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キリヤ公国英雄戦記物語  作者: 伊達教宗
第2章 少年王、家臣団をスカウトする編
62/321

第11話 少年王と小早川・隆美・影長との対面に、大乱にて吠える独眼竜

マギアンティア世界統一暦・1555年・6月25日・午前10時21分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国連合国・キリヤ地方・キリヤ公国・公王都キリヤ市・キリヤ城中央棟・謁見の間にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 伊達・藤枝・政実の叔母にあたる留守・影菜・景政と毛利家三女の小早川・隆美・影長らが、大名王家として外交使者としてキリヤ公国連合国へとやって来てから数日後の事で在る。


 この日、毛利大名王家外交大使・小早川・隆美は、キリヤ城に登城して来て居た。


 黒と薄い紅が掛かった和服系統の正装で、キリヤ城へと参内する。


 そのキリヤ城内には、国家重要官庁施設としては、キリヤ公国宰相内閣府・公王執務官邸と言った公務専用スペース施設。


 宮中公王居公邸・宮中王妃居公邸・奥閨室後宮と言う王族専用のスペース施設を設けたり、国外からやって来る国賓や連合加盟との宴席で使われるキリヤ城迎賓館と言う国賓を迎える施設を建てていた。


 また、儀礼祭典式典用施設である儀礼式典迎賓館には、対面儀式や演説を行う為の謁見の間を造り、100人が入れる広さを誇って居る。


 そんな謁見の間に通された隆美は、西洋と東洋の文化融合をさせた様な造りで彩られた、豪華絢爛の内装や外装の美しく飾られ造られて居るキリヤ城。


 その佇まいを近くで眺め見て、改めてその美しい姿とそれを作り出す国力の高さに関心して居たのであった。


 勇治はアマテラス神皇国地方から多数の優秀な人材の確保する事に成功していた。


 その手始め軍部増強と彼の護衛周りの強化も兼ねて、キリヤ公国連合国・国防総省内に、国防大臣直属の軍として、近衛近習庁と言う部署と近衛近習軍と言う部署を創設。


 近衛近習庁は、キリヤ公国近衛軍・近衛近習衆軍・近衛騎士団と言った近衛軍の運用・管理する為の統括庁で、キリヤ公国連合国・国防大臣の統括下に在る組織。


 その主目的は公王の護衛と首都及び首都圏防衛を最優先とする事である。



 主に優秀な経歴を持った武家系の者達を中心に配属させて居た。


 その中には、先の将軍王である足柄・一輝・宗輝が国防大臣へと任命されて居る。


 他にも足柄・一輝に引き連られたり、誘われたり等してキリヤ公国へとやって来た細川・藤夜・悠斎は、近衛近習庁長官に任命され、一輝の補佐長官と成った。


 他にも旧足柄室町幕府政権の人材や足柄家の家臣達を惜しみなく仕官させて居る。


 更に一輝の伝手を辿って、公王専属の護衛隊のキリヤ公国・公王専属護衛総隊長として推薦したのは、一輝の剣術師匠である塚原・伝江・朴伝。


 大和国の柳生領に住まう片目の剣豪で名高い柳生・冬香・十兵衛。


 アマテラス神皇国の上野国の中部地方の国人領主諸侯だった長野・業乃・正則。


 その家臣でアマテラス神皇国内で、その名をアマテラス神皇国内の天下に知らしめている剣豪の一人でも在る上泉・伊澄・信綱。


 何れも癖の有る優秀な者達である。


 彼女達は公王である勇治の護衛と秘書官の役割が与えられ、書類整理や書類の書き込みの手伝い、政治政策と軍人に関する意見のアドバイスをするのが役割とされて居た。




「ようこそ、キリヤ公国へっ!!僕とキリヤ公国連合国中央政府は、小早川・隆美さんの来訪を心より歓迎を致します。」と玉座の前に立った勇治は、満面の笑顔で隆美の事を歓迎する言葉を伝えた。


「ご拝顔栄の機会と歓迎のお言葉を頂きまして、誠に恐悦至極で御座います。」


「数多在るアマテラス列島地方の大名王家の雄の一つである毛利家が、我が国と国交を結びたいと言ってくれて、僕はとても嬉しいです。」


「はっ、身に余るお言葉です。父、毛利基就に成り代わり、いつ久しく両国の友好が続く事を願いたい存じまする。」


 これからキリヤ公国連合国の連合加盟国と成る予定の毛利家。


 この日、初めて対面する両者だったが、隆美は勇治に真名を許す事にして、呼んでも構わないと事前に申し出ていた。



「そうそう、事前に言って来て居た毛利家からの申し入れの事なんだけど、これから始まろうとして居る家の国とゲルニアン帝国と戦争に、地方国家に過ぎない毛利家の毛利軍を大陸に派遣してくれるって話なんだけど、本当に良いの?」


「此方としては、味方に成ってくれる友好国が居なくて困っては居るから、物凄く助かるんだ。」


「でもね、新興国だから外交的に、世界中から小国のダメダメ国家だって馬鹿にされる居るし、そんな小国に肩入れして、毛利家に迷惑が掛かるのも気が引けるんだよね。」


「はい。それに付いては承知をして居ります。」


「彼のユーラシアン大陸随一と謳われし、ゲルニアン帝国とその皇帝たるヒットラン・アドルフラーが吹っ掛けナデシコ地方自治州区への無理難題。」


「それに端を発して居るこの度の大戦には、我が毛利家は参戦を表明する理由。」  


「それは父が当家の次女である吉川・春美が仕出かした不始末の詫び入れよと、申して居ります。」


「例え、如何にゲルニアン帝国とその皇帝たるヒットラン・アドルフラーが大軍を有する大国であろうとも、我が毛利家は一歩たりとも恐れはしませんし、如何なる脅しにも屈しは致しませんっ!!」


「ですから勇治陛下っ!!我が毛利軍の勇猛果敢な将兵達を思う存分、遠慮なく我が軍をお使い下さいませっ!!」と隆美は、勇治の目の前で毛利家としての決意表明の硬さと自信の程を言ってのけて見せたのであった。


 それは見事に啖呵を切った大演説とも言えるだろう。


「分かりました。その気持ちを有り難く思います。」


「それじゃ、業乃さん。例の件を・・・・・・・・・」



 箕輪城の城主で、アマテラス神皇国の上野国の中部地域の国人領主諸侯の一人だった長野・業乃・正則は、キリヤ公国本国に来てからは、四方を敵に囲まれた領主時代に培った経験を活かして、近衛近習衆に配属が決まる。


 今は優秀な勇治の護衛秘書官の一人として職務に励んで居る。


 後に彼女は最終的には、キリヤ公国・公王執務官邸で官房長官へと出世し、勇治の補佐に当たって行く事に成る。


 その業乃に指示して、とある事を隆美に通知する事にして居た勇治。


「はい。勇治陛下並びにキリヤ公国連合国中央政府は、毛利家。小早川家当主並びに小早川軍大将である小早川・隆美殿に申し上げる。」


「貴殿には、ナデシコ自治州区で建造された新造軍艦船、巡洋艦・厳島1隻以下、駆逐艦6隻を与え、同艦隊の艦隊司令に任ず。」


「また、毛利家にはナデシコ式量産型歩兵銃・38式小銃2式を3万丁、96式榴弾砲と機動90式野砲を併せた3千門を与える事とする。」


「えっ?!」


 勇治とキリヤ公国連合国中央政府から通達文を聞かされ、その事に思わず絶句してしまう隆美。


 まさか、まさか、新参者に過ぎない毛利家に対して、最新式の兵器や武器が下賜譲渡されよう事に成るとは、流石に思っても居なかった隆美。


「隆美さん。これは毛利家が、我が国に対して義を貫いてくれました。たがら此方も義侠心で応えます。」


「勇治陛下は、貴女方、毛利家の義理堅い信念に感服して居るのですよ。遠慮なくお受けください。」と業乃は補足フォローする。


 この提案を事前の会議であるキリヤ公国宰相内閣府会議に措いて、勇治と秘書官達とキリヤ公国宰相内閣府に席を持って居る国務大臣達との会議にて進言したのは業乃であり、その彼女が勇治の言いたい事を補足説明をしてくれた。


「ですが陛下、私を含め毛利家では、ナデシコ式船舶の動かした事が有りません。」


「ああ、それなら心配は要らないよ。」



「そっちはナデシコで船員を揃えるから、暫くは訓練で成れて行って、本番でやって貰うのは、お手伝い程度の雑用が主任務かな。」


「隆美さん、暫くはナデシコ式海軍のお勉強をして貰って、戦に備えて欲しい。」


「それに即戦力として直ぐには戦うのは無理なのは承知して居ます。」


「でも我が国はゲルニアン帝国との大戦が控えている為に、今はとても人手不足な状況です。」


「補佐もしっかりと付けますので、艦船操舵は補佐であるナデシコ軍人に任せ、指揮や内部の補佐仕事は小早川軍にやって貰いたいのです。」



「それなら安心ですね。」


「毛利家・小早川軍大将・隆美は、陛下からのご下命を謹んで受け取り、頂いた兵器・艦船・武具で、ゲルニアン帝国との大戦にて、見事に戦功を上げてご覧に入れまする。」



 隆美は深々と頭を下げてお礼を言った。


(何と言うお方だ。非礼をしてしまった我が家に対して、此処まで厚遇を為さって下さるとは・・・・父上、我が毛利家は、遂に遂に、仕えるに値するご主君と成るべき御方に、出会えたようです。)


(それに・・・・・・・)と言葉を噤む隆美。


 この時の彼女は、勇治の顔を見て赤面してしまう。


 彼の人の良さと神が掛かった魅了能力に魅せられ、一目惚れに近い感情を抱く。


 この外交で毛利家は、勇治の心を動かすほどの心象を良くしたらしく。


 キリヤ公国連合国の国家中央部中枢に措ける立場を一国の重臣並みの厚遇を得たのである。


 毛利家はその後も、キリヤ公国連合国中央政府へと多くの人材を派遣し、重要な政務に関わる有力加盟国として、キリヤ公国連合国に尽くして行く事に成って行くのである。



 マギアンティア世界統一暦・1555年・6月25日・午前13時34分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・アマテラス神皇国・東北地方・南部大名王家家臣領・九戸与力大名家領・陸奥国・九戸地方・九戸市・九戸城にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 アマテラス神皇国の本州島の東北地方、その最北端の最果てに在る九戸地方。


 南部大名家領にして、その親族一族である九戸一族が治めて居る地域だが、九戸一族の当主である九戸正恒くのへまさひさは、野心的な性格の持ち主で、主家であり、南部一族総領家たる南部本家に取って代わり、下剋上を図ろうと画策して居た。


「何?最上殿が、この俺を支援してくれるとな?」


「はい。此度の義光様の目的は、南部家・羽州地域の統治している大名王家を打倒をし、伊達家に負けない国土を手にする事に御座います。」


「それに津軽家の津軽信胤さまも、この度の恭兵に、ご同調を為さるとの事。」


 最上義光が使者として九戸家へと派遣した伝令官は、主の命じられたままに、九戸正恒を勧誘する。


「何っ!?去年に謀反を起こして、かつては南部領だった津軽地方を分捕った信胤も南部家を打倒に動くか?それは面白いっ!」


「ふふ、最上殿も存外、野心家だな?」


「姪御がキリヤ公国連合国への臣従するべく、御礼の挨拶の為に、キリヤ公国本国に上洛に向かった後に、最上殿や俺の様な者を始めとする者達に、南部・小国大名王・国人衆と言った勢力を一掃し、伊達家と対抗する勢力拡大を目論む企てを考えるとはな。」


 因みに此処での御礼の挨拶とは、臣下の礼の事で、嚙み砕いて言えば、「今日から貴方様のご家来に成るので、如何か宜しくお願い致します。」と言った意味に当たる。


 伊達・政実は、数日中には、キリヤ公国連合国本国のキリヤ公国・公王都キリヤ市へと上洛し、キリヤ城にて勇治に拝謁する予定と成って居た。


 その隙を狙って政実の母方の叔父に当たる最上義光が、何やら企んで居る様だった。


「九戸様のご返答は如何に・・・・・・」


「そんなのは決まって居ろう。この俺れも立つぞっ!これは南部本家を打倒する千載一遇の好機だからな。」


「此方としても大歓迎な企てと言う物だ。その事に付いて、是非とも最上殿には良しなにな?」


「ははっ!畏まりまして御座います。」



 返答を聞いた使者は、足早に去って行った。



「ぐはははははっ!これで奥陸奥の領土は、全て俺の物だっ!!」


「他の土地ことなんぞ、知った事か!」


「後は織田にでも臣従して置けばっ!あのキリヤ公国連合国とか言う成り上がりの小僧に攻め入られる言われは無い。」


「最上殿も、そう考えての企てなのだろうな。ぐははははははははははははははははっ!!!」


 最上義光の野望とは、姪っ子の伊達政実が、キリヤ公国本国へと上洛して居る間に、何所に臣従するかの意思を鮮明にして居ない大名王家の領土を我が物とする事だった。


 それには素早く軍を目的地へと派遣して、勝負を決しなければ成らなかった。


 その為に、九戸家・津軽家と言った独立大名王家と手を組んで、旗幟鮮明をして居ない大名王家の領土の切り取り勝手の分かち合いの誓詞を交わして、挙兵する事を決めたのだった。



 この事が奥州王・伊達・藤枝・政実の誕生と奥州独立自治王国の誕生に繋がる事に成ったのである。



 マギアンティア世界統一暦・1555年・6月26日・午前8時15分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・アマテラス神皇国・東北地方・津軽大名王家領・津軽地方・弘前市・弘前城前にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 津軽地方を切り取りにし、二年前に南部家から下剋上を成し遂げた津軽・乃為・信胤は、南部家を討ち果たすべく、羽後ルートからの盛岡城へと進軍かる道の戦線を担当し、その進軍路に在る町や城を最上や九戸との挙兵する条件の約定として、切り取り放題と言う約束を取り付けた事で、挙兵を決意する。


「時は来たっ!!」


「津軽の民と津軽の大地の安寧の為にっ!!重税を課した元主家たる南部家を打倒せんっ!!」


「津軽の兵達よっ!今こそ立ち上がれえええええぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーっ!!!」


「「「「「うおおおおおぉぉぉぉぉーーーーーっ!!」」」」」


 津軽地方は南部家の一部の諸侯や九戸に近いしい者達が、水増しした税金を吸い取られてせいで、そのツケを長年の間、津軽の民達が苦しみ悩まされ続けて居た。


 その代官や諸侯を打倒し、津軽家を津軽大名王家として下剋上を成し遂げたのが、津軽・乃為・信胤だった。




 彼女は九戸一族の一部が、重税に加担して居る事をまだ知らない。


 その事を知ったのは、キリヤ公国連合国が、この大乱に介入し、鎮圧した後だった。



 それぞれの目的を達成する為に最上・九戸らに利用されて居るとは知らない乃為は、苦しみに喘いで居る己が故郷の為に、津軽軍を進発させて行く。



 マギアンティア世界統一暦・1555年・6月30日・午前9時11分頃 マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・アマテラス神皇国・東北地方・陸前国中部・キリヤ公国連合加盟国・仙台陸前独立自治藩王国・仙台城にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 場面は再び仙台へと移る。


 伊達政実の父照宗の三番目兄妹であり、妹の留守影菜を外交大使として、キリヤ公国本後へと派遣してから暫くたった数日後の事で在る。


 次期仙台陸前独立自治藩王国の藩主王に就任する予定の伊達・藤枝・政実に上洛の命が降った。


 いよいよ政実は、次期仙台陸前独立自治藩王国の藩主王として、キリヤ公国連合国の公王にして、宗主国王である勇治との対面の為に、キリヤ公国本土へと渡海する日がやって来たのだ。


「父上。明日、政実は、キリヤ公国連合国の本土、キリヤ公国本土へと出立を致します。」


「うむ、万事抜かり無くな。」


「ですが、心残りは、キリヤ公国へと父上も来られた良かったですのが・・・・・・・・・」


「このわしまで国許を留守にすると、悪さをする輩が現れるかも知れぬぞっ!」


「そうかもですが、父上にも外の世界を見せて差し上げたかったのです。」


「まぁ、そう焦るな。事が落ち着けば、何時でも渡海する機会は得る事が出来よう。」


「その時は、この隠居も、お良の奴とキリヤ公国へと物見遊山の旅が出きる。」


「母上は、お変わり無く?」


「ああ、米沢で静に暮らして居る。お前がこの仙台に移ってからは、会って居なかったな。」


「はい。出きれば出立前にお会いしたかったのですが・・・・・・・」


「うむ、気持ちは分かるが、未だアマテラス神皇国内の各国州の国々は、まだまだ戦国の世である。」


「無闇に大名王家の親族が出歩くのも物騒でも有るからな。」


「できれば、あの最上の叔父上が、大人しくして居てくれれば、良いのですが。」


 最上義光は、妹の良姫を照宗に嫁がせて姻戚関係を築いて居た。


 だが、姪御の政実とは折り合いが悪く、幾度も対立して羽前国や陸前国周辺の覇権を争って居た。


 今は妹婿である照宗が間に入る形で、和議が成立して居り、大人しくして居る様子と見られて居た。


 だがしかし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それは突然の事から状況が一変をしてしまう。


「申し上げますっ!!!」


「どうした?」


 突如として初渡海をしようとする娘が、父との和やかな親子の対話を邪魔する一報が入る。



「はい。北の南部家で反乱です。」


「九戸正恒が昨年に独立を宣言した津軽地方の大名王家である津軽信胤と結託し、軍勢の南下をさせて参りました。」



「はて?この時期に戦とは、何故であろうな?」


「我が伊達家としては、直接は関係無いとは言え、奥羽諸国に取っては、これは大きな大事に成るやも知れんぞっ!」


 突然の大乱に照宗は、何故騒動が起きたのかは疑問でしか無く、訳が分からないと言った顔付きをして居た。


「分かりませぬ。ですが、羽後国の内部でも最上に近い者達とそうでない者達とが戦を始めた模様です。」


 伝令を報せにやって来た伊達家重臣は、淡々と報告する。


「はっ?まさか・・・・・・父上っ!こっ、これは叔父上だっ!叔父上の企みですっ!」


「何だとっ?!」


「父上っ!これはわたしが、この時期に奥州を留守に成る事を狙った上での練られた叔父上の策謀です。」



「まっ・・まま、まさか・・・・・・」



「叔父上は、九戸正恒と津軽信胤、そして羽後国南部の小大名国や土豪衆を扇動して、何所の勢力下にも入って居ない地域に対して、戦を仕掛けて来ました。」


「恐らく、伊達家には手を出して居ない地域であると言う体裁で、周辺国をそれぞれの同盟関係勢力が、攻め掛かった地域の切り取り放題と言う形で支配下に置く気でしょう。」


「今や越後の上杉・輝清殿もキリヤ公国に仕官しており、もうアマテラスには居りません。」


「越後から叔父上を抑える重石に成る存在が居なくなった事も、今回の騒動が起きた要因と言えます。」


「しかしですが、少々詰めが甘い所が有るのが、あの叔父上らしい所ですが・・・・・・・・」


 政実は、義光の詰めの甘さ、詰まりは政実が渡海直前だったと言う事である。


 これは誤差的な情報から来る先走った行動であり、最上側では政実は旅立ったと誤報が入ったのであろうと推察が出きると言えた。


「成らば如何するのだ政実よ、今さらお主はこの騒動に対して、一体これから何をすると言うのだ?」


「今からお前は勇治陛下の下へと向かい、陛下に臣従の御誓いを申し上げを言うべく、直にお目見えする為に、今日には渡海せねば成らぬ身なのだぞっ!今さら如何やっても日程調整に無理が在るのだっ!!!」


「今すぐに討伐を致します。陛下には、事情の訳をお話して、上洛参内が遅れると申し上げるのです。」


「しかし、それでは・・・・・・・」と照宗は口籠る。


 それでは宗主国であるキリヤ公国連合国中央政府と宗主国王である桐谷勇治に約定を破った事に成ってしまう。


それは伊達家に取って非常に不味い事態と成ってしまう。


 照宗は、この非常事態を切り抜ける手段が無いかも知れないと厳しい表情をしてしまう。


 其処に政実はいとも簡単に解決策を提示して見せた。


「大丈夫です父上。キリヤ公国には無線通信機なるカラクリ在ります。それで直ぐにでも、キリヤ公国本国に連絡を取って貰うのですよ。」



「おおっ!?そう言えば、彼の国には、その様な機械カラクリが在るのだったな。」


「誰かっ!」


「はっ!」


「仙台湾に駐留中の渡辺殿に連絡を、本日、キリヤ公国本国へと出立する予定の伊達・藤枝・政実は、アマテラス神皇国・東北地方国内に大乱が起き、その首謀者討伐と乱を鎮めんが為に、出陣する事に相成った。」


「従って出立する日取りが、数日ほど遅れると伝えろっ!」


「ははっ!」


 伝令を受けた家臣は直ぐに、仙台港に陣取るナデシコ自治統合海軍の仙台方面派遣艦隊へと走り去って行った。


 政実は、直ぐに伊達軍の軍勢参集の陣振れを出す。


 2時間後、仙台市周辺に控えて居る伊達家臣団達は、仙台城の3の丸曲輪に集まる。


 残りは各地から合流する予定地点へと直接向かわせる事に成って居る。


「これより、奥州に乱を起こした九戸正恒と津軽乃為等の賊徒を討伐する。」


「先ほど南部家の家老で、花巻城の城主でもある北部・親信殿から、我が伊達家に急報の使者がやって来た。」


「その内容は、南部家のお家存続為に、伊達家とキリヤ公国連合国に臣従するので、南部家として貴国に援軍を是非に乞い願うとの事だ。」


「他にも羽後国の安東殿に戸沢殿等の在郷大名王衆からも同様の内容で、援軍求めて来て居る。」


「伊達家はキリヤ公国の連合加盟している仙台陸前藩王独立自治王国が治める南奥州地方の総領王にして、この地域一帯の領土預かる身だ。」


「その周辺で私利私欲で軍を動かし、乱を起こす等とは、言語道断である。」


「そして、我が国とキリヤ公国に臣従すると言った諸侯達の所領を守る為にも、伊達家は全力を持って、これ等を鎮圧するもの為りっ!!」



 南部家を初めとする奥羽諸国は、最上を初めとする連合国軍に対して、伊達家の傘下に入る事を頼み込み、キリヤ公国連合国の保護を受けると決めたのである。


 これでこの国に来て居るキリヤ公国連合国軍で、この地に派遣されて居た派遣軍が、奥羽周辺地域への軍事介入が許可される事に成るだろう。



 今も伊達・政実の名の下で、伊達軍の召集命令が発する中で、尚も続々と集まる伊達軍。


 その各伊達家の家臣達に仕官して居る重臣と侍、一般兵たる足軽兵が仙台城へと集まり出陣の支度が整えられて行く。



 三日月前立ての兜と黒漆り鉄具足の鎧を着込んだ政実は、出陣の号令を発しようとした時だった。



 其処へ更なる朗報が政実に齎されたのだった。


「失礼する。」


「何者だ?」


「おおっ!!ナデシコ陸軍の栗林殿ではないか?」


 現れたのは伊達領内に派遣され来ているナデシコ陸軍・仙台方面軍・多賀城駐屯地で、5千人を預かる栗林武美大佐であった。


「伊達大将閣下、勇治陛下からです。この書状をお読み下さい。」


「えっ?!何んとっ!勇治陛下からですと・・・・・・・」



 武美から無線通信を通じて代筆された手紙を受け取ると、政実は直ぐに折り畳まれた手紙を開いて読み込んで行く。



「伊達・藤枝・政実殿、此度の賊徒討伐の件、真に殊勝な心がけです。」


「助けを求める者達らと共に乱を鎮められ、無事に会える日を楽しみにして居ります。」


「ご自分のご信念と良心に従い、ご存分におやり下さい。奥州王・伊達・藤枝・政実殿。キリヤ公国・公王桐谷勇治・・・・」



「おっ、奥州王だと・・・・・・・」


「くくくくくっ!!ふふっ!ふあははははははっ!あーーーっはっはっはっ!!これで益々、彼の少年王に会うのが楽しみに成ったぞっ!!」


「サッサとこのバカげた大騒ぎを片付けて早くに会いに行かねば為らぬっ!!者共っ!キリヤ公国・公王っ!桐谷勇治陛下から、この私はっ!奥州王の称号を賜ったぞっ!!!」


「「「「「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーっ!」」」」」


「流石は殿だーーーっ!」


「奥州王ばんざーいっ!!」


「伊達家ばんざいーいっ!!」


「伊達政実様っ!!ばんざーいっ!!」


「奥州王ばんざーいっ!!」


「伊達家ばんざいーいっ!!」


「伊達政実様っ!!ばんざーいっ!!」


「奥州王ばんざーいっ!!」


「伊達家ばんざいーいっ!!」


「伊達政実様っ!!ばんざーいっ!!」


 大声で歓声の声を上げ、伊達家と彼女の功績。


 そして、勇治が送った奥州王称号と言う名誉を賜った主を祝った。


「総員っ!!出陣するぞっ!!」


「北・西・南から賊徒の軍勢を打ち破り、この大乱の首謀者である最上義光を包囲するっ!!」


「「「「「「「おおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーっ!!」」」」」」」


「政実殿。我々も伊達家を支援せよとの命を受けて居る。それと、これを・・・・・・・・」


「こっ、これは・・・・・」


「これは・・・・新式銃ですっ!政実さまっ!」


 武美が政実達、伊達家の面々で木箱を開けて見せた。


 それを見た影綱が思わず叫んでしまう。


「そうですね、このアマテラスでは新式銃と言えます。」


「火縄式とは比べ物に成らないほどの威力と射程・・・・それに玉込めの速度が、断然に違う物と成って居ります。」


「伊達家には三千丁を受け渡してお使い下さいと陛下が仰られて居ります。」


「喜多、お前の隊で、この銃を使え、使い方は習って居たな。」


「はい。政実様がキリヤ公国連合国の傘下に入るとの決められた翌日から、鉄砲隊に所属して居る配下の者等と共に調練に励んで居ります。」


「練度は、まだまだと言えますが、此度の実戦で完全に慣れさせて見せます。」


「頼むぞっ!ではっ!出陣するっ!!」


「お待ちくだされええええぇぇぇぇーーーーーーーっ!!」

 

 出陣の直前に成って伊達軍は呼び止められた。


「あれは佐竹家の者か?」


 喜多は、佐竹家の家紋である扇に月丸の紋所の入った旗指物を見て言う。


「伊達政実さま。佐竹家・当主、佐竹重義さまからの御書状に御座います。」


「んん?!今度は佐竹の叔母上からだと?」


 その書状は、常陸国を本国とする佐竹家の当主である佐竹・秋江・重義からであった。


 佐竹家とは政実の曾祖父の代からの付き合いにして、時には敵であり、時には親族として振る舞う家で、鬼の様な不気味さと強さから常陸の鬼と呼ばれていた。


 現当主の秋江は、照宗の弟を婿に向かえて居る為に、政実からすれば叔母に当たって居た人物であった。


「何?伯母上・・・・何時もながら抜け目のない。」



「政実様。重義様は、何と仰せですか?」


「最上の叔父上が一騒動を起こすから、味方のフリをして調子づかせて置く。後始末は任せると書かれて居る。」


「何とまぁ・・・・・」


「ふんっ!あの叔母御らしい。」


 話を聞いたと従姉妹姫武将の伊達・成美は呆れていた。


「この事と下野と佐竹家親族衆と南奥州地域の者達を纏めて伊達家傘下の国衆としてキリヤ公国に臣従するとも書かれて居るが、此方の方が伯母上の本当の狙いだな。」



「全く、あの重義様らしいやり口ですね。」と喜多も呆れてしまう。


「叔父上も面倒な義理の姉を持たれた物だ。」


 政実は益々伯父である義光の詰めの甘さに呆れた。挙兵蜂起の誘いを仕掛けた相手にむざむざと利用されるとは・・・・・・・・・・・



「叔母上の事は後回しだ。」



「使者の者よ。役目大義。悪い様にはしないと叔母上にお伝え下され。」


「ははっ!」


「出陣する。狙うは最上義光の身柄だ。」


「「「「「おおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」」」」」

 


 片倉軍が向かうのは、南部家の家老の北部愛が治める陸中国・南部地方一帯の要。


 片倉軍と共に花巻城方面へと出撃し、政実自ら率いる伊達軍本隊は、羽後国方面へと軍を進発する。


 米沢口の押さえとして、照宗の4番目の兄弟の弟で、石川城の城主である石川光明が、6千の軍勢で山形口を押さえる事と成った。


 ナデシコ陸軍は、伊達領がキリヤ公国連合国の傘下へと納まった事で、使用可能と成ったチートの力、勇治のタブレッドの力で整備された道路やトンネルを通って羽後国と陸奥国の各地へと悠々と進軍して行く。


 羽後国へは歩兵部隊二千人とトラック50台に三式中戦車50台を派遣した。


 陸奥国と陸中国へは、歩兵部隊千人の他に、30台の97式中戦車と89式戦車30台を派遣する。


 また、陸奥国の大湊で活動していたナデシコ艦隊と陸戦隊、陸軍部隊は、全軍合わせて3000人の歩兵で陸奥国の南部方の将兵と共に南下する。


 そして、更には海向こうの北海島の松前氏に対して、ナデシコ海軍の通信機を使い、陸奥湾の艦隊から伝令を行う形で、北部愛の要請を受けさせる様にし、松前家からも援軍を出兵させた。



 松前軍はキリヤ公国と連携する形で、津軽領と成って居る青森港へと上陸を開始する。

 

 陸奥国では、南部家が内戦を開始すると、花巻城の城主で南部家の家老である北部愛が、内戦首謀者である九戸正恒を討ち取るべく、伊達家とキリヤ公国海軍艦隊と交渉し、九戸城を攻める様に要請。


 そして、常陸国の鬼と称される佐竹・秋江・重義が伊達家の傘下収まる形でキリヤ公国連合国に臣従を決める。


 勇治は伊達家の要請を受ける形で、伊達家と南部家、それに羽後国の諸大名と国人豪族衆の救援を決め、最上家を始めとする奥州の動乱を終わらせるべく蜂起した賊徒を討伐する討伐勅令を発したのだった。



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