第91話 少年王と夏休みと南方大国からの使者っ!! 11
マギアンティア世界統一暦・1555年・11月26日・午前10時03分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国連合国本国・第一連合地方・キリヤ地方・キリヤ公国・公王都キリヤ市・キリヤ城・キリヤ公国宰相内閣府及びキリヤ公国・公王執務官邸にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
勇治とキリヤ公国連合国中央政府は、立花家を伯爵位として迎える用意が在る事を雪花らに告げた。
それに狼狽してしまう雪花。
その場で慌てながらも、頭に浮かぶのは主家の面子であった。
「そそそっ、それは勿体無きお言葉っ!!ですがっ!!それは遠慮したき次第ですっ!!」
「我が立花家は、血筋こそバラバラで、所々他家の養子が入り込んだ家柄では在りますが、列記とした大友家の重臣家です。」
「その陞爵をお受けしたら、我が立花家は主家である大友家よりも身分が高く成ってしまいますっ!!」
「何とぞっ!!その陞爵だけはご勘弁下さりませっ!!」
「それでは我が立花家は、主家よりも先に大きく出世してしまった不忠者と成ってしまいます。」
「何とぞ不忠者の誹りだけはっ!!無理にもとも仰るので在れば、隠居した私だけがお受け致しますので、妹と立花家の一家親族の筆頭家老職、高橋・運紹には何もお与え下さりませぬ様にして下さりませっ!!」
「平にっ!!平にっ!!ご容赦くださいませっ!!平にっ!!平にっ!!・・・・・・・・・」と雪花は腰が悪いのに床に頭を擦り付ける様に嘆願する。
これは如何なる相手に言っても、出世話を棒に振り兼ねない断り方であった。
雪花は、主家である大友家と自らの御家である立花家の事を大事に思って居た。
それは何百年と続く大友家の重臣家だからである。
それが主家の減俸処分と合わせた形の中で、自分達の出世話として、宗主国から誘われたと在っては、アマテラス地方の武家の人々からは、不忠者と言われかねないからだった。
雪花は咄嗟に最悪の場合、自分だけが悪者と成って、妹達を庇う形でキリヤ公国本国に移籍すると言い放ち、この場を収めよう試みた。
だが、勇治の答えは雪花の斜め上のモノであった。
「まぁまぁ、そんな忠義に厚い立花家だからこそ、僕とキリヤ公国本国政府は、引き抜きをしたいと思ったんですよ。」
「大友家が失敗をして居なければ、この話はもう少し小さい形で済んだり、引き抜きの話も、もう少し長い交渉を経ての話と成った筈です。」
「先ほども話を述べましたが、九州地方戦役に措いて大友・奏麟さん失敗しました。」
「キリヤ公国連合国としては、連合国軍法会議と連合国軍功労賞会議の二つを開いて話し合い。」
「九州島地方戦役での大友家の処分を決めました。」
「これは多くの諸侯と連合国内行政府、そして国外の諸外国が九州島地方戦役の戦後処理を注視して居ると言う中では、甘い処分は出来ません。」
「それに経緯は如何であれ、独断先行に由る失敗を犯したと言うので在れば、改易処分は確実に成ったと言えましょう。」
「僕とキリヤ公国連合国中央政府は、九州地方戦役に措いて、窮地に陥った立花家の底力と忠義心の素晴らしさを垣間見ました。」
「これ程の実力と結束力を持った諸侯家を一地方諸侯の一重臣にして置くのは、非常に勿体無いとの結論に至りました。」
「これが単なる売り込みなら審査をして、如何するかを話し合う事で、簡単に決まりました。」
「立花家の場合は、それすら必要が無いくらいに、この度の九州地方戦役に措ける戦功一番判定の審査判断を下すのに、相応しい働きであった事を此処にお伝えするものです。」
「ですので、どうか立花家、延いては立花・雪花・道雪さんには、この引き抜きのお話を是非とも受けて貰いたいのです。」
「勿論、大友家と大友・須江・奏麟さんの扱いを粗略にする積もりはも決してありません。」
「元々アマテラス九州地方は、九州地方平定戦後に大名王家と国衆達を含めた転封異動政策が予定されて居ました。」
「これは九州地方の大名王家と国衆達が前足柄政権以前から存在して居た領地が、乱立し過ぎて居るとの事から計画された、整理計画なのです。」
「織田・和紗・信長さんも、この事は承知して居ますし、彼女もキリヤ公国連合国に加盟する以前から、その積りが在ったそうです。」
「それなので、そう重苦しく気構え無いでも平気ですよ。」と勇治は、長々とこれまでの経緯をキチンと大友家の一同に説明する。
「あの信長公も?」と雪花は驚き声で聞き返す。
これは織田・和紗も交えたキリヤ公国連合国の政策方針である。
雪花が驚くのも無理は無かった。
雪花が驚いたのは、唯我独尊とも言うべき織田・和紗が、自国領内の地方諸侯の処分と移転転封政策方針を他国の王と共に進めて居る事に、とても驚いてしまって居た。
「はい。これはキリヤ公国連合国内の政策方針の一つで在るので、表向きは大友家は処分されるますが、その地位は今まで通り同じと言う事です。」
「ですが僕とキリヤ公国本国政府は、立花家が欲しいと言う思惑も在り、意地の悪い形での申し出と成りました。」
「この事は此処に居る皆様に対して、お詫び申し上げます。」
「それで如何でしょうか?」と勇治は、立花家の返答を求めた。
「・・・・・・」雪花は、少し黙り込んでから答えを切り出す。
「折角のお話ですが、このお話はやはりお断りします。」
「主家である大友家と大友・須江・奏麟様を差し置いて、私と立花家が出世するのは、憚られる事であり、忌むべき事。」
「それに私は腰を悪くした身で成れば、執務は今まで通りに可能だと思います。」
「ですが、戦場には・・・・・最前線に立つ事は殆んど無い事でしょう。」
「ですので、立花家を隠居し、我が妹である立花・薫・宗茂を当主にしたく存じます。」
「もし、許されるのならば、私は此処に至る迄ので報恩をお返しをしたく、勇治陛下の家臣に成り、伯爵位のお話は私一代限りと言う事ならば、お受け致します。」
「勿論、領地は要りません。」
「立花本家は大友家の家臣として、これまで通りの扱いをお願い致します。」と雪花は締め括る。
あくまでも必要以上の恩賞を受け取らず、大友家への忠義を貫く意思を示した雪花であった。
義侠心と忠義心のとても深い雪花は、キリヤ公国連合国と言う大国の公王である勇治の誘いを条件を変えてまで、二度までも断った。
これがその辺の王朝国家なら出世を棒に振るう振る舞いと言える。
「はぁ~、雪花。貴女は何処まで真面目なのですね。」と溜息を交えて、何処か嬉しそうに言う大友・須江。
大友・須江は、このままでは優秀な家臣である立花家の出世話を奪う事に成ると考えた彼女は、その場に居直り、勇治に意を決して話す。
「陛下。わたしは、この様な家臣を持てる事を嬉しく思います。」
「ですので、これまで尽くしてくれた代々の立花家の者達と現立花家の者達に対して、改めて感謝したいく存じます。」
「その忠義心に対して、天下に恥じぬ働きをした彼女達の出世を邪魔したくはありません。」
「立花・雪花・道雪っ!!わたくしと大友家に遠慮せず、このお話をお受けなさいっ!!」と優しい顔付きで言う大友・須江。
「でっ、ですがっ!!」
「これではわたくしが、悪者に成ってしまいます。勇治陛下の御前でのお誘いなのです。」
「重臣の出世話を主たるわたくしに遠慮して、再三に渡って断った等と言われたら、悪い風聞が広がるでしょう?」
「だから構いません。このわたくしに遠慮せず、勇治陛下のお誘いをお受けなさい。」
「・・・・・・やはりっ!!」
「雪花っ!!」
「ははっ!!」と大友・須江に怒鳴られ平伏する雪花。
流石の大友・須江も、これ以上の問答はこの場に居る人々からの印象が悪くなると考え、家臣である立花・雪花を叱り付けた。
「雪花さん。そんな貴女を僕は欲しいです。」と大友・須江の言葉をフォローする勇治。
(はっ!!其処までして、立花家と私の事を・・・・・・・・・・・・・ですけど、大友家を差し置いてはっ!!ですが、、此処まで乞われてのお誘いは、丸で愛の告白の様な・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
それは丸で愛する女性を口説く愛の告白に近かった。
雪花は、幼い少年王たる勇治の瞳と風格に惹かれる物が在った。
それは神憑り的な魅了スキルから来る物だが、劉備玄徳が諸葛孔明の軍師の才を見込んで家臣にしたいと、三顧の礼を以って礼を尽くすしたのと同じように立花家と雪花を口説く勇治。
「雪花、貴女は命懸けで大友家と立花の御家の危機を救い、出世したのです。」
「これは大友家当主として最後の命令ですっ!!立花家並びに立花家現当主・立花・雪花・道雪とは、今日を限りに主従関係を解消しますっ!!」
「今日からは貴女と立花家は、キリヤ公国連合国並びにキリヤ公国本国へと移籍。桐谷勇治陛下の家臣としてお仕えするのです。」
「良いですね?」
「うぐっ!!ううううっ!!えっぐっ!!はっ、ははーーっ!!」
「うああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーんっ!!」雪花は堪らず大きな声を上げて泣いてしまう。
それは一族総出で命懸を掛けてまで為した事が報われた事に、堪らず嬉しさと申し訳なさから、悲しく成ってしまったからであった。
「ぐすっ!!くずつ!!お館様っ!!この不忠者への寛大なるご処置。誠に有り難う御座いましたっ!!」
「陛下。この頑固者で忠義者の立花家を宜しくお願い申し上げます。」
「本当に、このわたくしには、真に勿体無い家臣でした。」
「姉様・・・・・・」
(全く最後まで煮え切らない頑固者め・・・・・・・)
「ぐすっ、ぐすっ・・・・・ですが、陛下。私は立花家の出世話を受ける事を引き換えに、隠居をお願い致します。」
「理由は主家を差し置いて出世した立花家の当主としてのけじめを付けたく。その不始末は大友家の家臣で在った私の代限りとし、陛下にお仕えするのは、新たな立花伯爵家の当主としたいからですっ!!」
「陛下から賜る伯爵位は、我が妹である立花・薫・宗茂に下さりませ。これが私が望む最後の我が儘な条件です。」
「これをお聞き下さるのならば、陛下からの伯爵位の話をお受け致します。」
「ですので、この我が儘を如何かお聞き届け下さいませっ!!」と主家への最後の遠慮を言う為の三度目の断りを入れつつ、条件を付けた形で伯爵位の陞爵を受ける事にした。
「分かりました。立花・雪花・道雪さんの隠居を認めます。」
「姉様っ!!」
「お黙りなさい。薫、貴女には悪いとは思いますが、立花家は大友家と桐谷公王家に我が儘を言いました。」
「これ以上の問答は両者に対して、無礼と成ります。」
「黙って立花家。いえ、立花伯爵家を継ぎなさい。」
「その無理な我が儘を言った私は、この場に措いて隠居をする事で、責任を取る事と成りました。」
「貴女は新しい時代の立花家を立ち上げ、それを担って未来へと繋ぐのですっ!!」
「ですがっ!!ですがっ!!先の戦いで泡や全滅をし掛け、自決すらしようとしたた私が立花を継ぐなんて・・・・・・」
「大丈夫よ。私と紹子が補佐をするから、安心なさい。」
「やっぱり姉様達の様な姫武将に成るのは、この私にはまだまだ早いですっ!!ですからっ!!」
「こらっ!!やる前から諦めんなっ!!薫。」
「お前には人を率いる才が在るんだ。ドーンと構えてやってみろっ!!」と紹子は言う。
「紹子の言う通りですよ。諦めないで挑戦なさい薫。」
「・・・・・・・・・分かりました。」
「勇治陛下。私は立花家を伯爵家として継ぎ、立派な当主と成るよう励み務めて参りたいと存じます。」
「分かりました。立花・薫・宗茂をキリヤ公国連合国・爵位13階位貴族爵位制度、第5位・伯爵位に任じます。」
「ははっ!!謹んでお受け致します。」と薫は臣下の礼を勇治に対して取ると、一族である雪花と紹子の二人も、後に続く様にして、薫の後見人として臣下の礼を取った。
「それと道雪さん。」
「真名の雪花とお呼び下さいませ、陛下。」と雪花は言った。
忠義を貫くと決めたら、とことん突き進んで、やるのが彼女である。
最早、大友家の枷は外れたので、主君は勇治と成った為、アマテラス姫武将又は姫武士の真名と呼ばれる名を呼ぶ事を主君に許し、その名を呼ぶ事を求めた。
「成らば雪花さん。貴女には僕の近衛衆官僚と成って、護衛秘書官と成って貰います。」
「役職名は公王顧問相談役兼秘書官と成ります。」
「仕事内容はキリヤ城に登城して、僕の書類仕事の補佐と相談役ですので、何か至らぬ点が在れば、遠慮なく叱って貰っても構いません。」
「ははっ!!拝命を致します。」
「一輝さん。序でなんで雪花さんは子爵位をっ!!紹子さんには男爵位をそれぞれに上げたいのですけど・・・・・・・・・・・・」
「構いまわんだろう。妹である立花・薫は伯爵位と成るのだ。」
「姉と義理姉は、戦功も経歴も申し分ないのだ。」
「若い当主の補佐役と後見人としての伯を付けるにも、陞爵させた方が何かと便宜と体裁が良い筈だ。」と一輝がOKと言うと、同席する他の二人たる、外務大臣の梅晴と宰相のリィーゼも頷く。
「陛下、私は・・・・・・」
「まぁまぁ、髪飾りだと思って受けて下さい。」
「雪花さんも命懸けで武功を上げて居るのに、隠居だけでは味気無いですよ。」
「それに二段格下にしたのも受け取りし易くした積りですから。」
「分かりました。立花伯爵本家とは別の私が爵位の継続権を持った自決権を有する陞爵と言う事であれば、私としては構いません。」と今度は素直に爵位を受け取った。
雪花は、受け取る爵位の継続権を持った自決権。
詰まりは、跡継ぎに子爵位を如何するかを決める権力付きの条件で、爵位を受け取る事にしたのである。
その目的は、勇治と大友家から受けた報恩を想って事である。
雪花が無用と思ったら、己の寿命が尽きたら返すと言う事にして置けば、良いとも言えたからでもあった。
「紹子さんは?」
「勇治陛下っ!この私には何の異存は在りませぬっ!」
「では立花・雪花・道雪にはキリヤ公国連合国・爵位13階位貴族爵位制度、第8位・子爵位へと任じ、高橋・紹子・運紹を第9位・男爵位へと陞爵を任じます。」
「立花伯爵家の新領地は、キリヤ列島地方のキュウシュウ島地方・北キュウシュゥ島地方自治州区・南キュゥシュゥ島地方自治州区とし、立花伯爵自治藩王国の建国を命じます。」
「並びに高橋・紹子・運紹に命じます。貴女は立花伯爵家の補佐として、高橋男爵独立自治支藩王国を立花伯爵家領内に建国する事を命じますっ!!」
「「ははっ!!謹んで拝命を致します。」」と二人は礼を述べて平伏する。
(キリヤ列島地方のキュウシュウ島地方・北キュウシュゥ島地方自治州区・南キュゥシュゥ島地方自治州区と言えば、勇治陛下の直轄地。)
(これを任せると言う事は、こりゃ本気で直臣とする気満々だなこの少年王は・・・・・・)と紹子は、拝領した新領地の場所から、立花家を家臣にしたいと言う勇治の本気度を伺い知った。
(勇治陛下、私は決めました。此処までの好待遇を受けて、恩義を返さないと言うのは立花家の名折れっ!)
(貴方様のお力で、この救われた我が命と忠義心は・・・・・この私の一生を貴方様に捧げますっ!)
(何時か、その時が来たら、私は公王家に代々仕える子孫を貴方様から・・・・・・・・・・・・・)
雪花は決意する。
何時か勇治がセレジアを筆頭する妃達との結婚を成し遂げた時に、自身もお情けを貰って、彼との間に子を作り、子々孫々に至るまで桐谷公王家に仕える忠臣と成る一族を残そうと決意するのであった。
こうして立花家は、立花伯爵家と成る事に成る。
その領土は土地開発が余り進んで居なかったキリヤ列島地方のキュウシュウ島地方・北キュウシュゥ島地方自治州区・南キュゥシュゥ島地方自治州区と決められ、立花家は桐谷勇治とキリヤ公国の直属家臣に取り立てられたのだった。