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キリヤ公国英雄戦記物語  作者: 伊達教宗
第9章 少年王と彼女達との夏休みと南方からの使者っ!!
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第97話 少年王と夏休みと南方大国からの使者っ!! 17

 マギアンティア世界統一暦・1555年・11月28日・午前8時10分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国連合国本国・第一連合地方・キリヤ地方・キリヤ公国・公王都キリヤ市・公王都キリヤ駅・キリヤ公国・公王族専用車両発着ホーム内にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 公王都キリヤ駅の公王族専用車両発着ホーム構内では、他にも様々な面子が列車に乗り込もうとして居た。


「もうっ!祥子は如何して居るのよっ!!」と心配そうにして居る五十鈴達ナデシコ海軍軍幹部達は、それぞれラフな私服姿で待ち合わせ場所である公王族専用車両発着ホームに集まって居たが、肝心の第五戦隊の二人が現れて居なかった。


 第五戦隊は旧撫子皇国委任統治領であるアセアニア地方・アセアニア自治州区・ミィーシャルン諸島自治区・ゾルモン諸島自治区・バヌアーツ諸島自治区等と言った地域を守る海軍艦隊の事を指して居る。


 そんなナデシコ自治統合陸海軍も新設された空軍も合わせ、交代制で休暇を取る事に成って居た。


 最悪の場合は、勇治のゴットタブレットを用いて造られた、各地方の拠点に設置されて居る秘密地下大要塞内から、無人迎撃システムが配備されて居るので、1月くらいは無人兵器の物量で押し切る事が可能と成って居る。


 だからこそ、キリヤ公国連合国の軍幹部の首脳陣らは安心して休暇に望めて居るのであった。


 そんなナデシコ自治統合海軍の渡辺祥子は、170センチの背丈とロングヘアーのポニーテールを結った髪型で、クールな顔立ち。


 やや荒っぽい男勝り姉御肌な軍人で、大雑把で大酒呑みとして知られて居た。


 仕事とプライベートをキッチリと分ける性格で、休暇とプライベートに入った途端にだらしない生活へと切り替えてしまう性癖が在った。


その祥子はと言うと、この世界とキリヤ公国れるに腰を落ち着ける事に成った事から、他のナデシコ幹部軍人と同じく。


 勇治から与えられた公王都キリヤ市内に在る自宅屋敷に初めて寝泊まりをしたらしく、昨夜は一人晩餐会と洒落込んで居たらしい。


 そのせいで朝寝坊が当たり前な彼女は、第五戦隊副司令官にして、同僚でも在る近藤信代の迎えが来るまで高いびきを掻いて寝ていた。


 信代が事前に祥子の自宅屋敷の合鍵を受け取って居た居たので、事無きを得て居るので、大事には至らなかった事を付け加えて置く。 



「確か信代君が連れて来ると言って居た。たがら大丈夫なんじやないか?」とベリーショートカットヘアーをして居る男装の麗人と言う感じの人で、男口調で中性色が強い声色が特徴的な人物と知られて居る草鹿美佐枝は、毎度の事だとやれやれと言った感じに述べて居た。 


「・・・とか何んとか言って居る内に、当の本人が来たようだぞ。」と山口多美は、皮肉った言い方でホーム入口へと指さす。 


「おーいっ!!」と言う声と共に祥子は、同僚である近藤信代と共に現れた。


 プライベートと言う事も在り、二人ともラフなダメージ系のジーンズファッション風な服装で現れた。 


「ああっ!!やっと来たわね。」と五十鈴。


「済まないな。私が祥子を連れて来るのに、手間取ってしまった。」と信代は、申し訳無さそうに言う。


「悪りいっ!悪りいっ!寝坊しちまった。」と悪ぶれる訳も無くあっけらかんとした物言いだった。


「またなの?」


「そうなんだ。祥子と来たら、幾ら起こしても二度寝を繰り返す始末で、着替えさせるのに手間取ってしまったんだ。」と信代は説明して居る。


 相棒である信代は、友人としても副司令官としても祥子の性格を熟知して居るが、当の本人がやる気を出してくれないと如何にも為らないのだった。


 一同は相変わらずだなと言って苦笑交じり笑うが、これは海軍兵学校時代からのお約束なので、気にも留めて居ない。


「まぁ、良いわ。もうそろそろ列車が出る所よ。先に乗り込んだ勇くんなんて、此処を通る行きが掛かりに、心配そうに私達を見て居たんだからねっ!」


「そいつは悪いな。後で坊主に誤って置かないとな。」と言いつつ、やっと合流した祥子と共に、海軍幹部達は列車へと搭乗して行く。



 奥州独立自治王国としてキリヤ公国連合国に加盟し、地方王制国家としての地域を確実な物として成長を遂げて来て居る伊達家。


 近世時代から近代化時代へとシフトチェンジし、その新たな時代へと歩みを始めた伊達家は、日本で例えるのならば、江戸時代から明治時代へと移り変わる様な物だろう。


 そんな奥州独立自治王国の今年の夏は、戦国時代が終わって初めて体験する近代的な風習法制度たる夏休みへと入る年と成った。


 去年まではブッタ教の教えであるお盆と呼ばれる先祖霊を家々に迎える風習をして居たが、今年は夏休み予定に合わせてお盆を行い。


この夏休み旅行に参加して来て居た。


他のアマテラス列島地方系の人々も似たような形で、この夏を各々過ごして居る。



 因みにブッタ教とは、大華天帝国・クーロンの最南端のブットデリーが発祥の地とされる仏教の様な宗教で、ブッタなる人物が人は皆、死せると南方極楽浄土と言う異界の天国へと行くと解いて居る宗教。


 ブッタ教の神様、通称・仏様を拝む事を推奨して居る事で知られて居る。




「おおっ!!これまた物凄い長さを誇る列車だな。」と照宗は、国元からやって来るのに乗り継いで来た列車よりも長いブルートレイン風の6両ものディーゼル機関車に加え、100両もの車両が連結されて居る列車を見て驚く。


「父上、母上。ささっ、此方です。」と政実は、生まれて初めての家族旅行へと出発する事に、大いにはしゃいで居た。


「政実。そう急がなくても。」と母である良姫も、普段は怖い顔付きで知られて居るが、娘のはしゃぐ姿を見て、珍しく笑顔で居るのであった。


 政実の両親達が公王都キリヤ市へとやって来たのも、この夏休み旅行に合わせた物でも在ったのである。


 戦国時代だったアマテラスの一昔前を思えば、一家団欒の旅行なんて、夢のまた夢と言える出来事であった。


 そんな理由から政実が年甲斐も無く、はしゃいでしまうのも無理は無かったのであった。


「んぐっ!!ゴクゴク・・・・ぷはーーーっ!!」と新トウキョウ系の澄酒を煽る様にして飲み干すのは、前佐竹家の当主にして、今は隠居兼嘱託将軍の扱いを受け、キリヤ公国連合国と奥州独立自治王国から少将位の扱いと成って居る佐竹・秋江・重義。


 彼女は車両内の茶室と書かれた一室に措いて、真っ昼間から酒を煽って飲んで居た。


「秋江姉義上、程々にして下さいね。」と言うのは、照宗の妹にして、政実の叔母。


 最上義光から見ても義理の妹で、佐竹・秋江から見ても義姉妹に当たる。留守・影菜・景政が飽きれた顔付きで、列車が出発するまでの間、客室とは別に設置されて居る談話室も兼ねた茶室にて、秋江の話相手をして居た。


「申し訳ございません影菜叔母様。母の見っともない姿は見慣れて居るでしょうが、此処は黙って見逃し下さい。」と言うのは、秋江の娘である佐竹・芳野・宣義であった。 


 芳野が連合国首都たる公王都キリヤ市へとやって来たのは、謁見の儀への参加するためである。


 彼女が所属する奥州独立自治王国は、昨今の政情と言えば、アイヌル反乱問題の鎮圧と解決。


 アマテラス神皇国九州平定戦役等の戦後処理と言う大きな出来事が続いて居た。 


 その他に定例会議であるキリヤ公国宰相内閣府会議と、その後の夏休みに合わせて、佐竹家が治めている常陸地方から公王都キリヤ市へと上京して来て居たのである。


 因みに各自治国と自治体等の地方長官クラスまたは首長クラス等と言った担当者らが、謁見の儀とキリヤ公国宰相内閣府会議に参加する義務は無い。


 参加する場合は自主参加で、意見が在れば発言権も在るし、発言する機会も与えられて居る。


 義理堅く真面目な性格の芳野は、奥州独立自治王国の常陸国州・上総国州の首長長官として、キリヤ公国宰相内閣府会議内で、所信表明演説を行いつつ、中央政府への意見・要望・予算案・支援を的確に発言し、流石は佐竹家の新当主だと拍手喝采を浴びたと言う逸話が残る事に成った。


 その母親である秋江は、「我が娘ながら面倒くさい事を進んでやる出来た子だと」演説を聞いて呆れながらも皮肉った言い方で褒めて居た様だ。



 そんな理由から中央政界へとやって来ていた芳野は、夏休み旅行への参加は消極的であった。


 理由は従姉妹である政実とは、母親が荒れ暴れていた時に、南奥州を巡って幾度も命の取り合いをして来た仲であった事が、旅行への参加の消極的な理由と真正面から会いたく無い理由であったからである。


 それに佐竹家の当主交代も政実が原因と言うので、なおさら彼女に対する印象が更に成って居た。


そして最終的には、南奥州での争って居た頃より会う機会が多かった叔母である影菜と母親である秋江らによって、半ば強引に参加させられて居た。


 伊達王家たる親族の二人は、従姉妹同士が不仲で在るのは良くないと考え、夏休み旅行で、その中を少しでも良く出来たらと考えて、この旅行に芳野を参加させて居たのだった。


「伊達家に割り当てられた寝台列車は・・・・・・」


「政宗様、此方の様ですと片倉・喜多が、奥州独立自治王国・伊達家御一行様と書かれたネームプレートを指さす。


「流石は喜多だ。良く見えて居る。」と言いつつ、寝台列車へと乗り込む。


 その中に入った政実は、喜多と隣同士の部屋である事を確認すると、その部屋へと向かおうとした時である。


「おおっ!!来たか政実。」と車内へと入った脇に在る茶室に居た秋江に呼び止められた。


「ええっ!秋江伯母上っ!?と・・・・・芳野?」と伊達家親類縁者の中で一番に厄介な存在として知られる伯母の横に、奥州戦国時代が終わっても政実が苦手として居た従姉妹である芳野の姿を見付けると、気まずい気分に成ってしまった政実。


「・・・・・お久しぶりです政実。こうして直接会うのは、戦場以外では、奥州独立自治王国式典の時、以来ですね。」と挨拶する従姉妹。


 この二人は一つ年違いの従姉妹なので、特に敬称で年下が姉と呼ぶ様な遠慮は要らない関係である。


 この二人は、謁見の儀とキリヤ公国宰相内閣府会議に参加はして居るが、両公務内で、直接挨拶を交わしては居なかった。


 奥州独立自治王国を建国した事が原因で、従姉妹同士とは言え、チョッとした冷戦状態であるので、お互いに苦手意識を持って居たからである


「ああ、そうだな。芳野も、あのキリヤ公国宰相内閣府会議では、見事な所信表明演説だった。私も奥州王として、従姉妹としても、とても鼻が高い。」


「良くぞ、我が奥州独立自治王国の名を高めてくれたと思って居る」(褒めては居るが、社交辞令な言い方と成って居る。)


「それに、お前も夏休み旅行に誘われたのか?」


「はい。本当は水戸で静かに過ごそうと思って居ましたが、母上と影菜叔母様方からの是非ともと言うお誘いでしたので、公王都キリヤ市での一連の公務予定の序でに、これを契機に、大陸方面の見聞でも広めようと旅行に参加する事にしました。道中はどうぞ、宜しく・・・・・・・」と作り笑いの笑顔を引き攣らせ、無理な笑みを浮かべていた。


「そうか、此方こそ、宜しく」と政実も、芳野と同じく作り笑顔を引き攣らせ、無理な笑みを浮かべていた。


 命の取り合いと実母が仕出かした後始末、他にも色々な思いが巡る二人は、本当にお互いの事をに関して、苦手意識を持つ厄介な従姉妹同士であった。


(はぁ~、我が娘ながら、ホンと面倒くさいわ。)


(秋江義姉上が、それを言いますか?)とツッコミを入れる影菜。


 この二人が仲が良くないそもそもの原因は、秋江本人なのだから、厄介な母娘では在るが、根っからの悪い人では無いのだ。


 ただチョッとだけ、難儀な性格をして居るだけなのである。


「政実っ!喜多っ!後ろが詰まって居るんだけど、それと影菜叔母さん見なかった?影菜叔母さんの荷物の運び入れをしたいんだけど、一応、立ち会って欲しいって、客室乗務員さんから言われたんだ。」と言うのは、伊達家内で、政実の直接的な従姉妹である成実であった。


「その声は成実なの?こっちよ。」と答える影菜は顔出すと、伊達家に割り当てられ車内のど真ん中で、立ち止まって居る政実と指定客室から出て来た芳野らが、冷戦を繰り広げているせいで、成美が部屋に入れず、伊達家の世話役を担う客室乗務員も、荷物運びの仕事が出来なかった。


「ああっ!!居た居たっ!って?!芳野っ?!」と、政実と同じ様な反応をする成美。


「こらこら、お前達は従姉妹同士だろう。少し前までは、色々在ったが、これからアマテラス地方は、泰平の世に成ったんだ。そんな反応は程々にして、仲良くな。」と影菜は、佐竹家とは中立的な立場でも在るので、従姉妹達に少しだけ仲立ちをしてやるのであった。


 とは言え、そう簡単には仲良く成れないが、この旅行で何か切っ掛けが在れば、何とか成るかも知れ無い。


 伊達家と佐竹家の一行が、チョッとしたトラブルを発生させて居る中で、別方向から二人の姫武将が顔を会わせて居た。


「おや?北殿か九州戦役以来ですね。」


「真壁殿、昨日の九州戦役ではお世話になりました。」と南部家の家老で花巻城の女城主北部・愛・親信が、佐竹家領内の真壁城・真壁郡・真壁町を統治領とする国衆の家柄の姫武将、真壁・光久・氏幹とバッタリと鉢合わせて居た。


 この二人は雫ヶ岳・田原坂の戦いの後に、肥後東部地域の制圧戦を取り仕切って居た為、知己を得て居たのである。

 

 奥州独立自治王国内では、政実を始めとする伊達家から誘いを受けた者達が、勇治の主催する夏休み旅行へと参加をして居るが、流石に国内をがら空きには出来ないので、半分くらいは居残り、夏休みをずらして居たのである。


 南部家当主にして、陸後国州・陸奥国州の地知事を任されて居る南部直信は、北部・愛・親信を夏休み旅行へと参加させ、多くの人脈を築いて欲しいと、愛に頼み込んで居た。


 そんな理由から愛は、早めの夏休みを頂いて居るまであった。


 一方の真壁・光久は、秋江のお供での同行である。


 秋江とは、主君と配下の間柄では在るが、初めて出会った頃から馬が合う友人同士なので、事あるごとに一緒に出掛ける事が多く。


 今回の旅行も誘われた為に、同行する事に成った。


「北殿も勇治陛下から、お誘いを受けたのか?」


「はい。本当は直信様がお受けしたのですが、奥州独立自治王国をガラ空きには出来ませんので、こうして私だけでもと参加させ頂きました次第です。」


「私は秋江殿の誘いを受けたから、参加する事にした。秋江殿の相手は色々と大変だからな。」


「それをキリヤのお歴々にさせるのも悪いと言う訳さ。私自ら相手をして差し上げる事で、無用なトラブルを防ぐ狙いも在る。」


「北殿は、お一人では何かと不十な事も在ろう。貴女さえ良ければ、旅行先でご一緒しないか?」


「はい。是非とも。知り合いが少ないので、如何しょうかと思って居ました。助かります。」ってな訳で、この二人は奇妙な縁から、夏休み旅行を一緒に楽しむ事に成った。


 愛はこの事が切っ掛けで、大いに知人と友人を増やして行く切っ掛けと成ったのである。



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