第96話 少年王と夏休みと南方大国からの使者っ!! 16
マギアンティア世界統一暦・1555年・11月28日・午前8時10分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国連合国本国・第一連合地方・キリヤ地方・キリヤ公国・公王都キリヤ市・公王都キリヤ駅・キリヤ公国・公王族専用車両発着ホーム内にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
公王都キリヤ駅・キリヤ公国・公王族専用車両発着ホーム内には、休暇が取れて居り、勇治の夏休み旅行の招待に応じてくれた勇治と近しい人物達が公王専用お召列車キリヤ号へと乗り込んで行く。
因みに公王専用お召列車キリヤ号は二車両体制で出発する事に成って居り、一号車両には勇治と親しい人々が乗り込み。
二号車両には護衛隊や侍従隊らが乗り込み、旅先での職務を兼ねたバカンス旅行へと向かう事に成って居た。
ホームでは、勇治とセレジアにリィーゼ。
そして新しい家族に成った朝陽宮瑞樹と翠の母娘二人。
特に翠は久し振りの旅行であり、義姉達との初めての旅行だと言うのが大はしゃぎをして居た。
「はぁ~実家に帰るのに、まさか・・・此処まで派手な感じに成るなんて・・・・・・」と呆れるリィーゼ。
「だってさ、旅行に行こうって誘ったら、僕もまさか、みんな・・・・それもキリヤ公国連合国の首脳幹部・官僚達の全員が来るって言うから、仕方がないじゃない。」と勇治。
「お姉ちゃん達ーーーーっ!!早くっ!!早くっ!!」とはしゃぐ翠。
勇治達に夏休み旅行に行かないと誘われると、翠は大喜びで行くと返事をしたのであった。
「あらあら、あんなにも、はしゃぐ翠の姿を見るのは久し振りね。」と瑞樹が呟く。
父親を早くに亡くし、更には日本大皇家の一族を異世界の彼方との生き別れを経験をしてしまった正直には誠に酷な事では在った物の。
このマギアンティアの世界で出会った新しい家族や義姉達が出来た翠は、従来の明るさを取り戻しつつあった。
「それは良かったです。」
「それにしても、誘ってくれて、ありがとね勇治くん。」
「公王都は、子共が一人で遊ぶには広すぎますし、翠ちゃんは立場が立場だから、年頃のお友達が居ません。」
「それに官庁街に住まう瑞樹さんと翠ちゃんのお二人には、窮屈な所ですしね。良かったらと思ってお誘いをしてみたんです。」
「それに・・・こんな贅沢は、新トウキョウの日本大皇室時代だった頃には、とてもじゃないけど、出来ない事ですもの。」
「本当に嬉しいわ。」と笑顔に成る瑞樹。
瑞樹は勇治の事を義理の息子と言うよりは、弟に近い存在だと思って居た。
だが、この後の人生に措いて、彼と徐々に接して行く内に、次第に勇治の魅了能力の虜にされて行き、女としての渇きに気付いてしまう事に成る。
勇治と瑞樹の二人は、そんな話をしながら列車へと乗り込む。
列車内では、キリヤ公国公王室侍女庁に所属する侍女、詰まりはメイドさん達が待機して居た。
キリヤ公国連合国中央政府内では、裏方仕事を担う縁の下の力持ち的な存在でもある侍従人材を統括するキリヤ公国公王室宮内庁。
女性を中心とした侍女隊が所属するキリヤ公国公王室侍女庁。
男性を中心した侍従隊が所属するキリヤ公国公王室侍従庁と言った具合に、所属が分かれて居る。
因みにキリヤ公国連合国内では執事と侍女との職場は分かれて居るし、未婚者は未婚者の職場で配置され、既婚者は既婚者の職場とされて居る。
余程の事は無いので大体の派遣勤務先は同性の相手にお仕えするのが殆んどと成って居る。
詰まりは、王宮で王族のお手付き成ったり、又は職場での王族・同僚・上司部下での男女恋愛関係に由る情事での諸問題と成る様な事を避ける為である。
そんな事から王族のお手付きに成りたくないと要望して居る者達は、その様な配慮が為されて居るのだった。
そんなキリヤ公国公王室宮内庁を束ねるベルファ・ファーストは、ガリアナ王国の王室侍女庁と言う侍女隊専門省庁からキリヤ公国へと移籍し、元々は王女公邸侍女長をしていた人物だった。
その通称は、ベルと言う。
その部下は1500名は居ると言う侍女隊で、王室のお世話係から王城から王室関連内の建物に至る迄の清掃から整備に、食堂などの福利厚生までを担当するエキスパート部隊。
キリヤ公国が建国される際に、キリヤ公国公王室侍女庁も発足し、その時にベルはジンバル・ユリテリア・ガリアナ国王からセレジア専属の侍女長に推薦を受けてキリヤ公国へと国籍と所属を移籍する事と成った。
キリヤ公国に移籍したベルは、勇治とセレジアの二人からジンバル国王の推薦なら優秀な人なんだねと言われ、何故かキリヤ公国公王室侍女庁の総侍従長官と呼ばれるポストに就いてと言われて就任してしまう。
困惑してしまうベルは、怪しまれるのも、断る理由も無いので、渋々キリヤ公国公王室宮内庁・総侍従長官の仕事を請け負う事に成ってしまった。
実はベルの正体は、セレジアの父であるジンバル国王から密かに護衛として派遣された凄腕のガリアナ王国王室護衛庁に所属するメイドSP護衛官と言われる陰の護衛官であった。
ガリアナ王国の王室侍女庁と言う侍女隊専門省庁からキリヤ公国へと移籍した1500名ものメイド達は、その身分はカモフラージュで、その内500名がガリアナ王国王室護衛庁に所属するメイドSP護衛官が変装して居る姿でも在るのだ。
セレジアの父であるジンバル国王は、何か在れば二人を守れと命じられて居たが、キリヤ公国秘密工作諜報情報部局の局長として雇入れたくノ一である服部楓に正体を看破されて居た。
するとベルは素直に正体を明かして、経緯を説明し、勇治とセレジアの二人への忠義は変わらないとして、ベルとその配下達は引き続き侍女隊兼メイドSP護衛官として働く事が認められた。
普段は白いエプロンを身に付けたワンピース姿の巨乳メイドで、碧眼の銀髪ロングストレートヘアーの女性の姿を取り、勇治の身の回り世話から、夜伽の相手まで多岐に渡るお世話役を嫌な顔をせずにしてくれるメイド長としては最高の才女であると言っても過言では無い。
その声色は著名な声優として知られて居る堀〇由〇さんと瓜二つかも知れない。
戦闘モードに入ると服部楓並の実力を持つアサシンメイドへと変貌する。
後にキリヤ公国公王家に代々使える子孫を残す目的で、勇治のお手付き相手と成り、彼との間には密かに数名の娘達を儲けて居るが、認知はされどもキリヤの名を表立って名乗る事を控えると事にするとして居た。
そのベル直近の部下達が居並ぶ中で、黒髪ヘアースタイルの一団が見受けられて居た。
アイヌル・シャッコロ・北地の反乱で、ワザと反乱勢力側に付いて、事態収拾を図ろうと目論んだ者達の親族の娘達が、反乱鎮圧後にその親族の減刑を狙って勇治を襲撃すると言う事件が起きた。
それ自体は簡単に取り押さえられたが、勇治はその娘達を親兄弟を想ってのこと故に、罪状の減刑をするべきと指示を出す。
その結果、キリヤ公国連合国国防大臣の足柄・一輝とキリヤ公国連合国宰相のリィーゼ・メイルシュルフラッドの二人は、勇治を襲ったアイヌル民族の女性達を減刑処分とする事にした。
その為にキリヤ城内の宮中公王居公邸の女性従者として召し抱え、20年間の間、キリヤ公国に奉仕して仕える事を釈放の条件とした。
この条件としたのは、襲ったアイヌル民族の女性達の武術の技量の高さからのスカウトであった。
それに加えて、騒ぎを起こした親族の子供やその親戚と言うのは、故郷の北海島国州内では暮らし難いだろうと言う配慮も在ったのである。
そんな訳でトゥクルをリーダーとする第二侍女隊120名は、ベルの配下として訓練を積み続け、今ではメイドSP護衛官としても、かなり腕前を誇るまでに成長を遂げていた。
「勇治陛下、セレジア様。お荷物をお預かりします。」とベルはセレジアの旅行鞄を受け取る。
「有り難う。トゥクル。」と旅行鞄を手渡す勇治。
「勇治っ!余りトゥクルの事を扱き使う様な事をしないでよねっ!」とツリ目でツンデレな感じの金髪のツインテールの小柄な10代半ばくらいの女の子がメイド姿で言う。
「分かって居るよユイ。君もトゥクルもお仕事は程々にね。」
「君達、侍女隊もお仕事も兼ねて、僕らと同行するけれど、一応は夏休み旅行だから交代で休んでね。」
「はい。承知して居ます。」と髪型はセミロングヘアーとツリ目上の気の強い感じの顔立ちは、満面の笑みで答えた。
「ほら、トゥクル。行くよ。」
「うん。」と隣の車両へと行く二人。
この場に居るユイとは、この春の終わり頃からキリヤ公国公王室宮内庁・キリヤ公国公王室侍女庁で、キリヤ公国公王室宮内庁・王宮メイド長として働き始めた新米世界神ユイテルシアであった。
桃色のツインテールで、背丈が165センチくらいで、見た目の外見姿は、人間の年齢で言えば、17歳くらい。
やや気が強そうな感じの顔付きをしていて、目つきが吊り目である。体つきは・・・・・・・・まぁまぁな感じだろう。
勇治を事故死させた張本人で、やる気と気合と勝気な性格が災いして、やる事が全部空回りするツンデレなドジっ子さん。
勇治を異世界マギアンティアへと送り出しから暫く経っての事である。
ユイは勇治のサポートと罪滅ぼしをする為に、金髪のツインテールの人間に変身し、名をユイン・テルシーアと名乗って、異世界マギアンティアへと下界して来たのである。
そして勇治の近くで、こっそりと彼のサポートをしようと、キリヤ城内の雑務一切を取り仕切るキリヤ公国公王室宮内庁へと面接を受け、キリヤ公国王宮侍女として潜り込むが、うっかり勇治とセレジアの前で正体が露見してしまう。
もうそう成ったら、逃げも隠れもしないと開き直り、王宮で懸命に働く日々を送って居る。
そのユイが新米女神である事は、勇治と近しい一部の人間にして知られて居ない公然の秘密とされて居る。
後に素性を知られたセレジアの推挙を受けて、王室の後宮入りして妻の1人に成るが、本人はあくまで勇治の手伝いの為に、王城の如何なる所でも出入りする身分を手に入れる為なんだからねっ!と強調しながら言って居る。
だが、そんな彼女は下界での俗世の暮らし満足して、あらゆる快楽と欲望に塗れた生活を送って居るせいか、やや駄女神に成ってしまう。
そんなユイが、後輩として入って来たトゥクルのメイド業務の指導係もやって居るらしいが、此処でもドジっ子ぶりを発揮して居るで、周囲からはトゥクルの方が先輩に見えてしまうらしい。
一緒に働くこの二人は、同じ職場ではとても仲が良く、上司であるベルからも良く働いて居ると勇治も聞き及んで居た。
そんな日々を送るトゥクルは、ある決意して居るのであった。
(勇治陛下、私はっ!私の一生を貴方様の為に捧げっ!この恩義に報いる事と何時かアイヌル民族の誇りと言われる様な働き為します。)
(そして・・・・・・・何時かは貴方と・・・・・・・・・・・)
トゥクルは、自分達様な罪人と故郷のアイヌル民族らの手厚い支援と保護を約束し、それを直ぐに実行している勇治に絶大な信頼を寄せていた。
特に侍女隊への編入させられた自分達には、実家に仕送り出来るだけの給与だけでなく、その2倍の給与を支払って面倒を見てくれて居た事に対して、とても感謝をして居る。
そんな彼女は何時しか、何かと気に掛けてくれた勇治に惚れてしまったらしく、何時かは功績を上げて、お妾の地位を賜ろうと思う様に成って居た。
それが故郷と連合国体制のキリヤ公国の為に成る事を願って・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そんな荷物のやり取りをして居る中で、「セレちゃん。リィーゼちゃん。ちょっと・・・・・」と瑞樹は二人を誘う。
(何ですか瑞樹お義母様)とセレジアは、リィーゼと共に瑞樹の前へと近付く。
因みに瑞樹の事をお義母さんと呼ぶのは、勇治と婚約者と成った者達が中心と成って居た。
瑞樹の立場に付いての内外向けの公的処遇には、朝陽宮瑞樹は、勇治の母親代わりとされて居たからだった。
これは翠の扱いが、勇治の義妹とされて居るからで有り、瑞樹は義母として勇治の後見人と言う形の親族扱いとされて居る事に成ったからであった。
(翠の事は私が引き付けて置くから、早めに2人で勇治くんを部屋に連れ込んで、しっぽりとして来なさい。)
(そうでないと、この後の旅行の日程じゃ、取り合いに成っちゃうわよっ!!)とウインクする瑞樹は、一番と二番に勇治と婚約者と成った若い二人に対して、気を利かせてくれたらしい。
(そうよっ!!勇治の事とは同志と認めるけれど、恋人としては、競い合うライバル同士。取り合いする相手は、多いんだからっ!!此処でガッツリと勇治の気を惹かないと、定位置を取られちゃうわっ!!)
「そうね。何時までも婚約者で、友人以上の関係で居るのも、私としては体裁が悪いわ。セレジアっ!!」
「ええっ!行くわよっリィーゼっ!!」と従姉妹同士で、夏休み旅行の手始めに、勇治へと猛烈なアピールアタックを仕掛けるべく、二人は勇治を列車へと連れ込む。
「翠~っ!!」
「お母さん、何?」
「お姉ちゃん達は、ちょっとだけ勇治お兄ちゃんとお話が在るって言うから、その間はお母さんと食堂車でケーキでも食べに行きましょうか。」
「ケーキ?!うんっ!行くっ!行くっ!!」と翠はお菓子に釣られて、瑞樹と共に食堂車へと移動して行く。
その横で瑞樹はアイヌル民族系の御付のメイドさんに旅行の荷物を預けて行く姿が見られた。