第2話 少年王と撫子皇国地方の転移 3
マギアンティア世界統一暦・1555年・4月20日・午前8時30分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国・ムツ地方自治州区東方地域・ヒロサキ町近隣地域・旧撫子皇国領・三浦川県及びゲルニアン帝国・フェリス辺境侯爵領・ガントー地方領・チバヤン州・フェリス侯爵領内・ラシノ州南部地域・撫子皇国領国境界線付近にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
転移災害に遭った撫子皇国臨時行政政府と撫子皇国領の各地方行政府は、ユーラシアン大陸の列強国であるゲルニアン帝国政府から齎された国境確定の交渉条件は、ゲルニアン帝国とヒットラン皇帝に従えと言うトンデモナイ物であった。
そんな提案をされた五十鈴は、怒り心頭であったが、冷静沈着に対処する。
撫子皇国軍は、砲艦外交を取り、ゲルニアン帝国に従えと言う彼の国との陸海の国境付近を厳戒体制を取る事にした。
そして、五十鈴と撫子皇国臨時行政政府は、4月20日・午前8時30分頃に両国の国境付近で先の会談での提案に対する回答文章を口頭で読み上げるとの通知をゲルニアン帝国側へと通知して居る
ゲルニアン帝国の外務大臣であるヘスター・ダッケン外務大臣は、撫子皇国臨時行政政府が指定した定刻通りに、両国の国境付近にやって来て居た。
ゲルニアン帝国のヘスター外務大臣は、外交使節団と共に、5千人の兵力を引き連れて撫子皇国領との国境付近に待機して居た。
対する撫子皇国臨時行政政府側は、五十鈴が派遣した外交官と撫子皇国陸軍・8000人が控える。
両陣営は、互いに睨み合うかのように相対し、銃口を構えた歩兵同士が、緊迫しながら睨み合う。
「時間ですね。撫子皇国臨時行政政府の回答をお聞かせ願おう。」
「と言っても、其方側の回答は決まって居るでしょう。さぁさぁ、我がゲルニアン帝国とヒットラン皇帝陛下に、頭を下げなさい。」と、此処でも無礼な振る舞いを言う、ヘスター外務大臣。
彼はゲルニアン帝国とヒットラン皇帝こそが、世界の統べる唯一無二の皇帝であり、大帝国で在ると言う、典型的なゲルニアン帝国至上主義者であるので、この様な不遜な態度が取れるのであった。
「それでは、我ら撫子皇国臨時行政政府からの回答をゲルニアン帝国の外務大臣ヘスター・ダッケン大臣閣下に申し上げる。」
「我々撫子皇国臨時行政政府とその代表である山本五十鈴代表の回答は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「とっと帰れっ!!!以上であるっ!!」
「はぁ?」
「聞こえて居なかったのかっ?とっと帰れだっ!!」
「我々撫子皇国臨時行政政府は、如何なる国と、その武力にも屈しないっ!!特にゲルニアン帝国とヒットラン皇帝にはなっ!!!」
「ななななななっ!!何いいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃーーーーーーーーーっ!!」
「無礼者どもがっ!!!者共っ!奴らは我らが偉大なるヒットラン皇帝陛下と祖国を侮辱したっ!!!」
「由って、これら蛮族ども討伐し、彼の地を制圧し、我らがゲルニアン帝国の版図せよっ!!掛かれえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!!!」
「「「「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」」」」」」」」」」
ヘスター外務大臣は、交渉決裂と見ると否や、どさくさに紛れて撫子皇国領へと攻め入れと控えて居た軍勢に命じる。
「やはりっ!!そう成るかっ!!!」
「総員っ!!!侵略者どもを一歩たりとも此処を通すなっ!!」
「「「「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」」」」」」」」」」
撫子皇国陸軍大将である板垣妙子は、この日に備えて五十鈴から国境防衛を頼まれて居た。
妙子は、押し寄せて来るゲルニアン帝国軍を僅か一時間で、殲滅して見せたのであった。
此れにより、ゲルニアン帝国による撫子皇国領の併合計画は失敗してしまった。
マギアンティア世界統一暦・1555年・4月17日・午前10時05頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国・キリヤ地方・キリヤ公国・公王都キリヤ市・キリヤ城にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
国を建国して4ヶ月が過ぎ、空には国造りで国家を本格的に立ち上げてから2ケ月が過ぎ去って居た。
未だに食べるのに必死な状態が続いて居る中、ガリアナ王国から仕送りとゴットタブレットを用いた生活が続いて居た。
キリヤ公国が自給自足を達成するには、あと数年は掛かるだろうと見られて居る。
間も無く夏が迫って居る一月前とも言うべき5月を目前にしたキリヤ公国は、春の終わりが近いと告げる様な厚い日差しが、チラホラと目立って来た日々が続く、ある日の事である。
キリヤ公国の北東に、見慣れた筈の東のキリヤ列島やムツ半島の先の何も無いゲルニアン帝国との国境の近い所に、突如として、見た事もない土地や町と鉄の船団が現れたとの報告書を受け取った勇治。
更にはゲルニアン帝国も、何から転移地域とみられる土地に対して、不穏な動きを見せて居るらしい。
未確認情報でも有るが、転移地域の軍隊とゲルニアン帝国とが、武力衝突にも発展した言う情報も入って来ていた。
また、その転移地域と見られる町から、時折り武装して居る者たちが、キリヤ公国内に、物々交換による買い出しを申し出ており、それと同時に情報収集も行って居ると言う話も来ていた。
その報告をして来たのは、ムツ地方とヒロサキ町などに住まう住人たちの陳情からであり、また他の情報筋からの話では、まだ新設されたばかりのキリヤ公国騎士団傘下に置かれて居るキリヤ公国・国境警備隊が、緊急事態だとして勇治の居る公王都キリヤ市に報告をして来たのである。
どうやら女神様が仰られて居た転移災害と言うのが、とうとう始まった様に思われた。
それとマギアンティア世界は、神災級転移災害の影響で、惑星が地球世界よりも2倍以上も大きくて、太陽系の火星と似たような一年周期と成って居て、一年間が約730日。
一月約30日前後。24カ月在る。1日約26時間の時計回りと成って居る。
世界神・女神アルテジアの神パワーの力で、マギアンティア世界内で生きるあらゆる生命体は、年齢経過等を含めた地球世界風の時間経過と変わらない感覚に感じられる様に成って居る。
暦は以下の通り。
24月・1月・2月・3月・4月・5月が春。
6月・7月・8月・9月・10月・11月が夏。
12月・13月・14月・15月・16月・17月が秋。
18月・19月・20月・21月・22月・23月が冬。
年前が24月の31日。元旦が1月1日。
新年度が1月で、年末年始が春休み期間。夏休みが8月から9月まで。公的機関及び一般企業の夏休みが3週間から一月(交代制勤務も可)
秋休みの日程が14月の月末から15月の上旬で、一週間から15日程度の日程と成って居る
冬休みの日程が20月の月末から21月の上旬で、一週間から15日程度の日程と成って居る
以上が大まかな季節の年間スケジュールと成って居る。
因みに統一暦は、マギアンティア世界統一暦と呼ばれて居て、勇治かこの世界に飛ばされた時点で1554年代と成って居る。
それはさて置き、勇治は女神様から課せられた使命と、この国や世界を守る為にも、この事態を収集するべく行動を開始する事にした。
「はぁ~、やっと公王都キリヤ市が町らしく成って、キリヤ城も住み慣れて来た所にこれって・・・・・・」とため息を吐く勇治。
「ムツ地方とヒロサキ町では、謎の未開地域ま出現により不安な日々が続いて居ります。」
「此処は勇治さまに事態の収集をして頂かなければ為らないかと思われます。」とキリヤ公国騎士団長のマリアは、統括して居るキリヤ公国騎士団とキリヤ公国警備隊から上がって来た緊急事態報告をして居た。
それ聞いた勇治は、大きなため息を吐かずに居られない。
「これが勇治が以前から言って居た、神災って言う神々によって引き越された超常災害なのね。」
「こんなの可愛い方だと思うよ。」
「下手をすれば、強力な軍隊と国力を持った国家が世界征服を宣言したり、凶暴な巨大怪物が現れたりと、面倒な事には事欠かないと思うよ。」
「勇治君、今の今まではゴットタブレットとか言うアーティファクトは信じられる話だったけど、そんな厄災がこの世界に降りかかるって言われても、この世界に住まう8割方の人々は与太話と笑ってスルーされると思うわね。」と言うのはレイラ・ハルトマンであった。
彼女は数日前に成って、ガリアナ王国の東部のクエルナ町に在るクエルナ町商工・冒険総合協会のギルドマスターの引き継ぎ作業を終わらせ、戸籍状の保護者として勇治が引っ越しをした公王都キリヤ市へと引っ越しして来たばかりである。
今は魔法学者でもありギルドマスターであった経験から、勇治からキリヤ公国の産業顧問をお願いされて居た。
しかしながらレイラは、人口が少ない小国の官僚なんて片手間で済むし、弟分の勇治が給料と寝床と老後年金まで面倒を見てくれると言う破格の待遇で得た公務員職は実に楽な仕事だと思って居た。
それが後にキリヤ公国連邦共和国へと躍進する事に成り、国務大臣を任されたレイラは、その忙しさに大後悔する事に成る。
「それじゃ、マリア。悪いけど転移災害に遭った地域の代表者と話し合いをしに行くから護衛部隊の招集とムツ地方自治州区の全土とヒロサキ町周辺地域の人達には、こちら側からの不用意な接触は避けてと伝えて。」
「まぁ、向こうから買物に来たり、此処は何処かとか言う雑談くらいなら構わないとも付け加えてね。」
「承知しました。」とマリアは勇治の執務室から出て行く。
「レイラさんも悪いけど、今回の一件には同行をお願いします。」
「分かったわ。今のキリヤ公国には、国務大臣や官僚を務める様な人材が本当に居ない物ね。」
「うん、そうなんだよね。元々田舎町でのんびりした暮らしをするくらいにしか考えて居なくて、いざという時はゴットタブレットで防衛すれば良いかなくらいにしか考えて居なかったから、今回みたいなイレギュラーな事態は想定して居なかったよ。」
「それにしても神災って本当に起きるね。勇治をこの世界に送り出したって言う女神アルテジアさまって方には、一度は文句を言いたいわ。」
「悪い方では無いよ。母性の塊見たいな方だったからね。」
勇治はある程度、自分に付いての素性は、身内と成って居る身近な人々に言って在るが、全部は話しては居ない。
マギアンティア世界がどうなって行くのかなんて事は、管理者である神ですら判らないのだから・・・・・・・・・・・・・・・・・・
マギアンティア世界統一暦・1555年・4月20日・午前10時30分・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国・キリヤ地方・キリヤ公国・ムツ地方自治州区・ムツ地方・ヒロサキ町にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
さて、僕はセレジアとレイラさん、そして、キリヤ公国軍として公募したり、セレジアの近衛隊だった騎士や冒険者などが仕官して構成された、凡そ千人の騎士団と市民から公募して新設された警備隊500人を率いて、キリヤ公国北東部のムツ地方自治州区の北部の国境の町であるヒロサキ町へと向った。
ヒロサキ町には国境の砦としてヒロサキ砦が有る。其処から北東に見えている所が、報告に在った問題の地点だった。
ムツ地方と地続きと成っている転移地域は、丸で神奈川県と同程度の広さが在り、三浦半島と酷似して居る地域を中心に発展して居る様に見受けられ、更には伊豆半島の様な半島も転移して居た。
また、その遠くには、多数の群島がらしき影が、30キロ先に向かって広がって居た。
ヒロサキ町へと入った僕達の目の前には、不安や恐怖を抱えた町民達が、公王である僕が来たと聞き付けたらしく。
悲痛な顔を見せながら窮状を訴える様に口々に語り掛けて来た。
「ユウジさまぁ。」
「良くぞ、こんな辺鄙な地方田舎町に、わざわざ御出で頂き真に有難うごぜいますだ。」
「うううっ・・・・・・・」
ムツ地方自治州区の領民達が、鋼鉄の艦隊と現れた謎の町の在る半島や多数ある島々の方向を名が見て、恐怖の余りビクビクとして居る姿が見受けられていた。
因みに此処二週間の間に、転移して来た地域から、兵士らしき者達が部隊を率いてヒロサキ町で物々交換での買物を求めて来たらしく、その序でにマギアンティア世界の世界情勢の話も聞かれと言う。
これは明らかに偵察部隊だね。
異世界へと放り込まれた連中からすれば、周辺地域を調べて回るのは身を守る為に必要な事だろう。
「町長さんの話だと、所属こそ名乗らなかったらしいけど、平穏な第一接触をしてきらしいね。」
「ですが、それも此方のとの紛争を避けるための処置に過ぎないのでは?」とマリアは言う。
「それにヒロサキ町の人達のこの怯える様子は見るに堪えないわ。勇治くん。セレジア様。」とレイラは先を急ごうと皆を促す。
「ええ、急ぎましょう。民達が怯え続けさせて居るのは可哀想よ。」とセレジア言う。
僕もヒロサキ町に住まう住人達が様々な不安に駆られて居る様子を見て居たけれども・・・・・・・そりゃね、見た事も無い多数の鋼鉄船を見ちゃえば、怖いのも無理は無いよね。
それに軍艦には大きな大砲が一杯付いて居るし、謎の兵士達は訳の分からない武器を持って、ムツ地方の領民を威嚇しながら遠巻きに離れて、境界線を定めて上で、こちら側の監視体制を取って居る様だった。
町など含んだ謎の半島地域は、ヒロサキ町から僅か10キロ先の海岸線に、突き刺さる様にして陸続きに繋がり、南方に向かって30キロ近辺のキリヤ公国の国土を一部浸食しながら新しい陸を形成するかの様に広がって居た。
更には隣国で北に在るゲルニアン帝国の国土と領海を明らかに侵食して居たし、別の位置に転移して来た群島も明らかにゲルニアン帝国の領海内である。
それにキリヤ公国と融合してしまった土地の姿形は、神奈川県と良く似て居ると思われた。
さて、此処で出て来たゲルニアン帝国と言う国は、ガリアナ王国を始めとする南方や西方諸国と仲が良くない事で有名なであり、彼の帝国の目的の一つとして、自国一国でユーラシアン大陸の統一を成し遂げると掻掲げる覇権主義帝国である。
この時の僕は、これはきっと大事に成るぞ感じて、急いで半島の町に行こうと、僕は思ったんだよ。
僕達はヒロサキ町を離れ、急いで10キロ先に在る転移地域との境界線へと急いだ。
「うーん、アレって、どう見ても大和だよね。」
これがこの世界の管理者としての最初の事件と意気込む僕。
慎重に警戒しながら、転移した神奈川県と良く似た半島中心とした地域に近付くに連れて、僕は改めて海上に浮かぶ鉄船と半島の港町を良く見てみた。
遠くからでも、とても良く目立つ鉄船。
その姿は旧大日本帝国海軍が保有して居る戦艦・重巡洋艦・巡洋艦・軽巡洋艦・駆逐艦・航空母艦・輸送艦・潜水艦と言った軍艦の艦船がズラリと並べられて居た。
その周りは、どう見ても僕の故郷である日本国内の年代歴で言うと、70年以上も前の街並みと瓜二つだった。
その風景を見た僕は、大体どんな所なのかを察し、日本で学校の歴史の授業やテレビ番組の歴史特集番組なんかで見た事も在る戦艦大和や昭和時代の日本の街並みである様に推察して居たんだ。
「ヤマト?ユウジは、あの鋼鉄船の事を知って居るの?」
「へぇー、あれがユウジ君の故郷なの?」
「それにしても途轍もなく重そうな鉄の塊を良く海に浮かべられたわね。」
「あんな物が在る国なんて、この世界じゃ噂に聞く、アメリナ大陸を制して居るって言う第二文明圏の第二列強国である魔導大国、マギウス・ギアース王国くらいだと思って居たわ。」
マギウス・ギアース王国とは、ユーラシアン大陸から遥か東に遠方に位置する魔導大国であり、アメリナ大陸を制して居るマギウス・ギアース王国の事を指して居る。
ユーラシアン大陸からはかなり遠い異国であるので、魔導士であり魔導学者でもあるレイラは、未だに実物の鋼鉄魔導船を見た事が無かったので、それに近い鋼鉄を見て驚愕して居た。
そんな二人には僕の事情に付いては、ある程度は差し支えない程度に話して在るので、突如として現れた町や船が、僕の故郷である日本の物だとも思ったらしい。
「いや、同じだけど時代が違うよ。」
「あの船は確か70年くらい前に沈んでる筈だよ。僕の故郷で起きた世界大戦の戦争でね。」
「それなら別世界で似た様なニホンが在った世界か、全く異なる時代と世界感を持った世界の辺りから、ニホンと良く似た国の地域が、現れたと言う可能性も有りそうね。」
レイラは学者でも有るので、予測が出きる範囲で、この時点での今の状況に付いての可能性を私見的な見解を述べていた。
「兎に角あそこに行って見ようよ。」
「恐らく向こうも、突然の出来事で混乱して居るだろうし、何よりも、アレだけ物をゲルニアン帝国の連中に取り込まれたら非常に厄介だよ。」
「少なくともユーラシアン大陸ぐらいなら、簡単に大陸征服が出きると思うよっ!」
「お父様達が危なく成るのは、私も見逃せないわ。急ぎましょう。」
僕達は馬で転移して来たしまった半島地域へと急いだ。
そして、僕達は彼の地との境界線近くまでやって来ると、境界線を警備して居た軍服姿をして居る者達が大声で呼び止めて来た。
「其処の者達っ止まれえええぇぇぇぇーーーーーっ!!」
転移して来た大地の境界線に立って居た兵隊達は、どう見ても旧日本軍の兵士の格好に良く似て居るが、茶色と白い軍服を着て居る男女兵士が厳重に見張っている。
彼らは自分達が境界と見なして居る地点に、検問所を設けて、自分達の土地に、見知らぬ土地の人々が、入って来られない様に見張って居るらしい。
その格好からして、茶色の軍服が陸軍で、白い軍服が海軍だろうと見受けられる。
恐らくこの検問所は、陸海軍の共同警備の様だ。
その近くには、九七式中戦車に似た戦車が20両と機関銃に機動九〇式野砲と良く似ている物が多数配備されて居た。
「不味いな。明らかに僕が住んで居た日本の昭和時代くらいの兵器だよ。周辺国が持って居るマスケット銃やフランギヌス大砲なんて代物は、アレに比べたら玩具同然だよっ!」
フランギヌス大砲とは、ユーラシアン大陸を含めた、この世界の多くの国々が標準装備して居る大砲の事で、昔の地球世界に在った様なフランキ大砲と同程度の威力と姿形を持った大砲の事だ。
勇治は転移して来た地域に配備された兵器や武器を見て、過去にテレビなんかで見た太平洋戦争時代の兵器だと判断した。
勇治は万が一にも此処と戦争にでも成ったら、これでは周辺国は太刀打ちが出来ないとも思った。
「凄いわね。明らかに武器や兵器のレベルが違い過ぎるのが、素人の私でも見た目を見ただけでも分かるわね。」
「これ等の物は、とても優れた技術力を用いて造られて居るわね。」
「勇治君、気を付けてね。」
セレジアは転移して来た軍の兵器を見て目を丸くして恐怖し、レイラは交渉が大変な物であると、交渉に赴く勇治を心配そうに見ていた。
「分かってるよ。」
僕は馬を下りて、近くの騎士に剣を預けて非武装に成り、予め用意させて居た白旗を持って、異世界から転移して現れた半島地域を中心とした神奈川県と良く似た大地を守る軍の兵士達の下へと、ゆっくりと近付いて行く。
「其処で止まれえええぇぇぇぇーっ!!お前達は何物だっ!?」
「僕はこの辺りを統治して居るキリヤ公国の公王の桐谷勇治だ。あなた方の中でも、高位に在る地位に位置して居る代表責任者の方と話がしたい。」
「キリヤ公国?それに桐谷だと?貴様っ!撫子皇国人か?」
「撫子皇国?いや、知らいないよ、そんな国。」と聞きなれない国名を聞いた僕は首を傾げながら彼らの問いに答えた。
「何っ?!知らないだと?」
「まぁ、良い。」
「たが、本当の貴様が公王なのか?どう見ても、その辺の何処にでも居る様な、普通の少年にしか見えないが・・・・・・・・・・」
見張りの兵士らが勇治の姿を見て、彼が国王だと言う事に不信を抱く。
突然少年が国王だと言っても信じられないのは、無理も無い事だろう。
「ちょっと事情が有ってね。その辺を含めて説明したいから、責任者に会わせてくれるかな?」
「僕らも君達と戦争するのは、馬鹿げて居るって事くらいは、手に持っている武器や遠くに見えて居る兵器を見れば判るからさ。」
「ほう、我らの武装の価値が分かるとは、ゲルニアン帝国とか言う連中とは違うようだな。」
「ああ、やっぱりね。ゲルニアン帝国の連中は、此処とへ先に来てたんだ。」
「ああ、3日前に5千人の軍勢共に、ゲルニアン帝国のヘスター・ダッケンとか言う外務大臣が、我が撫子皇国臨時行政政府代表へと接触して来たのだ。」
「この地に在る撫子皇国領をゲルニアン帝国へと組み込みたいとね。」
「はぁ~、何て横暴な。」
「全くその通りだ。だから我らが代表者は、それを後日改めて断った。」
「それが今朝がたの事だ。」
「そうしたら今度は、連中は占拠して居る領土から立ち退けと言い始めた。」
「それでも断ると言った我らに対して、奴らは・・・・その後ろに引き連れて居た5千人の軍隊と共に紛争と成った。」
「ええっ?もう軍隊で攻めて来たの?はぁ~、本当に愚かな奴らだな~。」
その結果に付いては、彼らに言われなくても目に見えていた。
きっと、彼らの圧勝だったのだろう。
「大尉殿。山本提督閣下からです。其処に居る方々をお通しても良いとの事です。」
「山本提督?」
「この地に転移してしまった全ての行政府の責任者をして居らるお方だ。」
「元々海軍司令官である山本提督は、今が緊急時であるが故に、この地域全体の国軍の総司令官と行政府代表をも兼務して居られるのだ。」
「それに今の我々は、撫子皇国本土から切り離されてしまって居るからな。その為の対策にも追われて居られる。」
「ふーん・・・・・・」
勇治は山本と聞いて、故郷である日本でも有名でも有った、彼の有名な山本五十六を思い浮かべた。
歴史関係の話が有る程度好きな彼は、13歳とは言え写真くらいはテレビで見た事が有った。
「それでは、代表者を決めて中に入れっ!横須賀市内の横須賀鎮守府と言う所で、山本五十鈴提督が待って居られる。」
「山本五十鈴?五十六では無くて?」
「誰だ、それは?」
「いや、ちょっと僕の知って居る人物の名前と良く似て居たから・・・・・つい、そんな感じの名前なのかなって思ったんだよ。」
「何所の誰かは知らないが、五十六では男では無いかっ!我々の提督殿は、それはそれはお美しい撫子美人とも称される女性海軍司令官なのだぞっ!!」
「あはは、女の人なのね。」
「まぁ、それは良い。さっさと代表者を決めて、山本提督殿の所へ行くのだっ!」
「分かりました。此方も代表者は決まって居るから、後ろに居る護衛の騎士団と警備隊をムツ町の方に退かせるね。」
旧軍風の軍勢である撫子皇国統合軍の許可を貰って、厳重な見張りと警備がされて居る中を僕達は、3人で横須賀市に在る横須賀市役所や横須賀鎮守府の在る行政庁区街へと向かって行った。
因みに横須賀市は、三浦川県と言う行政地区に在る県庁所在地であるらしい。
撫子皇国だと県庁所在地が横浜市みたいな所じゃないんだなぁ~
僕達は横須賀鎮守府へと案内をされて、館内へと入って行く。
マギアンティア世界統一暦・1555年・4月20日・午前11時10分頃マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国・ムツ地方自治州区東方地域・ヒロサキ町近隣地域・旧撫子皇国領・三浦川県・三浦半島地方・横須賀市・撫子皇国海軍・横須賀鎮守府・撫子皇国海軍司令長官室にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コンコンとノックのする音が提督室に響く。
「はい。」
「失礼します。山本提督閣下。キリヤ公国の桐谷勇治陛下と名乗るお方とその同行者の方々をお連れしました。」
「お通ししてくれる?」
僕達は秘書官の案内で提督室へと入る。
其処に居たのは可憐で清楚な大和撫子と言うのに相応しい風貌を持った女性が立って居た。
「初めまして桐谷勇治陛下、私が臨時で撫子皇国統合軍の総軍臨時司令官と臨時行政府代表等を兼務する事に成りました、山本五十鈴と言います。」
「初めまして、僕が桐谷勇治です。山本司令官。」
「五十鈴で良いわ。みんなもそう呼ぶし、どうもあなた達は、年下・・・・見たいね。」
「そう見たいですね。何れも10代ですから。」
「やっぱり、所で貴方は撫子人みたいな名前をして居るけど、この世界にも似たような地域が在るから、その辺りの出身者なのかしら?」
「いいえ、実は僕も五十鈴さん達と同じく、とある理由から異世界から、このマギアンティア世界へと流れ付いた異世界人なんです。事情を話すと長く成るので、詳しい話は省きますが・・・・・」
「そうなの?それは驚きだわ。私達の他にも似たような境遇の人が居るなんてね。」
「あはは・・・・その辺り付いては追々と言う事で、此方の女性達の紹介をさせて下さい。」
「ごめんなさい。」と言いつつ、五十鈴は勇治の後ろに控えていた二人の紹介に入った。
「此方が・・・・・・」
「公王である勇治の婚約者であるセレジアーナ・ユリテリア・ガリアナよ。キリヤ公国西側の隣国であるガリアナ王国の第一王女でも在るわ。」
「私はレイラ・ハルトマンです。まぁ、この二人に乞われて、今は人材の少ないキリヤ公国の産業顧問や官僚なんかをして居るって所ね。」
4人はそれぞれ握手を済ませると、近くに在った、とても高価な造りの椅子に座る。
「さて、キリヤ公国の皆々様。本日は我が行政府に、どう言ったご用件でしょうか?」
「簡潔に言います。五十鈴さん達は、これから如何するんですか?」
「はぁ、話が行き成り直球ね。」
「この際、腹の探り合いをしても無意味な事だと思いますからね。」
「それに付いては、私達も如何したら良いのかは、判らないわ。」
「二日前に現れたゲルニアン帝国の話から察するに、どうやら我々は異世界に転移したらしいわね。」
「となると、厄介よね。我々は皇国本土とは、切り離された挙句に、生き別れと成ってしまったわ。」
「更に三浦川県全域と、この横須賀市の在る三浦半島と多数の外地を含めた地区に撫子市民と現地人が併せて4000万人と撫子皇国軍人50万人が居るこの状況で、これから私達は如何したら良いのかと、正直に言って困ってるのよ。」
「軍だけでも50万人?市民を含めたら軽く4070万人を超えるじゃない。」
「援助するにしても、とてもじゃないけど家の公国だけじや・・・・・・そんな人数は養い切れないわよ勇治っ!」
「そうだね。只でさえ国を立ち上げたばかりだし、家の国は、まだまだ食糧難だしね。」
とても30万人分の食料は、今は持ち合わせていない。
いざとなればゴットタブレット使うまで、でもそれは最後の手段だ。
今は仕方が無いから使っては居るけれど、あればかり頼りにして居ては、いけないが・・・・・如何やら今回も致し方が無い事態らしい。
それに・・・・この撫子の人達を飢えさせる訳には行かないし、ゴットタブレットが在るなんて話を五十鈴さん達には、まだ言えないキリヤ公国の国家秘密。
無駄遣いをすれば人心をダメにする諸刃の剣だし、そなチートな手口が在るなんて手の内を晒せないので、今はどうしたら良いのかとセレジアも頭を抱えて居しまう。
「それなら大丈夫なのよ。食糧関係は、外地地域で、十分に賄えられるだけの田畑は在るのよ。」
「問題は兵隊が余ってて、それを飼い殺して置く給料の払う宛が無いって話だけなの。」
「幾つかの領土と一緒に来てるから、食料生産に付いては何とか成りそうなのよ。」
それは朗報だった。
僕は直ぐに五十鈴さんに交渉案として、当初から思い付いていた提案を提示する。
「それなら提案が有ります。」
「何かしら?」
「撫子軍と臨時政府はこれから先、独立をしたいですか?」
「うーん、これだけの兵器を維持し続けるのも無理なのよね。特に資源を生産して行くのに色々と人材とかの偏りが目立つわ。」
「だから何処かの国に保護をとも、考えて居るの。でも、それが無理なら独立しかないわ・・・・・・・・・」
「それでは我々を含めた南部の国々が色々と困るのです。」
「このままでは、ゲルニアン帝国と国境を接して居る我が国は戦争状態に陥ってしまう。」
「恥かしい話なんですが、我が国は国を立ち上げたばかりの小国で、国軍と警備隊を総動員したとしても3000人が限界なんですよ。」
「其処で如何でしょうか?自治権を認めるので、貴女達の素性を理解が出来て居る僕に、その身柄を預けては見ませんか?」
「そうすれば、少なくともお互いの身の安全と利益が守られますよ。」
「そうすれば、僕と婚約者のセレジアが、周辺国との便宜を図る様に努力しますよ。」
「それは貴方達が、私達の事を周辺国と仲介の労を取ってくれる訳ね。」
「そうすれば、少なくとも私達の資金面での収入が期待できると言うね。」
「そうです。僕達が最も恐れて居るのは、小銃や大砲なんかを資金集め為に、無闇適当に周辺国に売り付けられる事なんです。」
「世界のパワーバランスを思えば、事情を良く知って居る僕が治めているキリヤ公国に編入すれば、戦争を取り敢えずは、暫くの間だけですが、回避が出来る筈です。」
「それに元々敵対して居る国家に嫌味を言われる嫌がらせを受ける苦汁なんて物は、強力な兵器を周辺国や全世界に向けて、ばら撒かれるよりは遥かにマシです。」
「このまま何もせずに・・・・下手をすれば、この世界で世界大戦ですよ。」
「・・・・了解したわ。私達も食い扶持の為に、武器や兵器を売らなくては成らないなんて事態は避けたかったのよ。」
「それにキリヤ公国に付いては、此方の方でも偵察部隊からの報告で知っては居たけれども、外交使者を送る・・・その前にゲルニアン帝国が接触をして来たのよね。」
「この辺り一帯は自分達の土地に成るから、私達もその枠組みに入らないか?なんて無礼な物言いを言って来たから、断ったら出て行けっ!!!って、言って来たわ。」
「それで今朝は武力紛争の大戦よ。はぁ~。ホンと全く困った物だわ。」
「はぁ~、それは災難でしたね。」
「それに比べたら貴方はとても良い提案をしてくれたわ。正に渡りに船って所ね。」
「数日中には、各地の代表者を集めて会議をするわ。」
「少なくとも貴方達のご期待には添えると思うわ。私達も無闇な戦争は望んでは居ないから。」
「周辺国への正式な発表がされるまでの間、自衛戦闘以外は控えて下さい。」
「お互いの取り決めが済んでから、撃って出ても良い事にして行きたいと思いますので・・・・・・」
「了解よ。直ぐにでも事を進める様にしましょう。」
1週間後、撫子皇国が統治下と成って居る三浦川県地域周辺一帯と外地諸島及び撫子皇国統合軍を統括する撫子皇国臨時行政政府は、キリヤ公国との交渉の末に準独立自治権を認めた上でキリヤ公国に編入される事に成った。
特別行政区として国内編入し、ナデシコ地方自治州区が設置され、キリヤ公国の特別直轄地域とされ、撫子皇国統合軍は、ナデシコ自治統合軍へと名称変更される。
これによりナデシコ自治統合軍は、キリヤ公国軍と連合統合する事から、その名もキリヤ公国連合国軍と成り、連合統合されたナデシコ自治統合軍は、連合国軍を構成する一軍と成るのであった。
マギアンティア世界統一暦・1555年・4月30日・午後14時17分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・ローレライ大海洋・アジアン地方・ナデシコ地方自治州管区・ナデシコ第二地方地域・アジアン地方自治州区全土・ゲルニアン帝国・国境領海にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
異世界マギアンティアに転移したナデシコ地方自治州管区・ナデシコ第二地方地域のアジアン地方は、キリヤ列島の北部に位置するキリヤ公国の重要な地域に位置付けられて居る地域と成って居た。
キリヤ公国に取って、国境が強引に北へと押し上げられた形と成ってしまって居る所なのだ。
まぁ、ある意味、ナデシコ地方自治州区とナデシコ自治統合軍が味方に付いた事で、キリヤ公国としては、物凄く助かったとも言える状況なのだが、この事件のもう一方の当事国であるゲルニアン帝国に取っては、黙っては居られない状況なのだ。
何せ一度は外交交渉を仕掛けたがもそれに失敗すると見ると、直ぐに強引な手段としてナデシコ地方自治州区へと5千人の軍勢を差し向けた。
その結果は大敗北を期してしまう。
それでも如何やったら勝てるのかを彼らは模索を続けて居た。
「むっ?もう気付いたのか?」
「大佐殿、如何なさいますか?」
「引き上げるぞっ!どんな侵入経路でも、彼の鋼鉄艦が、我らに向かって来るのでは、偵察の意味が無い。」
「それに、此方の行動が気付かれて居ると分かっただけでも収穫と言えば収穫だ。」
「全艦隊へ通達っ!撤退するっ!」
「ははっ!」
キリヤ公国とゲルニアン帝国の両国は、両国の領海であるローレライ大海洋の南北の境の海上で、睨み合いと互いの出方を伺う偵察と監視行動を繰り返していた。
後にキリヤ公国が連合国制へと移行した際に結成された国軍であるキリヤ公国連合軍。
その主力軍であるナデシコ自治統合軍は、アジアン地方での警戒監視を強めつつ、勇治には彼の国の軍事行動が活発に成りつつあると報告するのであった。




