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キリヤ公国英雄戦記物語  作者: 伊達教宗
第7章 少年王と魔王織田・和紗・信長との対峙とアイヌル民族解放血盟団の反乱の終焉編
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エピソードブラス・アマテラス神皇国・戦国無双・萌将伝 大公立志伝っ!立身出世への旅立ちっ! 15

マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・尾張国・岡ヶ狭間地方・岡ヶ狭間村・尾張・三河街道付近地域にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


マギアンティア世界統一暦・1545年・6月4日。


後に和紗が清州城から出陣する二日前の事である。

 

織田・今川両軍が開戦してから更に時が過ぎ去り、20日が経とうとして居た。



両軍の攻防戦は一進一退を繰り返し、尾張国と三河国の国境付近で激しい戦闘が繰り広げられて居た。


 特に守りに入った織田軍は神出鬼没なゲリラ戦を繰り返す事で、今川軍を手こずらせて居た。


 それに加勢しようとする斎藤義竜は、未だに斉藤道三を主と仰ぎ、その後継者は織田・和紗・信長であると主張し続けて居る敵対勢力に阻まれ、尾張国へと進軍が出来ずに居た。


 三河国を治める松平家の居城、岡崎城を出発した今川義本は、5万6千人の内3万人余りの軍勢を先行させ、織田家が治める尾張国を攻め落とさんと各地の拠点と言う出城や砦を軍勢を差し向けて居た。


 その今川軍の先鋒隊を任された岡部元信勢・6千人。朝比奈泰朝勢・6千人。松平・千代・元康勢・6千人らは、見事な戦振りを見せ付け、織田方の出城や砦を次々と陥落をさせて行った。 



 この事に満足をした今川義本は、織田・和紗・信長に止めを刺し、今川家に比べたら小突いて消し飛ぶ様な小国に過ぎない織田家を滅ぼさんと、今川本隊軍である3万6千人と共に尾張・三河街道をゆっくりと清州城が在る西北へと進軍して居たが、尾張国・東部地域の一つである岡ヶ狭間地方・岡ヶ狭間村に差し掛かる。



其処で岡ヶ狭間村を始めとする近隣地域の村々からやって来た者達が、戦勝のお祝いと称する貢ぎ物を今川義本へと差し出す。


 今川義本は上機嫌で、その者達と対面をして居た。


「今川義本様っ!この度はこの尾張国を助けて頂き、誠に有り難う御座いますっ!!!」


「「「「「「有り難うこぜえますだっ!!」」」」」



 一斉に頭を下げる近隣地域の村々の村人たち。


 その中には蜂須賀・頃代と前野・恵那を始めとする木下隊が農民に変装をして居並んで居た。


 数人いる村長達は本物では在るが、その殆んどが木下陽菜が搔き集めた仲間達、木下隊に属する陽菜の家来衆達であった。


 岡ヶ狭間村の村長は、蜂須賀・頃代と前野・恵那の二人より、和紗から言われ頼まれた事を淡々とやってのけて居た。


「今川さま。これをご覧くださいりませ。お祝いの品々として、近隣地域で採れる産物と酒で御座います。如何かこれで戦のお祝いと腹ごしらえをして、明日からの戦いにも備えて下さりませ。」


 

 岡ヶ狭間村の村長は、頃代と恵那らに運ばせた、近隣地域で良く取れる田畑農作物。


 立派な大きさを誇るコイやタイ、イノシシやシカ等を義本へと献上する。


「おおっ!!!これは立派な物だな。」


「義本さま。折角のコイやタイ、イノシシやシカですが、そろそろ季節は夏に成る頃合い。」


「保存して置くには少々無理が有るかと・・・・・・・・・・・・」


「為らば雪斎よ、これらの品々を従軍して居る者達にも振る舞えば良かろう。」


「この暑さじゃ、酒もそれほど長持ちする事は在るまい。」


「幾らワシでも煮え立った酒と腐り掛けの肉を喰うのは気が引けるしのう?」


「承知致しました。」と言う太原雪斎。



 彼は何かを言いたそうな顔つきで居たが、主である義本の判断には従うしか無かったのだった。


(敵地でのんびりとして居るのは不味いが、この暑さだ。)


(折角の尾張国の民衆達からの差し入れを手を付けずに腐らせたと在らば、義本様の悪評判が立ってしまう。)


(まぁ今回は致し方無い。相手があの信長で無ければ、義本様の首を討ち取られ兼ねないので、お諫めせねば為らないが、虚け姫と評判の信長ならば、問題無かろう。)・・・・・と雪斎は、敵地での宴や食事を取る事は、かなりの危険性を孕んで居るからと、取り止めを進言をしたかった。


 

 しかしながら、為政者としての面子も在るので、此処は渋々引き下がる事にしたのであった。


「所で村長よ。些か暑い日々が始まって居る。」


「お前達から貰った心尽くしの品々を頂くのに丁度良い場所を知らぬか?」


「でしたら、此処より北東の位置に、岡ヶ狭間山と言う小高い山々が輪を囲む土地が御座います。」


「そのど真ん中は、昔から岡ヶ狭間と言う盆地と成って居り、夏は涼しく、冬は寒い場所として知られ、今川が率いて居られる程度の軍勢為らば余裕を持って逗留出来るかと思われまする。」



「ほほう、そうか、そうか?かような良い場所が、この近くに在るとはな。」



「雪斎っ!我が本隊6000の軍勢を岡ヶ狭間へと向かわせよ。」



「その他の軍勢に付いては、その方に配置を任せる。」


「ははっ!!畏まりました。」


「村長よ。世話に成った。者共っ!!!進軍再開じゃ、出発せよっ!!」


「はっ!!出発あああぁぁぁぁぁーーーーーっ!!」」



 今川軍は、休息を取る為に、近隣地域では涼しい盆地として知られて居る土地である岡ヶ狭間へと向かう事に成った。



「・・・・・しめしめだね。」と村長たちの後ろで控えていた頃代は、密かにニヤニヤとしながら小声で隣に居る恵那に語り掛けた。


「ああ、義本は噂通りの一廉の人物に成るんだろうが、そう言う出来る人物に限って、格下を侮り易い。」


「況してや、足柄将軍王朝家に連なる今川家と言う看板持ちだ。信長様が格上に成ろうとして居る事に気付きもしないのは、雪斎坊主も耄碌をして居るのだろうな。」


 恵那も義本の事を持ち上げはするが、和紗に比べたら大した事は無いと切って捨てていた。


 木下隊の蜂須賀隊と前野隊による今川義本・本隊軍の足止めと攪乱工作は、如何やら成功に至った様である。



マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・尾張国・東尾張地方・大高城にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 岡ヶ狭間地方・岡ヶ狭間村から北西部に30キロ地点に在る大高城は、対織田家への最前線基地の一つである。


 織田信秀時代に織田方から奪い取った城であり、この旅の上洛戦では海岸線近くを陣取る拠点として重宝されて居た。

 


 そんな重要な拠点である大高城に、食糧を含めた物資の運び込みを請け負った松平・千代・元康は、優秀な家臣達の手によって鷲津砦と丸根砦を攻め落とし、その中には大将首を上げた者まで居ると言う。



 大戦での手柄は今川家での松平家の立場を良くする一助に成ると、大いに喜んで居た千代。



 そんな彼女の下に和紗から密使が来て居た。


「・・・・・・・・」


「信長様から密使に御座います」と密書を渡す伝令官。


「ううっ!!ズルイですっ!!和紗姉様っ!!」


 千代は密書を改めると、其処には味方に付いて欲しいとは書かれず、一晩だけ待って欲しいと書かれて居るだけであった。


 手紙には手短に挨拶が掛かれ、昔の誼を懐かしむ思いと、戦で義本の挑戦をさせてほしいとの想いが綴られて居た。


 これを読んだ千代は、半泣きの顔で啜り声を上げてしまう。


 天才肌で変わり者だった和紗は、織田一族・兄妹・親族と家臣達から疎まれて居たせいか、人質として攫われて来ていた松平家の嫡子である千代の事を幼名である竹千代、竹千代と呼び、可愛がって貰って居た。


 菓子を貰ったり、供に釣りにも出かけて事も在り、供回り同士の家来衆達で戦の演習すらとた事も在る日々。


 千代は和紗の事を恩は在れども敵同士と割り切って、この戦に臨んで居たが・・・・寸での所で和紗を手紙を寄越して来るとは予想外であった。


 千代は和紗が、自分に命乞いや裏切りの誘いを言って来るような性格では無い事を熟知して居たので、この様な頼み事を言って来るのは予想外であったようだ。

 

「こんなギリギリの所で、昔の誼を持ち出すなんてっ!!」


 千代は6歳から10歳のでの月日を織田家で人質として捕らえられて居た。



 本当ならば今川家へと送られる筈であったが、三河国を支配する松平家を取り込もうと、織田信秀は幼かった千代を配下の者達らの手によって清洲城へと攫わせたのであった。


 しかも千代とその近習達らは、人質とは言え贅沢の出来ない、ひもじい想いをして居た自分に、和紗から施しを受けた恩義があり、和紗と近習達らたは交流が深かったからだ。


「元康さま。」


「拙者達も、信長様から受けた施しが・・・・・・・」




 後に徳川四天王と呼ばれる榊原・康江・康政と本多・八重・忠勝らも、和紗から生活面での面倒を見て貰った恩が有った。


「困りましたね~、此処に居る者らは、少なからずあのお方に、元康さまが織田家の人質の時に、個人的なご支援を頂き、かなりの部分でご恩を受けて居ます。」


「それが例え今川家の配下に置かれた今であっても、無視は出来ないでしょうね。」


「しかしながら、尾張事態のご恩がある信長様に義理立てをして、表立って裏切る様な行為は出来ませんですしね~」と言うのは、後の徳川家の筆頭家老にして、徳川四天王と呼ばれる精鋭武将の一人にして筆頭武将と成る酒井・継美・忠次。 



 彼女も尾張国の人質時代に和紗との交流と恩義が有った。



「・・・・・・今川義本様には、一日だけ言い訳をして知らんかを決めます。」


「元康さま。宜しいのですか?」と聞き返す酒井・継美。


「ひもじかったあの頃に、こんな田舎大名王家の娘に過ぎない私の食事と遊び相手をして貰った恩義には代えられませんっ!!」


「皆もこの私も、今を生きて居られるのも和紗姉様のお陰なのですぅっ!!」


「それを忘れて、あのお方の首を討ち取るのは三河武士の沽券に関わりますぅっ!!」


「分かりました。使者殿。我らは先の戦功での休息の為に大高城には一日限り、動かないと確約を致します。」と酒井・継美は筆頭家老として松平家の行動指針を決した。


 松平家家臣達らは、これで恩が返せると胸を撫で下ろすが、まさかこの決断で今川家が負けるとは誰一人も考えては居なかったのである。



 こうして和紗は、個人的な旧交の有った松平軍の足止めに成功するのであった。



マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・尾張国・清洲地方・清州市・清州城にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 マギアンティア世界統一暦・1545年・6月6日。


 織田・今川両軍が開戦してから更に時が過ぎ去り、22日が経とうとして居た。


 両軍の攻防戦は一進一退を繰り返し、尾張国と三河国の国境付近で激しい戦闘が繰り広げられて居た。


 特に守りに入った織田軍は神出鬼没なゲリラ戦を繰り返す事で、今川軍を手こずらせて居た。


 それに加勢しようとする斎藤義竜は、未だに斉藤道三を主と仰ぎ、その後継者は織田・和紗・信長であると主張し続けて居る敵対勢力に阻まれ、尾張国へと進軍が出来ずに居た。


そんな情勢下で、その報せは遂にやって来た。


 時刻は夜の19時を回った辺りである。


一人の姫武士が、馬で清州城へと駆け戻って来て居た。


「信長様あああぁぁぁーーーっ!!」と大きな足音を響かせながらも、和紗の私室へと駆けて入って来たのは、木下陽菜であった。


「サルかっ!?」


「はいっ!!」


「首尾は?」


「今川義本が率いる今川軍本隊は、前線軍の不甲斐なさに苛立ち、遂に岡崎城を出発っ!!」


「明日のの昼過ぎくらいには、 岡ヶ狭間山近くの 岡ヶ狭間盆地へと至ると、頃代ちゃんと恵那ちゃん達から報告が入って居ますっ!!」


「サルっ!!良くやったあああぁぁぁーーーーっ!!!」


「帰蝶っ!!!聞いて居たな?鎧を出せっ!出陣だっ!!!」


「そのお言葉を待ってましたわっ!!お姉様っ!!!」と言うと帰蝶は、近くで予め用意して在った和紗の鎧を持ち出す。


 それに着替えた和紗は、景気づけと言って武踊舞いと言う歌と踊りを合わせたアマテラス神皇国地方に伝わる演舞を舞う。


「人間五十年~下天の内をくらぶれば~っ!夢幻のごとくなり~っ!一度生を得て滅せぬ者のあるべきかああ~あああ~ ・・・・・・・・・・・・・・・」と敦盛成る人物の最後を歌った舞歌を人差し舞うと、透かさず大声で叫ぶ。


「出陣いいいいいいいぃぃぃぃぃーーーーーーーーーーーんんっ!!」


「城内に居る全員は、熱田神宮へと集まれええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーっ!!」と叫びながら馬で駆けて行く。



 和紗の呼び声に驚いた城内者達は、和紗が僅かな供回りの者達と共に馬で駆けて行く姿を見送ってしまった。


「和紗さまああああああぁぁぁぁぁーーーーーっ!!」と叫んで慌てるのは、丹羽・米実・永秀である。


 丹羽家の将兵達も予め待機させて居たので、後は兜をかぶるだけ。

 数十名の者達と共に大慌てで織田家幹部ら居並ぶ評定所から馬屋へと向かい。


 素早く馬に跨ると、そのまま城門へと駆けて行く。


 その動きに慌てたのは、馬廻り衆である前田・利美・利家と佐々・海未・成政の二人。 


 お互いの赤母衣と赤鎧を着込んで、、丹羽・米実の後を追いかけた。


「しまったっ!出遅れた。」


「犬千代っ!急がなければ、和紗様に叱れるだけでは済まないぞっ!」


「分かって居るっ!」と馬を走らせた犬千代。


(くっ!!陽菜からは、和紗様は今川軍とは戦うと聞いて居たのにっ!いざと言うこの時にっ!!和紗様が出陣される時に出遅れるとは不覚っ!!!)


 犬千代は陽菜とは、長屋住まいも隣同士で、陽菜が和紗に仕官してから何かと面倒を見て居た事から懐かれてしまい。


 今や親友の様な間からと成って居た。



 滝川・咲枝の金森・近恵の二人らも、黒母衣を身に着けた黒鎧を着込んで、前田と佐々の二人に出遅れること5分。


「これが信長様かっ!!」


「噂に聞いて居たが、此処まで気まぐれとはっ!」


「だがしかし、戦とは速さっ!」


「その通りっ!咲枝っ!!」


「承知っ!!滝川隊っ!!織田家での初陣だっ!!信長様に遅れるなああああああぁぁぁぁぁーーーーーー!!」


「金森隊も武功を立てるぞっ!!」


「「「「「おおおおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」」」」」


 滝川隊と金森隊は、丹羽隊・前田隊・佐々対の後を追う様にして、出陣を開始。


そして・・・・・・・・・・・・


「しまったっ!!信長様が敵味方の不意を突く様なお方で在る事は知って居た筈なのにっ!!」


「譜代衆である我らがっ!!馬廻り衆と新参者の者達に出遅れるとはっ!!」


「急げっ!!織田家の趨勢を決める大一番の戦で、新参者らよりも出遅れ過ぎると末代までの恥と成るぞっ!!」

 

「「「「「おおおおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」」」」」


 筆頭家老・柴田・朱里・勝家を中心とした織田家本隊軍は、直臣衆と馬廻り衆らに出遅れること10分。


 清州城を出陣して行く。 



 アマテラス神皇国地方・第4次内戦たる第四次戦国時代末期に、厳島の戦い・川越城夜戦とも並び評される程に名高い、アマテラス地方・三大奇襲戦と謳われる岡ヶ狭間の戦いの決戦が始まろうとして居た。



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