第88話 少年王と夏休みと南方大国からの使者っ!! 8
マギアンティア世界統一暦・1555年・11月26日・午前8時20分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国連合国本国・第一連合地方・キリヤ地方・キリヤ公国・公王都キリヤ市・キリヤ城・キリヤ公国宰相内閣府及びキリヤ公国・公王執務官邸にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4人がキリヤ公国・公王執務官邸に出そろうと、秘書官らの手によって書類とパソコンがテーブルに並べられる。
公王執務室には勇治専用の執務机が置かれて居るが、10名程度が座れるテーブル席が設置されて居る。
キリヤ公国連合国内では、先進4地域から成るナデシコ・ビクトリナ・新トウキョウ・キリヤ公国本国内では、IT化が進められて居る。
電子機器の操作技術の習得率は、国内全体で3割程度だが、中央政府や地方政府等の幹部閣僚と官僚達らは殆んどが、電子機器を使いこなして居た。
準備が整うと、それに合わせて来客がコンコンと公王執務室のドアにノック音が鳴り響く。
「どうぞ。」と勇治は答えた。
テーブルを挟んだ西側の席隣り近くの戸が開かれ、一人の女性が入って来た。
その人物は、藍色に染めた公家みたいな和服姿で現れる。
「失礼しまする。」と背丈が高く女性らしいボデイスタイルを持ちつつ、ショートカットヘアースタイルの男装令嬢と言った感じで、お姉さんタイプの風貌を持った女性が入室する。
「お初にお目に掛かります。手前は相良家当主、相良・晴陽・義陽と申します。」
「桐谷勇治公王陛下、及びキリヤ公国宰相内閣府のお歴々の皆様に措かれましては、ご機嫌麗しゅう御座いまする。」
「また、先の島津家討伐が行われた九州地方戦役に措いては、我が相良家に惜しみない援助と、援軍を送って頂いた事を誠に、感謝を申し上げまする。」
「いえいえ、こちらも事情が在っての事なので、其処まで畏まらなくても良いですよ。」と勇治は言う。
(うん。聞いていた通りの人だな。丸で宝塚歌劇団に出て来る様な女優さんみたい人だっ!)
「相良・晴陽っ!お前は自領地をキリヤ公国本国又は織田家に献上し、此処に居る勇治、延いてはキリヤ公国本国政府に仕官し、直臣に成る事を希望して居る在ると聞いたが?」と足柄・一輝が言う。
一輝は勇治の直参筆頭の一人である。
もう一人は、第一武士軍団の軍団長にして、キリヤ公国武士軍団を統括する指揮官たる総軍団長を兼務して居る上杉・剣信・輝清である。
地位的には国防大臣の三役、国防大臣・キリヤ公国近衛軍司令官・近衛近習衆軍大将を務める足柄・一輝が順位一位で、その次が各軍の直参軍団長である為、キリヤ公国武士軍団総軍団長たる上杉・剣信も筆頭役職の地位に就いて居る人物の一人である。
「はっ!!九州地方戦役にて、わたくし目は勇治陛下に助けられ、生き永らえた者の一人に御座います。」
「それも一生掛かっても返せない程の報恩を受けて居ますれば、このまま織田・和紗・信長様の与力大名家と成るのは、わたくしめと致しましては、それはそれで些か恐れ多くあり、そして直接報恩を間接的にお返しするのは、武家に生きる者として、無礼とも想いまする。」
「ふむ。晴陽殿の言い分も分かるが、この度は何故キリヤ公国と勇治陛下に仕えたいのだ?」
「織田・和紗殿は、まぁ・・・アレな感じのお人であるが、悪いお人柄ではない。」
「人によっては苦手と言う者も居るが、出世も待遇も悪くないと言う感想が多い。晴陽殿は、彼の御仁の何所かに不満が在るのか?」と梅春は言う。
「はい。織田・和紗・信長様、一代の傑物にして英傑とも言うべきお方。乱世の覇王とも魔王とも謳われる御方なのは承知の事。」
「実に素晴らしい英傑である心得て居りまする。」
「ですが、この相良・晴陽・義陽。勇治陛下に惚れ込んで居まするっ!!」
「ご器量と言い。風格と言い。そのお力を乱暴に振るわないお人柄と言い。正に稀代の宗主国王とも言うべきお方。」
「出来れますれば、この相良・晴陽・義陽と相良家一族と家臣一同に恥じ入る事無き働き場所と死に場所を与え下さいませっ!!」と相良・晴陽は、締めくくった。
丸で時代劇の一幕を見て居る様だなと勇治は感じて居た。
勇治もこの様な時代が掛かって物言いのノリは嫌いでは無かった。
寧ろ大好きな言い回しでもあった。
「勇治、私は晴陽さんを直参または、軍部の職に付けても良いと思うわ。」
「こんなにも真面目な人柄で、真剣に勇治に使えたいと言うの人は得難い人材と言えるもの。」
「で・・・・このままではダメね。」
「何故ならば、隠居もしてない若い大名王家の人物が、領土を放棄・・・・と言うより、中央政府又は織田家に差し出してまで、己を取り立てて欲しいと言うのは、今後の為には成らないわ。」
「悪い慣例を作る事に成る。1桁くらいの数件なら考えるかも知れないけど、これが数十件から数百件とも成ると、面倒な事に成るわ。」
「それを避ける妥協案として、勇治とキリヤ公国宰相内閣府が相良・晴陽・義陽の人徳と実力を買っての事とします。」
「形式としては、相良家をキリヤ公国の直参与力大名王家として取り立てて、支藩王国を建国と言うのが妥当な所ね。」とリィーゼは、この一件に対する妥協案を示した。
「二人はどうかしら?」と一輝と梅晴の二人に自らの提案に付いての感想と意見を聞くリィーゼ。
「問題無いな。流石はリィーゼだ。」と一輝。
「私も問題と思う。事前の希望相談でも概ね希望している内容に近い。それなら晴陽殿も不服が無いだろう。」と梅晴は言う。
梅晴は更に提案意見を続けて述べて行く。
「だが、私としては、近習衆の官僚職に就かせてやりたい。雑用係でも良いから、相良・晴陽殿と妹君である相良・頼子・頼房殿の二人に、中央政府の官僚職に就かせたい。」
「何なら支藩王国の藩王の仕事との交代勤務でも構わない。兎に角、与力大名や地方貴族達にも仕事を振ってやり、地方の政策方針にも役に立てる様な制度として宛がってと思って居るんだが?如何だろうか?」と梅晴は言う。
「人材育成が目的か?」と梅晴の意図を読んだ一輝。
「その通りだ。」
「今のまま直参を事あるごとに増やすのは宜しくない。」
「其処で中央政府の仕事や地方直轄領土の仕事させて、少しでも国に貢献して居るのだと言う自覚を持たせるのだ。」
「でないと、宮廷雀と成ってしまう者達が現れてしまい、その挙句に仕事をしないで、給料泥棒して楽して輩ばかりに成る者達の温床と成ってしまうだろう。」
「そう言う悪い仕組みは避けたいのだ。」と梅晴は考え述べた。
「悪くないわ。梅晴さんの意見も組みましょう。」とリィーゼも梅晴に意見を取り入れる。
「意見は出揃ったようですし、これで決まりですね?」と勇治は聞き返し、3人が頷く。
「では相良・晴陽・義陽殿。貴殿と相良家の家臣達一同をキリヤ公国本国直轄の与力大名王家に召し換えます。」
「それに伴いキリヤ公国連合国爵位授与新法であるキリヤ公国連合国・爵位13階位貴族爵位制度内に措いて、第10位・準男爵へと陞爵を任じます。」
キリヤ公国連合国爵位授与新法であるキリヤ公国連合国・爵位13階位貴族爵位制度とは、マギアンティア世界の王政・帝政を含めた政体を持った国家が功績の在った人物を13階位の地位の中から、功績に見合った爵位を送って陞爵させ、功績を称える制度の事である。
キリヤ公国連合国内では、セレジアの実家であるガリアナ王国から分離独立した新興国である事から、貴族諸侯事態が無かったので、騎士爵・男爵・子爵・伯爵・侯爵・公爵・大公爵と誰でも分かる名称を使った簡素な爵位制度が施行されて居た。
此処に来てキリヤ公国は連合国としての躍進を成し遂げ、王侯貴族諸侯の数もぐっと増えて居る事から、爵位法の新法を制定し、7月1日を持って施行を開始して居る。
爵位13階位貴族爵位制度は、マギアンティア世界の王政・帝政を含めた政体を持った国家が功績の在った人物を13階位の地位の中から、功績に見合った爵位を送って陞爵させ、功績を称える制度のこと。
その爵位順位は、以下の通りと成って居る。
爵位13階位貴族爵位制度
1位 大公爵
2位 公爵
3位 侯爵
4位 辺境伯爵
5位 伯爵
6位 城伯
7位 副伯
8位 子爵
9位 男爵
10位 準男爵
11位 勲功爵
12位 勲爵士
13位 騎士爵位・武士爵位
以上が爵位の順番と成って居る。
「なお、九州地方の相良家領地は、転封政策が本格的に決まって、移転転封すると決まるまでは、相良家の暫定統治をお願いします。」
「ははっ!!有り難う御座いますっ!!」と相良・晴陽は満面の笑みでお礼を述べて居た。
相良・晴陽が退室し、上手く相手方の希望して居る交渉内容の進路が決まり、4人はホッとする。
事は大名王家とその家臣やその傘下に在ったり、独立して居たりして居る国衆達の異動人事の案件である。
下手をすれば、反発したり、敵対な行動を取って破滅覚悟で刃を交えて来るかも知れない。
だから、上手く纏まる事が出来て一安心する一同なのだった。
「良い人材が来たな。」と一輝は言う。
「そうだな。少々堅物だが、アレなら中央政府の官僚を任せられる」と太鼓判を押す梅晴。
彼女は度々、相良・晴陽と面接を繰り返して来て居たから出て来る言葉だった。
「じゃ、このまま続けでアマテラス九州地方の大名王家の整理面接を続けましうか。」と次なる面談を進める為に、スケジュールと資料を確認するリィーゼ。
そして・・・・・・・面談を終えた相良・晴陽は、故郷の人吉市から、この日の為に公王都キリヤ市に来ており、あと数日は過ごす予定の公王都キリヤ市内に在る洋風ホテル内へと戻って来た。
相良・晴陽は泊まって居る部屋へと戻ると、出迎えてくれたのは、やや小柄で巨乳ボデイスタイルを持ち、ボブロングヘアースタイル人懐こい元気で明るい感じのお姉さんタイプの風貌をもつ女性が、玄関近くにまで出迎えてくれて居た。
「姉さん、どうだった?」と出迎えたのは、晴陽の3つ下の妹である相良・頼子・頼房と言い、相良家の一族・姫武将の一人だ。
通称は相良・頼子と呼ぶ。
頼子も島津家討伐が行われた九州地方戦役で姉を補佐し、相良軍の一隊を率いて戦い、勝利して居る。
頼子は、姉の晴陽が相良家をキリヤ公国の直臣としたいと言う意見に、賛成してくれた。
だが、行き成り持ち掛けても断れるのではと思って居た所に、九州島地方の諸大名王達や国衆達の間で、キリヤ公国の転封異動政策の話が、幾つかの大名王家や国衆達に持ち掛けて来て居ると言う噂話を聞いたのだった。
其処で晴陽は、これ気に相良家を売り込み、キリヤ公国の転封異動政策に賛同し、その政策に協力する事で、何んとか相良家をキリヤ公国の直臣にしようと、キリヤ公国の外務大臣たる結城・梅晴と会合を重ねて来た。
忙しい合間を縫って晴陽に会ってくれた梅晴は、とても知性に溢れ、他者を尊重する好感の持てる人物だと晴陽は思った。
最後は中央政府の・・・・しかも近衛衆官僚へと推薦すらしてくれ事に、感謝して居た。
何せ結城・梅晴と言う人物は、関東地方は下野国・下総国・上野国・武蔵国と言った四方の土地を小大名王家と国衆達と言った小国の縄張りに囲まれた土地であった。
そんな土地柄で、彼女は色々とその者達の諍いの面倒を見て居る内に、次第に外交諸問題を解決するスキルが磨かれてしまって居た稀有な姫武将であった。
そんな彼女にとって、相良家クラスの大名王家が、何を欲して、如何して欲しいのかを導き出して、最終的な合意条約に合意させる事など、朝飯前と言う物であった。
「喜べ頼子っ!!我が相良家はっ!!桐谷勇治陛下の直臣と成る。」
「それも中央政府の近衛衆官僚としてだ。」
「本当なのっ!?姉さんおめでとうっ!!これで相良家は安泰ねっ!!」
「ああ、そうだな。しかし、支藩王国を建国する条件付きと成ったが、これを機に大名王家を止めたかったが、これに付いては思わぬ誤算と言える。」
「でも、キリヤ公国から領地代をえしてくれるんでしょ?」
「だったら面倒な九州島地方に居座るより、キリヤ公国が所有して居る領地に移転転封して貰った方が、後々に成って楽が出来るじゃない。」
「しかし、これでは返す筈の恩が増えてしまうではないか?」
「それもひっくるめて、纏めて御恩を返せば良いのよ」と言って頼子は締め括る。
晴陽としては、 九州地方戦役で他国との戦は懲り懲りであり、色々と諸問題の在る大名王家と言う肩書を捨てたかった。
キリヤ公国中央政府からすれば、実力在るのに、大名王家を辞めるなんて勿体無いと見られたらしく、中央政府に参勤交代で良いから支藩王国の与力大名王続けるべきとの観点から、相良家を大名王家として据え置く事にしたのであった。
相良・晴陽・義陽は、後に相良独立自治人吉支藩王国を建国。
公王都キリヤ市の中央政府の近衛近習衆官僚の地位に付いて、妹である相良・頼子・頼房と共に勇治の優秀な補佐官の一人と成るのであった。
そして、後に男爵位へと昇進して行く事に成って行く事を付け加えて置く。