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キリヤ公国英雄戦記物語  作者: 伊達教宗
第2章 少年王、家臣団をスカウトする編
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キリヤ公国建国史 第9回 キリヤ公国とアマテラス戦国覇王・織田・和紗・信長と織田大名王家っ!! 尾張国統一記編っ!!!

織田・和紗・信長。  


アマテラス神皇国地方の大名王家・織田大名王国の織田家当主にして、後のキリヤ公国連合国加盟国であり、キリヤ公国統合連邦共和国のアマテラス織田自治神皇国の5代目の将軍王朝、織田安土幕府政権政府の元首である将軍王のことである。


 しかしながら、此処ではアマテラス織田自治神皇国の将軍王では無く、織田大名王家時代の事に付いて話して行こうと思う。


 マギアンティア世界統一暦・1555年・6月時点では、織田大名王家国と織田家の当主にして、アマテラス神皇国の次世代の統治者に成ろうと天下統一を目指す彼女は、破竹の勢いでアマテラス神皇国内の有力な大名王家を次々と撃破しつつある小国の覇王または魔王と謳われ人物だった。


 その切っ掛けと成ったのが、若き日の和紗の初の勝ち戦として知られる揖斐川戦いで、父親である織田信秀を助けようと、後の義父と成る斉藤道三を奇襲攻撃を仕掛け、これを撃退。


 信秀に激怒の一括を受けるが、近習たちに漏らしたていた。



「はぁ~、そのくらいの事、このわしも分かって居るわっ!!」


「だかのう、天才を叱り付けるのも必要が在るのじゃ、特に親が生きて居る内はな。」


 信秀も和紗の天才であると分かって居るが・・・・・それとコレとは別と割り切って居るのであった。



 幾ら天才でも、現当主は信秀である。


 和紗が好き勝手なことして良い訳では無い。


 それに天才と言う盆栽の枝木を・・・・今の内に針金を使って矯正して置かないと、いざと言う時にトンデモナイ結果と成るからである。


 和紗や守役の平手政秀らが立ち去った直後である。

 

 信秀は破傷風に掛かってしまい、織田家当主としての責務が果たせなくなってしまった。



 余命が無いと悟った信秀は、仇敵である道三に、これまで戦に措ける和睦を申し入れ、和紗は出来る姫武将に成るから、後見を頼みたいと申し入れた。


 道三は、「それにワシは、あの揖斐川での戦いで、このわしに土を付かせた、あの小娘を気に入って居る。」と言って居り、たった一度の戦で交え、その才覚を見抜いた道三は、長女である帰蝶姫を織田家に養子に出し、和紗の義妹とする事で、和紗の後見人と成る事を決めた。


だがしかし、後見人に関する事で道三は和紗と会見をする事に成った。


そんな織田家の歴史の分水嶺とも言える聖徳寺会見で、更に和紗を試す事をする。


それは聖徳寺に向かう道中で、如何に油断せずに無事に辿り着けるかである。


 意地の悪いやり方だが、揖斐川での戦がまぐれ当たりだった事も見据えての、道三から和紗への本当に味方と成るべき相手なのかを見定める為の最終試験でも在った。

そのワンシーンが以下の通りと成って居る。


 会見の日は道三達がやって来た次の日。


 詰まりは、明日の昼過ぎ、午後1時くらいの刻限として居た。


「それでは行くぞ。あの虚け娘が本当に才在る者なのかを見定め為に、途中の宿場町で隠れながら覗き見る。」


「供する者達は30名だ。鉄砲と弓やを用意して置けっ!!」


「何故で御座いますか?」と腹心である堀田道空は訳を聞き出そうと問い質した。


「ふん、これがワシから奴目への最終試験よっ!!」


「少しでも腑抜けた答えを出す様な輩で在ったのならば、この道三自らが、その場で討ち取ってくれるわっ!!」とマムシの道三と謳わるあくどい顔付きで言う道三であった。


 

 道三は富田宿場町のメインストリートの中心地に在った、とある一軒の古惚けた居酒屋として使われて居る民家を貸切って、其処から和紗達の織田軍の行列を覗き見ようと隠れる。


 配下の手勢である30名も近くの者達は、数件の民家を借り切って隠れ控えて居た。


 和紗が道三の意に添わぬ者であった場合は、その場で暗殺すら計画されて居た。


 揖斐川戦いでの一件が、まぐれで在ったと言うのならば、この宿場町に通りかかる和紗の軍勢は、隙だらけの筈である。


 そうで無いと言うの成らば、油断の成らない規模や装備で身を固めた軍勢が通り掛かる筈だと、道三は腹心である堀田道空と供回りの家臣達に向けて、そう言い聞かせた。


 気に入らんと見たならば、討ち取る合図をするとも言い含め、和紗が率いる織田軍が通り掛かるのを静かに待つ準備体制を整える為に、各隊は予定配置に向かって移動して行く。


「お屋形様、此方で御座います。」と供回りの家臣の一人に導かれ、富田宿場町のメインストリート沿いの中心地の一画に在った古惚けた居酒屋の二階へと登り、二階の窓から宿場町のメインストリートを見下ろした。


「うむ。おお、此処の民家から成らば、織田軍の行列が良く見えるわい。」と窓際に座り、良く冷えた井戸水から作った冷たい茶を片手にして、和紗が率いる織田軍を見物する積りの道三。


「おおっ!!来ましたぞっ!!あれが織田勢でしょうな。」と堀田道空が、織田軍の先陣部隊を指さす。


 黄色い旗指物に織田木瓜の家紋が翻ると共に、最近に成って和紗が考案した旗印が見えて来た。


 和紗が言うには「これからの世は商売で一番に大儲けをして居る国が、強大な大国へと伸し上げるのだ」と言う願いを込めて、永楽通銭の旗印を織田軍の飾り軍旗の一つとして掲げて居る。


 飾り軍旗とは、一目でどこの誰なのかを示した旗印の事で、アマテラス神皇国内でも、特に名の在る大名王が掲げる事の多い旗印の一つ。


 これが在る事で当主が如何に優れて、目立った人物なのかを示している事を誇示する為の旗印でも在るのだ。


 やがて織田軍の行列は中軍に差し掛かると、8.2メートルもの長柄槍と呼ばれる部隊が、続々とズラリと歩いて居た。


 普通サイズの槍は精々3メートル以上が相場で、馬上槍は橙1.5メートル前後。


 人によっての特注品も在るが、そんなに長いやり何て馬上で振り回すのは使いづらいのである。


 時代劇ドラマや時代劇映画なんかで使って居る槍は、カメラから移り映えの良い形に成って居るだけなので、本物を見るとアレ?短くない?とか言って、勘違いして居る人達も多いと思う。


 馬上槍は特に短い物が実戦に用いられて居るので、空想ドラマしか知らない人達から見れば、変なサイズに見えてしまう事だろう。



「・・・・・!! 何じゃっ!!あの槍の長さはっ!!我が軍の2倍は長いぞ・・・・・・・・・。」と織田軍の長柄槍を見て驚愕の声を開けでしまう道三。


「ハッタリでは?アレで使い勝手が悪いかと・・・・・・」


「いや、槍歩兵部隊の改良に勤めたワシも、5メートルから6メートルくらいが的確だと思うて居ったが、奴目はその2倍の長さを求めたらしいのう。」


「これは発想の転換と言う奴じゃっ!」


「恐らくは周辺諸国の槍兵が使って居る槍を調査と見聞し、相手よりも有利な戦い方をする事を目的とする為、あの長さじや、突かれれば、一突きで胴体を串刺しにし、振り下ろす事で相手の頭を袋叩きにも出来よう。」


「全くトンデモナイ事を思い付きよる小娘じゃっ!」


「流石は道三様、あの様な見てくれとも見える武器の使用方法に付いてですら、言い当てて見せられるとは、この堀田道空、目から鱗が落ちる思いで御座います。」


 道三は和紗が考案したと思わしき、長柄槍の凄さに舌を巻くと共に、その使用方法すら言い当てて見せた。


 堀田道空も和紗が只者では無いと感じ始めて居た。


「それにしても長い行列ですな。恐らくは当家に負けまいと、金に物を言わせて、無理にかき集めたのやも知れませぬな?」


「そうじゃのう。何せ織田家は家老職の家柄にしては、大金持ちじゃからのう・・・・・」と呆れる道三と道空


「おおっ!!次は鉄砲隊ですな。」と堀田道空は言う。


 和紗が率いる織田軍の中には、夥しい数の鉄砲隊が行進して来て居た。


 その数は500人であった。


 この織田軍の総数は4000人である。



 その内中で、四分の一の部隊に鉄砲隊を取り入れて居るのだから、この時期のアマテラス神皇国内の大名王家諸国の他国からすれば、それは絶対に在り得ない事であある。


 この時期のアマテラス神皇国内では、鉄砲の事を種谷島と呼んで居た。


 ユーラシアン大陸を経て島津家の領土てある種谷島に伝わったとされる火縄式の鉄砲。


 アマテラス神皇国内では、種谷島式火縄銃または普通に火縄銃とも言われるマスケット銃の事だが、ゲルニアン帝国を含めた一部の技術立国で製造と流通が為され始めて居る最新武器とされて居る遠距離武具。


 この10年後の時代には、キリヤ公国の建国と勇治の登場で、連射式銃が登場する事で、旧式武器へと追いやらる運命と成ってしまう。



「何時の間に、アレだけの鉄砲の数をどやって揃えたのか?」


「はっ!!我が斎藤家でも鉄砲を買い漁っては在りまするが、精々50丁が良い所っ!!」と道空は言う。


「五月蠅いぞっ!!」と道三は、要らぬ事を言ってしまった道空に対して、思わずツッコミを入れてしまう。


「はっ!!申し訳ございませんっ!!」と堀田道空は、迂闊な発言をした事を謝る。


「流石のワシでも一丁あたり250万両(日本円で250万円)もする武具を大量に買い揃えられる財力なんぞ持っては居らんっ!!」


「津田港が栄えて居るとは言え、どれだけの租税を受け取って居るのでしょうな。」


「信秀と小娘めは、銭の使い方と集め方を良う心得てる様じゃっ!!」


「それに・・・・アレは只の寄せ集めの兵には見えぬ・・・・・・・・・・・。」


 道三は段々と和紗と言う姫武士が、どの様な人物なのかが、分かり始めた様である。


「道三様、恐らくアレが信長の旗本本隊で御座りましょう。」


「ああっ!?道三様っ!!あの真ん中に居るのが、織田・和紗・信長殿では?」


「どれ、見せてみよ。ん、な、なんと・・・・・・・・・・!」と道三は窓枠へと、もっと近づいて和紗を良く見ようとする。


「あーあー、噂に違わぬ虚けぶり。」


「道三様との会見へと、あの様な出で立ちでやって来るとはっ!」


「全くもって怪しからんっ!!」と堀田道空は怒りを露わにした。


 和紗は古惚けた薄着の着物を右側に袖を通し、反対側の袖には腕を通さず、叩けさせた状態で着ていた。


 そのせいで当時Dカップだったおっぱいが、半分食み出て居る。


 しかも晒を巻いた状態を晒し、瓢箪から水を仰ぎ呑み、懐からはおやつとして持って来た梨を頬張り、食べ辛い部位を地面に吐き捨てて居た。


 何所の誰が見ても行儀が悪いと、怒り出すに違いないと言える姿を世間の皆様に晒して居た。


「・・・・・・・・・・」



「道三様っ!!やはり討ち取って後顧の憂いを絶ちまするか?」



「・・・・・・・・数が違い過ぎる。見た所・・・・・信長軍の兵力は、凡そ4千人は居るだろう。」



「それにアレは・・・・馬鹿でも阿呆のする所業ではない。此処は引き揚げるぞっ!!」


「宜しいので?」


「良い。あの娘が、どの様な性格をした輩なのが分かった。」


「何事も型にはまらず、それに堅苦しく、古臭いやり方を毛嫌いする性格なのだ。」


「たがら世間の者らからは、虚けと揶揄されるのじゃっ!」


「アレを理解するには、あの者の行動を良く見る事じゃっ!」


「あの小娘は意味の無い事は絶対にやらんっ!!」


「そう言う小娘なのよ。」と道三の中で、和紗のお株がうなぎ登りと成って居た。


「道空よ、小娘への試験問答は、取り敢えずは合格じゃっ!」


「はっ!!わたくし目は少々得心が得ませんでしたが、並の輩では無さそうだと言うのは分かる気がします。」と言って、その場を引き払う道空達は、急いで聖徳寺へと退き返して行ったのであった。


  それから聖徳寺へと戻った道三は、服装を和紗の着て居る服装と合わせた格好へと着替え、会見へと望む事にした。


「道空、会見は堅苦しい様な正装よりも、小奇麗にした普段から使って居るこのままの服装で良い。」


「ワシだけ正装に成ったのでは、虚け姫殿に悪い上に、この一件を聞いた民草や諸国の者らからは、笑い者に成るだけじゃっ!!」


「着飾らず、普段通りの姿を見せれば良い。」


「はっ!!」



「織田・和紗・信長殿のお成りに御座いますっ!!」と報せを持って来た家臣が現れると、織田家側に用意された西側に在る寺の建物の中から現れた和紗を見た斉藤道三と家中の者達を絶句する。


「あれが・・・・・・・・・・・・信長だと?」と道三はポカンとした顔付きと成ってしまった。


 和紗は完全に着飾った姫武士用の・・・・それも上位階級の家柄の娘が着る最高級の織物で、作られた紅葉色の晴着姿を披露する。



「くくくくくっ!!ぐははははははっ!!これは、これはっ!完全にしてやられたっ!!」


「あの虚け娘めが、この道三を二度も謀りおったぞっ!!」と大喜びの道三。


 和紗は生涯でただ一人の師であり、父信秀と同じく理解者であり、後見人として支えてくれる事と成った義父と成る人物との会見へと望む事に成った。


 会談の席に着いた二人は、少しの間を置くと堀田道空が、自らが使えて居る主の紹介を始めた。


「織田・和紗・信長さま。此方にお居すお方こそ、斉藤・入道・道三公に御座いまするぞっ!!」


「で・・・・あるか。」と言うと黙り込む和紗。


 更に少し間を置いた二人。


 この場は、年長者である道三から名乗りを上げると言う慣習が在るので、道三が先に名乗りを上げた。


「斉藤・入道・道三である。織田信秀殿がご息女、織田・和紗・信長殿と会談の儀。」


「実に楽しみにして居り申したぞ。姫殿。」


 道三が社交辞令を交えながら名乗りを上げ、それから更に間を置いてから 和紗も自己紹介を交えた挨拶を始めた。


「・・・・・・この俺が織田・和紗・信長である。」


「この俺も、彼の美濃国りマムシの道三と恐れられし御仁のご尊顔を拝せる事を楽しみにして居たが・・・・・先刻、道三殿とそっくりな御仁を富田宿内に在る一軒の古惚けた居酒屋の二階席から、この俺を高みの見物をして人物と良く似て居るので、驚き居ます。」


「くくくくくっ!!ぐははははははっ!!ワシもその昔を辿れば、信長殿と似たような年頃だった頃は、商人をして居った。」


「それ故に、居酒屋で飲んだくれて居る人物に間違われれる事も在るやもも知れんのう。」


「その様な奇縁な出来事が在りますかな?」とワザとらしく聞き返す和紗。


「本当ようのう。」と、道三も悪乗りをして白々しく、白を切り通して居た。


「所で御父上、織田信秀殿のお加減は如何であろう?」


「大事ないと申し上げたい所だが、此処は正直に言って、先が無いと申し上げ他にない。」と和紗は言う。


 本当ならば、少しくらい嘘を言うのが、外交上の駆け引きなのだが、和紗は敢えて道三には噓を言う積りは無かった。


 その方が後々お互いに良い関係を結ぶ上で、絶対に大事な条件と思ったからである。


「そうか・・・・」と道三は、信秀の近況を聞いて、何だか少しだけ寂しそうに言う。


 自分よりもやや若いライバルが先に逝くのは、喧嘩友達を失う様な事に近かった様である。


「其処で道三殿には、大垣地方の領地をご返還し、この俺の後見人と成って欲しいとの事だ。」


「委細承知して居る。此方も交換条件である。我が娘、帰蝶姫を信秀殿のご養女として差し出し、以後は織田家の親戚として、そして信長殿の後見人たる義父として盛り立てて行く所存じゃが。」


「其処でどうじゃ、このワシと手を組んで天下に覇業を唱えてはみんかのう?」


「貴殿と対峙した、先の揖斐川での戦い振り、誠に持って才在る者と見て居る。」


「このワシとお主が組めば、出来ん事はあるまい?のう・・・・」


 道三は天下統一を共同でしないかと誘う。


 これは冗談と本気が交じり合う提案であった。


 斉藤家の家臣達も、会談の席での戯れ言と思って、真に受ける様な反応は一人も居なかった。


 だが・・・・・・・・・・提案をされた和紗はと言うと・・・・・・・・・・・・・・・・


「断るっ!!天下統一は、この俺一人の力で十分に成し遂げて見せるっ!!」


「それに天下人の椅子はただ一つっ!!このアマテラス神皇国と言う国家の主はただ一人のみ。」


「それを義父殿の力を借りて成し遂げたち成れば、この俺は天下の笑い者だっ!!」と言い切った和紗。


 斎藤家の家臣達は、ポカンとした顔付で呆然として居た。


 尾張国の虚け姫が、天下統一をして見せると、公式の場で宣言したのである。


 啞然としてしまうのは無理も無い事だった。


 だがしかし、道三の反応は違って居た。


「ぐははははははっ!!うはははははははははっ!!」


「そうかっ!!そうかっ!!そうかっ!!うむ。その通りようのう。」


「誠に大層な大ぼらを吹くものよ。」


「面白き虚け姫殿じゃ、何か在れば、このワシに遠慮なく申すが良い。」と和紗の大風呂敷を広げる言葉を気に入った事で、機嫌よく支援の確約を決めた道三であった。



その日の夜のことである。



道三は直臣たる堀田道空と共に酒を飲んで、今日有った出来事を振り返って居た。


「何と言う断端不敵な奴じゃっ!!家来一人を付き従えるだけで、堂々とワシらの目の前に現れ居ったっ!!」


「誠にその通り御座いまするな。」


「それに道三様。織田軍は、あの虚け姫殿の手配りの指揮下で、この聖徳寺と我が斎藤軍を取り囲む様にして、巧みに部隊を配置して居りまする。」


「うむ。油断の為らない奴じゃ!!」


「そのせいか、会談の席では、終始っあの虚け姫めに主導権を取られそうになるばかりで、何だか此方の方が小童扱いされて様で、何んとも言えぬ気分よのう。」


「道三様。あの虚け姫殿は、並大抵の武家のご息女では在りませぬぞっ!!」


「ふむ。」


「・・・・・・・アレは獰猛な猛虎の目つきをした獣じゃ、その覇気はこの国の全てを飲み込む事に成るじゃろう。」


「じゃが、躾けの仕方しだいじゃが、本当に天下を取れるやも知れん。」と道三が呟いた時である。


「父上っ!!」


 斉藤道三の嫡男で、ちょっと大柄な体形を持った人物で、とても厳つい風貌の顔付きをして居る斉藤義竜が現れた。


「おおっ!!義竜か?如何いたした?」


「今夜の内に信長めを討ち果たします。父上は稲葉山城へと御帰り下さい。」



「成らぬっ!!」と道三は息子を睨み付ける様にして言う。


「でっ!!ですがっ!!父上っ!!」と義竜が反論をしようとするが・・・・・・・


「和紗姫殿は、このワシの大事な客人にして、我が義娘じゃっ!!」


「手出しをすれば、実の息子と言えども容赦はせんぞっ!!」と述べると、義竜は供回りの手勢と共に稲葉山城へと引き払って行くのであった。


それを見送った道三は・・・・・・・・・・・・・


「何と言う器の違いなのじゃ。」


「アレでは先行きに不安を感じられるには居れまい。」


「我が愚息があの様な体たらくを晒し続ける様では、我が斉藤家と美濃国の地侍どもは、皆全て彼の虚け姫の門前に轡を並べる事に成るじゃろう・・・・・・・・」


「それ程までにっ!!あの虚け姫殿の事を高く買って居られるのですか?」


「くくくくくっ!!先行きが楽しみじゃが、ワシがあの姫が天下を治める姿を見られるのかは、分からぬ。」


「それは・・・・・・・・」と言いかけ道空は、その言葉を飲み込む。


 それは道三が、何らかの理由で近い将来、死んで居るかも知れないと言えるからであった。

その様な未来が考えられると悟ってしまった道三は、黙り込みながら考える。


「・・・・・・・・・」


「道空よ。美濃と斉藤家に不測の事態を考え、万が一の事を書き記した遺言書を平庵京・妙覚寺の沢庵和尚に手紙を添えて書いて置く。それを密かに届てはくれぬか?」


「はっ!!畏まりました。」


「良いか、これから書く遺言書と沢庵和尚への書状の中身は、沢庵和尚以外の人物に決して誰にも渡しても漏らしても為らぬぞっ!!」と言いつつ、手紙を書き始める道三であった。



 これが後の世に言う、道三が義娘たる和紗に送った遺言状たる美濃国譲り状であった。


これが和紗の手元に届く時、道三はこの世には居なかった。


 そして、遺言状たる美濃国譲り状を盾に、和紗は美濃攻めを始めたのは、岡ヶ狭間の戦いで今川義本を討ち取ってから後の事である。  




 和紗の事を本気で後援する事を決めた斉藤義竜は、道三に反発する。


 彼は道三に対して挙兵し、道三のやり方に反発する旧来の権力と権益に拘る者達と供に道三を討ち取ってしまった。


 これに対抗するのは、道三の遺言に従う事を決めた改革派閥の道三派領主家衆と国人衆たちである。


 しかしながら、和紗は義父の敵討ちをする暇も無く、東海地方の雄たる今川義本が、戦乱で混乱して居るアマテラス神皇国足柄幕府将軍王朝を助ける名目で、アマテラス神皇国地方の天下を手にせんと平庵京へと上洛しようと画策。

 

 5万6千を率いて出陣し、岡ヶ狭間山・岡ヶ狭間盆地で織田軍・3千人と激突し、これを打ち破った


 後に岡ヶ狭間の戦いと呼ばれる戦いは、織田・和紗・信長の有名を轟かせる事に成る著名な合戦と成ったと言う。


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