エピソードブラス・アマテラス神皇国・戦国無双・萌将伝 尾張の大虚けと岡ヶ狭間の戦いっ!!18
マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・尾張国・岡ヶ狭間地方・岡ヶ狭間村・尾張・三河街道付近地域にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
和紗が清州城から出陣する二日前の事である。
三河国を治める松平家の居城、岡崎城を出発した今川義本は、5万6千人の内3万人余りの軍勢を先行させ、織田家が治める尾張国を攻め落とさんと各地の拠点と言う出城や砦を軍勢を差し向けて居た。
その一方で今川義本は、本隊軍である3万6千人と共に尾張・三河街道をゆっくりと清州城が在る西北へと進軍して居たが、尾張国・東部地域の一つである岡ヶ狭間地方・岡ヶ狭間村に差し掛かる。
其処で岡ヶ狭間村を始めとする近隣地域の村々からやって来た者達が、戦勝のお祝いと称する貢ぎ物を今川義本へと差し出す。
今川義本は上機嫌で、その者達と対面をして居た。
「今川義本様っ!この度はこの尾張国を助けて頂き、誠に有り難う御座いますっ!!!」
「「「「「「有り難うこぜえますだっ!!」」」」」
一斉に頭を下げる近隣地域の村々の村人たち。
その中には蜂須賀・頃代と前野・恵那を始めとする木下隊が農民に変装をして居並んで居た。
数人いる村長達は本物では在るが、その殆んどが木下陽菜が搔き集めた仲間達、木下隊に属する陽菜の家来衆達であった。
岡ヶ狭間村の村長は、蜂須賀・頃代と前野・恵那の二人より、和紗から言われ頼まれた事を淡々とやってのけて居た。
「今川さま。これをご覧くださいりませ。お祝いの品々として、近隣地域で採れる産物と酒で御座います。如何かこれで戦のお祝いと腹ごしらえをして、明日からの戦いにも備えて下さりませ。」
岡ヶ狭間村の村長は、頃代と恵那らに運ばせた、近隣地域で良く取れる田畑農作物。
立派な大きさを誇るコイやタイ、イノシシやシカ等を義本へと献上する。
「おおっ!!!これは立派な物だな。」
「義本さま。折角のコイやタイ、イノシシやシカですが、そろそろ季節は夏に成る頃合い。」
「保存して置くには少々無理が有るかと・・・・・・・・・・・・」
「為らば雪斎よ、これらの品々を従軍して居る者達にも振る舞えば良かろう。」
「この暑さじゃ、酒もそれほど長持ちする事は在るまい。」
「幾らワシでも煮え立った酒と腐り掛けの肉を喰うのは気が引けるしのう?」
「承知致しました。」と言う太原雪斎。
彼は何かを言いたそうな顔つきで居たが、主である義本の判断には従うしか無かったのだった。
(敵地でのんびりとして居るのは不味いが、この暑さだ。)
(折角の尾張国の民衆達からの差し入れを手を付けずに腐らせたと在らば、義本様の悪評判が立ってしまう。)
(まぁ今回は致し方無い。相手があの信長で無ければ、義本様の首を討ち取られ兼ねないので、お諫めせねば為らないが、虚け姫と評判の信長ならば、問題無かろう。)・・・・・と雪斎は、敵地での宴や食事を取る事は、かなりの危険性を孕んで居るからと、取り止めを進言をしたかった。
しかしながら、為政者としての面子も在るので、此処は渋々引き下がる事にしたのであった。
「所で村長よ。些か暑い日々が始まって居る。」
「お前達から貰った心尽くしの品々を頂くのに丁度良い場所を知らぬか?」
「でしたら、此処より北東の位置に、岡ヶ狭間山と言う小高い山々が輪を囲む土地が御座います。」
「そのど真ん中は、昔から岡ヶ狭間と言う盆地と成って居り、夏は涼しく、冬は寒い場所として知られ、今川が率いて居られる程度の軍勢為らば余裕を持って逗留出来るかと思われまする。」
「ほほう、そうか、そうか?かような良い場所が、この近くに在るとはな。」
「雪斎っ!我が本隊6000の軍勢を岡ヶ狭間へと向かわせよ。」
「その他の軍勢に付いては、その方に配置を任せる。」
「ははっ!!畏まりました。」
「村長よ。世話に成った。者共っ!!!進軍再開じゃ、出発せよっ!!」
「はっ!!出発あああああぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!」」
今川軍は、休息を取る為に、近隣地域では涼しい盆地として知られて居る土地である岡ヶ狭間へと向かう事に成った。
まさか・・・・・・これが彼らの不幸な運命を決める事に成るとは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・尾張国・東尾張地方・善照寺砦にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
マギアンティア世界統一暦・1545年・6月7日・午前2時10分頃。
再び話は清州城を出陣をした和紗に移る。
三千人の将兵達の士気を纏め、熱田神宮を出発した和紗は、善照寺砦へと到着する。
善照寺砦は、戦場の前線と成って居る鳴海城と品野城から10キロ離れた所に在る今の時点で織田家の最前線と成って居る出城砦である。
其処で和紗は、丸根砦・鷲津砦・中島砦を守備して居た織田家・武将の飯尾定宗と梶川高秀が率いて居た400人の軍勢と合流する。
「姫様・・・・・」
「申し訳ございませんっ!!」
「ふっ!良くやったぞっ!二人共っ!!」
和紗は、生きて逃げ帰ってしまった二人の事を労いつつ、その奮闘を称える。
「ですが・・・・・・」
「我らは・・・・・・・・・」
しかしながら、失敗した武将の二人は、同じく丸根砦を任されて居た佐久間盛重を討ち取られた挙句に、織田家東北方面の防衛の要たる砦の全てを奪われると言う大失態をしてしまって居る。
本来ならば、切腹して詫びる所と言うべき重罪であった。
「二人とも早まって、腹を切るなよな?」
「それでは盛重の奴目が、犬死したものも同然と心得ろっ!!」
「奴目は、織田家危急存亡と言うべきこの戦で、松平家の勇将と勇敢に戦い、死すべくして死んだのだっ!!」
「誇る事は在れど、決して恥でない。それに盛重一家の面倒は、この俺が見る。」
「討ち取った奴とは古い顔馴染みでな。竹千代の懐刀でもある奴だ。この戦のあとに味方と成った暁には、盛重が討ち取られた事以上に採算が合う奴だ。」
「決して悪い様には成らないだろう。」
「それに貴様ら3人は、見事にこの俺が義本を討ち取る為の時間稼ぎをしてくれたのだがらなっ!!」
「ななっ!!」
「何んとっ!?」
「姫様はあの義本公を討ち取ると言うのですかっ!?」
「信じられない。」
(とんでもないお方だっ!!)
(どうりで信秀さまも道三公も、姫様の事を一目を置いて居らる筈だっ!!)
(我らはとんでもないお方を主に頂いて居るのだろうかっ!!)
(このアマテラス神皇国地方の歴史が動くぞっ!!わしは何と言いう時に居合わせて居るのだっ!!)
飯尾定宗と梶川高秀の二人は、虚け姫とバカにして居た世間の世俗の者達とは全く異なる和紗の姿を垣間見る事で、噂とは180度違うと言う事を本当の意味で知る事と成った。
そして、和紗は今川義本を討つべく、義本へと迫るタイミングと作戦を慎重に練り上げるべく、次なる報せを待つ間、ゆっくりと休息を取る事にしたのであった。
マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・尾張国・岡ヶ狭間地方・尾張・三河街道付近地域にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
和紗が善照寺砦へと到着し、義本の下へと向かう作戦を考えて居る時の頃である。
その付近では、岩倉織田家家老である山内盛豊の息子である山内・伊右衛門・一豊と家来衆である二人を引き連れて、父親の仇である和紗を討たんと、今川軍との戦で大混乱して居る尾張国と三河国の境で、敵討ちの機会を伺って居た。
「殿っ!!何時まで敵討ちっ!!敵討ちっ!!と言って居られないで、今後の我らの身の振り方を考えるべきでは在りませぬか?」と山内家の家臣である五藤吉兵衛は言う。
彼は岩倉織田家家老である山内盛豊の家臣であり、先の尾張国内乱での戦いに参加せず、山内盛豊一家の護衛を請け負って居た為に難を逃れていた一人である。
その風貌はフォークソンググループ・海○隊のボーカル・リーダーで、「このバカチンがっ!!」とか言うセリフが有名な芸能人と瓜二つに見えてしまう様な顔だちをして居た。
「その通りですぞっ!!吉兵衛が申す通り、お母上の良夏様や妹君で在らせられる千草様達のご面倒を見る為にも、何処かに仕官をするか、食い扶持を稼ぐ為にも何か職に就くかをせねば成りませんっ!!」と言う祖父江新右衛門は、一豊を諭す様に言う。
その風貌は数々の映画やドラマでコミカルな登場人物を演じる事で有名な前○吟と良く似て居たりする。
この二人は、織田・和紗・信長を父親の仇であると公言して憚らない一豊が無茶をしないように見張る御目付役として同行をして居た。
一豊の母親である良夏は、山内盛豊が討たれた事で、何も出来ずに生き残って憤って居る一豊の気が住むまで好きなようにさせなさいと言って居るが、無茶を指せない様にとも苦言を言ってあるので、二人は山内家の若き当主が無茶をして命を落とさない様に懸命に見守り、苦言を言って居るのであった。
「二人とも、無理に付き合う事も無いのだぞっ!!」
「大方の所、母上に言われて居るのであろう?」
「この俺の事は気にせず、山内家の事は千草に婿を取らせて、何んとかするのだっ!!」
「俺は信長を討たねば、武士としての憤りと矜持が許せんのだっ!!」
「先の戦は父上に出陣を差し止められ、何もせぬまま生き残ってしまった。」
「父上だけを死なせて、跡継ぎであるこの俺がおめおめと生きて居る事が許せんのだっ!!」
「それに又しても尾張国は動乱に苛まれて居る。」
「北の美濃国は斎藤義竜が牛耳り、東から今川義本が攻め掛かって来て居る。」
「変わり者の信長の治世が如何に悪いのかが如実に浮かび出て居る証だっ!!」
「今までの事は単なる運が良かっただけで、今度と言う今度は、あの信長もお終いと成るに違いない。」
「その時こそ、父上の仇を取る絶好の好機っ!!」
一豊は、己の持論高説を高らか語って言うが、後にこれは間違いであったと思い知らされる事と成る。
(御父上がご自害を為さった事がそんなにもお嘆き為さって居るのは分かるが・・・・・・・)
(其処から前へ歩まれなければ、死者に足元を掬われる事にも成り兼ねない。)
(新右衛門。殿を何んとしてでも立ち直りをさせねばっ!!)
(分かって居るが・・・・・このお方は御父上で在らせられる盛豊様と同じく、変な所で頑固者だからな。)
二人は親子揃って頑固者である事に苦笑をしつつ、如何にかして一豊の事を父親の死から立ち直らせるべく、決死の想いで奮闘する決意を新たにするのであった。