第2話 少年王と撫子皇国地方の転移 1
西暦1940年・12月8日・午後20時15分頃・地球世界「パラレルワールド一つ」・ズーラシア大陸東部地方・撫子皇国・三浦川県・三浦半島地方・横須賀市・撫子皇国海軍・横須賀鎮守府・撫子皇国海軍司令長官室にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
時は1939年9月1日。同日9時15分頃にヨーラッパ地方の中央地方の雄である列強たるゲルマニーア大帝国は、突如として西隣国であるコーランド公国に侵攻を開始。
世に言う第二次世界大戦の始まりである。
この開戦により立憲王国連合連盟に参加する イングラード連合王国・フランク立憲主義王国・撫子皇国・紗那帝国・コーランド公国・ベルギー王国・デンマー王国・オルドラント王国等を含めた立憲君主制と民主主義制度を掲げて居る国家勢力とそれに相反する勢力である枢軸同盟条約締結国とが武力衝突を開始する。
そんな中で、各地の枢軸列強国であるソビエトル連邦とアトランタ合衆国に挟まれた海洋国家たる撫子皇国は、隣国である紗那帝国と南方民主主義国家であるゴーストラリア共和国の支援をしながら世界大戦へは直接的な介入を避けて居た。
そんな中でアトランタ合衆国は、西と東勢力へと侵攻を続けて居るソビエトル連邦から撫子皇国を黙らせる様に要請を受けた事とにより、撫子皇国に対して無理難題と無茶苦茶な要求を突き付けた。
大まかに有名ななのが以下の通りと成って居る。
第一に紗那帝国へ軍事・経済支援の一切の停止。
第二にジュテーム国際連盟で採択された南洋委任統治領の放棄と枢軸同盟諸国への分割割譲。
第三にゴーストラリア共和国への経済支援の停止。
第四に撫子皇国政府が行って居るハワーイ・ユー保護領王国への経済・軍事支援による干渉の放棄とアトランタ合衆国による同地の属州化の容認。
その他にも30項目が在り、その条件はまともな国家であれば、とても呑めた要求では無い事は明らかである。
世に言うアトランタ合衆国国務長官・コルベール・ハル国務長官によるハル・ノートである。
これにより撫子皇国は、太平洋地域の利権と平和安全保障を守る為に、嫌々ながらもアトランタ合衆国との戦争を決意する事に成ってしまった。
その作戦を開始する前夜の事である。
横須賀市に在る撫子皇国海軍・横須賀鎮守府・撫子皇国海軍総司令長官室で、ハワーイ・ユー保護領王国へと向かう前に、撫子皇国軍務省傘下の海軍庁へと提出を予定して居る書類仕事を終わらせようと、急いで居た人物が居た。
撫子皇国海軍士官学校を主席で卒業し、とんとん拍子に出世を果たした人物で、今は撫子海軍のトップである撫子皇国海軍・横須賀鎮守府・撫子皇国海軍総司令長官を務めて居る山本五十鈴である。
「ふぅ、やっと終わったわ。」
「後はこれを海軍庁に送れば・・・・・・」
「生きて帰れるらしか?」と呟く五十鈴は、唐突に我に返る。
明日から何時死んでも可笑しくない太平洋地域で行われる太平洋戦争へと向かうのだ。
命が幾つ有っても足りないくらいだと感じて居た。
そんな時である。
突然として三浦川県全体が薄暗い雲と大雨を伴う大嵐に見舞われてしまう。
「何だか急に天気が崩れ来たわね。」
その直後である。
横須賀市内に、途轍もない物凄い濃霧に覆われて行く。
「それに何なのよ、この濃い霧は・・・・・・・・・・」
其処に突然として、激しく雷は鳴り響き渡る。
ビカッ!!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロッ!!!
「きゃっ!!もうっ!!驚かさせないようっ!」と頬が膨れる五十鈴は、突然に鳴り響いた雷と稲妻に驚いてしまう事に腹を立てて居た。
ビカッ!!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロッ!!!
ビカッ!!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロッ!!!
ビカッ!!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロッ!!!
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「今度は大嵐?これじゃっ!丸で台風並みじゃないっ!一体、如何なって居るのようっ!」
大嵐は雷と濃霧と共に現れ、横須賀市と三浦川県全体をあっと言う間に飲み込んで行く。
それと同時に大地からは巨大な地震が彼女の居る鎮守府と横須賀市を含めた三浦川県全体を襲ったのだ。
ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!と地鳴りが響き渡り、町からは阿鼻叫喚の叫び声が聞こえて来た。
それに巻き込まれた五十鈴も「じっ!地震?!今度は地震がっ!!」と慌てて机の下へと駆け込む五十鈴。
その地震は10分程度で止んだが・・・・・・・・・・
「ふぅ、震度は、どれくらいかしら?それにしても物凄い地震だったわね。」と言いながら消えてしまった電気スタンドのスイッチを入れ直そうとするが、灯りが付かなかった。
「故障・・・・では無いわね。停電かしら?」と首を傾げる五十鈴は、直ぐに庶務課に務める士官の元へと向かうのであった。
西暦1940年・12月9日・午前8時15分頃・地球世界「パラレルワールド一つ」・ズーラシア大陸東部地方・撫子皇国・皇都・関東京市にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アトランタ合衆国国務長官・コルベール・ハル国務長官によるハル・ノートを突き付けられた撫子皇国は、この世界とは別の異世界の昭和時代の大日本帝国と似たような感じで、間も無く太平洋戦争と呼ばれる戦いへと突入しようとして居た。
撫子皇国の若き皇王で、その見姿は、丸で竹取物語に登場するかぐや姫の様な容姿を持った女性皇王たる皇輝夜。
今年で20歳。
その見姿はと言うと、黒髪ロングヘアースタイルで、やや背が高く整ったボデイスタイルを有し、控えめで大人しい性格をして居るが、ここぞと決めた時にはハッキリと者をいうタイプであった。
そんな彼女は、撫子皇国・皇都・関東京市・千代田区のど真ん中にある皇王城と呼ばれる王城の中心地。
関東湾を眺められるほどに見晴らし良いと言われて居る皇王宮館の2階、輝夜の自室から出た先に在るバルコニーから、夜の皇都・関東京市を眺め、アトランタ合衆国と開戦まじかの夜を過ごして居た。
「はぁ~、わたくしは何んと愚かな皇王なんだろう。」
「アトランタ合衆国を始めとする枢軸同盟条約締結国からの最後通牒すら突っ撥ねられないのに、我が撫子皇国軍は陸軍と海軍の派閥と主張争いが激化し、とうとう国力が10倍もあるアトランタ合衆国との戦争へと突入しようとして居る。」
「これは明らかに外交的な解決と国内統制の失敗だ。」
「かつてのロシリア帝国と戦いの様に勝利を収めたとしても、今行って居る世界大戦後に、どれだけの国力を保って居られるかは想像すら出来ない。」
「恐らく、この戦いに措いての我が国が軍民合わせて、多大なる被害を被るだろうが、その総数の予想として、撫子皇国軍の総兵力を7割を失う事に成るだろう。」
「私は後世の世に措いて、愚王と罵られるかも知れない。」
「何よりも戦地に向かう才人達を大勢失う戦だ。これ程までに愚かな事が在ろうかっ!!」
輝夜は嘆いて居た。
世界大戦に参戦してしまう自国と我が身を・・・・・・・・・・・・・・・・
そんな時である。
突然として三浦川県全体が薄暗い雲と大雨を伴う大嵐に見舞われてしまう。
「何だか急に、西側方向の天気が崩れ来たわね?」
その直後である。
皇都・関東京市・千代田区のど真ん中にある皇王城からも良く見えて居る七浜市辺りから三浦半島地方と三浦諸島を含む三浦川県の全体が途轍もない物凄い濃霧に覆われて行く。
「ああっ!?七浜市や三浦川県の町々に濃い霧がっ!何故っ!あそこだけがっ!?」と言う疑問が輝夜の脳裏に浮かぶが、直ぐにそんな処では無くなった。
そして、更には激しく雷は鳴り響き渡る。
ビカッ!!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロッ!!!
「きゃっ!!もうっ!!驚かさせないようっ!」と頬が膨れる輝夜は、突然に鳴り響いた雷と稲妻に驚いてしまう事に腹を立てて居た。
ビカッ!!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロッ!!!
ビカッ!!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロッ!!!
ビカッ!!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロッ!!!
ビカッ!!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロッ!!!
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「今度は大嵐っ!?これじゃっ!丸で台風の様ねっ!一体、何が如何なって居るのようっ!」
大嵐は雷と濃霧と共に現れ、横須賀市と三浦川県全体をあっと言う間に飲み込んで行く。
それと同時に大地からは巨大な地震が彼女の居る鎮守府と横須賀市を含めた三浦川県全体を襲ったのだ。
ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!と地鳴りが響き渡り、町からは阿鼻叫喚の叫び声が聞こえて来た。
「きゃっ!!地震?」
「輝夜様っ!!」とし言って来たのは、皇室侍従長の木戸浩一である。
メガネを掛けた35歳の男性で、撫子皇国・宮内庁に務める人物であった。
「木戸さん?」
「ご無事で何より、突然の嵐や地震が巻き起こったので、馳せ参じ、駆け付けましたが、ご無事のご様子。」
「揺れが収まり次第、お外へ・・・・・」
「分かったわ。貴方も早くテーブルの下へっ!!」と輝夜が促すと、皇室侍従長の木戸も輝夜の自室へと入ると、中に在ったテーブルの下へと駆け込む。
ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!と更なる地鳴りが響き渡り、皇都・関東京市、関東地方・東海地方・東北地方南部を恐怖のどん底に突き落としたのであった。
ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!
ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「「・・・・・・・」」
「・・・・ふぅ、収まって様ね。」
「はい。丸で17年前に起こった関東大震災の様でしたな。」
「それよりも皇都や近隣地域の被害状況を・・・・・・・・・・」
「はい。直ぐに内閣の閣僚幹部を集めて、緊急災害対策会議を執り行います。」と木戸は総理官邸へと駆けて行くのであった。
西暦1940年・12月9日・午前8時15分頃・地球世界「パラレルワールド一つ」・ズーラシア大陸東部地方・撫子皇国・南太平洋海域・アセアニア地方・バヌアーツ諸島委任統治領・バヌアーツ諸島・バヌアーツ諸島本島・エロティザッチ島・ポートビラノア市・バヌアーツ諸島・撫子海軍基地にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第一次世界大戦後にジュテーム国際連盟から委託された旧帝政時代のゲルマニーア大帝国領土であった南太平洋海域に在ったアセアニア地方・バヌアーツ諸島領は、撫子皇国が大事に統治して居る南洋委任統治領であった。
此処を含めた太平洋の島々を狙うアトランタ合衆国は、太平洋と大西洋を支配し、世界の半分の航路を手にする事で制海権を握る海洋大国へと乗せ上がろうと目論んで居た。
このバヌアーツ諸島委任統治領の防衛を任されて居るのは、撫子皇国海軍が誇る若き海軍幹部の女性軍人であった。
二人は来るべきアトランタ合衆国との戦いに備えて、出港準備体制を取って居た為に、各々旗艦に乗船して居た。
「明日が出陣だって時に嫌な天気だぜ。それに時化って来やがった。」
「そうですね。出港予定である明日に響く事が無ければ良いのですが・・・・・・・・・・・・」
口数の少ない人物で、生真面目な人物で、セミロング風のサラサラの黒髪ロングヘアーの髪型と穏やかな顔付きをし、その背丈は164センチくらいで、ボデイスタイルはまあまあくらいの女性海軍人たる近藤信代。
170センチの背丈とロングヘアーのポニーテールを結った髪型で、クールな顔立ち。
物凄く鍛えられたスポーツウーマンタイプ風に身体つきを持ちつつも、女性としては完成されたボデイスタイル・・・特に巨乳を持ったタイプの身体つきをして居る。
やや荒っぽい男勝りな口調で、大雑把で体を動かす事とお酒大好きな大酒呑みでは在るが、気さくで大雑把な性格をして居る艦隊司令官、渡辺祥子が乗艦して居る第五戦隊の旗艦・戦艦信濃から飛ばして居る無線電波を通しての呟きに対して、聞き返して居た。
「それに・・・・・」
「ええ、この南太平洋で濃い霧に由る濃霧とは、有り得ない気象です。一体どうなって居るのでしょうか?」
其処に突然として、激しく雷は鳴り響き渡る。
ビカッ!!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロッ!!!
「くっそー!!台風並みに荒れ始めて来たか?本当に明日に響く事が無いと良いな。」と司令長官である祥子は、突然巻き起こった大嵐が巻き起こった事で、明日の予定が狂う事を心配して居た。
ビカッ!!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロッ!!!
ビカッ!!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロッ!!!
ビカッ!!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロッ!!!
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ザアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!
「今度は大嵐っ!?これじゃっ!丸で台風並みじゃないっ!一体、如何なって居るのようっ!」
大嵐は雷と濃霧と共に現れ、ポートビラノア市・バヌアーツ諸島・撫子海軍基地全体をあっと言う間に飲み込んで行く。
それと同時に大地からは巨大な地震が彼女の居る海軍基地やトラク諸島委任統治領・バヌアーツ諸島本島・エロティザッチ島・主都ポートビラノア市を襲った。
ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!と地鳴りが響き渡り、町からは阿鼻叫喚の叫び声が聞こえて来た。
「くそっ!!下手をすれば、津波が起きるぞっ!!」
「祥子っ!海上はやや時化ては居ますが、今ならバヌアーツ諸島の住人達を我が艦隊の軍艦や民間輸送船へと避難をさせられます。」
「分かった。バヌアーツ諸島島内に対して、緊急避難警報を発令し、急いで港に停泊中の船に飛び込めと命じるぞっ!!」
祥子と信代の二人は、司令官の権限の範囲で、バヌアーツ諸島内に住まう住民達に対して、緊急避難警報を発令し、同地に停泊中の官民全ての船舶へと非難させた。
バヌアーツ諸島内の駐留する撫子皇国軍は、陸海軍合わせて4千人、バヌアーツ諸島現地住民は三千人程度である。
避難する住人と軍人は多いが、幸いな事にバヌアーツ諸島の全方位には桟橋が掛けられて居るヶ所が多く、島内は比較的狭いので、手早い非難が可能と成って居た。
この日、バヌアーツ諸島の緊急避難命令を受けて非難した官民の人々は、一人の犠牲者を出す事無く、停泊中の船舶へと非難を完了した。
避難を完了した頃には、バヌアーツ諸島の海は大荒れと成り、大型船舶を大きく揺らすほどに激しかったと言う。
バヌアーツ諸島を襲った大嵐と大地震が収まったのは、それから30分が経ってからであった。




