第119話 少年王と夏休みと残暑と世界情勢っ!! 3
マギアンティア世界統一暦・1555年・11月26日・午前10時12分頃・マギアンティア世界・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸・ユーラシアン大陸北東部地方・アーラスカン共和国・アーラスカン共和国西部・フランク地方西部地域・旧フランク王国派閥占領統治都市・ストラトス・ブール州・州都ストラトス市・旧フランク王国派閥占領統治機構・新生フランク王国臨時政府国家元首官邸(州都ストラトス市役所庁舎)・マリーア・オーギュースト前王妃執務室(州都ストラトス市・市長室)にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
旧フランク王国の国王であるルイジェルド・オーギュースト・フランク(ルイジェルド16世)国王は、オーストレリアーン帝国の女帝であるマルジェリータ・アントワークネット・オーストレリアーンの4女であるマリーア・アントワークネットを妻に向かえた人物として知られて居る。
しかしながら、キリヤ公国連合国と桐谷勇治が現れたマギアンティア世界統一暦・1555年代時点では、既に死亡して居る。
マリとは10歳違いの政略結婚で、彼の悩みは跡継ぎが中々出来なかった事であり、子作りの為に国内の有力者貴族家の娘達は勿論のこと、ゲルニアン帝国やオーストレリアーン帝国からも嫁や妾を迎えていた事で有名であった。
しかしながら、当たりは得られず、年若い娘達をとっかえひっかえして行くが、それでも子供には恵まれなかった。
そんな事を繰り返して居た15人目の女性と言うのが、マリーア・アントワークネットこと、マリだった。
しかしながら、マリを迎えた当時のルイジェルドは、女性不審に陥り、性交行為には前向きでは無く、夫婦仲は最悪だった。
とうとう一年が経過し、フランク王国革命が勃発しそうな中で、酒に酔った勢いでマリの身体を求めて出来たと言うのが、待望の嫡男であったシャルルである。
だがしかし、フランク王国革命での内戦が激しく成り、王都・パリティ市へとフランク王国改革・国民派閥軍が迫って居る中で産まれた、子の成長を見届ける事無く。
フランク王国革命が勃発してからたった二年と言う月日で、フランク王国改革・国民派閥軍が、王都・パリティ市を占拠。
ルイジェルドは、フランク王国改革・国民派閥の手によって処刑されてしまった。
その王妃であったマリーア・オーギューストこと、マリは、実家であるオーストレリアーン帝国女皇帝で、マルジェリータ・アントワークネット・オーストレリアーンこと、ルジェリーから、国外脱出または国外追放と言う体裁で、助ける用意が有ると言うが、マリは夫であるルイジェルドに殉じると言って、頑固に母親からの助け舟たる申し入れを頑として聞かなかった。
それもその筈、そう言った王侯貴族としての心構えと生き方を強要しつつ、そう生きるべきだと英才教育を施したのは、何を隠そう母親であるルジェリーだったからだ。
その言葉に母親であるルジェリーは、頭を抱えてしまい、せめて処刑された娘夫婦の墓を自分の元へ来るようにとして居る時である。
マリとシャルルの親子は、ゲルニアン帝国のヒットラン・アドルフラー皇帝の命令により、ゲルニアン帝国の首都である帝都ベルリナ市へと密かに連れ去られたと言う一報が入った。
ゲルニアン帝国のヒットラン皇帝は、ユーラシアン大陸統一と言う野望が有り、それを達成する為にも、マリとシャルルの親子らを・・・旧フランク王国の国王であるルイジェルド・オーギュースト・フランクの正当なる一族として、手厚く保護し、何れはアーラスカン共和国と成ったフランク王国領を取り戻し、二人を王族として復権させる計画を目論んで居た。
と言うか、傀儡政権にして、何れはゲルニアン帝国の併合国家領にしてしまう目論んで居ると言うだから、えげつないと言えるだろう。
そして、マリは・・・・マギアンティア世界統一暦・1555年・11月24日に、ザクセンブルクハルト侯爵家領・ザクセンブルクハルト地方、ザクセンブルクハルト侯爵家領州都・ドレスデン市で、新生フランク王国政府軍を結成する。
更にはゲルニアン帝国軍の手を借りながら、アーラスカン共和国西部・フランク地方西部地域・ストラトス・ブール州・州都ストラトス市へと侵攻を開始。
そして昨日、マギアンティア世界統一暦・1555年・11月2日に、旧フランク王国系貴族の手を借りつつも、ストラトス・ブール州と州都ストラトス市を僅か一日で陥落したのであった。
・・・・・とは言え、これはアーラスカン共和国政府と大統領であるレオーネの隙を狙った完全なる不意打ちに過ぎない上に、マリと新生フランク王国政府軍が蜂起する以前に、マリの実家であるオーストレリアーン帝国政府も、アーラスカン共和国政府に国境紛争を仕掛け、それに忙殺されるように仕向けた罠が有ってこその成功に過ぎない。
更にヒットラン皇帝は、夏季休暇停戦の通達文をストラトス・ブール州と州都ストラトス市をマリと新生フランク王国政府軍が占拠したの同時に成ってから、オーストレリアーン帝国政府と連名で、アーラスカン共和国政府に通達。
これによりアーラスカン共和国政府とレオーネらは、失地奪還する事が困難な状況へと陥らせられてしまったのだった。
そんな感じで、旧フランク王国王妃であるマリーア・オーギューストこと、マリは、州都ストラトス市役所庁舎を占拠し、新生フランク王国臨時政府国家元首官邸(州都ストラトス市役所庁舎)とし、市長室をマリーア・オーギュースト前王妃執務室として、その椅子に腰を下ろしながら、下から上がって来た書類に目を賭して行く。
因みにストラトス・ブール州・州都ストラトス市の民衆や役人・軍人らは、旧王国派が大っ嫌いなので、新生フランク王国政府軍がやって来る前に、荷物を全てまとめて、ストラトス・ブール州中からスタラコラサッサと逃げ出して居り、町のあらゆる財貨と食料・物資に至るまで、もぬけの殻と化して居た。
そんな状態へと陥ってしまった今の新生フランク王国は、旧王国貴族諸侯を除いて・・・・国民がゼロであった。
しかも、市民・役場職員に至るまで、最後の抵抗と言わんばかりにと、市役所と市町村役場に措いて有る筈の全て公文書の書類が持ち逃げされて居た。
これでは新生フランク王国が、新たな統治が始められない上に、一から資料の作り上げねば成らなくなってしまう。
その様な事に成ってしまったマリたちは、頭を抱えて悩まされ居るのであった。
「はぁ~、戻って来れば、少しは民達の支持を得らると思って居ましたが、その目算ですら甘かったと言わざるを得ませんわ。」
「此処まで旧フランク王国政権側のわたくし達が民達に嫌われて居ると成ると、帰って清々しいですわね。」
マリは、全てを持ち去って夜逃げしたストラトス・ブール州・州都ストラトス市の民衆や役人・軍人らの事を呆れるのを通り越して、溜息混じりに苦笑いするしか無かった。
そう、嫌われて居るのは分かっては居たが、生まれ故郷と土地財産の全てを捨てて、持ち逃げが不可能な物を除いた、全ての金目の物だけを持ち逃げして出て行くとは、考えては居なかったからだ。
「ですが、あの子の為ですもの・・・例えそれが、ヒットラン皇帝陛下の傀儡政権と成ろうとも、ルイジェルド陛下の・・・・フランク王家の血筋は必ずや後世に残す。それがわたくしの・・・・使命なのですから・・・・・」
マリは、フランク王国改革・国民派閥派の手によって処刑された、亡き夫であり、前フランク王国の国王であったルイジェルド・オーギュースト・フランク(ルイジェルド16世)の地位の復権。
愛する我が子であるシャルル・オーギュースト・フランク(シャルル17世)を次代のフランク国王にすべく、奮起するが・・・・・それは旧フランク王国の民達である現アーラスカン共和国の国民たちらに取っては、大迷惑でしかない我が儘な願いだった。
それでも彼女は、息子を・・・夫の様と同様のフランク国王にして、生活を楽にしてやる事こそが、母親としての責務であると・・・・する事で、何も出来ない無力な母親である事から逃れようともして居た。
そんな彼女は、まだ本当の恋と愛を知らない。
今は単なる無力な王妃でしか無く、母親であるマルジェリータ・アントワークネット・オーストレリアーンこと、ルジェリーから教わった帝王学の英才教育の薫陶を実践する頑固で真面目な女性でもあるが、その一面を知る者は少なく、世間一般には世間知らずの我が儘な女性であるとして、誤解されて居る悲しい女性でもあった。
間も無く彼女にも運命の時が訪れ、生涯を供に過ごす人物との出会いが待って居るとは、まだ知らない、マリなのであった。
マギアンティア世界統一暦・1555年・11月28日・午前9時17分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸北部地方・ゲルニアン帝国・帝都ベルリナ市・ベルリナ帝城宮殿・皇帝執務室にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
公帝戦争・ビクトリナ南洋大戦、アイヌル・シャッコロ・北地の反乱と九州島地方戦役と言った、キリヤ公国連合国と関わりの在る戦争・内戦・紛争に表と裏から関わって居たゲルニアン帝国は、度重なる敗戦により、今やマギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸の北部全土の国土領有地の4割5部にまで擦り減られてしまい、栄えある列強国の座から転落をしつつ在る単なる強国と成ってしまって居た。
その支配地域は今やロシア連邦程度でしか無くと言っても過言では無い広さを誇って居る。
それでもまだまだ大きな国土有する強国には違いないが、ユーラシアン大陸南方諸国同盟と、その友好国であるガリアナ王国・オルトランタ商業連合国が北部一帯へと国土を広げ、同じくキリヤ公国連合国も自治国の加盟加入により、その国土をゲルニアン帝国を取り囲むようにして広げていた。
更には西にスノーランド部族国と東にアーラスカン共和国と言った国々を地図上から見ると、国土と兵力でゴリ押しが出来ていた時代から見ると、ゲルニアン帝国は完全に包囲されてしまって居ると言えるだろう。
これ以上の失態は、ゲルニアン帝国の発展をさせて行く処か、衰退に向かって、まっしぐらと成ってしまうと焦るヒットラン皇帝とロンデル大元帥の二人。
二人は、スノーランド部族国とアーラスカン共和国での隠密侵攻作戦が、まんまんと上手く行った、新生フランク王国臨時政府(旧フランク国王・亡命政府政権)軍によるストラトス・ブール州と州都ストラトス市への奪還作戦(ゲルニアン帝国政府と軍部による紛争作戦)が成功を収めたとの報せに歓喜をして居た。
「くくくくくっ!!あの敗戦王妃・・・・・オーストレリアーン帝国の女皇帝の手がけた箱入り娘の割には、上手くやったではないか?」
「まぁ、殆んどが我が帝国軍の手柄による物です。勝って当然の事でしょう。」
「さて、それよりもだ。西側のスノーランド部族国方面へと配備した新兵器の事だが、その開発者である例の者に造らせた兵器の生産と配備状況は、今は如何なって居るのだ?」
「それも間も無く、結果が判る頃合いかと思われます。」
そんな意味深な話をして居る所に、軍部の伝令官が現れる。
「申し上げます。我が国の新兵器団・・・3個師団が、キリヤ公国連合国・ナデシコ自治統合陸軍・第三師団のスノーランド部族国派遣教導師団を破り、スノーランド平原地域の東部地方の3地方州を奪い取りました。」
「でかしたっ!!」
「おおっ!!それは朗報ですなっ!!」
「ロンデルよ、直ぐに追加の軍勢を送り、守りを固めるのだっ!!」
「ははっ!!」と言うと、ロンデル大元帥は、彼が所管をもして居るゲルニアン帝国・軍務省へと向かうのであった。
「・・・・じゃが、今回の紛争による戦の勝敗は、奇襲による所が大きい。」
「ナデシコ陸軍は、我が帝国を相手にするのならば、旧式と化して居る撫子皇国時代の兵器で十分と思って居たからの勝利なのじゃっ!!」
「今もキリヤ公国連合国内では、続々と新兵器の配備と新興勢力の一体化を進め、更なる戦力増強を図って居ると聞く。」
「我が帝国も、キリヤ公国連合国に負けぬ機械化兵器の導入を急がねばっ!!」
「例のあの者に、もっともっともっと製造や新兵器開発を急がせるのだっ!!」
「ははっ!!直ぐにゴルクガング殿に、皇帝陛下のご意向をお伝えを致しますっ!!」と、伝令官は何処へと向かうのであった。
はて?ゴルクガングとは・・・・一体、誰の事なのだろうか?
勇治とキリヤ公国連合国に、新たな戦雲が近付こうとして居た。