第99話 少年王と夏休みと南方大国からの使者っ!! 19
マギアンティア世界統一暦・1555年・11月28日・午前8時10分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国連合国本国・第一連合地方・キリヤ地方・キリヤ公国・公王都キリヤ市・公王都キリヤ駅・キリヤ公国・公王族専用車両発着ホーム内にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
足柄・一輝らが乗って居る5号車両のお隣。
6号車両もキリヤ公国・キリヤ公国宰相内閣府・閣僚御一行様と書かれて居る。
其処には結城・梅晴・春宗・長野・業乃・正則・相良・晴陽・義陽・相良・頼子・頼房と言ったキリヤ公国宰相内閣府に務める面々が乗って居た。
旅行荷物も部屋に置き終わった6号車両のメンバー等は、車両内に備え付けられて居る茶室にて、列車が出発するのを待って居た。
「こうして纏まった休暇が取れるのも初めてだな。」
「そうですね。公国に来て以来、本当に色々事が在りました。」
「確かにな。色々な事が在った。」
「キリヤ公国連合国も大分大きく成り、一等国と成るまで、あと少し。」
「大華天帝国・クーロンとの国交樹立、国交開設に伴う外交交渉がみを結べば、武力でキリヤに手を出そうと言う国々は格段に減るだろう。」
「それが済めば、じっくりと国内統治に尽力しつつ、後進の育成に、後釜づくりと宰相内閣府の国家幹部としてやる事は山ほど有るが・・・・・国を立ち上げた創世記の務めた人材としての役目は果たせる事に成る。」
梅晴は今までの事を振り返りつつ、しみじみと感じ入りながらも、淡々とキリヤ公国連合国の将来設計に付いての計画も幹部官僚職を務める3人語る。
「それと・・業乃、将来の私の事なんだが・・・・・」
「後は結城家の養子に成ってくれそうな跡目が出来てだな。外務大臣と外務省官僚の育成を終えたら、政界からの隠居を考えて居る。」
「相良姉妹も業乃も、務める先は問わないから、今から色々と御国お勤めの経験を更に積むのだぞ。」
「えっ!!」と驚く業乃は、梅晴の引退宣言に驚いた様子。
「梅晴さん。勇治陛下とリィーゼ宰相のお二人立ってのお願いされたと言う、折角の外務大臣職を・・・・何れは誰から譲られるんですか?」と驚く相良・頼子。
普通なら国王または宰相が任命するか、辞職による現職大臣の推薦が一般的な大臣職就任の話は、地球でもこの世界であっても何処でも同じの様だ。
だが梅晴は定年退職まで務める積りは無く、早期引退して子育てか、後継者の教育に専念したいと考えて居る様だった。
そんな話を他の幹部職クラスの者達よりも逸早く聞かされた3人は、驚きつつも戸惑ってしまう。
「梅晴殿・・・・・・・・」とアマテラス系の姫武将の先輩である梅晴の将来設計を聞かされて、思う所が相良・晴陽。
「まぁ、そう驚くな。今直ぐと言う話では無い。」とにこやかに言う梅晴は、心配してくれて居る仕事仲間の態度が嬉しく思えた。
大名王家を止めた自分に対して、それだけ頼りにされて居ると言う事実が堪らなく嬉しい自分にも嬉しいと言う思いが在ると言う事にも・・・・・・・・・・・
「何れはと言う話だ。もう今年で29歳の私だが、まだまだ働き盛り年頃だ。」
「40歳までにはキリヤを如何にかして、一等国にしたいと考えて居る。」
「将軍王だった一輝も、国防大臣の職務を何れは引退も考えるだろう。あいつの場合は世継ぎを作る相手を探す事が先だが、万が一にも見つからないと言う事に成れば、奥の手とも言うべき勇治が居るからな。」
「何れは奴目との子作りの為、夜伽の覚悟を決めるだろう。」
「おっと、この事は内緒だぞっ!!」と言う梅晴。
如何やらこの話は、一輝と一緒に酒の席で酔っぱらいながら話した時の事の様だ。
一輝は本気で勇治とは恋仲には無いが、姉と弟くらいには思って居ると梅晴には話して居る。
この世界でキリヤの様な国家体制を取る国は稀だが、大勢力の男性当主が複数の女性と婚姻関係を活用して国体を維持する事は、決して珍しい人では無い。
一輝も自信が女性である事を自覚をして居るので、いざと成れば、子孫を残す手段に勇治との関係を作る事も視野に入れて居る。
これは偽政者の家柄でもある足柄家としての矜持とも言うべき覚悟の表れとも言えた。
二人はお酒の席で色々な話を語らう中で、ぶっちゃけたお話も言い合って居た様である。
「お二人共、何かと二人切りで、良く飲まれて居ますものね。」
業乃は各部署の大臣達の間を行きかう公王執務官邸庁・官房長官と言う職務上の関係で、誰と誰との関係で仲が良いのかを良く知って居た。
「それにしても一輝様と梅晴殿の引退か・・・・・」
「ちょっと想像がし難い話だよね、お姉ちゃん。」
それに比べて相良姉妹らは、キリヤ公国連合国へと入り、幹部官僚と成って日が浅い。
キリヤ公国を建国時して最初期の幹部である一輝や梅晴達は、何れは年を取って引退の時期を迎えるが、その前に己が家の跡目や後進の育成もしなければ成らない使命も役目も背負って居る人物だ。
そんな観点から、何時までも重要職に居座り、若手に経験を積ませないのもキリヤ公国連合国の為には為らないと考える話を幾度も交わして居る。
宰相を務めて居るリィーゼはまだまだ若いし、連合国の各地には、国家元首クラスに上りつめ、最終的にキリヤ公国宰相と成る様な人材は数多居る事だろう。
将来的には自薦、他薦、選挙と言った方法等で候補者を探し洗い出し、最も相応しい人物を公王が吟味する形で、任命して居るかも知れない。
だが、専門職と言え様な部署の人材の発掘は結構大変な作業と成る筈だ。
それぞれの部署で有力者候補を育て洗い出し、推薦する。
または他から連れて来るのも良いが即戦力が欲しいのがこの世界での実情だ。
それだけこの世界は混迷して居るとも言えるからである。
二人は各々の役職の後進を早めに決めて、宰相内閣府から早めに立ち去ろうとも計画して居る様だ。
それが建国して間もないキリヤ公国連合国の為だと考えて・・・・・・・・・・・
「大名王家を引退して、更に自領地を閉じてキリヤ公国へとやって来た私は、元々下級官僚職を希望して居たのだが、数ヶ月前のあの頃・・・・キリヤ公国連合国には、人材不足で閣僚幹部職が穴だらけだったからな。」
「そんな時にアマテラスから渡海して来た私は、勇治やリィーゼらか行き成り外務大臣をして欲しいと言って来たのだ。」
「如何やら地方名大王時代、群雄割拠の関東地方での手腕を買っての事らしいが、身分地位上で準男爵または勲爵士とでも言って良い私が、内閣閣僚である外務大臣を任されたんだ。正直言って最初は戸惑ったよ。」
「だがな。異世界人だった勇治の目線では、出自や地位に年齢や性別と言った測りで見ていない奴だと、思い至った私は、外務大臣を引き受けた。」
「だから、お前達も頑張って上を目指して欲しいのだ。」
「はい。わたくしも先達たる梅晴殿に倣い。立派なキリヤ公国の官僚と成るべく精進し続けると共に、何れは閣僚幹部を目指せるような人物と成るべく、励んで行きたいと思います。」
「お姉ちゃんなら出来るよ。私も協力するっ!!」
「ふむ。良い心がけだぞっ!!二人共っ!!」
「それだ。これは先ほど話した事とは違う話に成るのだが、この際だ。この場で皆に聞きたい。私の養子に成りそうな年頃の若者に心当たりは無いか?」と言われる一同。
「ご養子ですか」と業乃と首を傾げる。
「梅晴殿。済まないが我が相良家も親族の殆んどが年配者で、九州平定戦役前後の戦場で、討ち死にして居る物も多い。」
「ええ、お姉ちゃんの言う通りで、梅晴さんに釣り合う様な若い人と成ると・・・・・ご家族との関係も在るから、とても良い相手を探すのは大変かも知れません。」
「そうか、この旅行を機に養子を探す切っ掛けにもしたいと思って居てな。」
「確かにそうですね。この旅行にはキリヤ公国連合国内に加盟する数多の国々から来ている諸侯や幹部官僚らも多いです。」
「梅晴殿。因みに国籍や出自は?」と聞く相良・晴陽。
「この際だから問わない。何か光る物が在れば良いが、結城家の伝統や家風、それに結城家の家名を大事にしてくれる若者と成る人物が良い。」
「その前にご自身で、お相手を探したり、お見合い等をした上でのご結婚はしないのですか?」と聞く相良・頼子。
「私はもう良い年だ。今から探して30歳半ばだったら、子供を作るのも産むのも難しい。」
「実に残念な事だが結城家直系の血筋は、この私の当代までだな。」
「結城家のご先祖様には申し訳ないが、せめて結城家の家名だけは、どうしても残したいんだ。」
「では、それを踏まえて梅晴さんのお眼鏡に適う様なお子様が居そうな家々に、それとなく訪ねて見ましょうか?」と提案する相良・頼子。
「うん。それが良いですね。私も官房長官を務めて居るので、それなりに顔が広く成って来たので、探してみましょう。」と締め括る長野・業乃
「済まない。3人とも助かる。」と深々と仕事仲間に頭を下げる梅晴。
これが後に徳川・千代・家康の妹。
松平・千香・康秀と引き合わせ事に成る。
だがしかし、運命の悪戯か梅晴は、30代半ばに成ると遂に念願だった子供を懐妊する。
その相手が桐谷勇治だった。
勇治との長い付き合いを経て勇治に女としての好意を抱いた梅晴は、側室枠でキリヤ結城公王家と成り、公王族家の一員と成ったが、家臣であるが故にキリヤ公国王家の後継者の地位から子供を退かせると公言し、養子である結城・晴香を結城本家の跡取り後継者である事には代わりないと、とも宣言する。
後世の世に措いて結城家は、結城・晴香・康秀を祖とする松平結城家。
これは徳川家の旧姓である松平家から取って物で、後の時代では本家以外の親族衆一門を表す苗字として使われて居る物を結城家の別家を表す物にも使われる事に成った事に由る呼び名である。
また、結城・梅晴・春宗を祖とするキリヤ結城公王家。
これは結城・梅晴が勇治と婚約して結婚後に名乗ったキリヤ公王家に連なる家柄である事を指す呼び名である。
結城家は奇妙な縁で子孫と成る血筋を繋いだ事により、この二つに別れたが、正統なる結城本家の家督相続と成る家は、松平結城家であるとの決定を梅晴の遺言で取り決められて居り、数代後に両家との間で子孫に当たる男女二人の人物が婚姻を結ぶ事で、その血筋を更に深めて行く事に成る。