第98話 少年王と夏休みと南方大国からの使者っ!! 18
マギアンティア世界統一暦・1555年・11月28日・午前8時10分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国連合国本国・第一連合地方・キリヤ地方・キリヤ公国・公王都キリヤ市・公王都キリヤ駅・キリヤ公国・公王族専用車両発着ホーム内にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
勇治達が乗って居る1号車両のすぐ後ろである2号車両と3号車両では、国家元首兼宗主国王たる勇治達の王室一家を守るべく、多くの人材が控えて居ると共に、メイド隊のリーダー達も控えて居る。
お召列車内には、KR公社の乗務員の他に、キリヤ公国公王室宮内庁から侍女隊と侍従隊も派遣され、身の回りのお世話を担って居た。
護衛隊の現場での指揮官である近衛騎士団長のマリアナ・テレジア。
裏方専門部隊であるキリヤ公国秘密工作諜報情報部局の局長たる服部楓。
キリヤ公国の勇治直属の近習衆家臣として採用され、キリヤ公国中央政府の閣僚の一つ、初代秘密工作防諜情報庁官と成った松永・真澄・久秀。
勇治直属の護衛長官にして剣術の師匠と成って居り、キリヤ公国・公王専属護衛総隊長でも在る塚原・伝江・朴伝。
キリヤ公国公王室宮内庁の総侍従長官にして、メイドSP護衛官と言われる陰の護衛官としての顔を持って居るベルファ・ファーストらは、お召列車内での警備の最終確認をして居た。
「それでは、先頭車両は、マリア様で警護をしつつ、私が陛下達のお世話の取り仕切りを致します。」
「楓と真澄殿らは、車両全体の警備での指揮を執る事にします。」
「その他のキリヤ公国連合国軍・秘密工作防諜情報庁とキリヤ公国公王室宮内庁侍従警護隊はらは、わたくしの差配で各車両の警護と監視体制に万全を期せば良いのでしょう。」
「期待して居ますよ。アマテラスの灰色女狐殿の差配ぶりに。」とマリアが、皮肉った言い方で言うが、これは嫌味では無く、新規採用された真澄の指揮への期待から来る物であった。
「うふふ、お任せを近衛騎士団長殿。」と妖艶な雰囲気を醸し出すほどに褐色肌を持ったナイスバディな身体つきとウェーブが掛かった黒髪のロングヘアーを靡かせ、妖艶な蛇とジョロウグモが描かれた紫の帯紐で絞められた黒い着物姿の真澄は、冷ややかな笑顔で答える。
「何じゃ、若造共は、このわしへは、何も頼まんのか?」
「塚原先生は、列車内をウロウロとして居られれば、十分に警護に成ります。」と普段からサボタージュな伝江に対して、冗談交じりのジョークを言うマリア。
「そうですね、序でにお歴々の方々らのお酒にお相手にも成れますわ。」とベルも人聞きの悪い冗談で悪乗りをして見せる。
「うんうん、どっちかって言うと、この列車の中で塚原先生に敵う手練れは居ないよね。次いで言うと諸外国にも・・・・・」と最後には楓すらも冗談を言うこの始末。
「塚原先生。」とニッコリと微笑む真澄。
「何じゃいっ!!」
「はしご酒為らぬ。はしご酒列車をして酔い潰れない様にして下さいね」と皮肉タップリな冷ややかな顔付きで、ニタリと笑う真澄が止めを刺した。
「ふんっ!!最近の若いもん共は、年寄りの扱いが酷いのう。」と言いつつ、後部車両へと向かう伝江だが、若者達が揶揄って居ながらも、剣士としての名声が高い伝江の事を期待して居ると言うので、文句を言いつつも巡回警備を請け負うのであった。
7号車両は、貨物室として使わる予定の車両で、乗務員・護衛官・侍従達の更衣室も備え付けられて居た。
その中で政府高官の身の回りを世話する者達専用の更衣室が7号車両に備えられて居た。
その中一室で鎌田葛葉は、着替えをして居た。
彼女は島津が引き起こした九州戦役で解放された竜珠独立自治王国での護衛任務を終えて居た。
キリヤ公国秘密工作諜報情報部局が想定し、思って居たよりもゲルニアン帝国側は、あっさりと竜珠独立自治王国とアマテラス地方から手を引いたとの報せが入り、合同部隊による交代部隊と入れ替わる事に成った第五部隊・甲斐稲荷隠密衆隊は、キリヤ公国本国へと引き上げる事に成った。
如何やらゲルニアン帝国の皇帝であるヒットランは、キリヤ公国側からの報復を恐れたと言う情報も得て居るが、キリヤ公国と連合国との戦争によるゲルニアン帝国軍部の被害回復が覚束ない状況下で、再びキリヤ公国連合国と戦争をするのは得策ではないと、流石に理解は・・・・して居る様であった。
そんな状況から、僅か数日間で竜珠独立自治王国での護衛任務を終えて居た鎌田葛葉は、ショウ・レイ国王と竜珠独立自治王国・キリヤ公国首都訪問団の謁見の儀とキリヤ公国宰相内閣府会議への訪問参加する護衛任務を最後に、本国での待機任務態勢へと復帰して居る。
本国に戻った彼女は、久しぶりに公王都キリヤ市内に在り、甲斐稲荷隠密衆一族で自経営して居るキャバクラに、ドレス姿をして居るママオーナーとしての姿で顔を出し、近況を聞いたりして上客の相手をして居た。
其処で上客に何所に言って居たのと聞かれると、公国内での仕入れや新店舗計画や金融機関への挨拶周りをする出張をして居たと当たり障りのない事を言って、あくまでキャバクラオーナーママであると言う体裁を取る形での素知らぬふりをして居た。
そんな日々を過ごして居た時である。
勇治から夏休み旅行の誘いの招待状が彼女に送られた。
他のキリヤ公国忍び衆の同僚達も参加すると書かれて居たので、葛葉も参加する事を決めた。
一族の者達も連れて来て構わないと書かれて居たが、全員が参加すると公務と自営業にも支障が出る事から、凡そ数百名居る一族の中から、代表達を選んで旅行へと参加して居た。
そんな葛葉は、変身術に優れた特性を持った狐の獣人族の忍び集団である事を隠す事と決められて居る。
その為に普段の日常生活では、黒髪ロングストレートヘアーのクールビューティーな女性に化けつつ、国防総省に勤務する官僚と言う身分で足柄・一輝の付き添い護衛官として過ごして居たり、公王都キリヤ市内の自営業店であるキャバク・ラフォクシーのオーナーママをして居るのだ。
最初は可愛らしい18歳くらいのボブロングヘアースタイルのメイドとして紛れながら乗り込み、更衣室で黒髪ロングストレートヘアーのクールビューティーなキャリアウーマンタイプ官僚へと化ける為に、事前に指定されて居た更衣室へと入る。
ロッカー内に予め用意されて居た、慰安旅行に参加するラフな服装へと着替える。
ドロンと言う独特な化ける小さな音が更衣室内に鳴り響くと、可愛らしいメイドの姿と入れ替わる様にして、黒髪ロングストレートヘアーのクールビューティーなキャリアウーマンタイプへと化ける葛葉。
「ふぅ、裏方公務に従事する者の定めとは言え、慰安旅行に参加するのも一苦労だわ。」
「そう、文句を言うな。葛葉、私達とは違ってお前の方が変装が楽ではないか?」と言うのは霧隠霧奈であった。
霧奈は伊賀栗衆とはライバル関係の忍び衆で、ロングヘアーに藍色の紐で結った髪型と細見がかったスタイルで長身の背丈。霧を用いた魔忍術や虚報をばら撒く事を得意として居る。
普段の身分は、国防総省の事務官長と言う身分で庶務リーダーを担う勤務して居り、任務で省内に居ない時は、国防大臣命令で地方出張して居ると一般官僚と職員の者達には言って居る。
「うむ。普段から覆面をして居る某ら一族は、表に素顔を晒すのも一苦労で御座る。」と珍しく素顔を晒して居る第三部隊・戸隠侍雷夜衆隊を率いる侍雷夜籐歌。
その見姿は赤色の頭髪にボブショートカットヘアーで、がっちりし整った体系を持った女性で、普段の身分は、国防総省官舎の警備隊長をして居る事に成って居た。
任務で省内に居ない時は、国防大臣命令で地方軍事施設の査察や研修視察等で出張をして居る事に成って居る。
「ヤッホー、お姉ちゃん達。久しぶりだねっ!!」と言いつつ、どう見ても何処かの一般省庁職員の付き添いでやって来た娘さんと言った感じであった。
その見姿格好は、年相応の洋服を来た少女と言った元気いっぱいの女の子に変装して居る風魔小梅が更衣室の中から現れる。
風魔党忍軍衆一族の新頭領で、今は第4部隊・風魔党忍軍衆隊を率いる部隊の部隊長をして居るが、普段は公王都キリヤ市内に在るキリヤ公国公王室宮内庁侍従養成高等学校に通う女子高生と言う身分として隠れて居る。
クラスも風魔党忍軍衆隊専用の校舎と成って居り、任務で不在の際は現場体験研修をして居る為に不在と言う事に成って居る。
「何時の間に居たの?」
「風魔の忍びは素早く静かにがモットーだからね。」とにこやかに言う小梅。
風魔党忍軍衆一族とは、アマテラス神皇国に大陸から忍び衆を全て召抱えると言う話を聞きつけて移住を決意する。
これを機に党首は風魔小太郎から風魔小梅に代替わりをしたとされて居るが・・・・・・・実は未だに北条家と繋がって居るとキリヤ公国連合国軍・秘密工作防諜情報庁と国防大臣たる足柄・一輝らに疑われるが、実はそれは真実であった。
現当主である北条・九江・早雲は、万が一に備え、抜け目無く何時でもキリヤ公国へと渡りを付けられる保険を掛けて居たのである。
伊達家・上杉家等がキリヤ公国へと降った以上は、北条家すらも飲み込まれる可能性が在ると見た九江は、風魔小太郎に命じて、服部楓が人材を求めて居る事に付け込み、勇治に小梅を近付けさせたのであった。
今ではその目論見は当たりを見せて居り、武田家の暴走が見られるアマテラス東北地方の状況下に措いて、北条家が生き残れる希望の光とも成って居た。
それが音も気配も感じさせず、年上のくノ一を出し抜くかかの様にして、更衣室へと入り込んだのである。
風魔小梅っ!!恐ろしい娘っ!!と思う同僚達であった。
「みんなーーっ!!用意は出来た?」と現れたのはキリヤ公国秘密工作諜報情報部局長を務めるドМ変態くノ一にして、伊賀栗忍び衆の頭領でも在る楓が現れた。
くノ一である事を隠す変装の為の着替えが終ったくノ一部隊の長達は、楓の言葉に揃って頷くと、通路へと続く扉を開く。
「さぁ、楽しい夏休み旅行だぁーーっ!!」と張り切る楓。
「警護のお仕事も在るけれど・・・・・」と淡々と真面目に言う霧奈
「これほど楽しそうな任務はありませんわ。」と旅行を楽しもうと思う葛葉。
「我が陛下も意気な計らいを為さる。」と勇治に感謝する籐歌。
「うんうん。わたしも楽しみしてたんだよねっ!!」と本来の任務たる北条家との繋ぎ役なんかどうでも良いと言った感じには見えるが、油断為らない元気娘くノ一の小梅は、軽い足取りと口調で更衣室を出て行く。
忍び衆の長達は、この夏休み旅行で日頃からの疲れを癒そうと仕事半分な夏休み旅行を楽しもうと行動を開始するのであった。
秘書補佐官と称して乗り込む忍び衆のお隣、5号車両に乗り込むのは、キリヤ公国宰相内閣府・閣僚御一行様と書かれて居る。
アマテラス神皇国足柄幕府将軍王朝一三代目にして、今はキリヤ公国連合国・キリヤ公国宰相内閣府に措いて、国防大臣を担う足柄・一輝・宗輝。
アマテラス神皇国足柄幕府官僚を務め上げ、代々足柄家に仕えて居た官僚一族の細川家子孫に当たる細川・藤夜・悠斎。
今は近衛近習衆に所属し、文官武官の両方雑用業務専門を担う勇治専属の護衛秘書官の一人にして才人と言われて居る器用貧乏な人。
そして最後は文部総合魔導・科学技術省大臣を務める事に落ち着いたレイラ・ハルトマン。
魔導師にして、このマギアンティア世界で彷徨って居た勇治を広い、生活と後見人として面倒を見てくれた人物。
本当はキリヤ公国・近衛騎士団長のマリアの席もこの車両なのだが、今は勇治や列車内の警備の為に出払って居た。
「一輝さん。どうぞ。」と緑茶を差し出すレイラ。
「ああ、頂こう。」
「この面子で話すのも珍しいですね。」と言う藤夜。
「確かにな。私はアマテラス地方大名王と家臣達や国防総省幹部と軍部としか話す機会しか無いし、それ以外だとキリヤ公国宰相内閣府に稀に訪ねてやって来た、加盟元首と官僚達としか交流が無い。」
「レイラとは、キリヤ公国建国時の初期から居る閣僚幹部。その後に入った私とも4ヶ月しか無い付き合いに成るが、こうして少人数で話す機会は中々無かったな?」
「うふふ、そうですね。私も地方の商工会や冒険者ギルドのギルドマスターをして居た頃が懐かしいわ。」
「それがユウジくんに乞われて、建国した小国大臣に成った筈なのに、今では大国の文部総合魔導・科学技術省大臣に成って、こうしてアマテラス神皇国の名家、アマテラス神皇国足柄幕府将軍王朝13代目足柄・一輝・宗輝さんと親しくして居るのよ。」
「あの時、彼と出会って居なければ、今でも片田舎のギルドマスターだったわ。」
「人の運命とは分からない物ね。」と、これまでの経緯を振り返り、感慨深げにしみじみと言うレイラ。
「それを言うなら、この私も先祖足柄・高子・尊氏が開府した、アマテラス神皇国足柄幕府を勇治の誘い受けて、この私自ら閉じて居るのだっ!!」
「幾ら足柄家の力と権威が失墜して居るからと言って、簡単に閉じて良い物ではないのにな。」
「その後は織田・和紗に政権を丸投げしたのだぞっ!!」
「後世の歴史家は、無責任だと言われ兼ねないだろうな。」と自虐ネタで言う一輝。
「まぁまぁ、さもありなんと言った感じでしょうな。」
「私なんぞ、一輝様に振り回されっぱなしで、足柄幕府を閉じると言われた時には、他の幕府官僚達と共に大騒ぎでしたのに、今ではそれらの人材達は、キリヤ公国連合国の幹部官僚を務めて居るのです。」
「いやはや、勇治陛下は我らの運命を一変させるだけのご人徳が在られると、旧足柄幕府の者達は、全幅の信頼を彼のお方に抱いて居ります。」
「今日までに13カ国が加盟国と成り、加盟国予定を合わせると20近くもの加盟国が連合を組む大国と成りました。」
「これはこのマギアンティア世界に措いて、類い稀なる大業を為したと言っても良いでしょう。」
「本当ね。」
「ひょっとしたら、勇治の奴目は、世界統一か連合国体制を敷く形で、このマギアンティア世界の統一平定を成し遂げてしまうやも知れんな。」
「あはははっ!!冗談に聞こえないのが、勇治陛下らしいですな。」
他愛の無いお茶の席で、世界征服では無く、大義名分を得た形での世界統一の話が出て来るのも、キリヤ公国連合国らしいお国柄である。
席を共にした3人は、その後も世間話に花を咲かせたのであった。