第85話 少年王と夏休みと南方大国からの使者っ!! 5
マギアンティア世界統一暦・1555年・11月24日・午後14時15分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国連合国本国・第一連合地方・キリヤ地方・キリヤ公国・公王都キリヤ市・伊達奥州王家・公王都キリヤ市公邸にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
一先ず照宗達は、旅行する為に持って来て居た荷物の荷解きをする為に、公王都キリヤ市内に在る伊達奥州王家の専用公邸である伊達奥州王家・公王都キリヤ市公邸へと到着する。
「ようこそっ!!伊達奥州王家・公王都キリヤ市公邸へっ!!ご先代照宗様。良姫様。秋江様。影菜様。」と侍女長として派遣されている飯塚音子と言う伊達家の親戚筋に当たる20歳の女性が出迎えてくれて居た。
和装風のメイド服で、着物にエプロンを身に付けた格好で、30名の侍女を従え、伊達家公邸の家事一切を取り仕切って居た。
「おお、音子よ。息災だったようで何よりだ。」
「はい。この公王都に派遣された最初こそは戸惑いましたが、此処の暮らしに慣れれば、仙台よりも便利な土地ですので、困る事は有りません。」
「ですが・・・・・・その、便利過ぎて、以前の不便が当たり前だった頃の暮らしには、戻れそうにありませぬ。」
「わっはっはっ!!そうであろうな。わしらも此処の地にて、半年も過ごせば、仙台には帰りたいとは思わぬであろうのう。」と照宗は、苦笑ながら言う。
「所で政実は、今日はどうして居るのだ?」
照宗は、音子に政実の今日の予定を尋ねた。
「はい。キリヤ城内に在るキリヤ公国宰相内閣府及びキリヤ公国・公王執務官邸にて、勇治陛下や内閣府、各国の元首の方々と中央政府方針。」
「各地方自治州と各連合加盟国に措ける政策方針を話し合う会合に、ご出席なされ、予定通りなら午後2時頃までには、お帰りに成られると思われます。」
「おお、そうか。では聞いて居た予定通りには、公王都観光に行けそうだな。」
照宗は安心して宿泊予定の部屋へと案内された。
照宗は、自分達に用意された自室に入ると、公邸内に整備された庭園を眺める。
「見事なアマテラス式庭園だな。」と庭の見事な造りに関心する照宗。
「旦那様。先ほどお話ですが、政実との勇治陛下の縁談の話を本当に如何にか成りませぬか?」
「またか?気持ちは分かるが、此ればかりはな。」と妻の苦言に、照宗は困り果ててしまう。
母として娘の婿を如何にかしてやりたい事。
そして、娘が一代で築き上げた奥州独立自治王国の行く末を想って事である。
「せめてお見合いと言う形で、勇治陛下に取り次ぎが出来ませぬか?」
「ふーむ・・・・・・・」
「幸いな事に、我らは公王都に居ります。勇治陛下は心優しい少年王と謳われるお方。」
「内閣府に参加する何れかのご重鎮の方々に、取り次ぎを頼むのも一手かと思われます。」とダメ押しをする良姫。
「其処までお良が言うのなら、少ない伝手を辿って頼むだけなら、言って見るとしよう。」
「旦那様っ!!」
「但し、ダメだったら、もう暫くはあやつの好きにさせてやろう。」
「分かりました。」
こうして伊達の隠居夫婦は、政実の婿を勇治にしようと動き始める。
取り敢えずは見合い話を娘に持ち掛け、其処から二人を引き合わせる形で男女の関係に持って行かせようと企むのであった。
マギアンティア世界統一暦・1555年・11月24日・午後15時40分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国連合国本国・第一連合地方・キリヤ地方・キリヤ公国・公王都キリヤ市・新トウキョウ街町・キリヤタワーにて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
公王都キリヤ市には、市内を流れて居るキリヤ大河の北部平原側の土地に、新たに新トウキョウ街町と言う町が、ゴットタブレットの手によって建てられ、東京タワーと良く似た建物を建てられて居た。
塗装カラーは本家と同じそのままの色使いだが、名称がキリヤタワーと名付けられ、新トウキョウが連合加盟した記念碑のシンボルマークと言う事に成った。
これで新トウキョウの人達が、仕事で公王都キリヤ市へとやって来た時に、故郷と似た様な街並みで、安心して暮らせるようにとの願い込められて居るが、序でながら公王都キリヤ市近辺での電波塔の役目を担う事にも成った。
何だが歪な坩堝に成りつつある首都、公王都キリヤ市。
そんな発展が著しい大都市にやって来た照宗は、妻の良姫を伴い、妹の留守・影菜と義妹の佐竹・秋江。
それにキリヤ公国連合国中央政府部会合での政務が終わり、伊達奥州王家・公王都キリヤ市公邸へと帰って来た娘の伊達・政実と共に、公王都キリヤ市観光へと出掛けていた。
遅めの昼食と成ってしまったが、二丁目地区のナデシコ地方町で、ちょっと懐かしい洋食食堂でランチタイム。
其処からアマテラス人の人々に取って珍しい未来都市、新トウキョウ街町へと赴く。
自家用車での移動は規制されて居る公王都キリヤ市なので、市鉄や市営バスを利用しての移動であった。
久しぶりの一家団欒である?が、親戚の叔母も交えての団欒も珍しい物だが、政実は久方ぶりの両親との一時を楽しんで居た。
「ほう、この公王都・キリヤ市が、此処ならば街が一望を出来るな。」
「はい。人は此処までの巨大な建物を造り出せるのですね。」
隠居夫婦は、人が建てたとは思えない程に、高い鉄塔を昇り見た景色を感慨深い気持ちを感じながら、その場の景色を立って見て居た。
「これで驚いて居てはいけませんよ父上、母上。」
「新トウキョウには、スカイマークツリーと言う634メートルもの高さを誇る大鉄塔が在るのですよ。」
「何とっ!!333メートルも在るこのキリヤタワーよりも上が、存在するのか?」と驚きの声を上げてしまう照宗。
「はい。私も昇りましたが、足が竦む程に高く。」
「雲の上とは、この様な景色なのかと関心しましたが、安全面と景観的な観点から、我が国には不要とも思いました。」
「ふーむ。なるほどのう。政実は、その様に思ったのだから、不要なのだろう。」
「確かに技術力や電波塔としての役目も在るのだろうが、何某かの事故を起こされたら堪らないとも言えるし、戦時下に攻撃の対象とでもされたら一大事。」
「そうした理由から不要と思ったのであろう?」
「はい。でずが父上。我が国も鉄塔を造れる技術力くらいも持つ積りで居ますので、何時かは人に迷惑を掛けぬ地で大きな鉄塔を建てて見たいものです。」
「うむ。それくらい気概は在れば、いつの日か奥州独立自治王国の技術者達が巨大な鉄塔を建ててくれよう。」
照宗は政実を励ます言葉を掛け、いつの日か奥州独立自治王国の技術者達が、スカイツリーの様な鉄塔を建れられる日が来るのか知れないと、想いを馳せるのであった。
マギアンティア世界統一暦・1555年・11月24日・20時10分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国連合国本国・第一連合地方・キリヤ地方・キリヤ公国・公王都キリヤ市・伊達奥州王家・公王都キリヤ市公邸にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その日の夜のこと、照宗は娘である伊達・藤枝・政実を大事な話が在ると言って呼び出し、二人切りで邸宅内の一室で対面する。
「政実よ。奥州独立自治王国が独立自治王国として、キリヤ公国連合国の加盟国として加盟してから間もなく4カ月にも成る。」
「はい。」
「責任在る立場の者として、そろそろ身を固める準備の頃合い。」
「父上っ!!それは・・・・・・・・・・・」
「流石のお前も動揺するか。」
「だがな、奥州独立自治王国は政実、お前が立ち上げた国ぞっ!お前が後継者を作らずして国が続くのか?」
「それならば、弟である小次郎を跡目にすれば・・・」と言いかけた時であった。
「バカものっ!!お前がそんな事で、如何するのだっ!!」
「・・・・・・・・・・」
「世継ぎの為の見合い話には動揺する。だが、自分に釣り合う相手は居る筈が無いから、実の弟を頼るだと?」
「それでは近い将来、国を割る事に成り兼ねないっ!」
「良いかっ!奥州独立自治王国は、政実が立ち上げ国ぞっ!」
「お前と言うカリスマ的な存在が在ってこその国だっ!」
「そのお前が後継者を作り、後継者を指名して、代々お前の血筋を引いた子孫達が国を守って行くのだと言う姿勢を示さなければ、奥州独立自治王国は瓦解し兼ねんっ!!」
「そう言う国家をお前が創り出したのだっ!!」
「その責任を取る立場の者が、最初から後継者作りを他力本願にするとは何事かっ!!!」
「申し訳ございませんでした父上。ですが・・・・・・・」
「分かって居る。お前と気の合う男が、身近には居ないと言うのだろう?」
「お前が、この手の話が苦手だと言うのは、政実の父たるこの照宗が、良く承知して居る。」
「この公王都キリヤ市滞在中に色々と手を回して、見合い相手に成りそうな婿候補者をわしが探して見ようと思う。」
「しかし、それで父上達の折角の旅行が・・・・・・・」
「知己を得る事も、旅行の目的ぞっ!」
「見知った者ばかりでは無く、様々な相手と交わり、見聞を広めるのも、この旅での目的である。」
「心配するで無い。これもわしの楽しみの一つくらいに思って置いてくれ。」
「分かりました。」と政実は、渋々見合い話を受ける事にした。
(さて、我が娘に釣り合う相手は・・・・・一人くらいしか居らんがの。どう渡りを付けるか?)
(おお、そう言えば話を付けてくれそうなお方が、一人だけ居ったな。)と照宗は、アマテラス繋がりで、政実の見合い話に付いて相談を受けてくれそうな御仁を思い付いたらしい。
こうして、政実は奥州独立自治王国を子々孫々へと繋ぐ為に、父親である照宗の薦めで、見合いをする事に成ったのであった。