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キリヤ公国英雄戦記物語  作者: 伊達教宗
第9章 少年王と彼女達との夏休みと南方からの使者っ!!
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第81話 少年王と夏休みと南方大国からの使者っ!! 1

マギアンティア世界統一暦・1555年・11月23日・午前10時17分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国連合国本国・第一連合地方・キリヤ地方・キリヤ公国・公王都キリヤ市・3丁目地区・新トウキョウ町・キリヤ公国連合国立病院にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 アマテラス神皇国九州平定戦役の宝満城攻城戦での戦いで、敵兵から受けた一撃で槍傷の深手を負い、瀕死の重症と化した立花・雪花・道雪は、新トウキョウ国防海軍の病院船で、緊急手術を取り行った事で一命を取り留める事と成った。


 それから2週間、設備が一番に整えられた公王都キリヤ市内のキリヤ公国連合国立病院へと航空搬送されて居た。


 そして、搬送先での治療を受けて居る入院中でさえ、死に掛けること計5回。


 彼女は生死の境を彷徨い続けて、ようやく容態が安定したし出したのが二日前の事である。



「・・・・・・此処は・・・・はっ?・・・・そうだったわ。確か・・・・宝満城で・・・・・島津軍と戦って居た筈・・・・生きてるのね、私?」と立花・雪花は目を覚ました彼女は、目線をキョロキョロと見回す。


 其処は天国では無い事に気が付き、見知らぬ一室で寝台と思わしき場所で寝かされ、自らの手足が動かせない状態である事に気が付く。


「この見慣れないマスク・・・すーはー、すーはーと空気が送り込まれるて来る・・・・・・これは何なのかしら?」と点滴や口に付けられて居る人工呼吸器のマスクが、何なのかが分からず、此処は何処なのだろうと思った。


 そんな時である、不意に近くの扉が開き、白い衣服の女性が現れた。


「立花・雪花さーん。お加減は・・・・・って・・・・・・・ああっ!!先生えええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!大変ですっ!!昏睡状態の患者さんがああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」と叫んで出て行く女性は、慌てて走り去って行った。


 彼女は、この病院で看護師をして居る人物であったらしく。


 この病室に運び込まれて以来、生死の境を彷徨い続け、死に掛けける事を繰り返し、一向に目を覚まさない患者だと思って居た様だ。


 それを前提に声を掛けながら、病室内へと入って来て居たのであった。


 所がどだうろか?


 チラリと見た患者、目を覚まして気が付いた雪花を見て、慌てて主治医を呼びに駆け出て行ったらしい。



 それから一時間後・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「姉様っ!!良かったああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」と泣きじゃくる妹の立花・薫。


「ちょっと、薫。私はさっき目覚めたばかりの病み上がりなのよ。」


「ふぅ、今回の事は流石のわたしも肝を冷やしたよ。」と立花家の遠縁親族で、この2人とは義姉妹の契りを交わした、とても仲の良い関係である。

 

 高橋・紹子・運紹も包帯姿で、病室にやって来て居た。


 紹子もアマテラス神皇国九州平定戦役で、岩屋城にて島津軍と激戦し、キリヤ公国連合国軍の援軍が到着し、その後も各地を転戦するも、ある程度の手傷のせいでの破傷風に罹ってしまう。


 それに加えて、無理がたたり過労が蓄積した事が原因での高熱を発してしまい、数日間ほど点滴治療を受けながら、寝込んで居たらしい。


 あちこちに針で縫った跡が見受けられ、良く見ると複数の注射針の後が見られて居る。


 この場に居る時でも、点滴で薬を投薬しながらの見舞いだった。


「本当に五回は、死に掛けたんだぞっ!!」


「このわたしは見ての通りで、高熱は在る物、見舞いには行けず、行っても面会謝絶だからと薫から聞いて居た。」


「話が在ると呼び出されると、主治医に何度も覚悟を言われ、その度にわたしと薫は、どれだけ青ざめた事か・・・・・・・・・・・・・」


「分かってるわよ。」と言う雪花の腕や足にも、紹子と同じく、点滴の無数の痣が残って居た。


 輸血から栄養剤に多数の薬剤を使わないと行けなく成る程に、本当に危ない状況に在った事を物語って居た。


「ですが・・・・・・」


「そうね。助かったのは良かったわ。」


「それと引き換えにして、私は不十な身体に成ってしまったわのね。」


 雪花は今回の大戦で負ってしまった重症の傷のせいで、腰と足等の筋力とを繋ぐ神経細胞の一部に違和感を覚える後遺症を負ってしまった。


 短距離を歩く位ならば、何とか成るが、杖を使う補助が必要で、暫くは激しく動く運動も、長時間はしては行けないと医師からは言われて居る。


「戦場には立てない訳では無いが、思う様な動きが取れないだろうな。」と紹子は言う。


 スポーツ程度の武術ならやれない事は無いが、本格的な戦争に参加すると成ると、前線への出撃は、ダメだと言われるだろう。

 

 一時期二人は、「申し訳ないが、我々も手は尽くしました。後は雪花さんの気力と体力と運次第です。お二人とも万が一の場合は、本当に雪花さんの死を覚悟して下さい。この二週間が峠です」と主治医から死の可能性が、大であるとの最後通告を幾度も受けて居た。


「そうそう、今になって聞くのも何だけど、二人はどうしてキリヤ公国本土に?」


「見ての通り、このわたしは治療の為さ、戦が終わって急に緊張の糸が切れたら、過労や傷口の化膿せいで、パタリと倒れてな。そのまま緊急搬送されらしい。」


「それを聞いたは私は、顔が真っ青に成りました。紹子姉様は、本当に無茶ばかりですっ!!体調不良に気が付かないなんてっ!!」とぷりぷりと頬を膨らませる薫。


「薫の方は付き添いだ。近しい間柄の身近な身内が3人しか居ないんだ。」


「その内二人が大病院に入院と成ると、如何しても治療以外の介護が居るだろう?だからさ・・・・・」


 薫はキリヤ公国中央政府が用意した、キリヤ公国連合国軍の女子佐官級幹部官舎を宿舎にして、公王都キリヤ市に滞在して居た。


 其処から毎日、入院中の雪花と紹子の二人の身の回りの世話をしていた。


 入院してから五日、紹子の病状が回復し、一安心するが、今度は雪花が二度目の危篤が知らされた。


 主な原因は傷口からの化膿症に由る高熱。


 又は肺炎を引き起こした事に由る心配停止に追い込まれそうに成る事が原因らしい。


 何度も抗生物質で抑え込むが、ウイルスや細菌等に由る合併症が酷く、その後も3度も危篤に追い込まれた。


 祈る様に薫は生きて欲しいと集中治療室で訴えて居た。


 これは担当医の計らいである。


 そうでもしないくらいにヤバかったのだった。


 無意識に姉妹達の訴えを聞いて居たのか、危篤であった聞かされた薫が駆け付けて言葉を訴えかけると、雪花の症状は不思議と持ち直したのである。


 最初は看取らせる為にと呼び出しのだが、これはひょっとしたらと思い、担当医は何時でも来られる様にと、薫に携帯電話を持たせて、危篤状態に備えさせていた。


 その甲斐あってか、二日前に峠を脱したと担当医の医師は告げたのであった。


「すまん、すまん。」と薫に詫びる紹子。


「でも領国はどうして居るのよ。二人とも公王都キリヤ市に来てしまっては・・・・・・・」



「ああ、それなら平気さ、暫くは織田家が面倒を見てくれるらしい。」


「そうなんです姉様、今は須江様もご領地の復興に忙しく、我ら立花の領国にまで手が回らないのです。」


 北九州島地方の豊後国の大分市を中心とした勢力である大名王家の大友家の当主で、北ユーラシアン大陸人の血が混じって居る為に、アマテラス皇国人中でも珍しい灰色の目付き。


 それと美しいフレアーウェーブが掛かった金髪ロングストレートヘアースタイルをして居る珍しい大名王の大友・須江・奏麟。


 立花家の代々仕えて来た主筋の家であり、主君である須江は与力大名王家に当たる家々の復興を手伝える状態には無かった。


 島津軍との大戦で領地の大半が焼かれ、キリヤ公国連合国の支援が無ければ、今年はおろか来年に至る以降も、飢饉が続いてしまう危機的状況に陥ってしまって居た。


 大友家直轄地の面倒を見るだけで、委託統治を任せた与力大名王家とした家臣達の面倒を見られない程に、切迫した財政難と成って居た大友家。


 下手を打てば破綻が待って居ると言える。


「そう、其処まで深刻なの。」


「ですがご安心ください姉様。勇治陛下が無償支援を確約してれて居ります。」


「でも・・・・・」と言い掛けた雪花は押し黙ってしまう。


(どうしましょう。これ以上の報恩を受けてしまうと、このお返しが出来辛く成ってしまうわ。)


(それに大友家よりも遥かに多いご恩を受けてしまう事は、立花家が、ご主君である大友・須江・奏麟様からの独立を意味しまうわ。)


(それに私や立花家の一族に、我が家臣達の治療費や生活費の財政支援までして頂くなんて、とてもじゃないけど、立花家が助けて頂いた勇治陛下とキリヤ公国へとするべきご恩返しが、我が家の国力で出来る許容範囲を軽々と超えてしまう。)


 雪花は暫し思案に耽る中で、キリヤ公国連合国、特にキリヤ公国本国政府と勇治との関係をこれからどうして行くのかと困り果ててしまう。


 このままでは、キリヤ公国連合国から受けた恩義が大き過ぎてしまい、主家である大友家との関係も気まずくなると考えて居るからだ。


 立花家から見れば、今のキリヤ公国連合国は、織田家の傘下と成った大友家の更に下の家臣に中るお家である与力大名王家。


 本当ならば戦後処理による復興支援をするべきなのは主家の主家である織田家、又は直接的な主家である大友家が、立花家の面倒を見るのが筋である。


 しかしながら、今回の様な大規模な大戦を経験した事も無い両家には、財政支援を立花家にして上げられるほどの余裕は無かった。


 決して織田家と大友家の両者が、キリヤ公国連合国と勇治に丸投げしたい訳では無いが、結果的に厚意でした事が、立花家の体面をやや悪くしてしまって居た。


 立花家の当主として雪花は、熟慮した上である決断心に決めた。


(・・・・・・決めたわ。立花家が、これから如何するべきなのかを・・・・・・)


 雪花は決意する。


「薫っ!!」


「はっ?!はいっ!!」


「私は立花家の当主座を退いて、隠居します。」


「えっ!?えええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」


「静かになさい。此処は病院ですよ。」


「ごめんなさい。」


「おいおい!行き成り如何したんだよ雪花っ!!」と余りに唐突な雪花の隠居宣言に驚く紹子。


「驚かせて御免なさい。でも・・・・・このまま私が立花家当主を続けるのは、どうしても色々と不安が残るの。」


「特に下半身軽い麻痺症状がね。」


「それに私が倒れて居る間に、立花家の立場が色々と厄介な事に成って居る様にも見えて来たのよ。」


「厄介な立場?」と雪花の言葉の意図が分からずに居た紹子は聞き返した。


「ええ、今回の戦で立花家は、主家である大友家よりもキリヤ公国、引いては勇治陛下に援軍がを送って貰っただけでは無く、それ以上もの多大なる報恩を受けてしまって居るのよ。」


「これは公国と陛下に対して、立花家が数百年かけても、私達が一生掛かっても返せない程のご恩返しが出来ないくらいに、大きな貸しを作ってしまったわ。」


「これがある程度安い借金や金銭支援か生活物資の支援を受けるならば、お礼を言って相手の恩情に甘えれば良いのよ。」


「でも今回一件は、不味いのよ。相手が如何であれ、我が立花家は、一国家予算並みの支援を受けたのよ。」


「立花家としては、はい、そうですか、ありがとう御座いますと御恩を受けては、世間の目からの体裁が悪いのよ。」


「でもよ、そんな事は言っては居られないだろう?」


「返せない支援の事を一々気にして居たら、戦火からの復興なんてものは、出来やしないっ!!」と渋い顔付きで言う紹子。


「そうなのよ。今の立花家は島津との戦で大赤字、キリヤ公国連合国から支援を断れば、お家の破産が目に見えて居るわ。」


「其処で私は一計を案じたわ。」


「どんなだ?」


「薫、貴女が立花家の新当主と成り、私は隠居してキリヤ公国へと仕官します。」


「ああっ!!そうか、前当主はキリヤ公国と勇治陛下から支援をその身を持ってお返しすると世間に宣言する事で、大友家にも迷惑を掛けたりはしないと言う訳になるのかっ!!成るほどな。上手いことを考えたな。」


「暫くしたら、キリヤ公国からのお見舞いの使者がくるでしょうから、其処で立花家の当主交代を申し出て、大友家との執り成しをお願いし、私は退院後にキリヤ公国の何処かの役所で、働きたいと申し出るわ。」


「紹子は薫の補佐をお願いね。」


「分かったよ。後の事はこのわたしに任せろっ!!」と胸を張る紹子。


「お願いね。」


「ああっ、あのっ!!雪花姉様っ!!私には当主なんて・・・・・・」



「覚悟なさいっ!!直系血族が姉妹しか居ない武家の家は、遅かれ早かれ跡継ぎが少し歳の離れた妹か従姉妹に成るのなんて珍しくないのよ。」


「暫くは一緒に居るから、引継ぎが終わるまで、みっちりと次期当主として、鍛えるから覚悟なさいっ!!」と病み上がりで在りながら、静かに鬼の形相と化す雪花であった。



 アマテラス神皇国・九州地方平定征伐戦に措いて、立花家がキリヤ公国連合国軍の援軍が到着するまで、最後の最後まで戦い抜き、島津軍の侵攻を防いだ功績は非常に高いと言えた。


 その類を見ない攻城戦で、一族総出での命懸けの戦働きしたとキリヤ公国連合国中央政府は見て居る。


 後に行われたアマテラス神皇国九州平定戦役の戦後処理に伴う論功行賞の義にて、キリヤ公国連合国中央政府と勇治は、立花家の実力を買いたいと考え、是非とも中央政府にスカウトしたいと内閣で議論をし、それを取り決めた閣議決定会議から、独立自治藩王国として大友家と織田家から独立をしないかと持ち掛ける。



 事前に申し出た立花家の当主交代の話も加味された決定は、思わぬ福音を立花家に齎してくれた。


 当主である立花・雪花・道雪は、これを三度ほど断り、それでもやって欲しいと頼まれると、それでも固辞してまう。


 その話を臨席していた大友・須江は、「私と我が家に遠慮して居るのなら気遣い無用です。」


「遠慮なく受けなさい。それだけの功績を残したのですから」とキリヤ公国連合国中央政府からの出世話を勧めてくれた。


 それならばと雪花は、自ら新たな提案として、先の戦での負傷した事で後遺症が残ってしまって居る自分が伯爵王と成るのは、些か無理が在る事を告げた。


 それを理由を加味しつつ、事前に申し出た妹との当主交代の話を聞き入れてくれるのなば、お受けすると申し出た。


 その場で雪花は、やや歳の離れた妹である立花・薫・宗茂を立花家の新当主として推挙し、新しい藩王国の国主にするようにと嘆願する。




 薫は当主交代の話は覚悟して居たが、藩王の話までは覚悟して居なかった為に、「やっぱり姉の様に成るのはまだ早いです。」と言って、これを固辞するが、実の姉と親戚の義姉の二人からの推挙もあり、伯爵王となる事を受諾する。 



 一方の雪花は、キリヤ公国へと仕官すると共に、その配属先は近衛近習衆軍となり、勇治の近衛衆の一人となり公王顧問相談役兼秘書官の役目を任じられた。 


 また、立花家新当主の後見人として、親戚筋の義姉である高橋・紹子・運紹は、与力藩としての領土が贈られ、立花軍の司令官としてもお家を支える事に成った。


 立花伯爵自治藩王国は、このようにして建国されたのであった。


 領土は土地開発が余り進んで居なかったキリヤ列島地方のキュウシュウ島地方・北キュウシュゥ島地方自治州区・南キュゥシュゥ島地方自治州区と決められ、立花家は桐谷勇治とキリヤ公国の直属家臣に取り立てられたのだった。


 後に子々孫々に至るまで、立花家のお家と一族の命をを救って恩義を返すとして、神経麻痺が残る足腰が不十な身体つきでは在るが、生殖機能は生きて居るおり、「不自由な身体ですが、子々孫々に至るまでお仕えする為にも、立花家とわたくしにお情けを」と言って勇治の子を求めたと言う。


 そんな彼との間に出来た子供は5人であり、彼女とその子達には桐谷公王の家の者と言う忌み名が贈られた。


 勇治との個人的なやり取りの宛名には、裏の別名である桐谷・雪花・道雪と成って居たのだった。



 


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