第101話 少年王と夏休みと南方大国からの使者っ!!21
マギアンティア世界統一暦・1555年・11月2日・午前8時10分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国連合国本国・第一連合地方・キリヤ地方・キリヤ公国・公王都キリヤ市・公王都キリヤ駅・キリヤ公国・公王族専用車両発着ホーム内にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
17号車両・上杉家・キリヤ公国武士軍団第一軍団御一行と書かれた車両の隣には、18号車両・キリヤ公国武士軍団御一行様と書かれて居る車両と成って居た。
キリヤ公国武士軍団とは、キリヤ公国連合国とゲルニアン帝国との大戦争である公帝戦争での武力衝突を前に、兵力不足を補う名目でアマテラス神皇国地方から浪人・ホームレス・弱小国人・仕官希望者等々と言った、アマテラスの様々な階級層から搔き集められ、仕官した文官・軍人達の事を指して居る。
一口に武士軍団と言っても、前線へと出て行く実働部隊と後方支援部隊に、事務方の事務官僚等の部署に別れて居る。
平時には武官の一部は文官として働いてるものも多く居り、文官の方も前線近くへと赴き、データ・書類・補給物資と言った物を届けたり、管理したりして居る場合もある。
今現在では第十三武士軍団まで戦力が増強されつつあり、キリヤ公国武士軍団を統括する指揮官たる総軍団長及び第一武士軍団の軍団長を務める上杉・剣信・輝清の名の下に、何時でもキリヤ公国王たる桐谷勇治の剣として戦う覚悟を持って忠誠を誓って居る猛者達であるのだ。
その猛者達も、公帝戦争を始めとする一連の戦続きであったが、此処に来てようやく、キリヤ公国本国と連合加盟国及び同盟国らに平穏無事な日々が戻った為、一斉休暇がを与えられて居た。
「ふぅ、美味いっ!!流石は奥州仙台産の清酒、菊正宗だ。辛いが魚料理によく合う。」
「この為に朝食を抜いて来た甲斐が有りますね。」
右サイドポニーテールの髪型とキリっとしたクールで明るい感じの顔立ちの津軽・乃為・信胤。
それと170センチの長身に、髪をロングストレートの中間で結っており、クールな顔立ちをして居る正木・時奈・茂時らは、久しぶりに朝からお酒を嗜んで居た。
キリヤ公国連合国軍は、近代化軍なので、勤務時間外と非番の日でないと、飲酒をする事が全面的に法律で禁止されて居る。
武士軍団の面々の中には、この夏休み旅行で日頃では味わえない贅沢を楽しもうとして居る様である。
「この新トウキョウ産の河豚の卵巣の糠漬けも、良く塩気が利いて居て酒が進む。」
河豚の卵巣の糠漬けとは、日本国・北陸地方の一部の地域でフグの卵巣をと特別に加工して作られた珍味の事である。
フグの卵巣には、肝などと同様に致死性の高い毒素であるテトロドトキシンが多く含まれて居る為、そのままでは食用に出来ないのだ。
しかし、石川県白山市の美川地域、金沢市の金石、大野地区では、その卵巣を2年以上にも渡って、塩漬けおよび糠漬けにする事で、毒素を消失させ珍味として販売して居る。
なお、新潟県佐渡市には河豚の卵巣の粕漬け、福井県高浜町に塩や酒かすに漬け込んで毒を抜いた珍味「福のこ」という似た料理がある。
食品衛生法により食用が基本的に禁止されて居る卵巣を、この加工法で食品として製造して居るのは、日本全国でこれらの地域のみである。
一般的な魚卵に比べて塩漬期間が長いため、塩気が強いのが特徴だ。
味は濃厚で、米飯と共に食べたり、酒の肴として珍重される。
また、強い塩気を活かしてお茶漬けやパスタなど料理の味付けに活用されることもある。
藤堂・吉与・高虎は、それらを美味しそうにちびちびと食しながら酒をグイッと飲んでた。
その近くでは同じ寝台列車に乗る事に成った同僚達に付き合う旧尼子家の主と家来コンビが、フェリス侯爵独立自治領国・バンドー地方自治州区・州都・バルサレ市産の最高級白ワインを片手に、美河豚の卵巣パスタを啜って居た。
「ズルズルっ!!」とパスタを美味しそうに頬張るのは、髪型はロングショートヘアースタイルで、身長が163センチのややスレンダーな体型をした歳若い女の子。
「姫様。美河豚の卵巣パスタ、味しいですね。」とその隣には、実の姉の様に見守るおかっぱ風のショートカットヘアーの髪型をして居り、背丈はまぁまぁ高いくらい。
やや、ロリ巨乳なスタイルをして居るお姉さんが据わって居た。
パスタを啜り食べるなんて下品な食べ方と思うだろうが、此処はキリヤ公国連合国。
日系国家とそれに準じた地域人が多く暮らして居るので、身内同士の内々なら文句を言われる事は無いのだった。
「もう、鹿乃。私達はもう同僚なんだから、何時までも大名王家時代の呼び方は止めてって、言って居るでしょう。」とぷりぷりと怒るのは、尼子・勝美・久勝である。
「ですが・・・・・たった半年で、こうも日常環境が目まぐるしく変わる事に成れなくて・・・・・・・」と恥ずかしそうに言う山中・鹿乃・盛幸。
二人はアマテラス神皇国地方の西部地域、中津国地方にその名を轟かせる程に強大な軍事力を有して居た旧尼子家の生き残りであった。
尼子家とは、先代である尼子・勝美の父親である尼子経久が、同じく毛利家先代当主たる毛利基就と毛利家3姉妹に敗れ、没落した尼子家の事である。
その遺児である尼子・勝美・久勝は、勇治の呼び掛けに応じてキリヤ公国本国へと仕官し、その経歴から第四武士軍団の団長を務めて居る姫武将である。
その尼子家家臣団の筆頭家老家であった山中家の跡取り娘だった山中・鹿乃・盛幸は、主たる勝美を妹の様に大事にして居る近所に居るようなお姉さんな感じな人で、巷では尼子家の苦労人とも言われ、不運が付きまとう不幸な体質で、その為か軍旗には七難八苦の旗を掲げている。
その不幸か幸運なのかは分からないが、キリヤ公国軍内では、第六武士軍団の団長を勤めて居るのに至った出世を遂げていた。
今では尼子家の残党達と共に、キリヤ公国本国にて、軍人として暮らして居る二人は、公王都キリヤ市の屋敷を構えキリヤ公国公国内で尼子家を復興させて居た。
これが後にキリヤ尼子家と成るのだが、それはもう少しだけ先の話である。
「相変わらずの仲睦まじい様子よね。」と正木・時奈は、にこやかに言う。
「いえ、騒がせて申し訳ないです。」と慌てる山中・鹿乃。
「良いのだ。我らは同僚だ。」と津軽・乃為と笑顔で言う。
「そう言う事だ。さぁ久しぶりに楽しく騒ぐぞっ!!何せ、朝から酒と豪勢な食事が、タダで楽しめのだから陛下に感謝をっ!!」と藤堂・吉与が音頭を取る。
「我らが主君と・・・・」と尼子・勝美が続き。
「第二の故国たるキリヤ公国連合国にっ!!」と山中・鹿乃が、更にそれに続く。
「「「「「繫栄と栄光っ!!乾杯っ!!」」」」」
5人は乾杯をし、楽しく食事をとりながら談笑を始めて行く。
「それにしても、この前の九州戦役では、尼子家の二人は凄かった。」と津軽・乃為は尼子家の二人わ褒めちぎる。
「そうね。」とクールに不敵に笑みを浮かべながら、それに同意する正木・時奈。
「そんなっ!!それは単に運が悪かっただけですよ。」と恥ずかしく言う山中・鹿乃。
彼女は持ち前の不運が付きまとう不幸な体質を逆手に取り、島津軍を次から次へと釣りだした討ち取ったと、同僚達から褒めちぎられて居た。
「それでもだ。並大抵の武将ならば、混乱して軍勢が崩壊して居ても可笑しくはないのだ。」
「それを冷静沈着に出会い頭に遭遇した敵軍をお二方は見事に壊走させて居る。」
「これは尼子兵と戦法戦術が未だに強い証拠であると言える。大いに胸を張っても良いと思うぞっ!!」と藤堂・吉与が羨ましがるのは、とにかく出世、出世と出世して自分のキャリアアップをして、良い仕事先で出世をして行きたいと思って居るからである。
だが同時に同僚達を褒めるだけの良い器量を持ち合わせて居た。
「吉与。もう酔っぱらって居るの?」と同じ年の吉与を心配する尼子・勝美。
吉与は軽く酔い始めていた。
「いやいや、まだまだ。兎に角ご両者は、それだけ良い働きをして居ると言う事なのだ。」
「はぁ~、吉与。久しぶりに騒げるからお酒の進みが早い様ね。」
「良いんじゃないか。偶にはさ・・・・・・」
「夕刻に公王都・メイル市に着くのだろう?それまでは酔いが覚める筈・・だ。」と正木・時奈は、グイッと清酒をおちょこで飲み干す。
(ねえねえ、そう言う時奈さんって・・・・・・・)
(ああ、良く見たら・・・・・・・)
(そう見たい・・・・)
(これは・・・・・ひょっとして・・・・・・)尼子・勝美と山中・鹿乃のコンビらの目線の先に在るのは、正木・時奈が飲み干した白ワインと清酒の空酒瓶が結構な数が置かれて居た事に啞然と驚いてしまう。
((((一見、素面に見えて、実は完全に酔って居る?))))
勝美・乃為・鹿乃・吉与の4名は、結構な数の酒瓶が転がる正木・時奈の姿を恐ろしいと思うのであった。
普段からお仕事に真面目でクールビューティーに見える人が、お酒を飲むと止まらない人だって言うパターンは、偶に見掛けるけど、実際に見るとドン引きしてしまうと思う同僚達であった。