第123話 少年王と夏休みと残暑と世界情勢っ!! 7
マギアンティア世界統一暦・1555年・11月28日・午前10時17分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸・ローレライ大海洋・キリヤ公国連合国・第三連合地方・新トウキョウ湾岸海洋都市・特別地方自治州区・政府行政区主要特別区・サイタマ県地区・サイタマ県地区南東部地域・所田市・埼玉カントリー俱楽部にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
此処はキリヤ公国連合国の中でも最も北に位置する地方自治州区の一つである新トウキョウ湾岸海洋都市・特別地方自治州区こと、略称名は新トウキョウである。
新トウキョウは、キリヤ公国連合国内では、準独立自治国家権限を有する特別独立自治州行政区と成って居る自治政府自治州区である。
ナデシコ地方自治州区に続いて、キリヤ公国連合国に編入されたキリヤ公国本土の直轄地域で、その地位はナデシコ地方自治州区と同様に、キリヤ公国中央政府と公王である勇治のお墨付きで、国内二番目の準独立国と同等の扱いを受けて居た。
そんな新トウキョウにも夏休み期間・・・・と言うより、これまでの転移災害によるゴタゴタが続いて居たせいで、夏休みを取り損ねていた政府機関は、キリヤ公国連合国中央政府に合わせる形で、交代制の夏休みを取り始めていた。
旧内閣総理大臣の事で、新トウキョウ湾岸海洋都市・特別地方自治州区を治める最高位元首の事を指して居り、新トウキョウ都自治州区庁官も兼務する事に成って居る。
新トウキョウ地方自治州区中央議会内閣府総理大臣こと、新トウキョウ総理大臣を引き続き、日本国総理大臣時代から務める事に成った中泉純一郎。
彼は大人の社交スポーツまたは、お金が掛かるスポーツとも言うべき、会員制ゴルフ俱楽部としても知られて居るサイタマ県地区南東部地域・所田市・埼玉カントリー俱楽部へと、自由民権党所属の国会議員のゴルフ仲間と供に遊びに来て居た。
「ナイスショットッ!!」と言うのは、若手議員の一人がお決まり文句を言うのは、どの世界でも太鼓持ちの役回りだからかも知れない。
「ふーっ!!偶の休みにしか行けないゴルフプレーにしては、良く飛んだほうか?」と中泉は、ゴルフボールの飛んで行った飛距離を簡単に概算をしながら呟く。
プレーして居る他の議員らも、付き添いのキャディさんからクラブを受け取ると、交代で打ち込んで行く。
そんな日頃の政務と言う激務のストレス発散をして居る中で、朝から始めたゴルフも、3ホール目の終盤に差し掛かろうとして居た時の事である。
プルルルルッ!!プルルルルッ!!プルルルルッ!!プルルルルッ!!
プルルルルッ!!プルルルルッ!!プルルルルッ!!プルルルルッ!!
プルルルルッ!!プルルルルッ!!プルルルルッ!!プルルルルッ!!
「はい・・・・こちらは中泉の秘書で御座います。はい。はい。えっ!外務省の?はい。はい。はい。畏まりました。総理にお伝えして置きます。」
「んんっ!?如何した?何か揉め事か?」
「いいえ、揉め事では無いのですが・・・その・・・・」
「何だ、歯切れの悪い物言いだな。」
「それが・・・・先ほどの事なのですが、アーラスカン共和国の大統領であるナポレオーネ・ディ・ブオナパルテ・レオンハルト大統領が、急遽・・・・キリヤ公国連合国に避暑旅行に出かけたいから、ビザ申請を通して欲しいと言って来て居るらしく。」
「新トウキョウ外務省は、特に断る理由も無く、中央政府とキリヤ公国連合国・外務省も追い返す理由も無いからと、ビザ申請を通したとの事とです。しかも・・・レオーネ大統領は、直ぐに旅行に出かけるべく、この新トウキョウにやって来たと言うんです。」
「はぁ?何でまた、そんな一国の大統領が、新トウキョウ(うち)やキリヤ公国連合国内に旅行に行きたがるんだ?」
「何でも・・・・幾つかの通行予定先の国々にも話を通して居るらしく、そのやり取りに、我が自治州区の無線機や長距離電波式電話を使って居るらしく。」
「既に段取りを終えて居るとのこと。その目的は・・・・然る情報筋によれば、宗主国王である勇治くんに、会いに行く為ではないかと考えられます。」と秘書は言うが、然る情報筋と言うのは、恐らくはキリヤ公国秘密工作諜報情報部局からタレコミなのだろうと推察される。
一国・・・いや、一地方自治州区の首相の秘書が、そんな機密情報を知り得て居るのも、中泉の傍で働いて居る関係で、最低限に知って居る事柄だけでは有るが、中泉の秘書である以上、聞き耳を立て居なくても小耳に挟んでしまう事も有るらしい。
それに極一部では有るが、治安と治世が安全と見られて居る国への渡航は、原則として認められて居る。
その関係で、マスコミ各社は、未知の異世界諸国へと取材の為に出掛けて行くのだが、それには報道機関会社と言う概念が通じる事が最低条件とされて居るので、地球世界の様に、危険性が高く、テロリストや宗教的な理由や政治的な理由から鎖国体制を敷いて居る国々へと渡航した際の自己責任と言う事態には、成って居なかった。
そんな理由から、新トウキョウの近隣地域に点在して居る諸外国の情報も、ある程度は、正確に入って来ていたので、中泉の秘書もそこからの情報は一般人程度に知り得て居た。
「何せ、アーラスカン共和国は、ゲルニアン帝国と国境紛争で敗戦して居り、領土の一部を盗られたとの報道が有ったばかりです。」
「恐らくは、レオーネ大統領は、その事に対する支援を求めての事かと・・・・・・・・・」
「それはそれで、向こうの勝手なのだが、手続きを踏んだうえでの来訪での素通りと言うの成らば、我れら新トウキョウとしては止める理由も無い。」
「ですが、レオーネ大統領の来日した事を知らぬ存ぜぬでは、済まないでしょう。」
「歓待する事は断られても、せめて港で出迎え、挨拶を交わし、手伝える事は何か無いか?と申し出るのは、外交社交辞令として、外交関係を維持する上で必要な事かと思います。」
「そうだな。一応は各方面に話を通し、私からもお手伝いを出来る事は無いかと、お伺いを申し出るのが筋だな。悪いが、手配を頼む。」と言うと、中泉は午前中でゴルフを切り上げ、突如としてアーラスカン共和国から来日して来たレオーネを出迎える準備を整える事に成ったのだった。
マギアンティア世界統一暦・1555年・11月28日・午前12時10分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸・ローレライ大海洋・キリヤ公国連合国・第三連合地方・新トウキョウ湾岸海洋都市・特別地方自治州区・政府行政区主要特別区・トウキョウ都地区・千代田区丸の内一丁目・トウキョウ駅・上越新幹線乗換口専用区画ホーム・20番ホームから23番ホームへのロビー付近にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
キリヤ公国連合国に散々な目に遭わされたヒットランとロンデルの二人は、二次プランと化してしまって居たアーラスカン共和国とスノーランド部族国への侵攻作戦計画を進め始めた。
キリヤ公国連合国が、一先ずの平和を手にして居たが、その陰ではキリヤ公国連合国が巻き起こした騒動の煽りを受けたアーラスカン共和国が軍事侵攻を受けていた。
ヒットランとロンデルの二人は、非常に厄介な軍事・外交・政治に措いて卓越した才能を有するレオーネに対して、真っ向勝負を挑むほど愚かではない。
其処で手駒と搦め手の策略と言う二つの手段を使う事にした。
それは何かと言うと、旧フランク王国王であった、ルイジェルド・オーギュースト・フランクの王妃であるマリーア・オーギュースト前王妃。
それともう一つは、オーストレリアーン帝国の女皇帝で、マルジェリータ・アントワークネット・オーストレリアーンこと、ルジェリーの二人を利用する事である。
此処まで言えば、ヒットランとロンデルの二人の企む悪巧みの内容と言うのは、大抵の人は気付くだろう。
要は旧フランク王国のマリーア・オーギュースト前王妃を旧王国領を奪還し、フランク王国を再建させると言う大義名分の元に、ゲルニアン帝国とオーストレリアーン帝国の二カ国が支援する・・・・と言うより、東西から挟み撃ちにすると言う計画である。
その計画に気が付いたレオーネは、どれもこれもキリヤ公国連合国と勇治が悪いと言い放ったが、又もやハッとする。
それならば、キリヤ公国連合国と勇治を利用して、この窮地を脱すれば良いのだとね。
そんな訳で、アーラスカン共和国大統領であるナポレオーネ・ディ・ブオナパルテ・レオンハルトこと、レオーネは、友人であり副大統領でもあるエマニュエル=ジョゼッフ・シエイエリスこと、エマを同行者として選ぶ。
二人を含めた数名の同行者と供に、翌朝までにキリヤ公国連合国への渡航準備を済ませ、更には領内通過に必要な根回しを終えると、アーラスカン共和国を出発。
キリヤ公国連合国の国内二番目の準独立国と同等の扱いを受けて居る特別独立自治州行政区の特別自治州区特権を用いて、アーラスカン共和国と国交樹立を為したばかりの新トウキョウへのと特別連絡船に乗り込み、勇治が居る場所へと向かうべく。
取り敢えずは、キリヤ公国連合国の本国を目指す事にした為、経由地と成った新トウキョウのニイガタ県地区・新潟市・新潟港へと到着すると、直ぐに在キリヤ公国連合国・新トウキョウ・アーラスカン共和国・ニイガタ県地区支部・新潟市領事館の外交官達らの出迎えを受けると、直ぐに新潟駅へと案内され、上越新幹線へと乗り込む。
初めて乗り込んだ新幹線の性能を聞かされたレオーネ達らは、僅か2時間で、360キロもの距離を走り抜ける事に、半信半疑な気持ちで居たが、いざ新幹線が走り出すと、その性能に驚愕する事に成る
「間も無く、23番線ホーム内に上越新幹線上り列車が終点トウキョウ駅に到着します。」と駅構内にアナウンスが流れると、水色を基調とする10両編成列車が到着する。
その中の3番車両から降り立つ異国人たちが人目を引く。
「本当に360キロもの距離を・・・たった二時間で着いてしまったわね。馬車ならば、凡そ三日くらいは掛かる距離なのに?」と余りにも文明レベルと新幹線の技術力の高さに舌を巻いてしまうエマ。
「それだけ機械技術が優れて居る証なのだろうな。」
「さてと、次は飛行機とか言う乗り物に乗って、キリヤ公国本国から夏休み旅行中の彼の居る場所へと向かえば、明日までには、初日の滞在先へと追い付ける筈だ。」
レオーネ達は、勇治の祖国でもある日本国の有る地球世界でも言われて居る通り、しつこいくらいに設置されて居る案内版や案内地図を見ながら、今度は羽田空港へと向かう乗り物を求めて歩き出す。
彼女達は、元江戸城でも在る元日本大皇家御所・大皇居、今は朝陽宮翠と朝陽宮瑞樹母娘二人がキリヤ公国の王族として、合流する事に成った為に、大皇居の所有権が、勇治とキリヤ公国へと移譲される事に成った為。
新トウキョウ地方・キリヤ公国公王別邸と名称変更が為された建物が良く見えるトウキョウ駅中央口に出て行くと、在キリヤ公国連合国・新トウキョウ・アーラスカン共和国大使館の大使と職員らに、専用公用車で、出迎えられるが、其処では予定とは違った人物たちも出迎えにやって来て居た。
それは誰かと言うと、新トウキョウ総理大臣を務める中泉純一郎も、夏休み中であるのにも関わらず出迎えに来ていたのであった。
「ようこそ、新トウキョウへっ!!ナポレオーネ・ディ・ブオナパルテ・レオンハルト大統領閣下。私が新トウキョウ都自治州区庁官と新トウキョウ総理大臣を兼務して居る中泉純一郎です。」
「初めまして、中泉総理大臣閣下。アーラスカン共和国の大統領であるナポレオーネ・ディ・ブオナパルテ・レオンハルトだっ!!」
「呼び名はレオーネで構わない。この度は突然の訪問にも関わらず、尚且つ夏休み中と聞いて居るが、その様な中でのわざわざのお出迎え、感謝を申し上げる。」
「いいえ、アーラスカン共和国は、我が独立自治州区の重要な隣国です。更に付け加えて言えば、貴国とは、お付き合いを始めたばかり、もっともっともっと交流を深めて行くのは当然のこと。」と社交辞令をお互いに言いながら二人は、握手を交わす。
「さて、レオーネ閣下。折角、新トウキョウに起こしに成られたのですから、これから細やかな歓迎会でも如何でしょうか?」
「いや、結構です。折角のお誘いなのだが、私は会わねば為らないお人が居るので、先を急ぎたい。」
「それは残念ですな。お時間が有れば、あの新トウキョウ地方・キリヤ公国公王別邸で、ランチタイムと洒落込みたい所でしたのに。」と言うが、中泉も、在キリヤ公国連合国・新トウキョウ・アーラスカン共和国大使館の大使から、レオーネの希望するスケジュールを予め事前に聞いて居るので、社交辞令を述べるのに留まる。
「レオーネ様。羽田空港へと向かう道すがらの途中で、お食事を取る余裕は有りますが・・・・」と大使は告げる。
「ふむ・・・・少々時間が有るのか?成らば中泉殿。何か珍しい異国料理を所望したい。」
「それでしたらば、羽田空港へと向かう途中に在る品川町の老舗寿司屋にでも行きましょうか?」
「スシ?」と聞きなれない料理の名を聞かされ、思わず首を傾げる。
「レオーネ様。スシとは、新トウキョウまたは日本国と言う国に措いて、異国人が最も珍しがり、ギョッとする料理です。」
「その内容とは?生魚を念入りに下処理を施し、味付けをした物に、酢と言う調味料で下味を付けたライスを握り重ねた食べ物です。」
「ほう、わざわざ生魚を食べるのか?」
「はい。最初こそ生魚をとは?思いますが、食べてしまえば、これほど素材の味を楽しめる料理は、アーラスカン共和国の沿岸部にも有りません。」
「・・・良いだろう。これでもコルシカ島の漁師町育ちの貴族の生まれだ。」
「生魚は飽きるほど見ているし、生臭いのにも成れて居る。それに故郷にも無い魚料理と言うにも興味が惹かれるしな。」
「上手いこと行けば、新しい産業や貿易にも成るかも知れん。」と言うと、レオーネは出迎えでやって来た公用車に乗り込み。
トウキョウ都地区・品川区・品川町に在ると言う老舗寿司屋に向かう事に成った。
其処で彼女は、和食の美味しさにドハマりをし、故郷であるコルシカ島のアジャク市に、和食料理を広め、新トウキョウとの生鮮食品貿易を進めて行き、やがてはアーラスカン共和国に和食ブームを巻き起こす切っ掛けにも成るのだった。