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キリヤ公国英雄戦記物語  作者: 伊達教宗
第7章 少年王と魔王織田・和紗・信長との対峙とアイヌル民族解放血盟団の反乱の終焉編
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エピソードブラス・アマテラス神皇国・戦国無双・萌将伝 尾張の大虚けと岡ヶ狭間の戦いっ!!17

 マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・尾張国・清洲地方・清州市・清州城にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 マギアンティア世界統一暦・1545年・6月6日。


 織田・今川両軍が開戦してから更に時が過ぎ去り、22日が経とうとして居た。


 両軍の攻防戦は一進一退を繰り返し、尾張国と三河国の国境付近で激しい戦闘が繰り広げられて居た。


 特に守りに入った織田軍は神出鬼没なゲリラ戦を繰り返す事で、今川軍を手こずらせて居た。


 それに加勢しようとする斎藤義竜は、未だに斉藤道三を主と仰ぎ、その後継者は織田・和紗・信長であると主張し続けて居る敵対勢力に阻まれ、尾張国へと進軍が出来ずに居た。


そんな情勢下で、その報せは遂にやって来た。


 時刻は夜の19時を回った辺りである。


一人の姫武士が、馬で清州城へと駆け戻って来て居た。


「信長様あああぁぁぁーーーっ!!」と大きな足音を響かせながらも、和紗の私室へと駆けて入って来たのは、木下陽菜であった。


「サルかっ!?」


「はいっ!!」


「首尾は?」


「今川義本が率いる今川軍本隊は、前線軍の不甲斐なさに苛立ち、遂に岡崎城を出発っ!!」


「明日のの昼過ぎくらいには、 岡ヶ狭間山近くの 岡ヶ狭間盆地へと至ると、頃代ちゃんと恵那ちゃん達から報告が入って居ますっ!!」


「サルっ!!良くやったあああぁぁぁーーーーっ!!!」


「帰蝶っ!!!聞いて居たな?鎧を出せっ!出陣だっ!!!」


「そのお言葉を待ってましたわっ!!お姉様っ!!!」と言うと帰蝶は、近くで予め用意して在った和紗の鎧を持ち出す。


 それに着替えた和紗は、景気づけと言って武踊舞いと言う歌と踊りを合わせたアマテラス神皇国地方に伝わる演舞を舞う。


「人間五十年~下天の内をくらぶれば~っ!夢幻のごとくなり~っ!一度生を得て滅せぬ者のあるべきかああ~あああ~ ・・・・・・・・・・・・・・・」と敦盛成る人物の最後を歌った舞歌を人差し舞うと、透かさず大声で叫ぶ。


「出陣いいいいいいいぃぃぃぃぃーーーーーーーーーーーんんっ!!」


「城内に居る全員は、熱田神宮へと集まれええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーっ!!」と叫びながら馬で駆けて行く。



 和紗の呼び声に驚いた城内者達は、和紗が僅かな供回りの者達と共に馬で駆けて行く姿を見送ってしまった。


「和紗さまああああああぁぁぁぁぁーーーーーっ!!」と叫んで慌てるのは、丹羽・米実・永秀である。


 丹羽家の将兵達も予め待機させて居たので、後は兜をかぶるだけ。

 数十名の者達と共に大慌てで織田家幹部ら居並ぶ評定所から馬屋へと向かい。


 素早く馬に跨ると、そのまま城門へと駆けて行く。


 その動きに慌てたのは、馬廻り衆である前田・利美・利家と佐々・海未・成政の二人。 


 お互いの赤母衣と赤鎧を着込んで、、丹羽・米実の後を追いかけた。


「しまったっ!出遅れた。」


「犬千代っ!急がなければ、和紗様に叱れるだけでは済まないぞっ!」


「分かって居るっ!」と馬を走らせた犬千代。


(くっ!!陽菜からは、和紗様は今川軍とは戦うと聞いて居たのにっ!いざと言うこの時にっ!!和紗様が出陣される時に出遅れるとは不覚っ!!!)


 犬千代は陽菜とは、長屋住まいも隣同士で、陽菜が和紗に仕官してから何かと面倒を見て居た事から懐かれてしまい。


 今や親友の様な間からと成って居た。



 滝川・咲枝の金森・近恵の二人らも、黒母衣を身に着けた黒鎧を着込んで、前田と佐々の二人に出遅れること5分。


「これが信長様かっ!!」


「噂に聞いて居たが、此処まで気まぐれとはっ!」


「だがしかし、戦とは速さっ!」


「その通りっ!咲枝っ!!」


「承知っ!!滝川隊っ!!織田家での初陣だっ!!信長様に遅れるなああああああぁぁぁぁぁーーーーーー!!」


「金森隊も武功を立てるぞっ!!」


「「「「「おおおおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」」」」」


 滝川隊と金森隊は、丹羽隊・前田隊・佐々対の後を追う様にして、出陣を開始。


そして・・・・・・・・・・・・


「しまったっ!!信長様が敵味方の不意を突く様なお方で在る事は知って居た筈なのにっ!!」


「譜代衆である我らがっ!!馬廻り衆と新参者の者達に出遅れるとはっ!!」


「急げっ!!織田家の趨勢を決める大一番の戦で、新参者らよりも出遅れ過ぎると末代までの恥と成るぞっ!!」

 

「「「「「おおおおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」」」」」


 筆頭家老・柴田・朱里・勝家を中心とした織田家本隊軍は、直臣衆と馬廻り衆らに出遅れること10分。


 清州城を出陣して行く。 



 アマテラス神皇国地方・第4次内戦たる第四次戦国時代末期に、厳島の戦い・川越城夜戦とも並び評される程に名高い、三大奇襲戦と謳われる岡ヶ狭間の戦いの決戦が始まろうとして居た。




 マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・尾張国・清洲地方・熱田神宮にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 マギアンティア世界統一暦・1545・6月6日・21時頃のこと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 慌ただしく清州城を出陣した織田・和紗は、連絡が取れて居る尾張国各地の諸将らが熱田神宮へと続々と駆け付けて来て居た。


「米実っ!!集まったのは何人だっ?」


「はっ!総勢3千人は駆け付けて来たかと思われます。」


「四方への睨みも在るからな。」


「この状況下では集まった方だろう。」


「それと使者を送った竹千代からは?」


「それが・・・・松平殿は何も・・・・・」


「そうか。」と寂しそうに言う和紗。


 ホンの数年前まで幼き日々を過ごした松平・千代・元康からは何の返事を寄越しては来なかった。


 和紗は、この度の出陣に際して、危険が在るのは承知で、松平・千代へと使者を送って居た。


 彼女には一日だけ義本と戦をするチャンスをくれて欲しいとの文面だけを書いた書状を送るだけで、特に余計な事は書かず、簡単な挨拶と昔を思う日々と、一日だけ動くなとだけ、念を押しただけての手紙。


一つ間違えば織田軍は疎か、自分の命すら危うくなる行為であった。


 それでも和紗は昔の誼をと松平・千代に声を掛けて見たのである。


「和紗さまっ!!」


「サルっ!!今川義本軍の本隊の足止めと誘導の一件っ!良くやったっ!!!」


「はっ!それと・・・・・・」


「何だ?」


「折角ですので熱田草薙神さまに戦勝に願掛けをして見たは如何でしょうか?」


「何だとっ!!サルっ!!この俺が自分事を決めるのに、一々神仏に頼って勝を得るのは好かん事を知って居るだろうがっ!!!」


「戦と己が運命と言う道は、神に縋らずっ!自らの手で切り開くものだっ!」


「それは良く存じて居ります。しかしながら、織田家の家中の者達は、信長様の様な強い心を持ち併せて居る者達ばかりでは在りませぬっ!」


「この度の相手である今川義本は、東海地方随一の弓取り武将と謳われる大将に御座いますればっ!」


「我ら家臣一同は藁にも縋る想いで、神仏に己が大将の勝利を頼み、生き残りとう御座いまするっ!!!」


「信長様。此処は木下殿の言われる通り、将兵達の士気を高める為にも・・・・・」と米実は、陽菜のフォローに回った。


 何かが在るのだろうと察しての事である。



「分かったっ!但し、全軍が集まるまでの間だけだぞっ!!今居る者達だけで熱田神宮参りをする。」


「信長様。それと・・・・・これを・・・・・」


「ほう、賽銭か?気が利く・・・・・」と言いながら和紗は陽菜が差し出した銭がたんまりと詰まって居る袋を覗くと、何かを見つけたようである。」


「そう言う事か?面白い小細工だ。」


「サルっ!!後で経費を書類で報告しろっ!!大方、頃代と恵那の実家あたりから借りたか、出させた銭であろう?」


「・・・・・・」


「分かった。賽銭を含めた経費を後で取りに来い。」と言うと和紗は熱田神宮の境内へと入って良く。



 清州城から出て行く和紗を追い掛けたり、「参集せよっ!!」の命令を受けた総勢3千人の将兵達は、神仏に頼る様な事を好かない和紗が珍しく熱田神宮で戦勝祈願をすると言うので、位が高い者達を先頭にして神宮境内に居並ぶ。


熱田神宮の宮司は。戦勝祈願の祝詞を読み上げ、織田家の戦勝を祈願した。



その祝詞が終ると、和紗は大勢の将兵達を前に大声で叫ぶ。


「天に居ます神々よっ!!応仁の乱以来っ!!何時までアマテラス神皇国を戦乱渦にして置く積りだっ!!」


「これは神々の怠慢でもあるのだぞっ!!」


「貴様らが出来んと言うならばっ!!この俺がキッチリとアマテラス神皇国を再統一しっ!!」


「泰平の世を築き上げくれるっ!!」


「分かったかっ!!この怠け者共がっ!!」と天の神々に対して、何んと畏れ多い事を言うのかと、熱田神宮に集まりし将兵達は和紗の啖呵の切り方に恐怖する。


 


「この今川家との大戦っ!!この俺が勝つならば、この賽銭は全て表にしてみせよっ!!」と言う和紗は、陽菜から貰った賽銭を賽銭箱へ放り込む。



 すると賽銭は賽銭箱に入らなかった銭が、評定衆と呼ばれる幹部家臣一同の前にも転がり落ちた。




すると行き成り熱田神宮を始めとする空模様が崩れて来た。


 ピカッ!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロッ!!!



 ピカッ!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロッ!!!



 ピカッ!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロッ!!!



 ピカッ!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロッ!!!


 ピカッ!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロッ!!!と言った具合に、5度も空が光り雷鳴を鳴り響かせ、稲妻を地上世界に降り落とすと、パラパラと雨が降り出し、終いには豪雨が降り付ける。



「おおっ!!織田様っ!!投げ入れられた銭は、全てが表と出ましたぞっ!!」と熱田神宮の宮司が叫んだ。


「すっ、凄いっ!!信長様は天の神々がお認められたお方だっ!!」と思わず叫んでしまう筆頭家老である柴田・朱里・勝家は、和紗が神懸かり的な幸運に驚愕する。



(上手いっ!!和紗様は上手く家臣一同を丸め込んで居るっ!!)と丹羽・米実・永秀は、何らかの小細工が成されて居る事を察して居た。


(これは・・・・・陽菜の奴が、何か細工をしたな?)


(アイツ、最近は清州城どころか、清洲市でも見かけない。)

 

(それが何で、今頃に成って・・・・・・・・・・)


 前田・利美・利家は、長屋住まいのお隣さん同士の陽菜が、ここ最近は見かけないので、和紗から何かを命じられて、仕事を請け負って居るのだろうなと思って居たが、まさか今川義本と今川軍を討ち取ろうとして居るとは夢にも思って居なかった。


 そんな利美は、和紗が投げた賽銭に、何らかの小細工が施され、それをやった張本人が陽菜である事を見抜く。


(それにこの賽銭・・・・・大方、賽銭の方は、二枚重ねに接着剤で貼り付けた物を投げ入れたのだろう。)


(そんな銭なんて、誰も良くは見ないからな。)


(それにしても和紗様は、この悪巧みを楽しそうにやって居るなぁ~)



 和紗の事を近くで見て居た利美は、サルと呼ばれた陽菜が仕掛けた猿芝居を生き生きとやってのけた姿に呆れ果てて居た。


「天運は我に在りっ!!」


「これより善照寺砦へと出陣し、敵の出方を伺うっ!!」


「出陣っ!!」


「「「「「おおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」」」」」



和紗を筆頭に、三千人の軍勢は最前線近くの善照寺砦へと進軍を開始して行く。




マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・尾張国・東尾張地方・大高城にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 岡ヶ狭間地方・岡ヶ狭間村から北西部に30キロ地点に在る大高城は、対織田家への最前線基地の一つである。


 織田信秀時代に織田方から奪い取った城であり、この度の上洛戦では海岸線近くを陣取る拠点として重宝されて居た。

 


 そんな重要な拠点である大高城に、食糧を含めた物資の運び込みを請け負った松平・千代・元康は、優秀な家臣達の手によって鷲津砦と丸根砦を攻め落とし、その中には大将首を上げた者まで居ると言う。



 大戦での手柄は今川家での松平家の立場を良くする一助に成ると、大いに喜んで居た千代。



 そんな彼女の下に和紗から密使が来て居た。


「・・・・・・・・」


「信長様から密使に御座います」と密書を渡す伝令官。


「ううっ!!ズルイですっ!!和紗姉様っ!!」


 千代は密書を改めると、其処には味方に付いて欲しいとは書かれず、一晩だけ待って欲しいと書かれて居るだけであった。


 手紙には手短に挨拶が掛かれ、昔の誼を懐かしむ思いと、戦で義本の挑戦をさせてほしいとの想いが綴られて居た。


 これを読んだ千代は、半泣きの顔で啜り声を上げてしまう。


 天才肌で変わり者だった和紗は、織田一族・兄妹・親族と家臣達から疎まれて居たせいか、人質として攫われて来ていた松平家の嫡子である千代の事を幼名である竹千代、竹千代と呼び、可愛がって貰って居た。


 菓子を貰ったり、供に釣りにも出かけて事も在り、供回り同士の家来衆達で戦の演習すらとた事も在る日々。


 千代は和紗の事を恩は在れども敵同士と割り切って、この戦に臨んで居たが・・・・寸での所で和紗を手紙を寄越して来るとは予想外であった。


 千代は和紗が、自分に命乞いや裏切りの誘いを言って来るような性格では無い事を熟知して居たので、この様な頼み事を言って来るのは予想外であったようだ。

 


「こんなギリギリの所で、昔の誼を持ち出すなんてっ!!」


  和紗は、昔の誼でほんの少しだけ動かないで欲しいと、実の妹の様に可愛がって居た松平・千代に無理を承知で一夜限りの義理立てを頼んで居た。



 千代は6歳から10歳までの4年間ほどの月日を織田家で人質として捕らえられて居た。



 本当ならば今川家へと送られる筈であったが、三河国を支配する松平家を取り込もうと、織田信秀は幼かった千代を配下の者達らの手によって清洲城へと攫わせたのであった。


 しかも千代とその近習達らは、人質とは言え贅沢の出来ない、ひもじい想いをして居た自分に、和紗から施しを受けた恩義があり、和紗と近習達らたは交流が深かったからだ。


 そして、2年前に今川家との国境での紛争で捕らえられた織田方の武将達等を取り返す事や国境紛争解決の為に、人質・捕虜交換の取り決めが交わされ、松平家の子供達や御付きの家来衆達等は今川家へと送られて行く事に成った。


 そんな経緯がある事から、当時織田家が松平家に掛かる経費を抑える為に、貧乏な暮らしを強いられる事にも成ってしまったのだが、それを気まぐれに援助をして居たのが、和紗であったのである。


 和紗は何を考えたのか、不憫な境遇を持った千代と松平家の者達を実の兄妹・姉妹も同然に可愛がり、何時も尾張中を遊び歩いて居た日々を送って居た。


「元康さま。」


「拙者達も、信長様から受けた施しが・・・・・・・」




 後に徳川四天王と呼ばれる榊原・康江・康政と本多・八重・忠勝らも、和紗から生活面での面倒を見て貰った恩が有った。



「困りましたね~、此処に居る者らは、少なからずあのお方に、元康さまが織田家の人質の時に、個人的なご支援を頂き、かなりの部分でご恩を受けて居ます。」


「それが例え今川家の配下に置かれた今であっても、無視は出来ないでしょうね。」


「しかしながら、尾張時代のご恩がある信長様に義理立てをして、表立って裏切る様な行為は出来ませんですしね~」と言うのは、後の徳川家の筆頭家老にして、徳川四天王と呼ばれる精鋭武将の一人にして筆頭武将と成る酒井・継美・忠次。 



 彼女も尾張国の人質時代に和紗との交流と恩義が有った。



「・・・・・・今川義本様には、一日だけ言い訳をして知らんかを決めます。」


「元康さま。宜しいのですか?」と聞き返す酒井・継美。


「ひもじかったあの頃に、こんな田舎大名王家の娘に過ぎない私の食事と遊び相手をして貰った恩義には、代えられませんっ!!」


「皆もこの私も、今を生きて居られるのも和紗姉様のお陰なのですぅっ!!」


「それを忘れて、あのお方の首を討ち取るのは三河武士の沽券に関わりますぅっ!!」


「分かりました。使者殿。我らは先の戦功での休息の為に大高城には一日限り、動かないと確約を致します。」と酒井・継美は筆頭家老として松平家の行動指針を決した。


 松平家家臣達らは、これで恩が返せると胸を撫で下ろすが、まさかこの決断で今川家が負けるとは誰一人も考えては居なかったのである。



 こうして和紗は、個人的な旧交の有った松平軍の足止めに成功するのであった。


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