国連合国・外務大臣、結城・春宗さまより伺って居ります。」


「我々は次の移動先を案内させて頂きます。キリヤ公国連合国・外務省の者です。」


「ご苦労さまです。」


「ささっ、此方です。」



 毛利輝実と吉川春美の二人は、キリヤ公国連合国・外務省の案内人に誘われて、キリヤ公国立鉄道会社、略称名KR社が運営するキリヤ鉄道の横須賀駅に向った。



 マギアンティア世界統一暦・1555年・7月9日・午後9時40分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国連合国本国・キリヤ地方・キリヤ公国・公王都キリヤ市内にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 公王都・キリヤ市の南に在るキリヤ鉄道・公王都キリヤ駅に到着すると、公人専用ホームに列車は停車する。


 其処で各々に必要な荷物や機材を下ろして行く。


 次に政実達は伊達家の正装姿で、公王都・キリヤ市のアマテラス町と言う和風建築が立ち並ぶ中で、キリヤ城に最も近い場所に600坪の伊達奥州王家・公王都キリヤ市公邸屋敷を与えられて居た。


 其処へ向う為に行列を作って公王都・キリヤ市内を移動する。


 これは初入都とした王族・貴族・委任大使等の国賓または連合国内の公人達が、キリヤ公国民に対して、自国との関係が非常に友好的で有ると喧伝する事を目的として居る行列パレードだった。


「おい、見ろよ。入都行列だ」


「本当だ、何所から来た国だろうな?」


「それにしても、どれもこれも、何で鮮やかな黒と金と赤色の服装だ。」


「あれは何所の国の使者だ?」



「確か新聞や政府発表なんかじゃ、今日やって来たのは、何でもアマテラス神皇国の奥州地方を御統一された伊達政実さまと言うお方らしい。」


「はぁ?高が地方を収めただけの身分の低い領主が、何でまた家の国の公都に?」


「しーっ、馬鹿言うなよっ!」



「あれでもアマテラスでは、独眼竜と謳われ、勇治陛下に奥州王と言う位を授けられ、侯爵位の王ながらも準独立国王としてお認めに成られて居る御方だぞっ!」


「えっ?あれで曲がりなりにも準王国の準国王だと?」


「そうだ。何でも自ら進んで、我が国に臣従する事を決められ、遂最近に成ってアマテラス神皇国内の奥州地方を統一され、勇治陛下に奥州王の称号を賜わり、名実共に独立君主国王と成られたとの話だ。」


「へぇーっ、大したもんだよそりゃ。」


「って事はよ。あの派手で優美な服装は、恥かしくない立派な格好って訳か?」


「ありゃ、言い表して見るのならば、伊達様がおやりに成る粋な格好をして居る者、略して言うなれば伊達者だな。」


「そうだ、そうだ。伊達者だ、伊達者だ。」


「一代にしてアマテラス神皇国の一地方を統一し、勇治公王陛下から準独立王国として認められた偉大な王、独眼竜・伊達政実奥州王陛下様だっ!」



 後に町の人々は、この日の伊達家行列の家臣達が着て居た服装や格好の成りを見て、伊達者と呼ぶ様に成ったと言う。



 伊達者は一種のファッションとしての流行として、異世界マギアンティアの世界中に措いて、最先端の流行と流行語を産んで行く事と成ったのだった。  




 マギアンティア世界統一暦・1555年・7月9日・午後10時10分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国連合国本国・キリヤ地方・キリヤ公国・公王都キリヤ市・伊達奥州王家・公王都キリヤ市公邸屋敷にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 公都に到着した伊達家一行は、公都内に専用の屋敷へと入る。



 その敷地面積はなんと600坪だ。



 伊達奥州王家・公王都キリヤ市公邸屋敷へと入った政実は、公邸屋敷から見える風景を見て感激をし、とても興奮して居た。


 伊達家がキリヤ公国臣従する事が決まり、叔母の留守影菜が外交大使として赴任して来る報せが入ると、勇治は公王都キリヤ市内の東地区に区割りされて居るキリヤ連合加盟国専用大使館区内にて、キリヤ公国連合国加盟自治国大使館と言う連合加盟国専用の外交官大使館を区画整備する。



 その一つには奥州独立自治王国の在キリヤ公国連合国・奥州独立自治王国大使館が立てられ、留守影菜が外交大使として赴任し際に引き渡されて居た。


 キリヤ公国連合国の外交大使として赴任した影菜は、それ以来、大使館敷地に在る大使館公邸で暮らして居る。


 その敷地は何と、200坪も有ったのだ。


 こうする事で勇治は、彼の家の家格に、粗略する様な態度を取って居ない事を周囲に示して居た。



 その西隣にはメイルシュルフラッド公国独立自治国大使館。




 伊達家公邸のその西隣の町内には、ユーラシアン大陸南部地方町と名付けられた所に、メイルシュルフラッド公国自治国公邸屋敷の350坪の公邸があり、女公王リィーゼと政実とはご近所さんと成って居た。


 再びアマテラス町に視点を戻し、北側には毛利安芸藩王独立自治国公邸が300坪公邸と上杉独立自治北陸藩王国公邸が250坪の公邸が建って居る。



 但し上杉家は、先に仕官して居た上杉・剣信・輝清専用の屋敷である200坪の公邸が、祖国の上杉独立自治北陸藩王国公邸の隣に建てられて居た。


 これは勇治による気を利かせた配慮であった。


「やはり、私の考えと目に狂いは無かった。」


「はい。乗り物だけでなく、首都に着いて直ぐに、この様に大きなお屋敷を賜るとは・・・・・・・・・・」


「ああ、それに見て見ろっ!!我が伊達家公邸の在る場所は、キリヤ城の近くだ。」


「勇治陛下は、我が伊達家の事をメイルシュルフラッド公国自治国の女公王リィーゼさまと同じく、厚く厚遇して下さって居ると見て間違いない。」


「確かに女公王リィーゼ様のメイルシュルフラッド公国自治国公邸屋敷とはご近所ですね。これは我が国が良く見られて居るとの証と見て良いでしょう。」


「これで伊達家の未来は安泰だっ!」



 喜多は大きな屋敷を賜る事に大いに感動し、政実は己の眼力が確かであったと実感して居た。


 そうして居る中で、成美はと言うと庭先で愛用の槍を振り回して居たりする。



 伊達奥州王家・公王都キリヤ公邸屋敷内にて、政実達はお家の将来の安泰を確信して居たのだった。



 マギアンティア世界統一暦・1555年・7月9日・午前12時05分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国連合国・キリヤ地方・キリヤ公国・公王都キリヤ市・キリヤ城・キリヤ城中央棟・謁見の間にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 それから正午に成ると、キリヤ公国連合国公王である勇治との初対面である。


 政実は、出発前に勇治との謁見に先掛けて、公都の屋敷内で正装に着替えていた。


 先祖伝来の大小の名刀を腰に挿し込み、紫色を基調としたカラフルな斑模様の入ったアマテラス神皇国式正装の着物袴姿で、キリヤ城に初登城をする。


 同行者には、腹心である片倉喜多。従姉妹で戦場では何時も先陣を切って戦う成美。


 叔母で大使館へと派遣されて、在キリヤ公国連合国大使として働いて居る留守影菜である。

 

「影菜叔母上、何か間違って居ないか?」


「ふっ、珍しいな。戦や伊達家の評定で臆する事が無い政実が緊張するとはな。」


「あっ、ああっ当たり前だろう。相手は年下の少年とは言え、一国の王だ。失礼が有ってはと・・・・・・・・」


「心配するな。人の出きた気優しい少年だ。お前なら、歳の近い姉くらいには思ってくれるだろう。」


「そう・・・だろうか?」


 叔母に諭され、それでも彼女は初めて外の国の独立国の王に拝謁すると言う大事に、とても緊張してしまうのだ。


 其処へ何処からとも無くアマテラス西方地方である中津国地方特有の強い訛りが、入った声が響いて来た。


「じゃゃゃっけんっ、やっぱり、わしゃ、帰えるじゃけん。」


「此処まで来て置いて、今更?」と往生際の悪い妹の春美の姿を見て、長女の輝実が呆れ顔をしていた。


「じゃけん、年下に誤るのと、怒られたりするのが何か嫌なんじゃいっ!」


「ああっ!!もう時間無いのにっ!」


「あっ!?これは影菜殿。こんにちは・・・・」



「おお、隆美殿か?」


 毛利家の在キリヤ公国連合国大使として公王都キリヤ市に赴任している小早川隆美は、キリヤ城内で良く会う間柄と成って、真名を呼ぶ事を許し合い。


 暇さえあれば食事やお茶に出かける仲を築いて居る留守影菜が、やって来た事に気が付き挨拶をした。


「今日は伊達家も勇治陛下に、ご拝謁ですか?」


「ああ、そうだ。政実、此方は毛利家の小早川・隆美・影長殿だ。」



「初めまして、某は伊達家当主の伊達・藤枝・政実です。宜しくお引き回しのほどを・・・・」


「毛利家・在キリヤ公国連合国外交大使と成りました、小早川・隆美・影長です。此方が・・・・・・・」


「長女の毛利・輝実・隆宗です。」


「次女の吉川・春美・隆春じゃけん。」


 伊達家と毛利家のトップ達は、それぞれ挨拶をする。


「所で毛利家の方々は、この様な所で何を揉めて居らしたのだ?」


「お恥ずかしながら、妹の春美が今更、勇治陛下に会いたく無いと申していまして・・・・・・・・」


「春美姉さんは、広嶋港でキリヤ公国連合国軍・第一連合自治方面軍・ナデシコ自治統合海軍とキリヤ公国連合国へと移民希望をして居る元大名王家の方々の処遇の取り扱いに付いてで、大いに揉めてしまいました。」


「その騒ぎに付いての毛利家の決定としては、春美姉さんには、そのお詫びを入れさせて幕引きを図りに参った次第です。」



 輝美と隆美が、伊達家の面々にキリヤ公国本土へとやって来た子細を簡単な形で説明をした。


「じぇけぇ、もう良いじゃろがっ!!わしが、わしが出んでものぉ・・・・・・・」


「そうは行かないの。3姉妹で行きますって言って有るのっ!昼食のご用意までしてくれて居るのに・・・・・・」


「おお、今日の謁見での相席は、毛利家との相席だったのか?」


「と言う事は、今日の会談の相席の方は、伊達家でしたか?」


「みたいだな。全世界中の諸国に付いては、まだまだ知らないが、このキリヤ公国連合国も大国の部類に入る。」


「勇治陛下の御予定次第で、コロコロと謁見の予定も変わるから、然程珍しい事では無いだろう。」


 今日は伊達家と毛利家が来ると言うので、勇治は昼食を用意して居た。



 だが、謁見のスケジュールはギリギリまで調整が続けられて居たので、両家は今日の相席の相手が誰なのかは、報されて居なかったのであった。


 ゲルニアン帝国との大戦も近く、勇治も何かと忙しいと言うのが、スケジュール調整が難航している大まかな理由であった。


「ぷっ、情けないなぁ、軽く誤れば良いだけなのに、此処で逃げ帰る気なの?吉川の当主は、物凄く勇猛な姫武将って聞いて居たのに、これじゃ、大した事が無いんだねっ!」


「なっ、何じゃとおぉぉーーーっ!おんし、もういっぺん言って見るじゃけんっ!この場で叩き斬ってくれるけんのーっ!」と春美は、侮辱された事に腹を立てて、腰に差して居る太刀に手を掛ける。


 

 似たような性格をしていると、お互いにぶつかり合うのがお約束と言う物。


 成美は揶揄い半分で、冗談を入れた小ばかにしたかの様な言い回しで春美を揶揄う。


「こらっ、成美っ!」


「春美っ!喧嘩しないの?」


「じゃけんっ!コイツがっ!」


「このチビがっ!」


「「何じゃとーーーっ!」」



 春美と成美は、共に先陣を切って戦う猛将の気質のせいか、互いに張り合う宿敵と悟ったらしい。



 叔母の影菜と姉の輝美が抑えるが、天敵に成りつつある二人は、騒ぎを止めようとしない。


 後にこの二人は、先陣を争う内に、背を預け合う関係が出来上がって行く事に成る。



 其処へ勇治直営軍であるキリヤ公国直轄軍のキリヤ公国武士軍団へと採用された津軽乃為が現れた。


「おお、まだ此処に居たのか?」


「ん?何だ、津軽ではないか、随分と雰囲気が変わった様にも見える。」


「お前は奥州動乱事件が収まって直ぐに奥州から去ってしまったから挨拶もそこそに此方に来てしまったしな。」


「今度、ゆっくりと話せる機会が在ったら食事でもどうだ?」


「稀代の奥州王にして、巷で話題の独眼竜からのお誘いか、それは面白そうだが、それはゲルニアン帝国との戦が終ってからにしたい。」



「今の私は、キリヤ公国武士軍団の第二武士軍団2万人の軍を預かって居るんだ。」



「ゲルニアン帝国との戦が終るまでは訓練や演習で忙しい。」 


「ああ、そうだったな。津軽、今のお前は、確か勇治陛下直属のキリヤ公国直轄軍のキリヤ公国武士軍団の軍団長と成って居ると聞くが、如何やらそのお陰で雰囲気が変わった様に見えるのだな。」


 政実は同じ奥州から去った馴染み顔に近付いて、少々久し振りに会った事を喜んだ。


「私はこの方が性に合って居るようだ。雰囲気が変わったと言うならば、大名王と成ったしがらみから解放されて、特にこれと言った義務が無くなったからだろうな。」



「今更ながら私と言う奴は、大名を務めるにはダメな性格の様だ。」


「民の為と立ち上がり、大名王と成っては見たが、その職責と言うのには、性に合わないし、色々と自由に動けないからな。」


「それに九戸正恒の奴にも騙されて居たしな。」


「これからは一介の武将として、今度は思う存分に暴れてやるさ、それよりも陛下がお待ちだぞっ!」


「私は軍務の報告から戻る途中で、その途中で見かけて会ったら呼んでくれと言われたんでな。」


「帰り道を通る序でに、皆の様子を見に来たと言う訳さ。」


「ああ、それは手間を掛けて済まない。偶々居合わせた毛利の方々と立ち話に成ってしまってな。」


「済みませんでした津軽殿。直ぐに参ります。」と毛利・輝実・隆宗が言うと、伊達・毛利ら一行は、津軽乃為と別れて、謁見の間へと急いだ。


 謁見の間とされて居る大広間は、丸で日本の時代劇に出て来るお城の大広間を再現して居た所だった。


 城内では土足で入っても大丈夫な様に、床は丈夫な種類の木の板版を敷かれて居た。


 一行は、10分くらい歩いて、大広間の在る引き戸門前に到着する。


「勇治陛下。奥州王・伊達政実様、毛利家御使者代表・毛利隆宗さま。ご到着なさいました。」


「お通しして・・・・・・・・・・」



 両家は代表者を先頭にして、謁見大広間へと通される。


 広間の中には、そこそこ豪華な椅子に少年が簡素で引き締まった服装を着て出迎えた。


 両脇にはキリッとした感じの女性が、二人ほど立って居た。


 右側の1人は、腰に刀を差した長身の女性で、髪はロングストレートで右頬に十字傷がある。


 左側には、刀を背負った右に眼帯をして、背丈が平均的なポニーテールの女性が立って居た。


「叔母上、あの二人は?」


「ああ、お前も名前くらいは、聞いた事が有るだろうな。右が剣聖と言われる上泉・伊澄・信綱殿。左が隻眼剣聖と謳われる柳生・冬香・十兵衛殿だ。」


「なっ、何だって?二人ともアマテラスでは、有名な天下の剣豪ではないかっ?」


「そして、更に首脳閣僚として立って居て、最奥の左に居るのが足柄・一輝・宗輝さまだ。」


「アマテラス神皇国を去ったと聞いて居た前将軍王が、この地に行ったとは聞いて居たが・・・・・・・・・・・」


「ふふっ、私も会って驚いたぞっ!まさか塚原・伝江・朴伝一門が勢揃いで、キリヤ公国の護衛近習をして居るとはな。」


「他にも上野国の国主だった長野・業乃・正則殿、結城城の小国主である結城・梅晴・春宗殿。足柄幕臣だった細川・藤夜・悠斎殿等々と近習衆には、アマテラスから有力な人材をお集めに成られた様だ。」


「それに一番奥に護衛として控えて居るが、関東の神刀と謳われる鹿島神一刀流の創始者である塚原・伝江・朴伝その人だ。陛下は彼女に剣や武術を習ってお出でだ。」


「この事をアマテラスの国元の者達が聞いたら物凄く羨ましがるぞっ!」


「ああ、全くだ。聞いた連中が羨ましがるのが目に浮かぶ。」


 今上げた者達は、アマテラスでも大枚や高禄で召抱えたいと言われている者達で、足柄・一輝・宗輝は、自身で足柄幕府を閉じられるまでの歴史の中で、4政権目の将軍王を務めて居た家柄の人物であり、アマテラスでも有数の一族の出身者でもあるのだ。


 半月前は、信長に庇護下に在って、悠々自適に過ごして居たが、キリヤ公国連合国の勇治からの誘いを受ける形で、このキリヤ公国連合国へとやって来ていた。


「伊達・毛利のご両家方々、ようこそ、キリヤ公国へ。僕が桐谷勇治です。」


「お初にお目に掛かります。伊達・藤枝・政実であります。」


「毛利・輝実・隆宗です。」


 謁見の間にやって来たアマテラス大名王家当主の面々は、深々と頭を下げて勇治に挨拶をした。


「この度は、我が国への連合国加盟の申し入れの1件や近々始まるゲルニアン帝国との戦争に付いて、お味方として出兵して下さるそうですが、僕としては、両者の申し入れを有り難く受け入れる事にし、キリヤ公国連合国としても承認したいと考えています。」


「ははっ、有り難き幸せに御座います。」


「感謝の極みです。」



「では、先ず伊達家ですが、貴国内とその周辺が落ち着いたと言う事を鑑みて、最大で6000人の出兵の賦役をお願いします。」


 当初、伊達家では、3千人の予定の話だったが、先の奥羽動乱を沈め、その結果、奥羽統一と言う事態を迎えた事も有って、6千人に増加すると言う話で纏まって居た。


 伊達軍の総兵力は凡そ14万人程度の兵力を持って居て、国内の治安と関東方面への備えに残す兵力を考えると、国元に多くの兵を残す必要が在った。


「いいえ、陛下。伊達家は1万3千人の兵を出兵します。」


「ええっ?」


 喜多は、主の予定外の発言に驚いてしまう。


(ちょっと、姫様。何時、そんな話を決めたのですか?)


(今だ、毛利が6万人も出すと影菜伯母上から聞いて居たのでな。今の家では、これが限界だ。)


(ふっ、流石は政実だ。ここぞと言う時には、臍を曲げて押し通る。)と影菜は不敵に姪御を褒めた。


「政実さん。無理をしなくて良いんですよ。」


「この戦争は、最初から家だけでやる予定で始めたのであって、後から入って頂いた方々には、無理強いを強いる積もりは無いのですが・・・・・・・・・・」



 勇治は心配そうな顔で言う。



「いいえ、これは伊達家としての誠意と思って下さい。」



「分かりました。そのご好意に甘えさせて頂きます。」



「次に毛利家ですが、6万人と言うのは?」


「はい。我が毛利家では、先に吉川軍とその大将たる吉川・春美・隆春が、陛下の海軍と諍いを起こさせてしまい。真に申し訳ありませんでした。」


「すまん・・・・・・・・」


 不器用に、そして、ぶっきら棒に誤る春美。


 その顔は、とても引き攣っていた表情をしていた。


 嫌々なのだが、彼女は単に不器用なだけで、心根はとても真面目だ。


 相手が年下の男の子と言うのが、意固地に彼女の見栄を張らせてしまって居た。


 それでも父と姉と妹、親類を含めた家族と毛利家の家名とそれに使える家臣達の為に頭を下げて居る姿が其処にはあった。


「いえいえ、気にしないで下さい。」


「此方も突然に貴国へと押し入って、移民公募をしたのですから・・・・・・」


「それでは、我が毛利家の沽券に関わります。」


「其処で我が毛利家としては、6万人の軍勢の派遣をさせて頂きます。」


「それと此処に居る毛利家・次女、吉川・春美・隆春が、何れかの戦場にて、先陣の戦功を持って、我が家と陛下、そして、キリヤ公国連合国との間に生じて居る遺恨の相殺をお願い致します。」


「えっと・・・・・・・・・・・」



 これには流石の勇治でも、困ってしまう。


 其処へアマテラスの先の将軍王である足柄・一輝。宗輝が助け舟を出した。



「勇治よ、これがアマテラスの武士の心意気と言うものだ。」



「その気遣いと心意気からの申し出と先陣に立つ武士を黙って見送るのも、王座に居るものたる者の務めだぞ。」


「一輝さん。分かりました。先の将軍王のご助言を聞き入れ、毛利家の申し出を受け入れます。」


「ははっ!必ずや陛下とキリヤ公国連合国のお役に立って、ご覧に入れます。」


「では、ご両家の方々、ご会食のご用意が整いました。会食の会場へと移動します。」



 上泉伊澄が昼食会の会場へと案内を始め、勇治と近習衆、伊達家と毛利家の面々は、昼食会で親交を深め、大いに食事や談笑を楽しんだと言う。



 間も無くキリヤ公国連合国は、ゲルニアン帝国との大戦、後世には公帝戦争と呼ばれるユーラシアン大陸の覇権を掛けた最初の戦争が始まろうとして居た。


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