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キリヤ公国英雄戦記物語  作者: 伊達教宗
第10章 アマテラス神皇国・戦国無双・萌将伝・新納院・高城の戦いっ!!
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エピソードブラス・アマテラス神皇国・戦国無双・萌将伝・新納院・高城の戦いっ!!孤高忠義臣っ!!山田・理安・有信の戦いっ!!1 

マギアンティア世界統一暦・1555年・11月10日・午前11時37分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・九州島地方・島津家領・南九州地方・木城地方・木城南部地方・木城高山・島津軍・日向国支城・山田・理安・有信守将拠点城・新納院・高城近く・日向国・大隅国主要街道・大日街道沿いにて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 マギアンティア世界統一暦・1555年・11月8日。


 この日に起きた小丸川の戦いに敗れた島津・衣恵与・家久は、陸海空軍から成るキリヤ公国連合国・九州統一平定征伐連合国軍に、コテンパンのズタズタ、ボロボロにされ、追加銃砲撃を喰らい、命からがら、這う這うの体で、本国領地の在る南へと逃げていた。


 日向国・大隅国とを繋ぐ主要街道・大日街道を南へと向かって居た島津・衣恵与軍は、小丸川の戦いで負傷者・死傷者を除く4500人を引き連れて、山田・理安・有信が、守将として居る島津家・拠点城たる新納院・高城の近くを差し掛かって居た。

 

 其処へ新納院・高城の守将である山田・理安・有信が少数の手勢と供に、騎馬武者を伴って現れた。



「衣恵与さまっ!!」


「理安?出迎えに来てくれたの?」


「はっ!!そろそろいらっしゃるであろうと、この地にて貴女様の事をお待ちして居りました。」


「でも貴女は、今日の夕刻までには新納院を退去すると言って居たじゃない?」


「はっ!!その通りです、衣恵与さま。」


「今現在の日向国方面の島津軍の状況ですが、日向国及び周辺地域の負傷者を含めたお味方の軍勢が、新納院・高城下町に続々と集まり、治療や休息を終えた者達から、本国領地である大隅国領へと出発をさせて居ますが・・・・・」


「・・・・間に合わないんだね?」


「残念ながら、思ったよりも多くの負傷者が出て居る為、今の進行状況で行きますと、数日中にはキリヤ公国連合国軍に追い付かれてしまいます。まぁ、これにはキリヤ公国連合国軍の進軍速度が尋常じゃないのが要因として挙げられる事を付け加えて置きます。」


「そうした理由から、予定して居た。本日中の新納院からの退去は、事実上は不可能と見て間違いは無いでしょう。」


「はぁ~、戦場で付いて来れない者達は、敵に押し付けるしか無いけれど、まだ捕虜には成って居ない味方の将兵達は、出来ればわたし達の手で連れて帰り、療養と治療を施して上げたかったけれど、これじゃ・・・・・」



 九州統一平定征伐連合国軍と戦う島津大名王家の島津・弘美と島津・衣恵与を含めた重臣たち上層部は、日に日に増えて行く負傷者に頭を抱えて、悩んで居た。


 本国領地へと連れては帰れなかった多くの将兵達は、その殆んどはキリヤ公国連合国の手によって救われ、運悪い者は天へと召されて居た。



 戦の最中の事とは言え、島津・衣恵与は若いながらも断腸の思いで、味方負傷者を戦場に置き去りにして行くしか無かったのであった。


 それが何れはどうなるのかを見越しての事だが、キリヤ公国連合国の軍勢は、何れの加盟国軍も中央政府法の規律を順守すると言う、それはそれは厳しい法律であり、動けなくなった敵捕虜や負傷兵を助けるのは義務と定められて居る事を島津家も、これまでのキリヤ公国本国と連合加盟国の戦歴から来る情報収集を分析した上で、知り得て居たからである。


「だけど、これ以上、敵に世話に成ってばかりなのは島津家としての面子が・・・・・・」と、普段は元気で明るい顔立ちをして居るのだが、今は厳しい顔立ちをする島津・衣恵与。


 敗戦するのは最早、避けられないのは理解をして居るが、今はどう負けるのかに島津家の戦後の存続に関わるので、キリヤ公国中央政府が島津家の戦後の扱いが如何なるのかが判らない今は、敵たるキリヤ公国連合国軍を出来る限り梃子摺らせる事で、島津家は大国を相手ににしても油断ならない国家である事を示す事が、島津家の生き残らせられる唯一の望みとも成ってしまって居た。


 そんな理由から島津家・4女の島津・衣恵与も簡単には、降伏をするのは島津家の恥であるとの想いを持って居るのであった。


 そんな島津・衣恵与を見かねた、新納院・高城の守将である山田・理安は、島津家の為に覚悟を決め、主家一族衆の本家姉妹の末っ子に進言する。


「衣恵与さまっ!!私をお使い下さい。」


「ええっ!?だだっダメだよっ!!理安っ!!貴女はお父さんから弘ねぇに付け与えられた、わたし達姉妹の為にって、譲ってくれた大事な家臣にして、専属の付け家老なのよっ!!」


「それに弘ねぇのお気に入りで、島津家代々に仕えて来た山田家と言う島津家譜代家臣の当主なの。」


「こんな負け戦で死なせたら、それこそお父さんに叱られるだけじゃ済まないよっ!!」


「いいえっ!!もう島津家は、十分に武威を大国であるキリヤ公国連合国と宗主国王である彼の少年王に示されました。」


「後は出来るだけ多くの者達を本国領地へと連れ帰り、覚悟ある者達は、少年王とキリヤ公国連合に、我ら島津者の恐ろしさを見せ付け、その価値を認めさせるまでの事っ!!」


「それこそがっ!!我ら島津者が生き残る唯一の手段であると心得て居りますっ!!」


「後は、某と山田家古参の者達で、何とか致します故に、衣恵与さまは、明日の夜までには、新納院城下をご退去を下さいませっ!!」


「でも・・・・・」


「衣恵与さまっ!!この理安に最後のご奉公の機会をっ!!」


「貴久さまの目に留まり、弘美さまにお仕えし、わたしは幸せで御座いました。」


「それに報いるのには、今しか御座いませんっ!!」と理安は覚悟を言い切ると、流石の衣恵与も、その覚悟の程を無下には出来ず、渋々彼女を新納院・高城と城下町を守り、味方を逃がす時間稼ぎをすると言う、全滅覚悟の籠城戦を強いらせる事に成ってしまった。



 理安は、山田家と自身の遺言書を衣恵与に託し、戦後の山田家を頼み込んで死地に居残るのであった。




 マギアンティア世界統一暦・1555年・11月12日・午前10時13分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・九州島地方・島津家領・南九州地方・木城地方・木城南部地方・木城高山・島津軍・日向国支城・山田・理安・有信守将拠点城・新納院・高城にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 小丸川の戦いで、島津・衣恵与・家久軍5千人を打ち破り、日向国・日向市・日向港及び日向城を掌握したキリヤ公国連合国軍は、更に南下して九州統一平定征伐連合国軍の東部地方制圧軍と南部地方制圧軍・遊撃戦部隊である遊撃戦連合国軍らと合流して居た。


 その名称を九州統一平定南東方面征伐連合国軍と変え、最終到達目標地点である島津家の東本領地、大隅国の国境線へと進軍して行く。


 アマテラス北九州地方での島津軍とキリヤ公国連合国軍との決着が付きつつある中で、島津家は徐々に追い詰められ始めて居た。


 新納院・高城にて籠城を決めた山田・理安・有信は、九州統一平定南東方面征伐連合国軍が現れたとの報告を聞き付け、新納院・高城の三ノ丸曲輪の櫓から眼下に広がる木城南部地方の平地を眺め見て居た。


「殿っ!!来ましたぞっ!!」


「・・・・その様だな。」


「連合国軍の先鋒軍は・・・・・・」とユーラシアン大陸との貿易船を通じて島津家が手に入れたゲルニアン帝国製の遠眼鏡で覗く、山田宿老重臣の一人。


 島津家は、属国とした竜珠王国りゅうきゅうおうこくを通じて、大華天帝国・クーロンとゲルニアン帝国との交易を盛んに行って、莫大な富を得ていた事により、キリヤ公国連合国とは別の交易品を手に入れ事が出来ていた。


 そんな理由からゲルニアン帝国製の遠眼鏡を簡単に仕入れる事が可能と成って居る。


「・・・・軍勢の中央に、水色布地に、越前大野朝倉・三ツ盛り木瓜紋。先鋒は三つ盛亀甲に唐花菱紋です。」


「と言う事は、的先鋒軍の陣容は、手堅い戦術で名高い、大野朝倉家の朝倉・育美・景鏡と美青年と見間違うと名高い美丈夫にして、織田・信長と義理の姉妹を誓い合ったと言う浅井・真心・長政ですな。」



「旧浅井・朝倉同盟の連合部隊が、キリヤ公国連合国軍の先鋒隊とは、侮れませんね。」


「その後ろを見てみろっ!!」と山田・理安は、遠眼鏡を片手にしながら、家臣達に告げる。


「・・・ややっ!!アレはっ!!」


「稲葉家の家紋である角折式に三つ文字紋ですね。」


「それも色違いだ。如何やら稲葉親子が来て居るらしい。これは厄介だな。」


「確かに、ご隠居と成られて居る稲葉・一徹・良通殿は、恐らくは戦目付けを担っておいでなのでしょう。」


「稲葉家の本隊軍は、娘の貞通殿の差配なのだろうが、それでも良通殿の手勢は、護衛隊に過ぎぬと見られとは言え、僅か200人。それでも何れの将兵達らは、手練れ揃いだと思われます。」


「それに変わった兵器が見られますな。」


「確かに、あれらは露払いであると思われ、連合国軍の先鋒隊を務めながら、此方を睨みつつ、やって来て居ります。」


「あれは噂に聞くキリヤ公国本隊軍なのだろう。我らはキリヤ公国連合国軍と戦う前線をまだ見たことも無い。」


「敗戦した来た家中の者達からの話や噂話に由れば、相手の取る戦法・戦術には、我らの見た事も無い、優れた機械技術の塊とも聞く。」


「海外からの風聞の噂に由れば、アマテラス神皇国地方の遥か東向こうに在る大陸。第二文明圏の中心たるアメリナ大陸・マギウス・ギアース王国の魔導兵器を圧倒して居ると聞き及ぶ。」 


「殿・・・・これでは、城から打って出るのは危険ですな。」


「少しでも有利にと考え、緒戦では奇襲攻撃作戦を考えては居たが、出鼻から挫かれてしまったな。」


「恐らくは、羽柴家の竹中。又は黒田と言った軍師らの差配による献策による物かと思われます。」


「特に家久さまは、大分城での戦いで、竹中・半那・治重の罠に掛かり、キリヤ公国連合国軍の逆包囲網を仕掛けられ、逃げ帰るしか有りませんでしたからな。」


「それは楽しみですね。このアマテラス神皇国地方に措いて知られて居る猛将・智将らと相まみえると言う贅沢な大戦。」 


「さて、その大戦も終盤戦を迎えようとして居るこの状況下で、どれだけの軍勢が、この新納院・高城に釣られやって来るのか?」


「本当に楽しみだな。」と呟くと、家臣達は、不敵な笑みで頷き合うのであった。 

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