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キリヤ公国英雄戦記物語  作者: 伊達教宗
第7章 少年王と魔王織田・和紗・信長との対峙とアイヌル民族解放血盟団の反乱の終焉編
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第54話 少年王と魔王織田・和紗・信長との対峙とシャッコロ族・トゥクル・コシャンの父への想いっ! 3

マギアンティア世界統一暦・1555年・10月27日・午前8時15分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・第三連合地方・キリヤ公国連合国加盟国家・奥州独立自治王国・北アマテラス北方三方列島地方内・北海島国州・海南地方・八雲平原地帯にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 キリヤ公国連合国中央政府は、キリヤ公国連合国軍を海南地方の八雲平原一帯へと15万人以上もの兵力を動員した全軍を以って進軍を開始する。


 この規模の軍勢が投入されるのは、先の公帝戦争以来の総軍規模での進撃であった。


 現地領国の統治者である奥州独立自治王国の伊達軍を先頭に、左翼に上杉・毛利軍が陣取り、右翼には普段は遠征軍には参加をさせる事が無いメイルシュルフラッド独立自治公国軍が参加して来て居た。


 今回の反乱軍の鎮圧は、キリヤ公国連合国としての面子が掛かった大戦であるので、連合加盟国の各国全軍の参加がキリヤ公国連合国国防省と国防大臣たる足柄・一輝の名の下で、総軍出動要請が出て居たからであるからして、今回は手加減無しの本気で潰すと相手方に言い聞かせる意味も有った。


 そのメイル公国軍の相方には、フェリス侯爵独立自治領国軍が選ばれて居た。


 この国もキリヤ公国連合国軍総出での出陣は、今回が初と成る。


 この二ヶ国はキリヤ公国連合国と成り、最近に成って近代化装備を始めたばかりの国同士での遠征軍であり、将来に備えて経験を積ませる為の派遣でもあった。




 遊軍として織田軍・キリヤ公国軍が控え、ナデシコ軍・ビクトリナ軍・新トウキョウ国防自衛軍の三軍が、各種地域の特色を生かした特殊型兵器群で、陸海空の三方向からアイヌル反乱軍へと迫る。


 キリヤ公国連合国軍は、各自治統合陸軍の歩兵師団中心の戦力を陽動作戦の為の囮にして、機械科機甲軍を奇襲攻撃軍として使いつつ、自治統合海軍艦隊と自治統合空軍航空隊を支援軍として、周囲に部隊を展開をさせていた。


 その反対にアイヌル民族独立解放急進派組織・アイヌル民族解放血盟団側は、八雲平原地帯でキリヤ公国連合国軍と決戦を挑もうと3万人兵力で陣を敷いて居た。


 何れの軍勢も、この世界での列強国以下の歩兵軍と騎兵軍の寄せ集めでしかない。


 火縄銃は3000丁くらいは在るものの、お世辞にも訓練された銃歩兵には程遠く、バカ高い金を叩いて購入している200門の大砲も、キリヤ公国連合国軍の前には、ガラクタでしかないと言えた。


 キリヤ公国連合国中央政府とキリヤ公国秘密工作諜報情報部局の忍び衆による融和裏工作の影響で、一時期は10万人まで膨らんだアイヌル民族解放血盟団は、7割近くの団員達が、組織から抜け出て行ってしまって居た。


 半ば盲目的に組織に入った者達は、家族や知人友人等から、バカな事は止めろっ!!


 真実はこうなのだと知らされると、蜘蛛の子を散らす様にして、組織抜けを始めたのであった。


 それでも反乱を止めない居残って居る組織の中心者達は、生粋に他民族の事を信じられない者達で構成された団員達の集まりであった。


 勇治を始めとするキリヤ公国連合首脳陣達は、最後まで組織に居残った者達を赦免の対象外とし、武装解除して降伏の態度を示さない限りは、武力鎮圧の対象とする決定の決断を下した。



 遂にキリヤ公国連合国は、アイヌル民族の反乱軍による大乱に終止符を打つべく、アイヌル民族独立解放急進派組織・アイヌル民族解放血盟団の殲滅総攻撃を仕掛ける戦いが始まろうとして居た。



「物凄い量の軍勢だな。噂に聞く以上に国力の底が知れない。キリーヤーズ公国連合国と言うのは・・・・・・」



「シャマランさまっ!!何を悠長な事を仰って居られるのですかっ!!」


「今こそ簒奪者どもを蹴散らして、真にアイヌル民族の民として誇り在る暮らしを取り戻すのですっ!!」


「果たしてそうかな?」


「今や味方と成る者は、此処に居残る意固地に成って居る者達ばかり、物分かりの良い他の者共は、その全員が郷に帰ってしまったのだぞっ!!」


「それにアレを見るのだっ!!この辺境の地では想像すらした事も無く。」


「何れも見た事も無い兵器が、数多目の前に展開して居る。」


「軍勢の様相を見る限り、キリーヤーズ公国連合国は、とうとう本気を出して来たと見るべきだろう。」


「それが如何したとう言うのですかっ!!」


「分からぬか?彼の連中は、これで蹴りを付けられるとの算段が付いたと言うのだ。」


「成らば、もっけの幸いと言う物。」


「彼の軍勢を殲滅すれば、逃げ出した腰抜け共や日和見の者達の鼻を明かせましょう。」


(ダメだな。このオガルを始め、外の文化・文明を目の当たりにしても、その優れた文明が、如何に我が民族との差が如何に大きいのかさえ、理解しようする処か見向きもせずに居る。)


(やはり害毒と成る者共は、我が手で葬りさるしかあるまい。)


 北海島の最も古いアイヌル民族の族長の血統を持ったアイヌル民族、シャッコロ平原に住まうシャッコロ族の族長シャマラン・コシャン。


 彼は兼ねてよりのアイヌル族長連合会が計画した通りに、キリヤ公国連合国に歯向かい続けるアイヌル民族解放血盟団を一ヶ所に集めて、無法者と化した同胞達を一気に殲滅して貰う計画の最終段階に移行させる事を目論む。


 その為には、己が心を鬼と成る事を固く決意を新たにして居た。


 一方その頃、シャッコロ平原に住まうシャッコロ族集落では、14歳の一人の少女が運命の時を迎えようとして居た。


 少女の名はトゥクル・コシャン。


 北海島の最も古いアイヌル民族の族長の血統を持ったアイヌル民族。


 シャッコロ平原に住まうシャッコロ族の族長シャマラン・コシャンの一人娘であった。


「そんな・・・・・」


 トゥクルはアイヌル族長連合会の部族長達がやって来て間も無く、此度の最終決戦で、己が父親であるシャマランが、死ぬだろうと報らされた。


「済まんのぉ、トゥクルや、お主の親父殿は、アイヌル族と外つ国の異民族達の未来の為に、進んで悪役を勝手出てくれたんじゃ。」


「ワシらは、この馬鹿げた戦を早く終わらせる為に、海南地方の同胞と松前王、今は国州地知事じゃったかの。」


「その松前さまと南の同胞達を通じて、キリーヤーズ公国連合国中央政府と密かに乱を沈めるべく、気脈を通じて居ったのだ。」


「恐らく今頃は、八雲ヤングモ平原辺りを中心にして、アイヌル民族解放血盟団とキリーヤーズ公国連合国軍とが激しい大戦を繰り広げて居る事じゃろう。」


「それじゃあ、父様は・・・・・・」


「運が悪ければ討ち死に、良くて捕縛の上で処刑じゃろうな。」


「そんなっ!!余りにも父様も長老様方も勝手過ぎますっ!!私やシャッコロ族のみんなに黙って、勝手にそんな事をっ!!」


「くれぐれもお主とシャッコロ族達の面倒を頼むと言われて居る。まぁ、安心なさい。」


「一番に面倒な役を押し付けてしまったのじゃ、アイヌル族長連合会に属する全ての部族は、シャッコロ族とトゥクルに対して、手厚い支援を約束するからのぉ。」


「ふざけないで下さいっ!!」


「ああっ!!トゥクルやっ!!」


「トゥクルっ!!」


「トゥクルっ!!八雲ヤングモ平原に行く気かっ!!」


「バカな真似はよせっ!!」


(父様っ!)


 トゥクルは、集落の共有財産である放牧して居た馬に跨って、故郷の集落を飛び出した。


 父親を止める為にっ!!



 マギアンティア世界統一暦・1555年・10月27日・午前8時30分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・キリヤ公国連合国加盟国家・奥州独立自治王国・北アマテラス北方三方列島地方内・北海島国州・南海南地方・八雲平原地帯・キリヤ公国連合国軍本陣にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 勇治は新トウキョウ地方自治州区で予定して居た公務をキャンセルした。


 新トウキョウ地方自治州区政府側には、北アマテラス北方三方列島地方での内乱が鎮まる目途が立ってから、改めて連合加盟首脳会談と実務会議を再開するとして居る。


 新トウキョウ地方自治州区中央議会・内閣総理大臣である中泉純一郎氏も、その事を十分に理解して居るとし、反乱が一刻も早く静まる事を切に願うと内外に向けての記者会見で述べて居た。


 キリヤ公国連合国軍の本陣の野戦司令部の中央に居座るのは、この反乱軍鎮圧平定軍の当事者である伊達・政実。


 その直ぐ隣には、連合盟主王である桐谷勇治が座って居る。


 その二人の両脇に勇治直属の護衛である上泉・伊澄と柳生・冬香のコンビが控えていた。


 そして、政実から見て右にアルペジオ・ハインライン・メイルシュルフラッド独立自治公国軍の総騎士団長。


 通称はアルぺ、それ以外ではアル、もしくはアルッペと呼ばれて居る女騎士。


 メイル公国軍の総騎士団長を務める人物で、公帝戦争の最中にリィーゼが女公王に戴冠した時に軍部を一新する一環で、国軍の責任者と成って居た。


 身長170センチの背丈に、藍色ロングヘアーの頭髪。整って居るボディスタイルだが、騎士らしく良く鍛えられ体格と女性らしさを残した身体付きをして居る。


 性格は職務に真面目な性格と人当たり良い所で、普段は母国の国防に専念して居るせいか、キリヤ公国連合国軍内に措いて彼女とメイル公国軍は、前線に呼び出される事が、殆んどない為か影が薄いイメージが強く在るらしい。


 その反対側には、織田・和紗・信長が座り、更にその後ろに明智・十華・光秀が控えていた。


 和紗はキリヤ公国連合国への加盟を内々に表明して居るが、それはアマテラス神皇国の統一後にと言う条件が勇治から提示されて居る。


 今は同盟国軍と言う形で参戦し、総軍本陣内で一番高い席順で、盟主王と総軍司令官の直ぐ近くに座って居た。


 この席順並びを決める基準としては、メイル公国が勇治の第二正妃の母国である為である。


 そして、織田大名王家はキリヤ公国連合国の同盟国であり、準独立王君主であるから席順は、宗主国王と総軍司令官の直ぐ近くに成る。


 次に右へと移ると板垣妙子キリヤ公国連合国軍・統合副司令官兼ナデシコ自治統合陸軍元帥。


 その後ろには補佐として前線指揮官である栗林武美大佐が控えていた。 


 その左側に座るのが、近衛近習衆軍から派遣されて居る第六近衛近習衆軍の軍団長である細川・藤夜・悠斎が武者鎧姿で座って居た。


 彼女は普段はキリヤ公国連合国・国防省で足柄一輝の国防大臣補佐官をして居る。


 今日は国防大臣たる一輝の命を受けて、諸外国に足柄家は、今も健在であると示す作戦行動を命じられて居た。

 

 ぶっちゃけ一輝の名誉回復をするのが、藤夜の今回の任務なのである。


 続いて居るのが、上杉軍の直江・愛華・大国・七恵双子姉妹。


 次いで居るのは、毛利軍から派遣され、陸軍を取り仕切って居る吉川・春美が参戦。


 フェリス侯爵独立自治領国からはフェリス家の三姉妹の三女で、フェリス軍の全てを取り仕切るフェリス侯爵独立自治領国軍総司令官のレイチェル(元帥扱い)が派遣されて来て居る。


 ビクトリナ軍からは、新トウキョウ地方自治州区での公務を終えて帰国する序でだからと、自国から後に成ってやって来ていたジェシカ自ら戦地に赴いて居る。


 海上に目をやると、キリヤ公国本国海軍とナデシコ自治統合海軍と新トウキョウ地方自治州区国防自衛軍も併せて同じ様にして、自国艦隊を海上で艦隊を展開させた。


 また、陸軍の全軍の取り仕切りを統合副司令官である板垣妙子に任せ居た。



「さて、作戦は事前に説明した通りに、陸戦戦力を囮にした、包囲作戦で行く。」


「くれぐれも無茶の無い様にな。」


「独眼竜の小娘、この俺を使わずに戦を終わらせるなよ。」


「はぁ、分かって居ますよ和紗殿。一応、この戦は伊達家領内で在るので、全軍の指揮権は私に在ります。」


「ですが、正直言って織田・和紗・信長と言うお方を下に付けた形での戦いは、どう扱って良いかは、正直言って私としては、非常に扱いに困って居る所です。」


「成らば、この織田・和紗に貴様の才を示して見せろっ!!」


(ああ、和紗姉ぇの後ろに黄色いオーラを放つ虎が猛虎が見えるっ!!)


 序で言うと政実の背後には蒼き片目の竜が光り輝いて見えていた。


 因みに勇治の背後の幻影には白狼が空けて見えるらしい。


勇治は和紗と初めて対峙した時に、彼女の覇気をもろに浴びた影響で妙な幻影が見える様に成って居たりする。


 ゴットタブレットでその事を試しに調べたら、守護聖獣の加護とか言う天性の才を持って生まれた人に備わって居る英雄スキルとか言う物の一つが、二人には在るらしい。


 英雄スキル持ちは、俗に英雄症候群と言う能力とコンプレックスを抱えて居る事が多いらしく。


 その覚醒条件は、様々であるらしい。


 政実は天然痘で片目を失うが、その代わりに知恵に優れ武芸もソコソコの強さを誇る才に恵まれ、危険を直感で悟る事に秀でて居る。


 一方の和紗は激しい気性と激しい破壊衝動に加え、心の強い雄への性欲を求める傾向が強く出る代わりに、強いカリスマ性と改革的な考え持った思考を持ち。


 あらゆる分野の武芸に長けて居る才能を手にして居た。


 そんな才能を持ってしまった者達は、世間からは異能者として扱われ、苦悩の日々を過ごして自分の力と心に潰される事が多い。


 だがしかし、この二人は覚醒する機会に恵まれた為、今の地位を手にして居た。


 勇治も女神の加護の影響で、魅了スキルと自身の周囲に味方を多く付ける才能を開花させつつあった。


 だが、その反面、親しい間からの者達が酷く傷付き、死ぬ様な事に成れば、彼の蜀漢皇帝の劉備玄徳の様に、敵討ちと言う復讐心に囚われるかも知れない。


 勇治に宿った白狼聖獣は加護は、味方を引き付け増やして行く事に優れ、気性が大人しい人物に異能の力を与えるらしく。


 それと引き換えに、白狼聖獣が、その身体を己の存在維持の為に、依り代として居座れてしまう。


 そして、この聖獣の一番に厄介な点は、宿主の群れの敵と成る者共には、容赦なく攻撃的な性格へと変貌させる不安定な所を秘めている。


 勇治が妙に気優しく、大人しい気性で達観して居るのは、元々の部分に加えて、転生時に女神の加護を得るのと同時に、一人に成りたくないと言う心の闇が在る。


 それと似た様な性質を持った聖獣に付け込まれた、或いは加護を得る切っ掛けに成ったかも知れないと言えた。


 そんな勇治の闇と猛獣を感じ取った猛虎を抱えて居る和紗は、敵に回せば群衆集団のリーダーとして、凶暴な白狼聖獣を宿した彼が、自分の首を噛み切りに来る格上の狼と悟った様である。


 そんな和紗は彼の子供を求め同族と成る道を選び、知恵ある竜の加護を得た政実は、味方に成る道を選ぶ。


 それを直感で見極め、自身の身の安全を取って居たのであった。


「まぁ、全員に出番は有ると思いますよ。今回は殲滅総攻撃ですので・・・・」


「ふん、この俺様の出番が無いと・・・・・・・・」とチラリと勇治を方を見ながら恥じらう。


「勇治に、この俺の良い所が見せられたないでは無いかっ!!」


「はんっ!!ええ、度胸がええのう小僧。正妃二人だけじゃ満足できんのかぇ?」と睨み付けた春美。


「隆美の奴は、こんな小僧の何所がええんのじゃけぇ・・・・・・・」とブツブツ言って居る。


 春美が言って居る隆美がと言う意味は、何と隆美は色々と優しくしてくれて居る勇治の事が、最近は一人の男性として、気に成って来て居るらしい。


 今は身分違いを気にして公に気持ちを言い出せないらしく。


 如何したら良いのと、悩んで居る独り言を言って居る所を偶々聞いたしまったらしい。


「ふうん、あんなにも一回りも年上女もイケる口なのねぇ・・・・」と気の強いレイチェルが白い目付きで勇治の事を見て居た。


 レイチェルは父親から、フェリス家の娘の何れかが、勇治の側室に成る様にと言われて居るので、当の嫁入り先の勇治が、黙ってても女の方から、近寄って来る事に呆れていた。


「勇治さま。リィーゼさまに見捨てられない様にして下さいね。」とアルぺは白い眼付きで苦言を言われてしまう。


 リィーゼは勇治が宮殿で何人もの彼を慕う女を囲ったとしても、笑って済ませる器量は在るが、ただ単に女にだらしのない男なのは、許容してはくれないかも知れない。


「はぁ、ホンと愛が重いなぁ・・・・・・・・」


(大変だなぁ・・・・勇治さま)


(そうだね、まさかあの織田の魔王さまが、勇治様にゾッコンに成るなんてね。)と上杉家の双子姉妹は、他人事と言った感じで、最近は益々女難で大変な勇治と、この場に居る彼を慕う女達のやり取りを見て居た。


(はぁはぁはぁ、勇治に出会ったから落ち着いた筈の気性のイライラが、勇治への恋愛感情に代わったせいか、何もかも、ぶっ壊したい衝動は確かに消えたがっ!)


(その変わりに勇治と近くに居すぎると、性欲と情欲が込み上げて来るのが、制御できないっ!!)


(はああっ、単に勇治への愛欲の事を我慢してるだけなのにっ!ムラムラして、気が変に成りそうだっ!!)


(早く戦で暴れたいっ!!暴れて気が狂う酔いを紛らわしたいっ!!)


(早く暴れ回ってスッキリしないと、俺っ!!俺はっ!!俺はああぁぁぁっ!!はぁはぁはぁはぁはぁ・・・・・・・・・・・・)


(でないと、俺はアイツをっ!!)と言い掛けた所でその言葉を呑み込んだ。


 勇治と出会って落ち着いた激しい暴れ馬処が凶暴な猛虎を己が精神内に飼って居る和紗。



 彼女は自身の精神を安定させる安定剤として、勇治への恋愛感情へと置き換える事で、破壊的な衝動を抑えている。


 しかし、常日頃からの色々なストレスや我慢と言ったうっぷんが堪り過ぎると、それは単純な性欲とは別のイライラへと成り代わり、最後は八つ当たりに由る暴力か、強姦行為ち成って、好意を寄せて居る相手本人への牙にも成り兼ねない。


 今は勇治本人が近くに居て、べったりな状態が過ぎて居るせいか、精神的なさじ加減が、良くない状態の方向へと陥り掛けて居る。


 薬も過ぎれば、毒に成る。


 ああ、そう言えば政実の叔母である佐竹・秋江・重義も、似た様な性癖と気性を抱えた居ったけな。


 この世界の英雄症候群は恐るべし、英雄の才在りし者は、何某かの心の闇やデメリットを抱えて居るらしい。 


 そんな和紗は、もし、うっかりにも勇治が彼女と二人きりに成れば、猛々しいメス虎に大変身して、情欲のままに身を任せて彼を襲い。


 例え勇治が倒れたとしてもだ、そのまま朝まで彼女が疲れ果て気絶するまで襲い続ける事と成るだろう。


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