表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キリヤ公国英雄戦記物語  作者: 伊達教宗
第1章 少年王とキリヤ公国建国創生記編
38/321

第4話 少年王と北の列強国との対立

マギアンティア世界統一暦・1555年・5月15日・午後14時00分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国連合国本国・キリヤ地方・キリヤ公国・公王都キリヤ市・キリヤ城中央棟・謁見の間にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 さて、ナデシコ地方自治州区の転移事件の混乱と最低限必要な設備の建設と物資の生産が終わり、ゴッドタブレットによって、その他にも足りない物を作り出したり、取り寄せたり、設備等を整えたりして行く。


 ああ、そうそう。


 キリヤ公国のシンボルにして居城でもあるキリヤ城を建てたんだけど、将来に向けて公都キリヤ市の町割りと合わせた増改築でもして置こうかな。


 キリヤ山脈の東端に位置するキリヤ城山と僕は名付けて呼んで居るキリヤ城の在る山と、その周辺の土地は、まだまだ空き地が多かったからね。


 僕は城を更に大きくして、宮中公王居公邸と言う王族専用のスペースを設けたり、謁見の間を100人が入れる広さから、3000人が余裕で入れるスペースへと改築したり。


 キリヤ公国宰相内閣府と公王執務官邸を造って、其処で国の政治の仕事をより快適に出来る様に整えたり等々、国が大きく成った事に伴い色々と設備も必要な施設を増やす事が必要に成ったから、これらの施設を作ったんだ。


 因みに家の天守閣は、攻城戦を想定した造りの実戦形式の建物だけど、国外へのハッタリも兼ねて建てられた国のシンボルと言える建造物なんだよね。


 あれを見たら家の国も格下には見られないと・・・・・・・・・言いたいなぁ~。


 それはさて置き、キリヤ城の増改築と公都キリヤ市町割りの改築は、ゴッドタブレットの力で瞬時に建てられ、行政省庁関係を始めとした公都キリヤ市の町普請の見直しにより、増改築の方も同じくゴッドタブレットの力で行い一瞬で済ませた。


 まあ、これは公都キリヤ市に住まう人達には、ちょっとだけ迷惑な事だけど、色々な費用や人々を無理やりな異動をさせなくて済むから、今の所は苦情が少ないけどね。


 でも・・・・道順が偶に変更される事が在るから、それだけは迷惑だと住民の皆様から苦笑混じりで愚痴ってくるのが玉に瑕。   


 そんな片手間で、チョッとだけ迷惑な公都キリヤ市の町割りの第一段階が終わって、大分落ち着きが出始めた頃だった。


 まだまだ国内は空き地の開拓と町の建設ラッシュで忙しい毎日だった僕達は、新たな仲間であるナデシコ領の人々共に、建国作業で多忙で忙しい毎日の日々が続くキリヤ公国内が、やっと一息が付けた時の事だったんだ。



 突然の来訪者が公都キリヤ市にやって来た。


 それは隣国であり、ついこの間まで、この中央世界第一文明圏の大陸で、一番の軍事大国で覇権国家であったゲルニアン帝国から、ヒットラン・アドルフラー皇帝陛下の使いである外交の使者が訪れたのである。


 今は何処がユーラシアン大陸随一軍事力を持って居るかって?


 それはもう家の国、キリヤ公国連合国に決まって居るよ。


 だから今さらヒットラン皇帝が如何足掻いても、キリヤ公国連合国が中央世界第一文明圏で一番に強い国家である事は明白なんだけどね。


 その実力って言うのは、相手に見せ付けないと、無いと言われても仕方が無いんだ。


 面倒くさいけど、僕はヒットラン皇帝が送り込んで来た使者と会う事に成ったんだ。


「ユウジ公王陛下に置かれましては、突然の来訪にも関わらず、謁見をお許し頂き真に有難う御座います。」


「ようこそっ!此度の貴国のご訪問とご用件はなんでしょうか?」


 突然の使者の来訪。


 まぁ、言いたい事は最初から何だかは、分かって居るけどね。


「はい。その件で御座いますが、先のナデシコなる土地の者達とその土地に付いてで御座います。」


「異世界から転移したと主張して居りますが、その者達の土地と領域が我が国の国境と領海を深く侵犯しており、我がゲルニアン帝国と致しましては、即時に貴国が占有して居る領土と領海の返還と一斉退去を勧告致します。」


「また、撫子皇国領がまだ貴国に編入前の事なのですが、彼らは我が帝国のヘスター外務大臣との交渉に措いての回答では、武力を持って答えて来た事により、我が国境防衛軍が多大なる被害を被って居りまする。」



「それら全てに措ける被害賠償金として、貴国の通貨で1000億イエンと貴国の軍艦や兵器を合わせて1000台ほど請求を致したいと存じます。これら勧告を受けてから・・・・・・・・・・・」


 僕は冷めた眼つきで、ゲルニアン帝国の外交官である使者の言葉を淡々と聞いていた。


 まぁ、最初からこうなる事は、予想通りな訳で、言われなくても分かって居た事だけどね。


 ナデシコ地方自治州区の編入は、ゲルニアン帝国の国土の一部と領海を奪う事に成る。


 だって、それは仕方が無い事だ。


 彼の国の国土にも、撫子皇国の転移した陸地や諸島が入り込んでるから、如何しても、そう成るんだ。


 それにキリヤ公国への編入は、その土地を管理統治して居る人達の全員の望みと自決権による決定だ。


 どんな国とその行政府が意義を申し立てても、決して覆る事は無いし、異議申し立てと決定を覆るなんて事は、絶対に有り得ない事だ。



 僕の心は、最初から如何するのかの腹は決まって居た。


「断るっ!!!」



 僕の心は最初から決まっている。


 だからハッキリと、この使いパシリに向かって、断ってやった。



「はぁ?えっ?今、なんと?」



「だから断るって言ったんだよっ!!」


 ゲルニアン帝国の使者の人は、何を言って居るんだこの少年はと、呆気に取られて居た。


 家の国は、諸外国から見たら新参の発展途上国で、とても小さな小国に見えるのだろう。


 でも、それは一月前までの話。


 今や我がキリヤ公国連合国は、列強国の1国を相手に戦争をしても、余裕で楽に勝てる軍隊を持って居る大国と成りつつ在るのだ。



 家は最早、弱小国では無い連合国体制国家なのだっ!!


 それに少し前から隣国や遠征軍を派遣された場合の対外戦争に備えて、ゴットタブレットで、鉄道網や簡単な通信施設にソーラー発電と風力・水力・波力発電と送電網を主要な地域と成って居る各都市同士の間だけ整備をした。



 他にも各州の軍港と州都や有力都市は近代的な工場を建設して、銃砲弾や各種部分品類に、様々な兵器の量産体制を整えて終えて居る。


 今や隣国の同盟関係に有る国家に対して制約付で、太平洋戦争時代クラスの武器と兵器を中心に輸出を開始して居る。


 その第一便の列車や船は、ナデシコが編入へと決まり始めた2週間前から動いて居るので、ゲルニアン帝国は、この時点で色々と後手に回って居るのである。


 そんな事すら知らずに戦争を始めようと言うのだから、本当に呆れてしまうしか言い様が無いのだ。


「ご冗談を、ユウジ陛下は、冗談がお上手と見受けられる。ユウジ陛下の小国と我がゲルニアン帝国と戦って勝てるとでも?」


「うん 勝てるよ。それも片手まの余裕な上に、オマケでお釣りが来るくらいにね。」


「???」


「使者殿、貴方が帰国したらヒットラン皇帝陛下に伝えてね。」


「ナデシコ地方自治州区は、我が国が保護して、双方の代表同士が話し合って統合編入した領土だ。」



「幾ら先にゲルニアン帝国が交渉して居たとしても、既に交渉は決裂して居るし、今さら貴方がたに口を挟まられる言われは何処にも無いってね。」


「こっ、こっ後悔しまぞっ!」


 ゲルニアン帝国の使者は、声張り上げながら、お決まりの捨て台詞を吐きつつ、ビックリした顔付きと汗だくの状態で、勇治との会談を終えて帰国して行った。


「本当に良いのユウジ?」


「良いんだよ。立ち退く理由も賠償を払う義理も義務も無いし、無視をしたら余計に言い寄って来るしね。」



「それよりもセレジア。これから起こる事を実家にお詫びを入れて置いてくれないか?」


「これから戦争が始まるって事をジンバル陛下に、お義父さんと同盟各国にしっかりと伝えて置いて欲しいんだ。」


「間も無くゲルニアン帝国が、家のキリヤ公国連合国と、そっちの国々にも攻めてくる筈だから、ちょっとだけの間だけ持ち堪えくれれば、ナデシコ軍が陸海空の3方向からゲルニアン帝国の本国を攻めて、大体一月か一月半で、あっちの方が先に根を上げるだろうから、頑張って粘って欲しいってね。」


「分かったわ勇治。」


「ナデシコ領の一件では、お父様自身も、何れはこうなるだろうと言って居られたわ。」


「お父様もユウジの・・・・・婿殿の采配に任せるって言って居られるわ。」


「それと旧式になった戦車と機関銃や迫撃砲なんかを、もっと輸出できる様に手配するって事も。」


「ええ?ホンとに良いの?今はユウジの国が、一番に大変な筈よね?」


「うん、ガリアナ王国や他の国々に向けて、近代兵器の大量輸出は、ちょっと時期が早かった気がするけど、この際は仕方が無い。」


「同盟各国に直ぐにでも力を付けて貰わないと、下手に戦力が拮抗し合って膠着状態にでも成ったら、際限なく果ての無い戦争が続くから、そっちの方がとっても面倒くさいんだよね。」


「それに、これからの時代、ユーラシアン大陸南部は僕達で固めて置かないとね。」


「それもそうね。その件を伝えたら、きっとお父様も南部諸国の国々も喜ぶわ。」


「ひょっとしたら、将来はユウジが世界の皇帝に成って居るかも知れないわ。」


「その気は無いよ。」


「世界征服や統一平定と統治なんて面倒くさい事は、絶対にしたくないし、人生は楽に楽しく生きたいからね。」とセレジアと冗談を言い合い笑って居たが、まあ・・・その冗談で話して居た事の将来って言うのが、まさか半ば現実な物に成るとは、この時の勇治には知る由も無かったのであった。


 僕は国境全体に臨戦態勢を命じると、ナデシコ領を編入して強化されたキリヤ公国軍は、編入地域の軍と連合軍と成った為、キリヤ公国連合軍と成って居る。


 新生したキリヤ公国軍であるキリヤ公国連合軍に所属するキリヤ公国直轄軍、キリヤ公国近衛軍、キリヤ公国地方軍、キリヤ公国連合自治方面軍から成る連合軍の陸海空軍に対して、対ゲルニアン帝国との戦争に向けて召集命令を伝えた。


 そして、一番に強力な牙である国内の最大の独立軍でも在るキリヤ公国連合自治方面軍の第一連合自治方面軍・ナデシコ自治統合軍は、陸海空の全軍に北へと移動を開始しさせたのだった。


 マギアンティア世界統一暦・1555年・5月20日・午前9時00分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸・ユーラシアン大陸北部地方・ゲルニアン帝国・帝都ベルリナ市・ベルリナ帝城宮殿・皇帝執務室にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



ヒットラン・アドルフラー皇帝は、キリヤ公国に派遣した使者の任務を勤めた外交官からの報告を受けていた。


「こっ、こここっ皇帝陛下っ!誠に申し訳御座いませぬ。かの国の少年公王は・・・・・・・・・・」


「良い。」


 髭を蓄えた43歳の皇帝は、勇治がナデシコ領に関する脅しを断っても受け入れても、最初からその答えの行方が何方に成っても良かったのだ。


 何方にしても彼の国と戦争をすれば、彼の国と同盟諸国を丸ごと自分の物にしてしまえると考えて居たからだった。


 彼は最初から外交交渉で、キリヤ公国連合国に譲歩する気など更々無いのだった。


「ふっ、大方の予想通りだからだ。」


「素直に要求を呑んだら何か企んで居る。要求を断ったら、そのまま付け入るまでよ。」



「返答を先延ばしにして居たら、所詮は大した事は無い只の小僧と言う訳だ。」


「は、はあ?」と、外交官の男は、皇帝の意図が図れずに、その顔付がポカンとして居た


「もう良い。貴様は下がって休むが良い。」


「ははっ!」


 外交官の男は退出する。


 ヒットラン皇帝は、側に控えて居るロンデル・エルバン大元帥に、今後の意見を求めた。


「それでロンデルよ、この後は如何にする?」


「はい、正に我々の策謀の予定通りと言う事に成りますが、此の儘ではいけませんな。」


「このままで戦争を始めてしまうと、我が帝国が虚仮にされた事に癇癪を起して攻め掛かったと、我が帝国臣民や世界各国の諸外国から、非難の声や様々な誹謗中傷を言われてしまうでしょう。」


「其処でですが、我が国の正当性を主張と証明する為にも、一計を講じる必要性が有りまする。」


「其処でなのですが、彼の少年王は、今年の初めにガリアナ国王の王女と婚約をして居ります。」


「その婚約者の実家や親族の者共やキリヤ公国と同盟を組んで居る同盟諸国等の国々に対して、彼の少年王を諌める様にとの書簡を送るのです。」


「彼の少年王の婚約者であるセレジア王女の父親であるガリアナ国王の国王、ジンバル・ユリテリア・ガリアナ国王に書簡を送り、娘婿であるキリヤ公王の愚行を諌める様に言うのです。」


「また、セレジア王女の母親方の従姉妹筋にして、メイルシュルフラッド公国の女公王であるリィーゼ・メイルシュルフラッド女公王にも書簡を送りましょう。」


「ほう、それは当然の手であるが、そんな物は口実作りの為の只のブラフだな。」


「当然ながら、ガリアナ国王も含めて、各国は適当に誤魔化して無視すると言う事は、目に見えて居るだろう。」



「でずか、義理の父やその他の親族、同盟諸国首脳達の言う事すら聞き無いのは、物凄く外聞が悪い筈。」



「ふっ、確かに、それは道理だな。」


「だがな、それでも彼の小僧が我らの通告を断ったら、如何する?」


「成らばキリヤ公国連合国が、我が帝国に何の通告も無く、我が国の領内に現れた土地や国土を勝手に自国へと領土編入をし喧伝しまする。」


「その事を世界中の諸外国には、キリヤ公国連合国は、我が国の国土を勝手に自国に組み込み侵略したと喧伝し、ゲルニアン帝国軍の軍勢を正義の軍として、キリヤ公国とその同盟国の国土へと差し向ければ宜しいかと・・・・・・・・」



「流石だなロンデルよ。知恵が良く回るな。」


「お褒めの言葉、光栄の至りであります。」


「成らば、此の儘の南方平定軍の総指揮の差配は、引き続き貴様に任せる。」



「その方の采配で見事、ユーラシアン大陸の統一平定を成し遂げて見せよっ!」


「中央世界ユーラシアン大陸の統一こそ、我が帝国の悲願でも有る。」


「生意気な小僧には、我が帝国を舐めたら、どうなるのかを教えてやるっ!」


 ヒットラン・アドルフラー皇帝は、ゲルニアン帝国の大元帥で、大胆な戦術を取る事で知られ、1千万人の軍勢を操れば敵は無いと異世界マギアンティア中の諸外国から恐れられているロンデル大元帥に総指揮命じる。


 ロンデル大元帥は、キリヤ公国連合国と勇治の婚約者であるセレジアの母国であるガリアナ王国を含めた南方諸国に対して、宣戦布告の準備を進めるようにとの命令を軍部に対して、命じたのであった。




マギアンティア世界統一暦・1555年・5月20日・午前8時00分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国連合国・三浦川地方・準独立国特別指定権限保有地方自治州区・キリヤ公国連合国・特別独立地方自治州行政区・ナデシコ地方自治州区・ナデシコ地方自治州区本土・ナデシコ地方自治州区・主都及び州都兼務都市・横須賀市にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 キリヤ公国連合国内では、ナデシコ地方自治州区とキリヤ列島の工業港湾と軍港の大都市として整備された横須賀市・七浜市・三浦市・小田原市・鎌倉市。


 クレ市・コクラ市・サセボ市・タカオ市・オオミナト市等が在る都市圏の周辺をタブレッド力で更に強化や空き地なんかを開拓し、工場や港等をの施設を拡充して行った。


 それらの町では、ピカピカの各種工業施設内にて、現地に住まう人々が、各種艦艇の建艦や整備に、燃料に化学物資、弾薬や各種部品の生産を行い始めていた。



 それに加えて小銃や機関銃、電気機関車やディーゼル機関車、トラックに自動車に戦車、野砲に迫撃砲などの生産がフル回転で行われている。


 キリヤ列島の南に広がるナデシコ地方自治州区の南方地域のアセアニア地方・アセアニア自治州区内では、イリコンド島地方自治区・ミッドナイト諸島自治州区、シンダポール島地方自治州区などの旧撫子皇国の統治領では、石油の生産や鉱石の増産採掘が進められていた。


 また、アジアン地方自治州区内の各地域では、ゲルニアン帝国に近い事もあり、元々在った海軍港基地や陸軍基地、陸海軍の戦闘航空部隊を再編統合して作られた空軍の基地が点在しており、キリヤ公国本土から防衛体制を取れとの命令が来ていた。


 それにアジアン地方自治州区内は、良質な鉱物と天然ガスと石油が取れる地域で、同時に勇治のゴッドタブレットの力で軍需工場が次々建てられ、補給が万全の体制に成りつつある。


 これらの地域からキリヤ公国本土と各地域への輸送航路と輸送体制は、この世界では強力な軍艦である昭和初期時代の軍艦クラスの性能と同等の駆逐艦や巡洋艦を中心に護衛されるので、物資の途切れる事の無い様に準備体制が進められて居た。


 

 僕のキリヤ公国が導入している旧撫子皇国の兵器は、大日本帝国時代の名称や採用され型式番号なとが殆んどが似ている。


 しかし、開発に掛けた資材や資金も多かった為に、史実の旧日本軍よりも装備の性能が良ったりする。


 その名称は、現場の混乱を避ける為に、転移段階まで設計と開発が済んでる物はそのままで、新規に開発した物を、キリヤ公国の年号に併せて型式番号で呼称すると決めている。


 既にキリヤ公国の国境には3式中戦車と97式中戦車が併せて1000両以上もの台数が配備されている。


 その他の大砲や移動用の小型車や輸送車両もとても充実していた。


 また、ガリアナ王国には、旧撫子皇国で使われて居たお下がりの89式中戦車200両と野砲や機関銃が大量に売却されていた。


 少々小銃の売却が遅れて居るが、今回はこれで我慢して貰うしかない。


 ナデシコ軍の教官からしっかりと軍事教練の訓練を受けて居るので、ガリアナ王国軍の人達も取り敢えずは、ゲルニアン帝国のと戦いは持ち堪えられる事だろう。


 陸上攻撃機雷電や97式重爆撃機と言う爆撃機が、キリヤ公国内と南部諸国の各国に建てられて居る空港からは、何時でも飛び立てる様に準備を進めていた。



 空母でもゼロ式戦闘機や97式艦上攻撃機の配備も順調で、宣戦布告が帝国からされる頃は戦支度は済んで居たりする。



 横須賀鎮守府が置かれて居る横須賀港には、旧日本海軍の大和型と同系戦艦でもある撫子級・戦艦撫子を旗艦とし、ナデシコ自治統合海軍艦隊が集結していた。



 今回の戦争での前線基地にして本営であるキリヤ公国連合国・国防総省の傘下であり、キリヤ公国連合国軍・総司令部庁が置かれて居る横須賀鎮守府では、対ゲルニアン帝国との戦争に向けての作戦会議が開かれて居た。


「それじゃ、みんな。これから我がキリヤ公国連合国は、対ゲルニアン帝国との戦いに備えて、臨戦態勢を取るよ。」


「だけども、決して此方から仕掛けたらダメだよ。」


「はっ、勇治陛下の理念、そして、陛下の故郷である日本国の専守防衛政策を我がキリヤ公国連合国の国防軍事政策の基本理念とする事は、キリヤ公国本土とナデシコ地方自治州区の民達の誰もが理解して居ります。」


 勇治の言葉に答えたのは、ナデシコ自治統合陸軍の元帥である板垣妙子さんだった。


 彼女は南方防衛の責任者として保護領だったシンダ・ポール市に派遣されて居た時に、異世界転移に巻き込まれて居た。


 そんな彼女は、この世界に居る旧撫子皇国陸軍の数少ない将校の一人だった。


 撫子皇国軍の特徴として、何故か男女が平等に徴兵される事に在った。


 彼の国の社会では、男性優遇女性蔑視と言う考えは無く、古来より女性も良く働き勇敢に戦うのが当たり前で在るらしいとの事。


 さて、キリヤ公国連合国軍の基本方針は、専守防衛である。


 相手国が領空・領海・領土の何れかの国家主権領域に対して、侵攻や侵犯した場合のみ軍を動かせるのだ。



 例外としての事項も在るが、今はゲルニアン帝国側が、その手の策を使って来ない事もあり、此方も対処する理由も無いので、此処では説明を省いて置く。


 また、同盟国や友好国、それに何の落ち度も無く攻め入られて亡国の危機に瀕した国家から援軍を求められた場合も、軍の派遣が出きる様にしている。


 今回はゲルニアン帝国が、その軍勢を国境から南方諸国に向けて国境を越えるべく移動を開始した時点で開戦と見なして居るが、キリヤ公国に取って初の外国との対外戦争である。


 この世界に在る世界中の国々に対して、キリヤ公国の強さと、この戦いが正当防衛戦争で有ると全世界に知らしめる為にも、勇治は敢えて国境線までゲルニアン帝国軍を近付けさせる積りなのだ。


「陸軍は、ムツ地方自治州区の国境全体に作り上げた、ゴリョウカク国境要塞郡にて、ゲルニアン帝国軍を待ち構えて、迎撃。決して近接突撃をしないこと。」


「お味方の被害を少なくせよとの訓示は、全将兵達にも、しっかりと伝えて有ります。ご心配を無きよう・・・・・・・・・」


「その辺の事は、妙子さんの事を信用して居るよ。」


「陸海空の統合爆撃編隊は、陸軍と海軍の防戦して居る間に、敵の各本隊の頭上を素通りして、敵の本土に在る城砦や野営陣地などを爆撃して来て欲しい。」


「特に補給物資の集積地と兵器なんかの集積場所には念入りにね。」


「但し、町への、特に民間人が多く居ると思われる人口密集地である市街地への直接攻撃は禁止する。」


「まぁ、偶々居合わせた相手国の民や旅人まで殺っちゃった時の場合は、罪に問えないけど、意図的な過失は国としては罰するからね。」


 集まっている将兵は頷いた。


 撫子皇国は、一部の過激思想を持った旧日本軍や好戦的な日本帝国の軍部と違って、ナデシコ人の軍人達は、比較的温和な所が強かったが、突撃戦法等の戦い方は、健在だったりする。


 それを効率良く戦って欲しいと僕が頭を下げてお願いし続けて居ると、ナデシコ軍の将兵の全ての人達が、何故かこう思ってしまう。


「何んと心優しい少年王なのだろう」と感激の余り、僕のお願いを聞き入れてくたりして居た。



 かつて僕が居た世界の日本の昭和時代の様な無茶苦茶なやり方は、成るべくなら取りたくない。


 この世界では、僕らは異常な存在に成りつつあるしね。


 この戦いは確実に勝つだろうが、何れ敵わない敵が現れる可能性も有るかも知れない。


「五十鈴さん達海軍は、ゲルニアン帝国海軍を打ち破りつつ、北方の海岸線全ての軍艦と軍港、要塞・基地を徹底的に叩いて欲しい。」


「仕上げは、全軍でガントー地方の五つの貴族領を占領って所かな。其処から先は帝国との交渉次第で返還する積もりで居る予定だけど・・・・・・」


「多分、ゲルニアン帝国の方は、今回の戦争の賠償金を減額させる為に、ガントー地方の五つの貴族達と領土なんかは、切り捨てしまえば良いと考えるだろうから、攻め入った占領地の人達と捕虜の人達には、優しくして上げてね。」


「勇くん、それじゃ最初から分捕る気満々じゃないの?」


「嫌だなぁ、五十鈴さん。僕は物凄く、それで居て、とても平和主義な性格をして居る積りなんだけどなぁ~」と悪びれも無く言う勇治。


「うふふっ、聞いたみんな。私達の陛下は、優しい暴君よ。」


「彼が私達に向けてくれて居る、その期待を決して裏切らない様にしないとね。」


 五十鈴さんは、僕をからかって遊んで居たらしく、クスクスと笑顔で出陣を命じ、全ての国境でのゲルニアン帝国との武力衝突に備える事とに成った。


 横須賀市の海上では、第一艦隊の巨大な撫子型戦艦・1番艦撫子を旗艦として、大和、長門、伊勢、日向。重巡高雄、愛宕 利根、筑摩。空母赤城、加賀、蒼龍、飛龍。軽巡・川内、神通、那珂、阿賀野、香取。駆逐艦吹雪、白雪、初雪、深雪、東雲、白雲 磯波。


第二艦隊は、戦艦武蔵、陸奥、扶桑、山城。空母翔鶴、瑞鶴、葛城、天城。重巡最上、三隈、鈴谷 熊野。軽巡球磨、多磨、大井、木曾。駆逐艦陽炎、不知火、舞風、黒潮、親潮、早潮。


 第三艦隊は、戦艦信濃、金剛、比叡、榛名、霧島。空母雲竜、大鳳、瑞鳳、飛鷹。重巡鳥海、青葉、衣笠、古鷹、加古。軽巡天龍、龍田、鬼怒、大淀、夕張。駆逐艦暁、響、雷、電、夕立、睦月、島風。


 その他にも陸戦隊を乗せた揚陸艦。


 各種燃料や物資の運搬する補給艦や兵士を乗せた輸送艦、潜水艦など随伴させての編制出撃と成る。


 また、ユーラシアン大陸南部諸国から観戦武官それぞれの戦地に派遣される事に成った。


 後の歴史書に載る事に成る公帝戦争と呼ばれる異世界物を巡る最初の戦いが始まろうとしていた。


 兵戦力の差は7対3とキリヤ公国の圧倒的な不利の戦争であると、この全世界の国々の誰もが見ていた戦いの始まりであった。


「楓。」


「ははっ!!此処に控えて居ります陛下。」


 勇治は国防会議が終わった後、ボソリと楓なる人物に呼び掛けた。


 その者はナデシコ自治統合軍海軍の女性士官服を着て居る黒いミディアムヘアーしている女性だった。


「へぇー、今日は士官服だったんだね。分からなかったよ。随分と上達したじゃないか。」


「お褒めに預かり恐悦至極です。」


「此処に控えて居られるのも、五十鈴姉上殿が、私をこの会議への護衛潜入許可を頂いて居りますゆえ・・・・・・・・・・・」


「それに我がキリヤ公国秘密工作諜報情報部局は、魔忍術と近代武具装備による近代戦術訓練を経た事で、所属するアマテラス神皇国出身の忍び者達の殆んどが習得済みであります。」


「勇治陛下に指摘されて居りました各国の地方部族・民族関連にも対応した変装も完璧にして御座います。」


「そう、それじゃ仕事をお願いするね。」


「メイルシュルフラッド公国のリィーゼさんとガリアナ王国のヘン・ケーン宰相との繋ぎ連絡を密にして、南部西方方面の動きにも注意を払って置いてね。」


「こっちの戦支度が整うまでの間、出きるだけゲルニアン帝国との開戦をとことん遅らせて欲しいんだ。」


「楓なら出きるよね・・・・・・・」



 勇治は楓に向かって薄目で微笑んで頼む。


 その笑みはある意味に恐ろしさを感じるてしまう楓。


「はっはいっ!!!お任せ下さいませっ!!!」


 楓は命令を聞くと、さっさと任務を開始するべく立ち去って行く。


 すると勇治が見えて居る範囲内に措いては、何人か後に続く姿が見られた。


「はぁ~、今日は8人か、僕もまだたまだな。」


 完璧すぎるのも考え物だなと、自分で立ち上げたスーパー忍者軍団の物凄さを改めて痛感した勇治であった。


 キリヤ公国連合国は、一月以上掛けた謀略と外交合戦を経て、大規模な大戦へと突入して行く事と成って行く。


 マギアンティア世界統一暦・1555年・5月15日・午後未明・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国連合国本国・キリヤ公国・公王都キリヤ市・公王都キリヤ市郊外・公王都キリヤ市秘密地下大要塞総合司令本部基地にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 ゲルニアン帝国との戦争が確実視される事と成ったキリヤ公国連合国。


 勇治は公王として、新国家として立ち上げた自国をあらゆる災害や戦争等から守らねばならないと決意していた。


 そして、万が一に備えて、徐々に進めて居たある計画を実行に移す。


 その計画とはゴットタブレットを使って、キリヤ公国の主要な都市近くに密かに秘密地下大要塞基地を建設し、どんな怪物であれ、国でも組織であっても負ける事の無い超強力な軍隊を作り上げる事であった。



 その為に、各所に秘密基地大要塞を建築し、その中で多数の兵器を作り上げていた。


 最新式の陸戦兵器群、海上戦闘艦、空母艦船、各種補給装備、歩兵装備、ロボット兵器、宇宙戦艦に空中戦艦、戦闘機、大型輸送飛行機、長距離兵器群と様々な兵器を生産し、蓄えて行く。



 大要塞内はあらゆる分野の物資の大量生産が可能にする工場も備えられ、核戦争や宇宙戦争ですら耐え抜く構造に成って居るチート構造に仕上げて居た。


 この事はセレジアを始めとする信頼に足ると想って居る女の子達には、まだ内緒で秘密な事と、勇治はして居たのである。



 ナデシコ領の転移は、恐らくは全ての始まりなのだと勇治は見て居たからだ。



 そして、ゲルニアン帝国との戦争は、異界から現れる異物や災害との戦いの始まりであり、彼の使命を果たす時だと考え、その対策に動いたのである。



「思ったよりも早かったな。もう少し・・・・・いや、出きればそんな日は来て欲しく無かったな。」


「何れキリヤ公国連合国の中枢に関わるみんなや、これから現れるかも知れない新しい仲間。」


「それとキリヤ公国連合国の国民の人達をこんなバカげた騒動に巻き込むと思うと憂鬱に成るよ。」


「でもやらなきゃっ!そうしないと大勢の人達が困る事に成る。」


「その為には、手段なんか選んで居られない。考えられる限りの手段と装備を整えなきゃ・・・・・・・・・・・」




 勇治は婚約者や国家の重鎮を担ってくれて居る仲間達に隠れて、異世界マギアンティアとキリヤ公国連合国の為に、コソコソと準備を始めた。


やがてはこの事を、自分が何の為に、この世界に居るのかを・・・全てを伝える日が来るのが、そう遠くない筈だと想いながら・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



マギアンティア世界統一暦・1555年・5月8日・午前11時30分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・ガリアナ王国・ガリアナ王国東部地方領主・テレジア侯爵家領・テレジア侯爵領の主都・テレジカーラ市にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 ユイがロカルノ村を旅立ってから7日目のこと。


ユイはテレジア侯爵領の主都・テレジカーラ市へとやって来た。


「ふぅ、着いたわ。」


 「此処が都市と言う所ね?ロカルノ村とは違って、とても大きいわ。」とテレジア侯爵領の主都・テレジカーラ市をキョロキョロと見回すユイ。


 田舎者が丸出しかも知れないが、彼女に取っては初めての地上世界に在る大きな都市である。


 物珍しいのも無理はない。


「ええっと・・・・確かお母さんの話して居た通りなら、テレジカーラ市商工・冒険総合協会内って言う所に在る。」


「職業斡旋課と言う所で、キリヤ公国王宮侍女の人材募集の張り紙が、張り出される予定って言ってたけど・・・・・・・・・・」


 ユイは女神アルテジアの言われて居た通りの場所へと向かう。


 マギアンティア世界統一暦・1555年・5月8日・午前12時30分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・ガリアナ王国・ガリアナ王国東部地方領主・テレジア侯爵家領・テレジア侯爵領の主都・テレジカーラ市・テレジカーラ市商工・冒険総合協会内・職業斡旋課にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 


 ユイは、出稼ぎ労働者として、テレジカーラ市住民に目当ての施設の在りかを聞きながら、何とかテレジカーラ市商工・冒険総合協会へと辿り着く。


ユイは職業斡旋課と書かれて居る受付に行き、受付嬢のお姉さんに目当ての仕事が出て居ないかを訪ねて見た。


「あのー。すみません。」


「はい。テレジカーラ市商工・冒険総合協会・職業斡旋課へようこそっ!何か御用でしょうか?お仕事探しですか?それもお仕事の斡旋依頼でしょうか?」


「就職希望です。それと噂で聞いた話なんですけど、出自と学歴不問・年齢が15歳以上の条件で、キリヤ公国王宮侍女の人材募集が在ると聞き付けたんですけど、在りますか?」


「ええっ?!今日のお昼に告示予定お話なのに、良く知って居ますね?」


「ええっと、何かいけなかったですか?」


「いえいえ、偶に良くある事なんです。告示前に募集して居るお仕事が在るのかって聞くお客様がいらっしゃる物なので、驚いただけなんです。」


「そうだったんですね。それで・・・募集は?」


「出来ますよ。最近に成って建国を為した国家なので、人手不足で困って居るらしいので、締め切りと言われるまでは公募される予定です。」


「良かった。」


「では、身分証明書の登録書を書いてから、紹介状を発行します。」


「此方の書類一式にサインをお願い致します。それとテレジカーラ市商工・冒険総合協会からの紹介状と身分証明書書の発行な銀貨1枚が掛かります。」と言われたユイは、銀貨1枚を支払い、ロカルノ村で発行されて居る身分証明書を提示し、その他に必要な書類に、自分の事を記入して行く。



「はい。有り難う御座いました。これでテレジカーラ市商工・冒険総合協会からの紹介状と身分証明書が発行されますので、10分ほどお待ちください。」


 受付嬢のお姉さんは、ユイに書いて貰った書類を上司に届け、その項目内容をチェックをして貰い、控えの書類を受け取りに別の部署へと消えて行く。


10分後・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「お待たせしました。此方がテレジカーラ市商工・冒険総合協会からの紹介状と身分証明書に成ります。また紛失をしてしまった場合は、再発行に銀貨1枚が掛かりますのでご注意ください。」


「それと紹介状と証明書をキリヤ公国の公王都キリヤ市に在る公王都キリヤ市商工・冒険総合協会・職業斡旋課に提出し、其処から王城であるキリヤ城へと行くようにして下さい。」


「今までキリヤ公国から斡旋仕事で、良く分からずに、行き成り城へと行く方もいらっしゃるので、偶に門前払いを受けてしまうと言う事も有りましたので、商工・冒険総合協会側に、苦情も来て居ますので、ご注意ください。」


「有り難う。此処からキリヤ公国へは、どれくらい掛かるの?」


「そうですね。徒歩だと七日は掛かります。馬で四日、馬車だと五日でしょうか?お客様の様な方であると徒歩でしょうね。」


「今からですと、宿泊が出来る所までにたどり着く町や村までは間に合いません。今日の所は宿屋にお泊まりなられるのが宜しいかと思います。」


「有り難う。それじゃあ・・・・・」


「ご利用を有り難う御座いました。」と元気な声で受付嬢のお姉さんは、ユイを見送った。


 ユイは明日に備えて、テレジカーラ市内のソコソコ良い宿屋に泊まるのであった。



マギアンティア世界統一暦・1555年・5月16日・午前11時15分・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国連合国本国・キリヤ地方・キリヤ公国・公王都キリヤ市にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


テレジア侯爵領の主都・テレジカーラ市を出発してから七日。


 ユイはガリアナ王国との国境付近から30キロ地点に渡って聳え立つ難所たる山脈。


 キリヤ山脈を越えてキリヤ公国へと入った。


 そして今朝がた宿泊をした国境付近の村から出発し、お昼近くに成る午前11時15分、公王都キリヤ市が見渡せる丘の上へと到着する。



「こっ、これが公王都キリヤ市なのっ!?」


 ユイはファンタジー世界たるマギアンティア世界に、似つかわしくない。


 近代的な街並みが広がる公王都キリヤ市を見て驚愕の声を上げてしまう。


「何てっ!トンデモナイ大きさと広さなのっ!これじゃ、テレジア侯爵領の主都・テレジカーラ市なんて、田舎の村にしか見えないじゃないっ!」


「アイツは何て物を造ったのよっ!」


「もうっ!彼の事を心配をして、地上世界へとやってきた来たあたしが馬鹿みたいにじゃないっ!」と、公王都キリヤ市の繫栄ぶりを目の当たりし、勇治が何か困っているかも知れないと思って居たユイは、ぷりぷりと怒りだしてしまう。


「まぁ、文句を言って居てもしょうがないわ。これも修行だとアルテ、お母さんがって・・・・ううっ!!あのお方の名前を口にしようとすると、お母さんって言葉に強制力がっ!」と悶えるユイ。


 知らず知らずのうちに女神アルテジアの名を言えない様に強制力を掛けられる様だ。

 

 それが悪乗りなのか、それとも神々である事を隠す為なのか分からないが、あの女神様の事である。


 悪乗りをして居る方が本音なのだろうと思われた。


 そんなユイは、あの女神様に付いての事を取り敢えずは置いて置く事にし、目的地である公王都キリヤ市市商工・冒険総合協会・職業斡旋課へと向かい。


 テレジカーラ市商工・冒険総合協会からの紹介状と身分証明書を提出し、面接の為にキリヤ城へと向かうのであった。




 マギアンティア世界統一暦・1555年・5月16日・午後12時00分・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国連合国本国・キリヤ地方・キリヤ公国・公王都キリヤ市・キリヤ城・宮中王妃居公邸・セレジアーナ・ユリテリア・ガリアナ居室エリアにて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 キリヤ城にやって来たユイは、紹介状と身分証明書を提出し、面接会場と成って居る宮中王妃居公邸・セレジアーナ・ユリテリア・ガリアナ居室エリアに在る一室へと通された。


其処には勇治の婚約者であるセレジアが面接官をやって居た。


(この人がアイツの婚約者なの?)


(それと戦争って如何言う事なのよっ!)


(これだから地上世界って奴は、ホンと忙しなくて、好きには成れないのよね。)


 ユイは、目まぐるしいキリヤ公国とマギアンティア世界の情勢に着いて行けないと呆れて居る様子。


 彼女がやって来た時期は、後に公帝戦争と呼ばれる寸前の情勢下にあった時期である。


 勇治とキリヤ公国は、国を守り発展をさせるべく、人材募集を掛けて国家総動員をするべく忙しなく動いて居た。


「さて、色々と立て込んで居るし、貴女の後にも面接が控え居るからパパッと済ませたいの。」


「だから単刀直入に聞くわね。何でこの仕事をしたいの?」と聞くセレジア。


「ええっと、母を助けたいからです。」とお手本通りの回答を述べたユイ。


「お母様を?」


「はい。あたしの産まれ故郷は、セレジア様の母国であるガリアナ王国・テレジア侯爵様が治められて居られるロカルノ村と言う山村でした。」


「とても裕福とは言えない暮らしなので、ここまで苦労を重ねて育ててくれたお母さんに少しでも楽をさせたくて、町へと出て来た際に見付けたのが、キリヤ公国王宮侍女の人材募集の張り紙でした。」


「・・・ロカルノ村ね。聞いた事も無い名前ね。近衛騎士のマリアですら知らないかも知れない村かもね。」


「ええっと、かなりの山奥に在るので、租税は殆んどが免除される事が多いです。それに麓とは交流が少なく。」


「外との繋がりも薄いもので、ご領主さまのお嬢様も、ご存知は無いかも知れません。」


「そう、そんな田舎からお母様の為に働きに出て来たか・・・・・うん。決めたわ。」


「お給料を良くして上げるから、私の下で働きなさい。」


「ベル。」


「はい。お呼びでしょうか、姫様。」


「この子を貴女の下に付けるわ。私の身の回りのお世話係として鍛えてちょうだい。」


「畏まりました。姫様」と言ったベルは、ユイを別室へと連れて行く。


「初めまして、ベルファ・ファーストと言います。ガリアナ王国では、セレジアーナ・ユリテリア・ガリアナ様の直属侍女長を務めて居ましたが、今はキリヤ公国公王室宮内庁の総侍従長官に任じられ、全ての侍従の監督管理をするお役目をして居ります。」


「初めまして、ベルファ様。あたしはユイン・テルシーアと言います。ユイと呼んで下さい。」


「では、私もベルで構いません。」


「はい。ベル様。」


「今日から貴女の上司と成りますが、お仕事は明日からに成ります。今日は宿舎へと案内をするので、今日中に身支度と身の回りの整理をして置いて下さい。」


「家財道具関係は後日改めて支給をします。その時は改めて休日とし、手伝いも寄こしますから、その日の内に荷解き作業や荷運びをして下さい。」


「分かりました。」


「では、案内をさせます。その者に付いて行って下さい。」と言うと、ベルは仕事へと戻って行くのであった。


 こうして、お城務めに成る事が出来たユイは、大変な苦労をする事に成るのは、先をお話。


 ユイの地上世界での勇治への罪滅ぼしと研修修行は、此処から始まる事に成る。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ