第76話 少年王と織田・和紗の野望・大公立志伝とアマテラス神皇国九州平定戦役への出陣っ!! 12
マギアンティア世界統一暦・1555年・11月19日・午前10時10分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・九州島地方・南九州島地方・アマテラス神皇国・島津大名王家・島津大名王家国領地・薩摩国・島津大名王家国首都・鹿児嶋市・島津大名王家居城・鶴山城・謁見の間にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
キリヤ公国連合国に由る竜珠王国の皇太子、ショウ・ユンの奪還作戦と竜珠王国、それに王都・那覇市や国土の全地域の島津家とゲルニアン帝国からの独立解放作戦が決行されてから更に2日後の事である。
とうとう島津家は、外交的にも戦局的にも完全なる孤立化し、国家として完全に追い詰められてしまった。
島津家は国策として、国力と国土拡大せんと考え、キリヤ公国連合国とその連合加盟国であるアマテラス織田自治神皇国に対して、チョッとだけ歯向かっただけなのだ。
だがしかし、九州地方と竜珠諸島合わせて、アマテラス地方南部地域の凡そ7割を支配して居た時の全盛期だった頃よりも、更に国土は小さく成ってしまって居た。
島津家発祥の地とされる大隅国や島津家が躍進した際に、新たな本拠地と定めた土地である薩摩国。
大友家と覇を争い、伊東家から奪い勝ち取った日向国。
相良氏を打ち破り、九州地方を四方へと攻め入る拠点たる肥後国。
島津家の海外貿易拠点である大隅諸島地方と甑島列島。
海の恵みが豊富な天草諸島地方。
調略と謀略を駆使し、龍造寺家を追い詰めて奪取して得た肥前国。
それに島津家がゲルニアン帝国との交易拠点として目を付けた竜珠王国。
そして、彼の王国と戦い、分捕った砂糖や南国フルーツが実る島、天城諸島。
それらの土地の内、本拠地の薩摩国と大隅国だけを除いた、全ての地域が、全てキリヤ公国連合国に占領されてしまって居た。
勇治とキリヤ公国連合国中央政府が、薩摩国と大隅国に侵攻しないのは、アマテラス神皇国地方の長い歴史の中で、その二カ国州だけが島津家の本領国土と見なして居るからであり、それ以外の国は一部なら戦争による利益で得られた土地と見なせるが、欲を掻き過ぎたと見なされる部分も多い。
そんな理由から、キリヤ公国連合国中央政府としては、薩摩国と大隅国の二つのみが、島津家の純粋な国土であると見なして居た。
この事はキリヤ公国連合国加盟国と友好同盟国も同じ見解と世界に向けて報じて居る。
「・・・・・そう、竜珠王国が陥ちて、南方地域の島々も占領されたのか?」
「ふっ!まぁ・・・・最初から分かって居たが、彼の新興国と戦端を開いてから、僅か一月も経たずに、島津家は元の鞘に戻ったと言う訳か・・・・・・・」
島津軍の総司令官とも言うべき、島津・弘美・義広は、キリヤ公国連合国との戦況の最新情報の報告をお抱え忍び衆から受けた事で、島津家は、もう後が無いと言う危機的状況へと陥ってしまって居る事を知る。
「そろそろ潮時だな。」と弘美は、鶴山城の自室で戦況を聞き、とうとう本当に追い詰められたと考えに一時だけ耽る。
それが終わると腹を括り、決意と覚悟を決めた表情で立ち上がり、直ぐ上の姉である島津・久実の元へ赴く。
ここ最近の島津・久実は、先祖代々の御霊を祭る祭壇の在る部屋に籠り切りと成り、すっかり精気が抜けたかのような雰囲気で、すすり泣く日々が続いて居た。
チョッとだけ欲を掻いた小さな野望を求めただけなのに、その代償は高く付いたと言える。
その事に対する後悔の自責の念と、妹を死に追いやってまった事から、精神的に参ってしまってのであった。
これは勇治の故郷である日本の戦国時代の豊臣秀吉と戦った島津家より酷い有り様とも言えた。
島津義久は家久と言う犠牲者を出したが、とっと降伏した為、島津家の本領安堵と言う好条件を天下人である豊臣秀吉から引き出して居る。
この時点で島津・久実は、総司令官として、国家元首としての采配能力を喪失・・・・・と言うよりも、心身ともに喪失して居る状態に陥って居る。
即ち、国家の意思決定が出来ない状態と成ってしまって居た。
其処まで地の底に追いやられるほど心が病むまで、勇治とキリヤ公国連合国と言う存在は、恐ろしいと言えるのであった。
弘美は様々な想いを巡らせながらも、姉の居る祭壇部屋へとやって来た。
「久姉さん入るよ?」と弘美が祭壇部屋に入ると、数珠の様な物を手に持って、必死に神様とご先祖様に手を合わせる久実。
最早、女狐的なお姉さんの面影は無く、生気が抜けてしまい、肌は荒れ、身体付きは窶れ居り、更には細れ始めていた
「・・・・・・・・・・・・」
祭壇部屋に入った弘美は、絶望の淵に落とされ、心が壊れ始めて居た久実は、誰の言葉も聞きたくないと、少しだけヒステリックとパニック障害と成って居た。
最早、彼女が縋るのは、神様だと言った感じ成って居た。
「久姉さん、黙ってても良いから、そのまま聞いて、あたしは・・・そろそろ降伏しようと思う。」
「・・・・・・・・」
「何時の間にか竜珠王国の皇太子ショウ・ユンが奪還され、竜珠王国がキリヤ公国連合国軍によって解放され、キリヤ公国連合国へと加盟した今、我が島津家は四方をキリヤ公国連合国に囲まれてしまった。」
「これ以上の抵抗は無意味だと思う。」
「・・・・・・・・・・・」
「でもあたしは、この結果を十分だと思うの。キリヤ公国連合国より国力と軍事力が劣った島津家が、たった一月もの間だけだったけど、良く善戦したんだもの・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
「其処でなんだけど、あたしがキリヤ公国連合国軍の本陣所と成って居る。お召し旗艦空母、特戦空母・出雲へと降伏を伝えに行くから、久姉さんはアマテラス大日太陽神殿の鹿児嶋社殿へと入って、大人しく謹慎して居て欲しいの。」
アマテラス大日太陽神殿とは、日本で言うお寺や神社に当たる物で、アマテラス神皇国地方の昔からの慣例では、戦なんかで敗戦した責任者が此処に入れば、一応は斬首刑等の死刑処罰は免れる事が出来るとされて居た。
弘美は、その慣例に倣って姉の久実を責任を取って反省して居ますと敵対国と世界中の諸外国に示すべく、神殿入りさせる事にしたのであった。
「・・・・・・・」
「その間に最低限の命乞いくらいはして来るから、最悪の場合は、衣恵与を跡取りにして、島津家の血脈を繋いで欲しいの。」
「まぁ、最悪の場合・・・・あの子は嫌がるだろうけれど、少年王の直臣側室にして貰う交渉も試みる積り。」
「それで・・・・・貴女はどうするの。」
「最悪、処刑・・・・・って事は、多分だけど・・・無いだろうけどね。」
「あの少年王の事だろうから、大名王家国としての島津家のお取り潰しって所が、島津家に対する妥当な処罰と見て居るの。」
「本当に、それだけで済むの?」
「と思う・・・・・・・・」
「ダメよっ!行ってはダメっ!!貴女まで死んでしまったら、私は生きて居られないわっ!!」
「私が腹を斬るか首を差し出す、又は少年王の好きにさせれば(愛人に成れば)済む事なのよっ!!!」と泣きながら妹に抱きつく久実。
久実は、勇治に処分される幾つかの結末として、切腹や打ち首・・・そして愛人として、己が身体を弄ばれる事を覚悟した。
それが敗戦国の代表・・・・特に女性としての結末として割と多い事だからであった。
「大袈裟だな。ちょっとゴメンなさいって、言って来るだけなのに・・・・・・・・・・・」
「でも・・・・・・・」
「島津軍の最強武将である。このあたしが行かなきゃ、向こうも島津家が降伏をしたって納得しないでしょ?」
「だから行くの。これでもう、この戦はお仕舞い。あれだけの抵抗をした島津家の降伏をこの鬼島津たるあたし自らが頭を下げるのよ。」
「これを認め無かったら、本当に総力戦しか残されて居ないわ。」
「其処まで事をあの少年王はしたく無い筈よ。」と言う弘美は、キリヤ公国連合国と総力戦と成る前後の頃から、勇治とキリヤ公国本国の事をよく調べているらしい。
「だから久姉さんは、反省して居るって示す為にも、神殿に入って居てっ!!お願い・・・・・」
「分かったわ。神殿で弘美の帰りを待って居る。」
「うんっ!!行って来るねっ!!」と・・・そう言って弘美は、その場を立ち去る。
弘美が立ち去った後、久実は意を決した覚悟で呟く。
「万が一の時は・・・・・・」と小さな声で言った一言は、勇治への反省文を書き添えた嘆願書を残して、切腹する覚悟を固める。
衣恵与を跡取りにし、島津家の家名だけを残して欲しいと言う願って・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
マギアンティア世界統一暦・1555年・11月20日・午前9時05分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・九州島地方・南九州島地方・アマテラス神皇国・薩摩国・鹿児嶋市・鹿児島湾及び大隅諸島近海域にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その翌日、鹿児嶋湾を封鎖して居る九鬼隆嘉が率いるアマテラス織田自治神皇国海軍と織田・和紗・信長は、戦艦安土以下岐阜・清州・那古野・道三等の五隻。
それと重巡・巡洋艦・駆逐艦等から成る30隻の海軍艦隊。
更にキリヤ公国連合国軍の総司令官である山本五十鈴が率いるナデシコ自治統合海軍・第一戦隊共に全砲門を鹿児嶋や薩摩国内の島津家の拠点へと向けて睨み付けて居た。
勇治も特戦空母・出雲に乗船し、直営旗下の護衛艦隊と共に島津家が降伏をしにやって来るのを待って居た。
本来ならば、降伏を勧めるのが戦争を終わらせる手っ取り早いやり方なのだが、今回に限っては、キリヤ公国連合国の方は政治的、国家的な体裁として悪い事をしては居ない。
島津家が国策として他国領へと攻め入り、その結果、キリヤ公国連合国と敵対してしまったに過ぎないのである。
詰まりは自業自得なのだ。
故にキリヤ公国連合国としては、島津家に降伏を進める義理は無いと言えた。
このアマテラス地方の内戦平定を国是として居る当事者である和紗は、「生温いっ!!艦砲射撃で一気に脅せば済むだろうっ!!」と主張する。
それをまぁまぁと周辺のキリヤ公国連合国軍幹部の者達が、宥めて抑えてくれたお陰で、島津家・本拠地である鹿児嶋市への総攻撃が行われる事は、無かったのだった。
和紗の性格は、ああ言った強気系ヤンデレさんなので、ある程度の強気な発言をする事で、キリヤ公国連合国内の別の意見を持って居る者たちへの鎮静剤も兼ねた役回りを買って出て居た。
要は国内統治者には、バランスが大事だと言いたいのである。
まぁ、勇治が優し過ぎるから、強気な発言をする事で、勇治にも危機意識を持って貰いたいと思っての姉心から来る婚約者としての和紗の発言なのである。
採用されないのは分かって居るので、ブラフ的に言うだけで在るのだが・・・・・・・・・・・・・・・・
それは兎も角として、採用された方針は、相手が降伏を言うまで、圧力を掛け続ける。
これがキリヤ公国連合国中央政府と各連合加盟国政府としての総意と成って居た。
「そろそろ降伏してくれないかなぁ・・・・・・・・・・・」とボツりと呟く勇治。
特戦空母・出雲の艦橋に在る公王専用座席に座り、ポツリと呟く姿は、少々待つのにも飽きて来たからでもあり、頑固に抵抗を続ける島津家への苛立ちを覚えたからでもあった。
東西南北を全ての街道・海路・領空を封鎖したキリヤ公国連合国軍は、この戦争での勝利は確定して居るとして、島津家に圧力を掛けての待ち態勢に入って居た。
島津軍の軍勢は35万に強の軍勢が居り、その内で国外出兵をして居た30万人の内、死者が3万人、傷病人が15万人と成って居て、残りは10万人が投降し、各地に展開するキリヤ公国連合国軍に降伏して居る。
残り5万人は薩摩国・大隅国へと逃げ延びつつ、各地方の武将達が治める本領地へと帰国。
他にも本土軍として居残って居た5万人が居り、それらを合わせた10万人の軍勢が、島津家本領である薩摩国と大隅国の各地方に在る城に立て籠もって、キリヤ公国連合国軍と睨み合って居た。
「そろそろ降伏しても良い頃合いよね。」と五十鈴が通信で応える。
「最後までやるのなら、この安土でっ!!」
「物騒な事を言わないでよ和紗ねぇ。一定の限定なピンポイント砲撃をした方が楽なのは分かって居るけど、あの鹿児嶋市含めた戦後復興の事も在るし、島津家の人達も、国造りの人材としては魅力的だから、これ以上は、やり過ぎたと思う。」
「それにやり過ぎたら、怨まれる事に成り、島津家の人達も後には退けなく成っちうよ。」
「だからさ、今回の事は反省して貰ってさ、新しくやり直せるようにして上げれば、プラマイゼロに成るでしょ?」
「甘いなっ!(だが、其処が良いんだよなぁ・・・・・・・)」
何を言ってるんだよっ!!この性格が捻じ曲がって居る変態っ!!と言いたく成るかも知れない和紗であった。
とは言え、降伏を申し出て来るまでの間は、とても暇なのは事実。
戦火が終わった九州地方の各地域では、戦で出てしまった被害の後片付けが始まって居る。
戦争に措いて、前線よりも後方の方が忙しいと言うのは、何んとも不可思議で、誠に変な話でも在るが、今は舞華達の様なロボット部隊が、復興支援を行って大活躍して居る。
そんな割と暇な海上封鎖をして居るキリヤ公国連合国艦隊。
其処へ鹿児嶋市方面から、一隻の千石船が現れる。
島津十字の家紋が入れられた帆と旗印を掲げて、降伏の白旗を目立つ様に晒して、島津家の使者がキリヤ公国連合国の主力海軍艦隊の目の前へと現れたのである。
「えっ!?島津・弘美・義広が、降伏の使者として、やって来たって?」
「ええ、非武装で現れたけど、本人かどうかの確認は・・・・・・」
「陛下っ!!それはわたしが確認しましょうか?」と特戦空母・出雲に乗船していた島津・利美・歳久が申し出てくれた。
「頼める?」
「はい。捕虜であるわたしにしか、身元は分からないでしょうから・・・・・・・・」
「それじゃ、頼むよ。」
「はっ!!」と丸で昔から要る忠臣の様に応える利美。
彼女は少しでも島津家と彼女の家族が有利に助かる様にと、キリヤ公国連合国側の言われる事に積極的に協力しようと動いて居た。
捕虜として捕らえられ、どう言う扱いを受けるのかと、不安な事も在ったが、その扱いは、この世界のどの国よりも厚遇的な扱いを受ける事に感銘を受けてしまった。
福岡城を経由して、総旗艦である特戦空母・出雲へと通された利美は、初めて勇治と拝謁した時に、神スキルを有する勇治の印象は、これは格上の人物、とても敵わない風格の持ち主と悟り、何故か自然と首を垂れてしまって居たのである。
姉達と自分が始めた、この戦を早く終わらせる為に・・・・・・・・・・・・・・・
島津・弘美は、自国の船よりも何百倍も在る巨大船を見つめて居た。
「織田や噂に名高い特別自治州区と聞くナデシコ領の巨大戦艦にも驚かされたが、この平たい鋼鉄船にも驚かせてくれる。」
「噂に聞く新興国の少年公王とは、如何なる者なのだろうか?」
弘美は特戦空母・出雲艦内に在る会議室へと通された。
其処には勇治専属の護衛官である上泉・伊澄・信綱と柳生・冬香・十兵衛の二人に護衛された何の変哲もない平凡そうな少年が現れる。
「桐谷勇治です。初めまして島津・弘美・義広さん。お話はかねがね聞いて居ました。」
「はっ!良く戦場等で流れて居る噂や市井の者達の間などで、巷に流れて居る私の噂をでしょうか?」と世間で良く流れて居る鬼島津と謳われる噂を勇治も聞いたのかと思った弘美。
「いえいえ、とても勇猛果敢で、そして誰よりも優しいお姉さんだと伺って居ます。」
「えっ!?」と、予想外の答えに戸惑う弘美。
しかし、いったい誰が、そんな身内や上級クラスの家臣でしか知らない様な内輪話を如何して勇治が、知って居るのかと言う疑問。
その疑問の答えは、直ぐに明らかと成った。
「その様子だと、大方島津家内では、わたしは死んで居る事にでも成って居るようですね。」と淡々と話す島津・利美は、少し遅れて現れた。
「利美っ!?」
「弘美姉さん、心配を掛けました。わたしは、この通り無事です。」
「はぁ~、そうか、そうか、そうかっ!良かったっ!本当に良かったっ!」と弘美は安堵とすると共に、大粒の涙目で妹の無事を喜んだ。
「その様子だと、久実姉さんは・・・・・・・・・」と長女・久実が大体、如何なって居るのかを察した。
「ああ、お前は聡いからな。大方の察しは付いて居るのだろうが、討ち死にの一報を聞いて、相当塞ぎ込んでしまって居たんだ。お陰て島津家の執政や軍務はズタズタさ。」
「わたしが抜けた事で、半月は持たないと思って居ましたが、弘美姉さんが踏ん張って居たからこそ、本領が守られたと言う事ですね。」
「でも・・・・・・・」
「はい。陛下のお心次第では、島津家の全領土は、何時でも制圧が出来ると聞いて居ますし、そんな事を何時されても不思議は無いと思って居ました。」
「それ為さらないのは、陛下が心優しき少年王だからなのでしょうね。」
「心優しき?って疑問形に成っちゃうのだけれど・・・・・・・」
「今回、我ら島津家は、欲を搔き過ぎましたので・・・・・・・」
「所詮ヒットラン皇帝は、自国に利益があるからこその関係で、最終的には最後まで付き合う義理は無いと言う事なのでしょう。」
「それに彼の皇帝に取って、島津家はキリヤ公国連合国と張り合う為に必要な、何時でも切り捨てられる手札の一つに過ぎなかったのですから・・・・・」
「いざキリヤ公国連合国に攻め込まれたら、とっと見切りを付けられたか・・・・・・・・・・・」
「・・・でしょうね。」
姉妹達は、お互いの近況やゲルニアン帝国のヒットラン皇帝が、島津家をどう扱い、どういう関係者であったのかを整理して行く。
そして、その関係がキリヤ公国連合国と張り合う為の捨て駒に過ぎないと分かっては居たが、いざキリヤ公国連合国軍に島津家が攻め入れられると、途端にこうもあっさりと切り捨てられると言う事に、清々しい程に変わり身が早いと呆れる処か逆に関心してしまうと言った感じであった。
「ご姉妹揃っての大体の近況話は終わった様ですね。」と勇治は姉妹の会話の切りの良いと見られるタイミングを見計らって、声を掛けて見た。
「はい。」と答えたのは利美であった。
「では島津・義広さん。」
「勇治陛下。あたしの事は、真名の弘美で構いません、陛下っ!」
「ならば弘美さん。島津家が我がキリヤ公国連合国に降伏をする事で、構いませんね?」
「はっ!」
「条件に付いて、ですが・・・・・・・・・・」
「無条件で構いません。」
「えっ!?・・・・・本当に良いんですか?」
「はい。こうも簡単に、ズダボロに打ちのめは、されはしましたが、十分に島津家の武威と面子が立ちましたので・・・・・・・・・・・・・・」
「了解しました。島津家としての処分は、島津一族と重臣一族のアマテラス神皇国地方から追放処分とし、その者達のその後の生活面での面倒などは、僕とキリヤ公国が保証します。」
「本格的な戦後処理としての罰則処分は、後日としますが、処刑等を含めた厳しい処分には、ならないとお約束します。」
「それに・・・・・」と勇治は、チラリと利美に目をやると利美は、それに応えるかのようにして、弘美に対してその事に付いて答えた。
「弘美姉さん、実はわたしは、キリヤ公国連合国の国防総省に仕官しないかと誘われて居るの。」
「ええっ!?」とビックリした顔付きに成る弘美。
それが本当ならば、利美に取っては、大出世と言えた。
敗戦国である島津家に取っても悪い話では無く、とても名誉な話でも有った。
勇治とキリヤ公国連合国中央政府は、今回の戦いで利美の参謀としての実力を高く評価して居た。
島津家は途上国な上に、その殆んど武器と兵器が、キリヤ公国連合国よりも遥かに劣る中で、キリヤ公国連合国軍を相手に半月ほど日数を善戦して見せた事は、ゲルニアン帝国のロンデル大元帥よりも優れて居ると評価され、太鼓判を押されて居たのであった。
「それって大出世じゃないかっ!!!」
「うん、この戦いが終わったら、家の人達と良く相談してから決めて欲しいって言われて居るから・・・・・・・」
「ああ、行って来い。どの道、我が島津家は、この故郷を追放処分にされる。自分達の食い扶持も如何にかしなければならんっ!!だが、それでも何時までも無職と言うのは良くない。」
「その点で利美は、その心配は無さそうだな?」
「そんな中で、キリヤ公国連合国の国防総省からの仕官の誘いだ。姉としても嬉しいに決まって居るさっ!」
「お前は昔から姉妹の中でも飛び切り頭が良い。」
「頑張って、もっともっと出世して来いっ!!」
「姉さん・・・・・・・・・・・・」
「島津家なんて小さい小さい。いっそのこと無くなってくれて助かるくらいだっ!」と言う弘美の言動は、島津家としてはある意味、問題発言と言えるが、本当に先祖代々の縛りが消し飛んだ事で、弘美も自由に成れた感じがしたからこその心の底から言える本音での言葉であった。
こうして、島津家はキリヤ公国連合国に対して、無条件降伏をした。
勇治はキリヤ公国連合国軍のキリヤ公国連合国の先進4地域と呼んで居る地域から派遣されて居る特殊部隊と空挺師団に命じて、島津家本領地域に向けて、占領制圧を命じた。
降下部隊は各都市部や市町村へと降下すると、島津家がキリヤ公国連合国に対して降伏をしたと通知する。
島津家の領民達は、そろそろかと悟って居たらしく、目立った抵抗をする者達は居なかった。
また、アマテラス大日太陽神殿の鹿児嶋社殿にて、謹慎して居た島津・久実は、迎えのキリヤ公国連合国軍の空挺部隊に連れられて、キリヤ公国本国へと移送される事と成った。
妹の利美が無事だと知り、更にキリヤ公国連合国の国防総省への仕官に誘われて居ると知ると、それは大出世だと大いに喜んだだと言う。
これにてキリヤ公国連合国によるアマテラス九州平定征伐戦は幕を閉じる事と成るのであった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
だが、次なる騒動が直ぐ近くまで近付いて居ると言う事に、キリヤ公国連合国の者達は知る由も無かったのである。
そして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
キリヤ公国本国へと移送前に島津家当主である島津・久実・義久は、勇治のお召し旗艦空母である特戦空母・出雲へと連れて来られた。
久実は勇治への目通りが許され、次女・弘美と三女・利美と共に謁見する事に成った。
其処には勇治専属の護衛官である上泉・伊澄・信綱と柳生・冬香・十兵衛の二人に護衛された何の変哲もない平凡そうな少年が現れる。
「勇治陛下の・・・・」
「お成りです。」
護衛官の二人は、勇治の来訪を告げると、島津家三姉妹達は、跪いて首を垂れる。
「桐谷勇治です。初めまして島津・久実・義久さん。」
「はい。敗戦の大名王家の当主であるのも関わらず、ご拝顔の栄誉を賜り恐悦至極で御座います。」
「あまり気落ちしないで下さい。僕としては、貴女達を含めた島津家の皆さんは、既にこの戦争での降伏と反省を為さって居るのですから、卑屈に成らず、前向きに新たな一歩を歩んで欲しいと思います。」
「勿体無いお言葉です。」
「島津家当主、島津・久実・義久は、桐谷勇治陛下とキリヤ公国連合国に降伏し、これまで行いを振り返り、猛省を致す所存に御座います。」
「そして・・・・・二度と勇治陛下に、逆らわない事をお誓い申し上げます。」
「付きまして、此処に居る弘美と利美の事を何卒宜しくお願い致します。」
「姉さん・・・・・」と弘美は驚いた。
弘美に対する人事の事は、キリヤ公国連合国中央政府としては、取り決めがされては居なかった。
弘美の後事を心配して居た久実は、利美がキリヤ公国連合国・国防総省へと参謀官として仕官招聘されて居る聞き、弘美も頼めないかと考えて居たからの発言であった。
「利美のキリヤ公国連合国・国防総省への参謀官として、招聘仕官のお話は聞きました。大変に身に余る光栄な栄誉な事だと思います。」
「ですが、勝手な我が儘を言うようですが、此処に居る弘美も、利美と同様に併せて、仕官をさせては頂けませんでしょうか?」
「弘美は一軍の武将としての才覚は、キリヤ公国連合国軍と対峙した、勇治陛下と貴国の軍幹部の皆様ならば、既にお分かりの筈です。」
「このまま、弘美を表舞台から去らせるのは、非常に勿体無き事。」
「出来ましたら、勇治陛下に、お仕えするだけ一介の将・・・・・いいえ、如何なる身分で在っても構いません。武将として使って頂けませんでしょうか?」
「己が立場が如何なる事よりもですか?」
「はい。既に私は貴方様に刃を向けた見慣れば、今は処罰を受ける事で、身も心も身綺麗にしなければ成らぬ身ですが、此処に居る二人は、別儀で有ります。」
「この妹達は、私めの命令で動いて居ただけの身です。」
「この島津家の至宝と言うべき、二人を如何かっ!!如何かっ!!如何かっ!!陛下とキリヤ公国連合国のお役に立たせて下さりませっ!!」と久実の長々とした妹達の売り込み演説を聞いた勇治は、その話を聞いて居た。
「分かりました。後日ですが、キリヤ公国・国防総省の担当大臣である足柄・一輝・宗輝国防大臣と協議して、弘美さんの扱いを決めさせて頂きます。」
「恐らくは、良いお返事が出来ると思います。」
「ははっ!!ありがたき幸せに御座います。」と久実は、妹達の後事を受け入れてくれた勇治の言葉に涙して居た。
「姉さん・・・・・有り難う。」と嬉し泣きをしてしまう弘美。
「勇治陛下っ!!不詳っ!!この島津・弘美めは、この様な武骨者では御座いますが、粉骨砕身っ!!精一杯、勇治陛下とキリヤ公国連合国の民草の為に、お仕えする事を此処にお誓い申し上げるっ!!」と弘美も心を新たに、勇治を主君と定め、臣下と成る事を誓う。
「同じく、わたしも勇治陛下のご臣下として、お仕えする事をお誓い申し上げますっ!!」
姉達の決意に腹を決めた利美も、勇治とキリヤ公国連合国への仕官を決めた。
逆らい降伏した者すらも許し、登用する。
勇治が名君だったと言われる所以が、この島津家の姉妹達との謁見に措いて、垣間見れたワンシーンであったと、後の歴史書には記録として綴られて居る。
その後、島津家の四姉妹達は、キリヤ公国連合国のキリヤ公国本国領の拡大に伴い、島津家はキリヤ公国と桐谷勇治の直臣と成る条件付きで、島津新薩摩自治藩王国として、大名王家に復帰する。
勇治旗下の直臣藩王として復帰した島津・久実は、絶対に裏切らない証を立てる為に勇治の側室として操を捧げ、永遠の忠誠を誓う事に成り、島津4姉妹らは、何れもそれぞれの地位に見合った勇治の妻としての地位が与えられ、それぞれ子を儲けて行く事に成るが、利美と弘美らは、姉妹たちの中でも、いの一番に勇治との子供を儲けて居る。




