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キリヤ公国英雄戦記物語  作者: 伊達教宗
第7章 少年王と魔王織田・和紗・信長との対峙とアイヌル民族解放血盟団の反乱の終焉編
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エピソードブラス・アマテラス神皇国・戦国無双・萌将伝 大公立志伝っ!立身出世への旅立ちっ! 16

マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・尾張国・清洲地方・熱田神宮にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 マギアンティア世界統一暦・1545年6月6日・21時頃のこと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 慌ただしく清州城を出陣した織田・和紗は、連絡が取れて居る尾張国各地の諸将らが熱田神宮へと続々と駆け付けて来て居た。


「米実っ!!集まったのは何人だっ?」


「はっ!総勢3千人は駆け付けて来たかと思われます。」


「四方への睨みも在るからな。」


「この状況下では集まった方だろう。」


「それと使者を送った竹千代からは?」


「それが・・・・松平殿は何も・・・・・」


「そうか。」と寂しそうに言う和紗。


 ホンの数年前まで幼き日々を過ごした松平・千代・元康からは何の返事を寄越しては来なかった。


 和紗は、この度の出陣に際して、危険が在るのは承知で、松平・千代へと使者を送って居た。


 彼女には一日だけ義本と戦をするチャンスをくれて欲しいとの文面だけを書いた書状を送るだけで、特に余計な事は書かず、簡単な挨拶と昔を思う日々と、一日だけ動くなとだけ、念を押しただけての手紙。


一つ間違えば織田軍は疎か、自分の命すら危うくなる行為であった。


 それでも和紗は昔の誼をと松平・千代に声を掛けて見たのである。


「和紗さまっ!!」


「サルっ!!今川義本軍の本隊の足止めと誘導の一件っ!良くやったっ!!!」


「はっ!それと・・・・・・」


「何だ?」


「折角ですので熱田草薙神さまに戦勝に願掛けをして見たは如何でしょうか?」


「何だとっ!!サルっ!!この俺が自分事を決めるのに、一々神仏に頼って勝を得るのは好かん事を知って居るだろうがっ!!!」


「戦と己が運命と言う道は、神に縋らずっ!自らの手で切り開くものだっ!」


「それは良く存じて居ります。しかしながら、織田家の家中の者達は、信長様の様な強い心を持ち併せて居る者達ばかりでは在りませぬっ!」


「この度の相手である今川義本は、東海地方随一の弓取り武将と謳われる大将に御座いますればっ!」


「我ら家臣一同は藁にも縋る想いで、神仏に己が大将の勝利を頼み、生き残りとう御座いまするっ!!!」


「信長様。此処は木下殿の言われる通り、将兵達の士気を高める為にも・・・・・」と米実は、陽菜のフォローに回った。


 何かが在るのだろうと察しての事である。



「分かったっ!但し、全軍が集まるまでの間だけだぞっ!!今居る者達だけで熱田神宮参りをする。」


「信長様。それと・・・・・これを・・・・・」


「ほう、賽銭か?気が利く・・・・・」と言いながら和紗は陽菜が差し出した銭がたんまりと詰まって居る袋を覗くと、何かを見つけたようである。」


「そう言う事か?面白い小細工だ。」


「サルっ!!後で経費を書類で報告しろっ!!大方、頃代と恵那の実家あたりから借りたか、出させた銭であろう?」


「・・・・・・」


「分かった。賽銭を含めた経費を後で取りに来い。」と言うと和紗は熱田神宮の境内へと入って良く。



 清州城から出て行く和紗を追い掛けたり、「参集せよっ!!」の命令を受けた総勢3千人の将兵達は、神仏に頼る様な事を好かない和紗が珍しく熱田神宮で戦勝祈願をすると言うので、位が高い者達を先頭にして神宮境内に居並ぶ。


熱田神宮の宮司は。戦勝祈願の祝詞を読み上げ、織田家の戦勝を祈願した。



その祝詞が終ると、和紗は大勢の将兵達を前に大声で叫ぶ。


「天に居ます神々よっ!!応仁の乱以来っ!!何時までアマテラス神皇国を戦乱渦にして置く積りだっ!!」


「これは神々の怠慢でもあるのだぞっ!!」


「貴様らが出来んと言うならばっ!!この俺がキッチリとアマテラス神皇国を再統一しっ!!」


「泰平の世を築き上げくれるっ!!」


「分かったかっ!!この怠け者共がっ!!」と天の神々に対して、何んと畏れ多い事を言うのかと、熱田神宮に集まりし将兵達は和紗の啖呵の切り方に恐怖する。


 


「この今川家との大戦っ!!この俺が勝つならば、この賽銭は全て表にしてみせよっ!!」と言う和紗は、陽菜から貰った賽銭を賽銭箱へ放り込む。



 すると賽銭は賽銭箱に入らなかった銭が、評定衆と呼ばれる幹部家臣一同の前にも転がり落ちた。




すると行き成り熱田神宮を始めとする空模様が崩れて来た。


 ピカッ!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロッ!!!



 ピカッ!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロッ!!!



 ピカッ!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロッ!!!



 ピカッ!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロッ!!!


 ピカッ!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロッ!!!と言った具合に、5度も空が光り雷鳴を鳴り響かせ、稲妻を地上世界に降り落とすと、パラパラと雨が降り出し、終いには豪雨が降り付ける。



「おおっ!!織田様っ!!投げ入れられた銭は、全てが表と出ましたぞっ!!」と熱田神宮の宮司が叫んだ。


「すっ、凄いっ!!信長様は天の神々がお認められたお方だっ!!」と思わず叫んでしまう筆頭家老である柴田・朱里・勝家は、和紗が神懸かり的な幸運に驚愕する。



(上手いっ!!和紗様は上手く家臣一同を丸め込んで居るっ!!)と丹羽・米実・永秀は、何らかの小細工が成されて居る事を察して居た。


(これは・・・・・陽菜の奴が、何か細工をしたな?)


(アイツ、最近は清州城どころか、清洲市でも見かけない。)

 

(それが何で今頃に成って・・・・・・・・・・)


 前田・利美・利家は、長屋住まいのお隣さん同士の陽菜が、ここ最近は見かけないので、和紗から何かを命じられて、仕事を請け負って居るのだろうなと思って居たが、まさか今川義本と今川軍を討ち取ろうとして居るとは夢にも思って居なかった。


 そんな利美は、和紗が投げた賽銭に、何らかの小細工が施され、それをやった張本人が陽菜である事を見抜く。


(それにこの賽銭・・・・・大方、賽銭の方は、二枚重ねに接着剤で貼り付けた物を投げ入れたのだろう。)


(そんな銭なんて、誰も良くは見ないからな。)


(それにしても和紗様は、この悪巧みを楽しそうにやって居るなぁ~)



 和紗の事を近くで見て居た利美は、サルと呼ばれた陽菜が仕掛けた猿芝居を生き生きとやってのけた姿に呆れ果てて居た。


「天運は我に在りっ!!」


「これより善照寺砦へと出陣し、敵の出方を伺うっ!!」


「出陣っ!!」


「「「「「おおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」」」」」



和紗を筆頭に、三千人の軍勢は最前線近くの善照寺砦へと進軍を開始して行く。



マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・尾張国・東尾張地方・善照寺砦付近にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



  三河国の岡崎城を補給物資の拠点にして、東側から迫る今川軍の尾張国包囲網を搔い潜って、とある者達が善照寺砦へと向かって居た。


「恵那っ!!何としても間に合わせるよっ!!」


「ああ、この空模様なら明日の昼までに岡ヶ狭間山の岡ヶ狭間盆地へと攻め入れば、織田軍の勝利は間違いない。」


「念の為に複数の間道から伝令を送って居るが・・・・・・・」


「私達でも、他の誰でも良い。間に合って欲しいね。」


 実家から連れて来て居る護衛二人しか居ない蜂須賀・頃代と前野・恵那の二人は、和紗と幾度も話し合い、熟慮を繰り返して考え抜いて来た奇襲攻撃作戦。


 木下・陽菜を筆頭とする木下隊は、尾張国周辺地域に細く長い人脈の多いネットワークを持った構成員が多い木下隊だけに、和紗は兼ねてから繰り返し内合わせていた作戦の全てを陽菜に一任して居る。


 その陽菜の幼馴染みの二人は、複数の伝令を対今川軍との戦いで使う予定だった織田軍の中継地点である善照寺砦へと急いで居た。


空模様が崩れて来た。


 ピカッ!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロッ!!!



 ピカッ!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロッ!!!



 ピカッ!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロッ!!!



 ピカッ!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロッ!!!


 ピカッ!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロッ!!!と言った具合に、5度も空が光り雷鳴を鳴り響かせ、稲妻を地上世界に降り落とすと、パラパラと雨が降り出し、終いには豪雨が降り付ける。


「あっ!?降って来た」


「私達に取っては好都合で有り難いが、馬で走り抜けるのには面倒くさいな。」


「それでも急がないとね。」


「ふっ、そうだな。」


 二人は豪雨と成った為、馬の速度をやや落とすが、それでも出来るだけ急いで駆けて行く。


 馬借衆の仕事もして居る二人に取って、手紙の配達や国衆同士の伝令仕事も珍しくないので、馬の扱いに成れて居るが、それでも豪雨の中を掛けて行くのは危険が伴う。


それでも急がなければいけなかった。


全ての仕込みとお膳立ては済んで居る。


後は今川義本の首を確実に狩り取りに行くだけ。


作戦の最終的な成功の成否は、木下隊の伝令達に掛かっても居たのであった。



 マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・尾張国・東尾張地方・善照寺砦にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



マギアンティア世界統一暦・1545年・6月7日・午前2時10分頃。


 

 再び話は清州城を出陣をした和紗に移る。


 三千人の将兵達の士気を纏め、熱田神宮を出発した和紗は、善照寺砦へと到着する。



 善照寺砦は、戦場の前線と成って居る鳴海城と品野城から10キロ離れた所に在る今の時点で織田家の最前線と成って居る出城砦である。



 其処で和紗は、丸根砦・鷲津砦・中島砦を守備して居た織田家・武将の飯尾定宗と梶川高秀が率いて居た400人の軍勢と合流する。



「姫様・・・・・」


「申し訳ございませんっ!!」


「ふっ!良くやったぞっ!二人共っ!!」


 和紗は、生きて逃げ帰ってしまった二人の事を労いつつ、その奮闘を称える。


「ですが・・・・・・」


「我らは・・・・・・・・・」


 しかしながら、失敗した武将の二人は、同じく丸根砦を任されて居た佐久間盛重を討ち取られた挙句に、織田家東北方面の防衛の要たる砦の全てを奪われると言う大失態をしてしまって居る。



本来ならば、切腹して詫びる所と言うべき重罪であった。



「二人とも早まって、腹を切るなよな?」


「それでは盛重の奴目が、犬死したものも同然と心得ろっ!!」


「奴目は、織田家危急存亡と言うべきこの戦で、松平家の勇将と勇敢に戦い、死すべくして死んだのだっ!!」


「誇る事は在れど、決して恥でない。それに盛重一家の面倒は、この俺が見る。」


「討ち取った奴とは古い顔馴染みでな。竹千代の懐刀でもある奴だ。この戦のあとに味方と成った暁には、盛重が討ち取られた事以上に採算が合う奴だ。」


「決して悪い様には成らないだろう。」


「それに貴様ら3人は、見事にこの俺が義本を討ち取る為の時間稼ぎをしてくれたのだがらなっ!!」


「ななっ!!」


「何んとっ!?」


「姫様はあの義本公を討ち取ると言うのですかっ!?」


「信じられない。」



(とんでもないお方だっ!!)


(どうりで信秀さまも道三公も、姫様の事を一目を置いて居らる筈だっ!!)


(我らはとんでもないお方を主に頂いて居るのだろうかっ!!)


(このアマテラス神皇国地方の歴史が動くぞっ!!わしは何と言いう時に居合わせて居るのだっ!!)



 飯尾定宗と梶川高秀の二人は、虚け姫とバカにして居た世間の世俗の者達とは全く異なる和紗の姿を垣間見る事で、噂とは180度違うと言う事を本当の意味で知る事と成った。



 そして、和紗は今川義本を討つべく、義本へと迫るタイミングと作戦を慎重に練り上げるべく、次なる報せを待つ間、ゆっくりと休息を取る事にしたのであった。



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