エピソードブラス・アマテラス神皇国・戦国無双・萌将伝 大公立志伝っ!立身出世への旅立ちっ! 3
マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・尾張国・織田・和紗・信長居城・那古野城下・足軽侍大将・浅野・将右衛門・長吉管理区画内・足軽侍大将・浅野家屋敷にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その日の夕刻、足軽侍大将・浅野・将右衛門・長吉は、指揮下の足軽大隊の定期訓練を終えて、役宅である浅野家屋敷へと戻って来ていた。
織田家・和紗直轄の足軽侍大将で、浅野長吉の風貌は、165センチの中肉中背な体系と気優しいおじさんな風貌の顔付きをして居る。
今現在の和紗直属の家臣団の中でも割とマトモな部類に入る人物であり、彼女の無茶振りにも如何にか付いて行ける器量を持ち合わせて居た。
「浅野殿。今日から信長様に仕える事に成った木下陽菜だ。」
「出自は尾張・中村の農家出身であるそうだが、一時期は出稼ぎの為に遠江国の国衆で在り、今川家臣でも在る松下・佳代・之綱に召し抱えられた居たそうだが、在郷家臣達との折り合いが付けられず、致し方なく職を辞して来たそうだ。」
「今は松下家から貰った退職金を元手に、幼馴染みらと共に万事屋を立ち上げて居たそうだが、縁あって信長様に仕官を申し出て、浅野殿にその面倒を頼むとの事です。」
犬千代は、陽菜に関する事の仔細を説明し、その面倒を頼むと言う和紗からの命令を伝えた。
「はぁ~、信長様は、何を為さるにも何時も何時も唐突であるな。」
「ですが、この陽菜は信長様のお気に入り者です。出来れば後見人にも成って頂きたいとの事です。」
「相分かった。ですが、暫くはこの木下陽菜とその仲間達の働き振りを見て、どうするかを決めましょう。」
「了解しました。」と犬千代は締め括る。
「おーいっ!!寧々っ!!」
「はーい!お父さん。あたしの事を呼んだ?」と現れたのは、浅野長政の一人娘である浅野・寧々が、父に呼び出されて屋敷の奥から居間へと現れた。
これ娘が後の浅野・寧々・長政であり、陽菜の義理の妹と成る女の子で、現在の年頃は12歳であった。
当時の身長は140センチで、ショートカットヘアースタイルの童顔で可愛いらしい顔付きに加え、小柄なスレンダー身体つき。
性格は明るく快活な妹タイプの性格をして居る。
「紹介する。一人娘の寧々だ。」
「「初めまして」」と陽菜と寧々は挨拶を交わす。
「実はな寧々、当家で預かる事に成った木下陽菜と言う娘だ。信長様が直参として召し抱えるそうだが、お呼びだしが無ければ当家で仕事を割り振る。」
「仕事が無い日は、お前に任せる。良いな?」
「うん。良いよ。」
「陽菜お姉ちゃん。これから宜しくねっ!!」
「うん。此方こそ宜しくねっ!!」
初めて会う二人は、お互いに明るく挨拶を交わす。
これが浅野家と豊臣独立自治大公国家との深い繋がりの始まりと成った一幕であった。
マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・尾張国・織田・和紗・信長居城・那古野城下にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それから暫くして、その年の秋も深まった季節の13月末の事である。
陽菜は、織田・和紗・信長の居城である那古野城の城下町で暮らし始めた。
那古野城は、和紗が産まれた年に、父織田信秀から与えられた城である。
尾張国・清州市・清州城の守護大名王家であった斯波義統の家老家たる織田家の居城は古渡城で、和紗の両親や幼い姉弟らは、其処で暮らして居る。
陽菜は織田家の足軽侍大将・浅野・将右衛門・長吉配下の足軽組頭へと抜擢されて居た。
武家奉公でのスタート地点で普通なら足軽から始めるのが当たり前で在る所を頃代と恵那達を連れて居た事が認められ、陽菜がそのまま様々な出自からなる部隊のリーダーと成る事が命じられて居た。
だがしかし、平時は雑用係も同然の仕事が課せられ、今は地震による那古野城の倒壊の修繕工事の仕事の真っ最中。
秋ごろから始まった石垣や城壁、建物など修繕工事をさせられて居た。
元々雑用仕事を得意とするアマテラス地方の馬借衆・川浪衆・傭兵衆らは、地方の大名王家・国人衆からの支払いに応じて、公共賦役に参加して居る家々が多かった。
那古野城の修繕工事を取り仕切って居たのは、織田家の召し抱え宮大工頭領家・岡部又右衛門と言う30歳の厳つく渋い風貌の顔付き男。
その頭領の下で汗だくに成って働く陽菜達。
「はぁ~鈍い。鈍い過ぎるよ。これじゃ半年経っても修繕工事が終わりゃしないっ!」と愚痴る陽菜。
「そう言わないでよ、陽菜ちゃん。」
「そうそう、此処の取り仕切りは岡部様なんだから、此処に来るまであたしらがやって居たやり方なんて、進言しても聞き入れ貰える訳がない。」
自分達がやって居たやり方と余りにも違って、工期が長く、作業効率も鈍すぎる織田家宮大工衆達の働き振りに、思わず溜息を吐いてしまう陽菜達。
「ほう、サルっ!お前達のやり方ならば、どれ位の工期で出来るのだ?」と不意に声を掛けて来た者が居た。
それに気が付いて振り返った頃代と恵那達は、その人物の顔を見ると、大慌てで平伏してしまうが、陽菜は・・・・それには全く気が付かないまま会話を続けてしまう。
「そうですね。このままの人数を使える為らば、準備に半月、工期計画作業に3日、作業に7日半から8日在れば完璧に出来ますね。」
「だそうだぞっ!!又右エ門っ!」
「・・・・・・」と和紗に言われ、陽菜に厳つい顔つきで睨み付ける又右エ門。
「えっ!?」と振り返る陽菜は、大慌て平伏する。
「どんな急いでも半年間以上は掛かるのが建築と言う物です。それを僅か一月も掛からずにやろうと言うのは、バカか天才の所業と言う物。」
「では又右エ門、このサルめは、バカか天才か、その何方らだと言うのだ?」
「はっ!!先ずはやらせて、身の程を分からせば、自ずと答えがハッキリとするかと・・・・・・・・・」
「サルっ!!」
「はっ!ははっ!!」
「資金と人員を貸してやる。何だったら又右衛門らを下に付けてやるから、好きなように修繕工事の差配をして見せろっ!!」
「出来なかったら・・・・・・・・・」と不敵な笑みを浮かべながら和紗は、陽菜を睨む。
「ははっ!!畏まりましたっ!!」とガタガタと震えながら承知する陽菜。
「くくくくくっ!!結果を楽しみして居るぞっ!!サルっ!!」と和紗は上機嫌で立ち去って行く。
「全く、お前と言う奴は間の悪い奴だな。」と声を掛けて来たのは、犬千代と幼名時代の名前が、未だに渾名と成って居た前田・利美であった。
「うあああーーんっ!!犬千代ちゃーん。」と抱き付く陽菜。
「どどどっ、どうしょうっ!!」と更に泣き付く陽菜。
実は二人、役職が足軽組頭同士なので、住まいも足軽組頭専用の長屋が隣同士と成って居た事とお互いに出自や身分差を気にしない事から、会って間もないのにお友達に成って居たりする。
「ここっこらっ!!ななっ!!泣き付くなっ!!」
「ごめんね。犬千代ちゃん。」
「犬千代、何時も幼馴染みが迷惑を掛けている。」と冷静言う頃代と恵那の二人。
「お前達も、気軽に犬千代と呼ぶなっ!!」と言ってるが、名前に付いては今さらで在る。
「所で、さっき言った事は本当に出来るのか?」
「ええっと、さっきって修繕工事の事?」
「それならば問題ない。」と言う頃代と恵那。
「だったら、陽菜は、何でこんなにも泣いて居るんだっ!!」
「それはね。」
「ああ・・・・・」
「「単に信長様と岡部様らの鬼の形相に、ビビッて居るだけっ!!!」」と面白がる頃代と恵那であった。