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キリヤ公国英雄戦記物語  作者: 伊達教宗
第9章 少年王と彼女達との夏休みと南方からの使者っ!!
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第84話 少年王と夏休みと南方大国からの使者っ!! 4

 マギアンティア世界統一暦・1555年・11月25日・10時33分頃・第五文明圏ガイア―ズ大陸北東部・南西アドリナ海地方・アラービィ―ナエジルプト半島・アラービィ―ナエジルプト王国・王都アレキサンドライト市・ファラーオーズ宮殿城にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



幾つもの戦争と内戦を乗り越え、肥大化の一途を辿って行くキリヤ公国連合国に措いて、今年と将来に向けての大方針を決めるキリヤ公国宰相内閣府会議が開かれ、大華天帝国・クーロンからの国交樹立に向けての打診を受けていた頃のことである


 キリヤ公国連合国のから見て遥か西方諸国の一角に数え上げられる国家にも、新たな動きが見られようとして居た。


 其処はキリヤ公国連合国の隣国であるガリアナ王国とオルトランタ商業連合国から西へと向かった先に在る海域。


 アドリナ海の海域を4千5百キロほどの距離の海上を渡った先に在る国家で、ユーロリアン大陸とガイア―ズ大陸との中間点の間に在る大国。



 ザハラ砂漠とアラービィ―ナ平原やナイーヴ大河等の過酷で、豊かな自然に溢れる地に、アラービィ―ナ・エジルプト半島を統治するアラービィ―ナ・エジルプト王国が在った。


 今のその国には、第五文明圏たるユーロリアン地中海地方諸国から、南西アドリナ海地方の至宝とまで謳われる絶世の美女と知られた女王が治めて居た。


 その名もクレオパロ―ラ・パトラメセシスと言う、スラリとした165センチの背丈に褐色肌と黒髪のロングストレートヘアーがサラサラと靡かせ、青い瞳が人の心を射抜くと謳われて居る女王が治めて居た。



 王都である王都・アレキサンドライト市は、アラービィ―ナ・エジルプト半島の東端に位置する中継貿易湾港都市として、とても栄えて居る一大都市。


 アレキサンドリア市は南を背にした都市であり、その最奥の土地には、ナイーヴ大河から用水路を引いた水を用いた庭の木々と石造り建物が在るのだ。


 その場所には、とても美しいと評判のファラーオーズ宮殿城が聳え立つ。


 この都市の主な収入源は、ヌビアヌス山脈中心とした鉱山からの鉄や金銀銅に加えて、宝石類の鉱物資源が豊富で、その埋蔵量は、人間の文明が滅んだとしても、取り尽くせない程の採掘量を誇る鉱山地帯が在るのだ。


 その鉱山地帯から採掘した鉱物資源を加工して作った装飾品等が、国家の主力商品として諸国に売買され、その値段は数百万から数千万の値が付くと言われて居る。


 他にも東西南北からやって来る文物の中継貿易での取り引きが盛んで、其処から関税を1パーセントの支払いから来る税金を使って、国内各都市の運営を賄い、余った分は王家の収入として国庫に入れられて居る。


 そんな砂漠と荒れ地の大き大地と大河と交易都市を持つ王国の女王であるクレオ女王は、ここ最近に成って国家発展の動きが、目覚ましいと評判と成って居るキリヤ公国連合国に付いての報告を聞いて居た。


 その中でも注目すべき有力情報を配下の者から話を聞き入って居た。


「そうか、大華天帝国・クーロンの女狐老婆めは、彼の少年王と組む気かえ?」


「はっ!!現在、天帝リュンファー・クーロンは、昨今は様々な噂に事欠かない少年王が治めるキリヤ公国連合国へと友好の使者を送りました。」


「我が国の調査では、隣国との戦に備えて、彼の国と同盟条約を結ぶ算段かと・・・・・・・・・・・・・・」


「それは恐らく、大華天帝国・クーロンの西隣国である大国、モンガル大元王国との国境線付近の国土を巡っての戦が、近年に成ってから一段と激しく成って来て居るのが原因ですわね。」


「モンガル大元王国の当代の国王であるガビルライ・ハーンは、屈強な騎馬軍団を数百万単位を有する大国。」


「ですが、それは地方列強国での話。今では騎馬軍等と言った兵科は、最早時代遅れの遺物と言う物なのよ。」


「マスケット銃が主流の国々では、騎兵軍隊は銃騎兵が当たり前と成って居りますけど、キリヤ公国連合国の躍進のせいで、連射銃と鋼鉄兵器が次代の主力兵器に成りつつありますわ。」


「あの女狐老婆は、数百万を号するモンガル大元王国の屈強な騎馬軍団を屠る為に、キリヤ公国連合国と同盟を組んで上で、キリヤの最新兵器で格下も同然の騎馬軍団に対抗する積りなのだろう。」


「と成ると・・・・・・我が国も出遅れるのは不味いですわね。直ぐにキリヤ公国連合国へと友好条約締結の使者を使わせねばいけませんわっ!!」


「下手に、彼の少年王と事を構えれば、滅ぶのは必定ですもの。」


「直ぐに使者を遣わす用意をしなさい。事と次第によっては妾自ら、キリヤ公国連合国へと出かけますわ。」


「ははっ!!」と配下の者は直ぐに仕事に取り掛かるべく立ち去って行く。


 一人執務室に残るクレオ女王は、暫し思案に耽って居た。


「我が国もソコソコの大国で在る自負して居るとは言え、何時までも安穏とはして居れぬ。」


「我が国が今は安泰として居られのも、妾の美貌と我が国の国土産物が利益に成ると諸外国から見られる居るからなのう。」


「北はユーロリアン大陸の覇権雄国であるローマリャニア帝国が在り、その南ではガイア―ズ大陸の覇者たるペルシャ―ラ大帝国に挟まれ、ダクラマカン大陸西側の覇者であるモンガル大元王国も在る事から、我が国土周辺地域では、稀に一大戦争と成る事も屡々なこと。」


「それ等から身を守るにも、彼の国の少年王に取り入るのも一興と言うもの。」



「あの女狐老婆めに少年王とその財力を独占的に物にされるのも面倒ですわね。」


「妾も負けては居れぬ。彼の少年王めを妾の美貌を駆使して、どう籠絡してくれようか、今から楽しみですわね。」


 アラービィ―ナエジルプト王国の女王であるクレオパロ―ラ・パトラメセシスことクレオは、大華天帝国・クーロンの支配者たる天帝リュンファー・クーロンの企みに負けじと、彼女もキリヤ公国連合国へと友好条約締結の為の使者を送りだす事決めた。


 その理由として、アラービィ―ナエジルプト王国が属して居る第五文明圏内では、ユーロリアン大陸の覇権雄国であるローマリャニア帝国。


その南ではガイア―ズ大陸の覇者たるペルシャ―ラ大帝国。


 ダクラマカン大陸西側の覇者であるモンガル大元王国等に囲まれ、稀に一大戦争と成る事も屡々有るからであった。


 パトラメセシス王朝は、巧みな外交努力で、それらの勢力と上手く立ち回りながら生き抜いて来た。


 当代女王たるクレオも、近隣地域諸国の社交界パーティーにて、その美貌を駆使して、権力者である男達を手玉に取って言い様に利用して来て居た。


 そしてクレオの視線の先に捕えた者は、キリヤ公国連合国の宗主国王である勇治であった。


 彼女は勇治に対して、それまで使って来た色気を駆使した手段で、彼を手玉に取ろうと企むが・・・・・・逆に天然な性格の勇治に、翻弄されてしまい。



 挙句には同盟婚約と言う形で、結婚する事に成ってしまうが、それは少しだけ未来のお話・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




マギアンティア世界統一暦・1555年・11月24日・13時30分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国連合国本国・第一連合地方・キリヤ地方・キリヤ公国・公王都キリヤ市内及び公王都キリヤ駅付近っにて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 

 キリヤ公国連合国政府中枢や地方政府等に間も無く、遅めの夏休みの時期がやって来た。


 建国して以来、初の公的機関による夏休みの取得。


 キリヤ公国連合国の国家元首達や国家幹部らも、夏休みの前の政務予定として、謁見の儀とキリヤ公国宰相内閣府会議への参加が在った。


 謁見の儀は取り敢えずは、恙なく終わる事が出来た。


 キリヤ公国宰相内閣府会議は大華天帝国・クーロンとの首脳会談と国交樹立条約締結が終る見込める12月以降まで、会議内容の一部先延ばしと成った為に、それまで待って居るには、少々長すぎるし、かと言って国元に詰めるのも無駄な時間と言えた。


 そんな訳で民主制度の強い新トウキョウ系の人達以外は、母国へと一時帰国するか、公王都キリヤ市に詰めて夏休みを入れた形で、次回会議まで首都に軸を置いた形で政務を執る事にして居た。


 そんな予定と成ってしまった為、その時期を利用して奥州独立自治王国の国王である伊達・藤枝・政実は、両親達を公王都・キリヤ市に呼び寄せる事にした。


 政実が奥州王国を建国時の時に言った、一緒に上洛しようと言う約束を果たす為にである。


ガタンガタンッ!!ガタンガタンッ!!ガタンガタンッ!!ガタンガタンッ!!


ガタンガタンッ!!ガタンガタンッ!!ガタンガタンッ!!ガタンガタンッ!!


ガタンガタンッ!!ガタンガタンッ!!ガタンガタンッ!!ガタンガタンッ!!


ガタンガタンッ!!ガタンガタンッ!!ガタンガタンッ!!ガタンガタンッ!!


「ピンポンッ!!毎度KR公社のご乗車、ご利用を有り難う御座いますっ!」


「次は終点、公王都キリヤ駅っ!公王都キリヤ駅っ!降りる際には、お忘れ物とお足元に、ご注意を下さいませっ!」


「おおっ!もう着くのか?」


「旦那様、もう驚く事でも御座いませんよ。」


「そうだったな。」と伊達家の前当主だった伊達照宗は、妻である良姫に言われて、改めて自分達の身の回りの世の中の世界感が変わったのだと痛感する。


 この2人を含めて、近世から近代へと至る文明開化の経過時間をすっ飛ばして、一気に現代時代へとタイムスリップしたような物と成って居た。


 そんな感じなので、驚きに麻痺を感じてしまうのも無理もないと言うもの。


 そんなこの二人が公王都・キリヤ市へと向かって居るのは、かつての上洛しようと言う約束を観光旅行と言う形で叶えるべく、娘である政実に招待されて、公王都観光へとやって来ていた。



 奥州独立自治王国の王都・仙台市からナデシコ地方自治州区の州都と州庁が置かれる横須賀市へと船で渡海し、其処から横須賀市の横須賀駅から電車へと乗り継ぐ。


 その鉄道業務を取り仕切って居るのは、横須賀市キリヤ公国立鉄道会社で、公王都・横須賀線である。


 因みに公王都・横須賀線とは、横須賀市と公王都キリヤ市とを結ぶ、横須賀市キリヤ公国立鉄道会社とは?


 キリヤ公国連合国のキリヤ公国連合国・国土交通省とナデシコ地方自治州区政府と横須賀市などが、大株主と成って居る国鉄の事である。


 ナデシコ地方自治州区立鉄道会社の子会社で、地方自治州都市営の鉄道会社としても知られて居るが、系列的に見れば、キリヤ公国立鉄道会社こと、略称名はKR公社の名で知られて居る国営鉄道会社の系列孫子会社の一つでもある。


 業務内容はナデシコ地方自治州区内で、横須賀市から公王都キリヤ市の区間方面を管轄し、運行・営業・修理・保全・運搬・各種鉄道運行に必要な備品・車両製造を請け負って居る。


 ナデシコ地方自治州区立鉄道会社の子会社と言う事なので、車両運行に必要な必要な施設を共有して居る事から、車庫や工場からのバックアップを受けて運行をして居る。


 海からキリヤ公国本国へとやって来た人々が必ず乗り入れして居る主要鉄道として、日夜利用して居る人々で、車両内はごった返して居た。


 政実の両親達は、政実が用意したファーストクラスの個室式の指定席に乗ってやって来て居るので、とても快適な鉄道旅を楽しんで居た。


「公王都キリヤ~っ!!公王都キリヤ~っ!!」とアナウンスが流れる。


 電車を降りた二人は、案内標識に従って、事前に知らされて居た場所へと移動して行く。


 待ち合わせ場所として居た公王都キリヤ駅西側ホーム前では、ロングヘアーの頭髪に、団子上に結って、簪を刺した髪型をして居る女性が立って居た。


 その隣には、鬼の様に鋭い目つきを持ち、ややボサボサとした感じの髪質のロングヘアーを持った女性で、色気の有る胸元を叩けた服装を着て居る女性が待って居た。


 キョロキョロと待ち合わせ人を探す政実の両親達は、何処からともなく呼び掛ける声を聞き付けた。


 その方向へと振り返る二人。


 其処には「兄上ええええぇぇぇぇーっ!義姉上ええええぇぇぇぇーっ!」と手を振る姿見えた。


「おおっ!!影菜っ!!久しぶりだな。息災であったか?」


「はい。兄上もお変わり無く。」


「何じゃ、久しぶりに会ったと言うのに、義妹には何も無いのかえ?」


「相変わらずの放蕩ぶりだな、秋江。」


「折角、伊達家として、隠居所の屋敷を与えて貰ったと言うのに、九州での戦が終った途端に、仙台市が飽きたからと、公王都キリヤに居座るとはな。」


「それにお前がわしらを出迎えるとは、聞いて居ないぞっ!!」


「アハハ!そりゃ偶には義兄上殿と義姉上殿に、何某かの孝行をと思ったまでさ。」


 佐竹・秋江・重義は、奥州動乱後は隠居し、奥州独立自治王国が建国された後には、旧佐竹領だった水戸市の邸宅や王都・仙台市の別邸等で、悠々自適な生活を送って居る。


 先のアマテラス神皇国九州平定戦役後に、図々しくも、報酬として公王都キリヤ市に屋敷と賞与をキリヤ公国連合国中央政府に希望し、最近に成って引っ越しをして来たらしい。


 今では仙台屋敷と水戸屋敷が別荘と成り、益々自由気ままで、悠々自適な暮らしを送って居る。


 キリヤ公国連合国中央政府と奥州独立自治王国としての佐竹・秋江・重義の扱いは、嘱託将軍扱いとして居る。


 キリヤ公国連合国・国防総省としては、彼女に出陣要請をする際には、其れなりの報酬を与える事にして居た。


「旦那さま。そう邪険にしなくても。秋江殿も、もう争う相手では、無いのですから。」


「分かって居るが、こ奴が居ると面倒事を起こされるのかと、冷や冷やとして落ち着かないのだ。」


「まぁ、そう邪険にするな。今日は影菜と共々、お前たちの接待だ。この都は慣れぬと少々迷うからな。」


「はい。秋江義姉上の言う通りです。」


「お二人のお相手で、万が一の場合が在った時の為に、もう一人ほど居た方が良いと思いまして、この都に居る伊達家の親族の一人として、秋江義姉上お呼びしたと言う次第です。」


「尤も秋江義姉上は、この公王都の酒場等を渡り歩く事に、すっかり慣れて居ると聞きますが・・・・・・」


「くくくくくっ、仙台も水戸も悪くないが、此処では四方の土地から酒や摘まみが簡単に入って来るからな。これ程までに、この私が気に入る都市は無いって訳さ、それよりもそろそろ移動しないか?こんな所で立ち話をして居ても、時間が勿体ない。」と秋江は言う。


「そうだな。折角の物見遊山だ。立ち話だけで時間を潰すと言うのも、無粋と言うもの。」


「それでは兄上、こちらへ・・・・・・・・」と影菜が案内したのは、黒塗りの高そうな高級車だった。


「ほう、自動車か?免許証が居ると聞くが、影菜は取ったのか?」


「はい。こちらで暮らす様に成ってから免許を取得しまして、公王都キリヤの市街法では、自家用の自動車での市内の走行は禁止されて居ります。」


「ですが、私の様な公務に関わったり、大使館や官庁街、それに元首公邸街に居住して居る者のみ、許可証を表示すれば通行可能と成って居ます。」


「それなので、キリヤ公国本国・外務省に申し出て、ビクトリナ製の防弾公用車を頂きました。」


「ほう、それは凄いな。自動車が貰えたのも、影菜が奥州独立自治王国の外交大使である、その特権故にか?」


「はい。こうでも無いと、この広い公王都キリヤ市内での公務職に携わる者の出勤が、不便な点が多く在りますので・・・・・・・・・・」


 影菜は、キリヤ公国連合国・外交大使館街町と言う地区の奥州独立自治王国大使館に、キリヤ公国連合王侯貴族町街の北隣の重臣屋敷町街に在る邸宅から、車で出勤先に通って居る。


 自動車で40分くらい掛かる距離なので、バスや路面電車を使うと出勤ラッシュに引っ掛かるので、とても面倒な事に成ってしまう。


 公王都キリヤ内での一般の自家用自動車は、郊外の指定駐車場に止める決まりと成って居るので、首都中心地での私有自家用車の走行は見られない。


 その殆んどが公用車・営業車両(宅配業者・バス)公務員で在り、市内通行許可証等を所持して居るか、その他の特別な理由が在る者に限られていた。


 これは景観維持・排ガス規制・交通事故防止と言った勇治が考えた安全・安心を掲げる首都政策の一環である。


「なるほどな。交通事故を減らし、人が住みやすい環境の整った街並みを残す。」


「勇治陛下は、色々と考えて居られるのだな。」


 照宗は勇治の首都執政の手腕を高く評価し、感心して居る様子であった。


「時に影菜。政実は中央政府内でも、上手くやって居るのか?」


「はい、兄上。政実は、年上も多い中央政府内でも、しっかりした発言を有し、戦に措いては素晴らしい働きを見せ、外交に措いては、相手を説得する弁舌を有して居る独眼竜であると、名声が高き評判を頂いて居る奥州王です。」


「勇治陛下も、とても頼りにして居る姉の一人であるとも言われて居ります。」


「そうか、そうか。それは安心だ。」


「旦那様。政実の働きぶり、国王として手腕は、影菜殿の申す通りなのでしょう。」


「ですが、それだけでは安心出来ません。」


「何故だ。影菜も中央政府に措ける伊達家と政実の評判も悪くないと言うし、桐谷公王家との関係も上々だと聞く。」


「良は、何所に不満が在ると言うのだ?」


「はい。私があの子の事で、最も危惧して居るのは、世継ぎの問題です。」


「政実は稀代の英傑と成るのは、まず間違いないと言って良いでしょう。」


「母親としては、褒めて過ぎとも言われるかも知れませんが、奥州独立自治王国は政実が一代で築き上げ、勇治陛下に臣従を誓って建国した地方自治王国なのです。」


「それが世継ぎも作らず、政務に邁進し続けると言うのは、次代の後継者を空位にしてしまい、その結果、国内に措いて内戦を齎す事に成り兼ねませんっ!!」


「伊達家として母親として、早く婿を決めるようにしなくて、気が休まりませんもの。」


「確かに政実は気性が激しく、打算に基づいた政略結婚を嫌う気質だからな。」


「婿を決めるお見合いは、相当な苦労を強いられ兼ねない。」


 政実の両親らは、伊達家の次代事に頭を悩ませる。


 変な所で政実は、へそ曲がりな所が在る。


 好き好んでお見合いをする様な性格をしては居なかった。


「何処にかして、あの政実と気が合う婿候補者は居ないものか・・・・・」と呟く照宗。


 そんな話をしている中で、助手席に座る秋江が意図も簡単に答えを出してしまう。


「皆何を言って居るのだ?居るではないかっ!!一人だけ誰でも分け隔てなく付き合える稀有な男がな。」


 秋江に言われた他の者らは、ハッとしてしまう。


「確かに秋江義姉上が、言われた通りの人物をこの私も見知って居ます。」


「まさか・・・・・・・」と照宗もその人物に気が付く。


「勇治ならば、問題なく伊達王家の婿に、そして政実は桐谷公王家の嫁として、側姫妃 (そばきひめひ)か側室妃にしてもらう事で、伊達家の世継ぎ問題を解決すると思うぞっ!」


「確かに、それは良い考えですわ旦那様。陛下なら問題なく政実の相手にピッタリの殿方。」


「陛下のお種をご頂戴すれば、伊達王家は桐谷公王家の親族王家。奥州独立自治王国も盤石な礎を得られたも同然。」


「旦那様、このお話を進める訳には行かないでしょうか?」


「ふーむ。しかしだな。」


「やるなら急いだ方が良いと思われます。」


「どう言う意味だ影菜?」


「はい。親しい友人である小早川隆美殿から聞いた話ですが、毛利家前当主で在らせられた毛利基就公が、毛利家三姉妹を桐谷公王家の嫁として貰らいたいとのお話を勇治陛下の前で仰って居られたと聞きました。」


「隆美殿は、如何しようと、申して居り、とても恥ずかしそうに、私に相談を持ち掛けたのてずが・・・・・・・」


「ほう。」と照宗は興味のある話として関心を寄せた。


「成らば、余計に事を早く進めなければ成らないな。」


「モタモタとしていると、他の連合加盟国の何れの女子どもが、あの小僧を巡って熾烈な逢引き合戦をするのは、目に見え居るからな。」


「何とっ!!毛利のご老公が、先陣を切られたと言うのですか?こうなっては急がねば成りませぬっ!!」


「旦那様、喜多に命じて、勇治陛下とお見合いをさせる件を進めましょう。」


「だがなぁ・・・・・」と渋る照宗。


 娘が果たして素直に見合い話を聞いてくれるのだろうか?と胃と頭が痛くなる話と成った。


 序でにグイグイと引っ張る奥さんの方も頭痛の種で、ほとほと困り果てしまう事も付け加えて置く。



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