第13話 少年王と独眼竜の奥州統一と奥州王への就任 後編
マギアンティア世界統一暦・1555年・7月4日・午後13時35分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・東北地方・南部大名王家領・陸中国・盛岡城・盛岡城下町・盛岡城下町周辺九戸正恒軍・本陣陣屋にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
後に盛岡城下の戦いと言われるキリヤ公国連合国軍・伊達・南部連合軍戦いの火蓋が此処に切って落とされた。
この戦いは包囲準備が完了したキリヤ公国連合国軍と伊達・南部連合軍が、盛岡市を取り囲む様にして九戸軍を包囲した形で、本格的な軍勢同士の衝突が始まった。
伊達・南部連合軍の片倉軍の左右の背後には、南部・北部軍の弓・鉄砲を構えた足軽隊、中央は片倉軍に率いられて居るアマテラス系武士軍専用に作られた特性の防弾に優れたジュラルミン製の盾を装備した部隊。
それに全将兵にはジュラルミン製の鎧を着せて居る。
更にはナデシコ地方自治州区内の銃生産専門会社の豊洲工業株式会社製の38式小銃二式を装備した銃歩兵隊三千人が、3列縦隊の陣形で前進を始めた。
「おっ、おのれええぇぇぇーーーっ!」
「南部直信めっ!伊達小娘に泣き付いたばかりかっ!」
「キリヤ公国の小僧にまでしっぼを振り居ってっ!! 奴目にはアマテラス武士の誇りは無いのかっ!!」
そんな事を言っても、お前の方こそっ!!
主家と主君を裏切って独立を目論み、その領内を全て奪い取ろうとするばかりかっ!!
長きに渡って私腹を肥やして、津軽家や津軽地方の領民に迷惑を掛けて居る奴にそんな事を言われたくは無いと勇治は思うぞっ!!
「殿っ!わが軍は、四方を取り囲まれつつ有りますぞっ!」
「もう、構うものかっ!こうなれば、突撃有るのみっ!!!」
四方を囲まれ、四面楚歌に成り、自棄クソに成った正恒は、片倉・南部連合軍へと突撃を仕掛けた。
「撃てえええぇぇぇーーーーーーっ!」
パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!
パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!
パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!
パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!
パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!
パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!
影綱の号令で、容赦無く九戸軍へと攻撃を連合軍は開始する。
其処へ西から津軽軍が、盛岡城下町へと突撃を掛けた
「それええぇーっ!九戸正恒を討ち取れえええええぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」
「「「「「うおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーっ!!」」」」」
津軽軍3千人が城下町へと雪崩れ込んで、月々と九戸軍の将兵を討ち取って行く。
「この裏切り者がああああぁぁぁーーーーーーーっ!!!」
正恒は騎馬で、乃為に襲い掛かる。
「ああ、そうさ。だが、私の方も、お前が此処まで愚かだった事に気が付かなかった。」
「だから貴様を討ち取る事で、償わせて貰うっ!!」
「津軽ううぅぅぅっっっ!うおおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」
「せいやああああぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」
騎馬で迫り来る正恒。
それに対して、馬上の跨る乃為は、三国志の英傑たる関羽雲長が青龍偃月刀を振り回すが如く、得意の薙刀を振り回し、正恒の首を跳ね飛ばして見せた。
「逆心にして、奥羽動乱を引き起こした首謀者が一人っ!!九戸正恒を津軽・乃為・信胤が討ち取ったりいいいいいいぃぃぃぃーーーーーーーーーーーーっ!!」
「「「「「おおおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」」」」」
勝利の鬨の歓声が、盛岡城下町に鳴り響く。
九戸正恒を討ち取った乃為は、盛岡城で本陣を敷いている南部直信の下へと向かった。
「南部直信さま、不詳、津軽・乃為・信胤。津軽地方の領民の為に独立君主と成り、主家であった南部家を裏切った無礼を此処に詫びまする。」
「討ち取った九戸正恒の首を持って、長年の無礼の詫びの印としたい思います。」
乃為は、打ち首にした九戸正恒を首を旧主である南部直信に見せ、これまで無礼を詫びた。
「いやいや、この俺も悪いのだ。九戸正恒と九戸一族は、南部家の親族一家一族で有りながら、この100年の間は好き放題にやり過ぎた。」
「そのせいで津軽家と津軽地方民達には大変に迷惑を掛けた。私からもお詫びする。」
「そっ、そっそれは一体っ!!どう言う事に御座いますかっ!?」
乃為は100年前から続く歴代の九戸一族や現当主である九戸正恒らの行って居た暴政の真実を知らなかったので、今の話は初耳であった。
「何だ、信胤殿は知らなかったのか?」
「はい。知って居れば無理やりな・・・・・やり方は取らなかったやも知れませぬ・・・・・・・」
「まぁ、どの道は貴女は蜂起して居たであろな。」
「信胤殿は、真っ直ぐ御仁。津軽の民が怒れば、貴女も怒るのは当然のこと。」
「今回の一件は南部家が長年の間、放置して来た不始末だったが、伊達政実殿が、我らの嘆願を聞き届けて下さった事で、キリヤ公国連合国の桐谷勇治公王陛下も援軍を出して頂いた。」
「それに加え、津軽家との和解とアマテラス神皇国・東北地方の統一と太平の世が迎えられて万々歳だ。」
南部本家は、力を付け過ぎた九戸一族に抗う術を持って居なかった為に、長い月日の間、彼の家の代々の暴政を許してしまって居た。
それがようやく討ち取ったので、胸を撫で下ろす事が出来たと安堵の言葉を洩らして居た直信。
それに勇治の取り直しで、津軽家には遺恨は無いし、そもそも津軽地方の反乱は自分達、南部家にも責任を感じて居ると乃為と津軽地方の民に対して、謝罪すらしてくれた。
「なぁ信胤殿。貴女さえ良ければ、南部家に津軽地方に残ってはくれまいか?決して悪い様にはしない。」
「九戸一族とその一派の残党らもキチンと処罰する。」
南部直信は、乃為の武士として、武家の当主しての器量を高く評価し、その力量を高く買って、津軽地方に残って欲しいと願った。
どうやら津軽地方の重税を掛けて居たのは、九戸一族に近しい一派らしい事も発覚して居るし、謝罪もしてくれた。
残りの九戸一派を討伐する事で互いの遺恨を相殺したいと言って、反省を見せ、謝罪をして見せた事で、お互いに事を収めたい思惑も有るのだった。
「いいえ、それは出来ません直信さま。」
「もう既に私は勇治陛下に仕官を誘われて居ります。」
「それに私は散々に我儘を通したのです。」
「それに南部直信さまが宜しくても、他の方々しどうしでしょうか?」
「私は静かに故郷を去るのみです。」
「そうか、成らば仕方が無い。だが、何時でも此処に帰って来ても構わない。」
「此処が故郷である事に変わりは無いのだからな。」
「はい。休暇を頂いた時にでも・・・・・・・・・・」
こうして津軽乃為は津軽地方を南部家に返上し、津軽家が良いと言う者達と共にキリヤ公国へと渡海する事を決めて、奥陸奥地方の津軽地方から立ち去ったのであった。
これにて陸奥国の方面の南部家内での動乱は収束を見せた。陸奥地方の反乱発生から七日後の事であった。
マギアンティア世界統一暦・1555年・7月4日・午後13時40分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・東北地方・羽後国と羽前国の国境の最上軍本陣にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・
羽前国の8割を支配する最上義光は、領土拡大を目指して、羽後国へと進軍して居た。
彼が領土拡大を目論んで居るのは、アマテラスが戦国の世であり、元々の彼の予定路線から来る物だった為だ。
そして、彼は焦って居た。
さればキリヤ公国連合国が原因で、姪っ子の伊達政実が大胆にも独自にキリヤ公国に臣従すると言うアマテラス神皇国が始まって以来の大胆な独自外交路線を打ち出した事に有る。
更に義光が領土拡大の野心を剥き出しにしたい思う心に、追い風が吹いてしまう。
それは越後国の軍神、又は龍と謳われる上杉・剣信・輝清が、何時もの毘沙門天崇拝・中二病を拗らせる形で、御告げが来たと騒いで、突如として大名王を引退。
キリヤ公国本国へと仕官すると決め、江戸港から渡海してしまって居た事だ。
残った越後国の上杉家家臣達は、越後・越中・能登・加賀の4カ国をどうするかを話し合い。
結局のところ旧主剣信の後を追う形で、キリヤ公国連合国の傘下に臣従する形での加盟国に入ると決めて、上杉独立自治北陸藩王国として、アマテラス神皇国からの独立臣従する事を決めた。
その事を周辺国へと通致し、以後上杉家としての私戦を一切を行わないと決め、アマテラス神皇国内のでの争いに関わらないと決めた。
こうなって来ると、何所の国もキリヤ公国連合国領と成った大名王家への攻撃が一切出来ないし、その領内で軍の通過と当事国でない者同士の交戦すら許されない中立地帯と化してしまった。
キリヤ公国連合国への攻撃と見なされれば、キリヤ公国の味方と称するアマテラス諸国の大名王家やキリヤ公国連合国傘下の大名王家国を全て敵に回す事に成る。
義光はこうした事情から、まだ、何所の勢力にも組していない空きの在る羽後国や陸奥国、陸中国を目を付けて、独自の大名連合を立ち上げ、図に乗っている姪御に嫌がらせめいた事を仕掛け始めていた。
「くっくっくっ、これで羽後国は、わしの物だ。」
「何時も何時も、わしの邪魔ばかりして来おる邪魔臭い小生意気な政実の奴は、今頃は海の上か遥か遠い大陸よ。」
「後に成って事に気が付いたら、それは正に後の祭りと言う物よのう・・・・・・・・・・」
「この隙に、有象無象しかいない弱小勢力の者共を蹴散らして、羽州探題大将軍王を名乗ってくれようぞっ!!!」
何処かの東西南北中央何とかと言って居る武闘家みたいな名乗りを考えだした最上義光。
「くくっ、くかかかっ、がぁーはっはっはっはっはっ!!」
彼の計画が順調に進んで居ると思って居るので、思わず調子に乗って、大笑いをしてしまう義光。
そんな彼の計画が、もうこの時点で失敗に終わって居る事すら気が付いて居ないし、知る由も無いのだ。
そんな知恵が回る割には詰めの甘いと酷評されて居る羽州の狐と呼ばれるお間抜けさんな御仁だったりする。
「申し上げまーーすっ!」
「ふむ、如何したのだ?」
「はっ、北西方向から安東季愛の軍勢2000人、戸沢安盛の軍勢1500人、小野寺道義の軍勢1000人。」
「六郷乗政の軍勢800人、仙北・由利衆(仁賀保氏・矢島氏・本堂氏など)等の国人連合軍合わせて3000人。合計8300人が突然、我が方の領内に現れました。」
「志村・江口らを1万人の軍勢を差し向けろっ!」
最上軍は、今回の遠征で、かなりの力を入れ込んでいる為、3万人もの軍を掻き集めていた。
「報告ーーっ!」
「一体、今度は如何したのだっ!?」
「山形城に石川光明が現れ、6千人の兵で取り囲んだとの報せがっ!」
「何いいいぃぃぃーーーーーーーっ!?」
「長谷堂城の軍勢はどうして居たっ!!万が一には、救援が出る手筈だった筈・・・・・・・」
「それが、上杉軍の直江・愛華・兼継や大国・七恵・実頼の姉妹が、キリヤ公国連合国の盟主国であるキリヤ公国本国の命令で、伊達軍の援軍として参戦っ!!」
「2万人の軍勢で長谷堂城に攻め入ったとの事ですっ!」
「そっそっそんなっ!まっまさか・・・・・・・・・・・・」
最上義光は、事態の急変に困惑し、理解が追いつけずに気が動転してしまう事に成る。
その後も最上軍が窮地に陥る続報が次から次へと入り、その対応に追われて行く義光のであった。
マギアンティア世界統一暦・1555年・7月4日・午後13時40分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・東北地方・羽前国・長谷堂地方・長谷堂町・長谷堂城にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
一方その頃・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・長谷堂城では・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
伊達領・米沢城の北東に位置して居る長谷堂城は、朝日奈岳を西に頂く高原盆地に在る丘城であった。
長い年の間、上杉家と伊達家らの軍勢を防いで来た最上家に取っては、国境を守る重要な出城でもあった。
この城の守備に当たって居たのは、最上家の武将である氏家直定と楯岡直光等が率いる1万2千人の軍勢である。
この二人は万が一の事態に備え、山形城の後詰めと長谷堂地方の守備に徹して居た。
そんな長谷堂城に突如として異変の報せが舞い込んで来た。
「たっ、大変ですっ!!氏家さまっ!楯岡さまっ!!」
氏家直定と楯岡直光の両名は、長谷堂城の館城内で、主の最上義光が定めた戦方針に従って、南をどう守り切るのかを話して居た所に、周囲を偵察して居た物見の足軽兵が大慌てで現れたのである。
「一体、如何したと言うのだ?」
「はっ、キリヤ公国連合国へと加盟した上杉家の上杉独立自治北陸藩王国の軍勢が突如として、我が領内へと侵攻を開始しましたっ!!」
「その数は凡そっ!2万人っ!」
「何だと?!」
「これは不味いぞっ!氏家殿っ!」
「だが・・・・・・いや、2万人の大軍程度ならば、今の長谷堂城でも十分に守り切れるっ!!」
「しかしだな。本拠地である山形城の方は、如何するのだ?」
「南に在る伊達家の旧本拠地であった米沢城の伊達軍が動かないとも限らない。」
「火急の報せでござーるっ!!」
其処へと更に現れた伝令官に対して、二人は嫌な予感がして成らなかった
「山形城に、当主伊達政実の叔父である石川光明が現れ、6千人の兵で取り囲んだとの報せが、たった今入りましたっ!!」
「何だと・・・・・」
「これは一体、如何なって居る?」
「巷の噂では、伊達政実が南部家に援軍を乞われて、それを了承したとの話が・・・・・・・」
「だが、それでは上杉軍が動く理由に成らない。」
「楯岡殿、その理由は有るぞっ!たった一つだけな。」
「まっ、まっ、まさか・・・・・・・・・・・・」
「キリヤ公国連合国か?」
楯岡は氏家が思い付いた答えを言い当て、頷き返して正解だと無言で答えた。
パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!
パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!
パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!
パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!
パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!
パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!
「銃声?」
「もう来たのか?」
「兎に角っ!!直ぐに防衛態勢だっ!!急げえええぇぇぇぇぇーーーっ!!」
「ははっ!!」
長谷堂城を守る二人は、上杉軍の戦いに即応するべく、その場で別れ、命令を各隊へと伝えるべく走り出して行った。
マギアンティア世界統一暦・1555年・7月4日・午後14時03分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・東北地方・羽前国・長谷堂地方・長谷堂町・長谷堂城・長谷堂城下・上杉独立自治北陸藩王国軍にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
一方その長谷堂城の城外では・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!
パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!
パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!
パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!
パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!
パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!
パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!
パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!
パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!
「撃て撃て撃て撃てえええええええぇぇぇぇぇぇぇーっ!!」
「正面は直江隊に任せて、我ら大国隊は裏手に回り、長谷堂城を完全に包囲するぞっ!」
新体制と成った上杉家のトップと成った直江・愛華・兼継や大国・七恵・実頼の双子姉妹は、キリヤ公国連合国加盟体制下での盟主国からの初めての出兵要請を受けて、大いにこの戦を張り切って望んで居た。
「者共っ!!此処で手柄を立てて、上杉独立自治北陸藩王国や新ご当主であらせられる景勝様の名を高め、必ずや戦勝の一報を勇治陛下、キリヤ公国連合国で武士軍団長と成られた剣信さまにもお届けするのだっ!!」
「「「「「おうっ!!」」」」」
上杉軍の白銀鎧姿の将兵達が長谷堂城を埋め尽くすかの様にして包囲網を形成して行く。
反対に長谷堂城側の最上軍は、上杉軍の異常な迄の戦上手な武技に押されて総崩れを起こしてしまった。
この日、長谷堂城は夕方まで粘ったが、遂には落城してしまうのであった。
以上が長谷堂城の戦いと言われる奥州動乱事件で起きた奥州南部方面での戦いでの出来事の顛末である。
マギアンティア世界統一暦・1555年・7月4日・午後15時30分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・東北地方・羽後国と羽前国の国境の最上軍本陣にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・
話は最上義光の視点へと戻り、更なる訃報が彼の下へとやって来た。
「報告ーーっ!佐竹義重と佐竹家の傘下に在る勢力圏の全てが、キリヤ公国連合国と伊達家に降伏しました。」
「なっなっなっなっ。何ーーっ!?」
「佐竹家は、仙台陸前独立自治藩王国へと帰属し、今後は自領の統治に専念すると宣言して居ります。」
「あの臆病者の気まぐれ狂気鬼の年増女がっ!!この様な肝心な時に寝返りよってっ!!」
実はその事実は違う事を義光は知らないし、騙されていた事にも気が付いて居ない。
佐竹秋江こと、佐竹・秋江・重義は、最上義光と伊達照宗の二人からすれば、義理の姉に辺り、伊達照宗の兄である佐竹義紀を婿に迎えて居る。
伊達照宗の兄は、祖父の稙宗時代の佐竹家との約束で、佐竹家に婿に迎え入れると言う約定が有った。
今回の義光の企み中に、佐竹家と伊達家と奥州地域の派遣を巡っての争いの時に、政実と対峙して郡山と仙道筋街道の戦いである人取り橋の戦いでの争いが在った。
最上義光は人取り橋の戦いに措いて、佐竹・磐城・岩城・下野大名王連合軍と最上軍とが連携して戦った仲だったので、今回も姪っ子を出し抜か居ないかと彼は誘ったが、逆に秋江に出し抜かれて居ると言う始末。
それに佐竹秋江は、元々は姪御の政実を毛嫌いはして居ないし、損得勘定で動くリアリスト主義者。
生き残る為なら姪っ子の下に自ら進んで付くのも平気な性格をして居た。
それに佐竹の家は、磐城・岩代・下野大名王家とは親族関係で、その盟主でも有る旧幕府王朝である源氏王朝を先祖に持つ古い名家。
簡単には家名を潰させる愚行をする愚か者では無かった。
キリヤ公国との接触は、大陸に渡る為に小田家の所領を買い取った時に、その諸事情を調べた折に、キリヤ公国連合国は大国であるとの認識を持って居た。
後は上手く取り入るだけと考えていた佐竹秋江は、姪っ子がキリヤ公国連合国に臣従をすると言う話に乗る事にしたが、下手に佐竹藩王国なんてものを立ち上げて、子孫が失敗でもやらかしたら面倒だと考えた。
其処で彼女は、姪っ子の政実の下で然るべき高い地位を得るか、中央に出るかを選択する為に、先ずは政実の下に付く事を選択したのだった。
マギアンティア世界統一暦・1555年・7月2日・午後9時40分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・東北地方・岩代国・阿武隈地方・郡山市・郡山城にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
少し話は遡り、出陣前の石川光明が常陸から現れた義姉である佐竹秋江が郡山城の守備を手伝いにやって来ていた。
これは照宗が政実に口添えする形で郡山城を預ける事と成り、伊達家との遺恨がもう無いとの宣言の為でも有るのだった。
「全く、秋江姉上は、何時も何時も勝手気ままで御座るな。その事でどれだけ照宗兄上や影菜姉上らが、どんなに苦労して居られる事か・・・・・・・・・・」
「まぁ、そう言うな光明。こうして郡山城の守備を手伝いにやって来て居るのだからな。」
「任せるの少々不安なのですが・・・・・・・」
「今度は謀は無いぞ、光明。」
「私とて、これから先の世が、どんな物に成るのか位は見えて居る。」
「佐竹家の政に関しての今後はな。娘の芳野にでも、佐竹家の跡目を任せて、この私はのんびりとするさ。」
「本当ですか?」
ジト目をしている光明。
油断すると悪戯をするが如く謀略を駆使して、得を得ようとするから親族や周辺諸国からは、とても面倒がられていた。
婿入りした義紀が生前から苦労して居るから、助けて欲しいとボヤいて居た事は、親族の間では、大層有名な話だった。
それでも、秋江は義紀との間に8人もの子供達を作って夫と共に可愛がっていた。
そう、可愛がって居たのだ。
特に夫を夜の営みで組み敷くのが何よりの喜びで・・・・・・・・だったが、余りにも精根と精力を吸われ過ぎたのか、数年前にぽっくりと先立ってしまったのだった。
それから秋江は荒れて居た様で、奥羽へと軍や謀略で引っ掻き回す様に成って居たが、よっぽど義紀が先立ったのが、堪えた事が原因の様だ。
何だかんだで婿入りして来た義紀の事が本気で好きに成って居たらしく、相手の体力やメンタルに関わらず、夜伽の行為で愛し過ぎた挙句に衰弱死させてしまった事を後悔して居たらしい。
八つ当たりで親戚相手に喧嘩とは・・・・・・気性の激しさが伺える御仁の様だ。
ここ数年は政実との戦で、思いっきりに大暴れる事が出来たらしく、気分的にはスッキリとして居たらしい。
今ではその激しい気性は落ちいて居る様である。
「さぁ、さっと行け。行って義光めを懲らしめて参れっ!」
「はぁ・・・・・・・」
伊達家の磐城国領を任されている石川光明は、急遽味方と成った義姉である佐竹・秋江・重義に、仙道地域の重要な拠点の城、郡山城の防備を任せて最上義光討伐に向かった。
彼は義姉の勝手気ままな性格が不安でしか無いと思いながらも、渋々出陣して行くのであった。
秋江は佐竹家の今後を、長女たる佐竹・芳野・宣義に任せて、楽隠居する事を決めた。
マギアンティア世界統一暦・1555年・7月4日・午後15時50分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・東北地方・羽後国と羽前国の国境の最上軍本陣にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そして・・・・・・・・義光に止めを与える急報が届けられる。
「火急の報せでござーるっ!」
「殿っ!今度は最上領東の口に当たる関山峠口と鍋越峠口から伊達・ナデシコ自治統合陸軍から成る連合軍が攻め入って来ましたぞっ!」
「なっなっなっ、何いいいぃぃぃぃぃーーーーーーーっ?!」
「東側の伊達軍の総大将は伊達政実様です。我が方は完全に取り囲まれてしまいましたぞっ!」
義光は完全に訳が分からなかった。
彼が知恵を絞って仕掛けた策略が、尽く破られ彼の軍勢は取り囲まれてしまった。
狼狽してしまった義光の下に、姪っ子の政実から最後通牒が届けられた。
「政実さまからです。」
「叔父上殿、此処は潔く降伏を成されて、ご隠居をお勧めする。悪い様にはしないので、懸命なるご決断をと・・・・・・・・」
「あはははっ・・・・・」
義光はその場で、がっくりと座り込み、項垂れていた。
最上軍が降伏したのは、その日の午後17時頃に成ってからだったと言う。
この奥州動乱事件後に最上家は、義光の長男の義康が家督を継ぐ形で、伊達家へと帰属する事で決着を付けた。
奥羽地方・北海島地方・常陸下総の諸将の大名王は、伊達家の傘下へと納まり、キリヤ公国連合国の保護下に入れられた。
伊達家が打ち立てた独立藩王国である名を仙台陸前独立自治藩王国から奥州独立自治王国に変更され、伊達家が中心と成って治められて行く事が確定と成ったのだった。
それが以下の通りと成る。
北海島国と其処を統治している松前忠邦。
陸奥国・陸中国の南部直信、家老であり花巻城の女城主でもある北部・愛・親信。
羽前国の最上義康。羽後国・秋田地方の安東季愛。角館地方の戸沢安盛。横手地方の小野寺道義。
仙北地区・六郷地方の六郷乗政。仙北・由利衆(仁賀保氏・矢島氏・本堂氏)。寒河江地方の寒河江基隆。
常陸国・下総国の佐竹・秋江・重義。下野国の小大名王家の宇都宮・太田・壬生・那須・佐野・皆川・小山・大関等である。
多くの様々なトラブルや珍事が有ったが、アマテラス神皇国から30万人を超える人々が移住すると言う結果と藩王国や独立王国がキリヤ公国連合国に、加盟すると言う結果に、勇治は大いに大満足したのであった。




