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キリヤ公国英雄戦記物語  作者: 伊達教宗
第7章 少年王と魔王織田・和紗・信長との対峙とアイヌル民族解放血盟団の反乱の終焉編
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エピソードブラス・アマテラス神皇国・戦国無双・萌将伝 尾張の大虚けと岡ヶ狭間の戦いっ!!6

それから陽菜達は、足軽組頭達が住まう足軽組頭長屋へと集まって居た。


 織田家の召し抱え宮大工頭領家・岡部又右衛門を始めとする宮大工衆と、最早、犬千代が定番の渾名と成りつつある前田・利美・利家。


 その旗下である赤母衣衆の手勢に加え陽菜たち旗下と成った足軽衆と合わせて200名が居並ぶ。 


 長屋は横の一部分が障子と成って居るので、、障子を退けると結構な広さを持った集会所にも成るのだった。


 和紗の号令で、陽菜と犬千代が暮らす足軽組頭長屋は、城郭の修繕工事が終わるまで、貸し切りすべしとのお達しが出て居るので、其処に暮らして居た住人たちは陽菜達を覗いて仮宿舎へと移動をさせられて居た。


「それで、修繕工事に手立て有ると言って居たが、本当なのか?」と犬千代は改めて陽菜達に問う。


「うん。有るよ。」


「それは是非とも聞きたいものだな。」と話半分に聞く事にした 織田家の召し抱え宮大工頭領家・岡部又右衛門は、プロがやっても遅いのにアマチュア同然の輩が如何言う方法を言い出すのかと冷ややかな目付きで言って居た。



「要するに、右から左へ、左から右へと修理しようとするから遅く成るんだよ。」


「其処をあたし達の様な日雇い請負の公共賦役をやって居る川浪衆や蜂須賀党なんだと・・・・・・」


「こうするんだ。」と絵図面に軽く点線を幾つかの区割り図を描いて見せてた陽菜達。


「ほう・・・・・」と又右衛門は目を丸くする。


「区画を区切って、後は設計をしっかりして、最後に均一にやりながら3交代制で修繕工事をして行けば・・・・・・・」



「上手くやれば、8日くらいで仕上がるよ。」



「確かにな。だがな、これでは職人や人足達がやりたがらないぞ。」と又右衛門は言う。


 陽菜達の時代には、3交代制を敷いての作業をやらせるなんて行為は、城郭や陣中での見張り位だろう。


 眠たいを思いをしてまで仕事をやりたがる人間なんて中々居ない物である。


「それはね・・・・」


「そうだね。」


「ふふっ!!アレをすれば嫌でもやる気が出るってもんだ。」


 陽菜達は、久々に有る手口を用いる事に顔見合わせて含み笑いをしてしまう。

 しかも今回は、資金を気にせずにやりたい放題と来れば、ニヤケずには居られようかと言うもの。


 又右衛門と犬千代達らは、陽菜達が企む手口に半ば呆れる事に成るのであった。


 これが後に墨俣城を一夜で作り上げる土台作りと成った事は言うまでも無いだろう。


それから二週間が過ぎたある日のこと。



陽菜達は那古野城の修繕工事を再開させる。



「これより各部署を12組、3交代制組に分けて修理させる。」と、絶対に偉く見えない陽菜が職人や人足達の前で作業工程の説明を始めた。


「おいおい!岡部様。」


「そいつの言う事は正気か?」


「幾ら何でも、俺達に寝ずに働けってのか?」


「まあまあ、待つのだ。寝ずにではない。作業は各部署を12組に別れ、更にそれを3交代の組に分かれて交代制で作業に当たるのだっ!!」


「決して寝ずには出ない。」と又右衛門は、嫌な顔をして居た職人や人足達に補足説明をしてやった。


「でもよぉ・・・・・・」


「ああ、夜はなぁ・・・・・」


「流石に・・・・・・・・」



 だがしかし、夜間仕事と言うのは現代人・・・・・即ち地球人であっても嫌な顔付きをする者だろう。


其処で陽菜達は、画期的な策を弄して居た。


「因みに夜間作業には、少しばかり手当てに色を付ける予定です。」と陽菜は言う。


「「「「「何っ!?」」」」」と言う職人や人足達は、どよめく声を上げた。


「作業が早い順に特別手当ても支給します。」


「「「「「何んとっ!?」」」」」


「まぁ、例え作業が最後尾に成っても手当ては出ますが、その額は他の組とは・・・・・・・」と恵那は含みを持たせた言い方をしながら言うと・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「やるぞっ!」


「おおっ!!そうだっ!!」


「それだけの条件を付けられてやらない手は無いっ!!!」


「やるぞっ!!!みんなっ!!!」


「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」」」」



 作業上の好条件を付けられた職人や人足達らは、やる気がMAXと成って雄叫びを上げたのであった。




(上手いっ!これで職人や人足達らは、この小娘の言う事を進んで聞くだろう。)


(全く、信長様は、何んと言う拾い物をして来たのだっ!!)と又右衛門は驚いたと言う。


 その日から、那古野城の修繕工事は、破竹の勢いで進む事に成る。


 昼夜問わずに、職人や人足達は働き、建物・城壁・石垣と見る見るうちに直されて行く。


「さぁさぁ、出来高のご褒美は早い者勝ちだっ!!」


「早くっ!正確にっ!丁寧に仕事を成功させた者達の組は、取り分が多いぞっ!」


「だからと言って、いい加減な仕事をして失敗したら、その分だけ損をする。」


「良いかっ!あくまでも早くっ!正確にっ!丁寧に仕事をするのだっ!!」


 技術指導をする又右衛門の指揮の下で、那古野城の修繕工事は、進められて行く。


どの部署、どの組達も懸命に働いて居た。



そして・・・・・工期完成の8日後のこと・・・・・・・・・・・・・・


 那古野城の修繕工事は、完了した。


「やったああああぁぁぁぁーーーっ!!」


「出来たっ!!」


「ご褒美もたんまりと・・・・・・」


「ちっくしょーっ!!後は一歩と言う所でっ!!」


「仕方ありやせんよ組頭っ!!」


「でも、あの足軽組頭の嬢ちゃんは何者なんですね。」


 昼夜問わずに働いた、職人や人足達らは、各組に由って報酬の割高に一喜一憂する姿が見受けられて居た。


だがしかし、この場に居る者達らの中には、損をする者達は一人も居なかった。


「木下・陽菜っ!!」


「はいっ!!」


「出来たな。」


「はいっ!!岡部様のご協力が有ってこそです。」


「その前に信長様が、この修繕工事に関して、こちら側の無茶苦茶な条件を飲んで下さなければ、出来ない事だ。」


 又右衛門を始めとする織田家の召し抱え宮大工衆らは、精魂を尽き果てた亡者の如き顔つきで、完成した那古野城の修繕ヶ所を見ながらやり遂げ事に感動して抱き合いながら喜びを分かち合って居た。

 


其処に和紗が現れた。



「ようっ!!サルっ!!やったかっ!!」


「はっ!!はいっ!!」


「サルっ!!他に織田家でやるべき事が有れば言うが良いっ!!」


 和紗は陽菜に織田家内でやるべき事問うて見た。



 それは陽菜にしか見えてない物が在ると、今回の修繕工事の手際を見て、その才が本物であると踏んだからである。


「・・・・・・・・・・」と悩む陽菜は、在る事が気掛かりと思って居た。


 それ何かと言うとだ、実は陽菜達が那古野城下へと入ってから気になり出した事が在った。


 それは足軽組頭専用長屋を含めた城内各所での生活物資の消費量が必要以上に多いと思って居たからである。


 食料はある程度は仕方が無いとしても、薪や炭に油と蠟燭と言った燃料物資の消費量が、庶民達と比べても明らかに多いと感じて居たのである。


 だがしかし、この事を指摘すると、城内の者達は嫌な顔付き成る事は必須だろうと思われた。


 誰しも夜の明かりは欲しいし、飯炊きや冬の寒さ等から火を使いたいと思うだろう。


 しかしながら、市井に暮らして居た陽菜からすれば、節約できる所を節約をすれば、その分を他の所へと予算を回せる事が出来ると思うのだ。


 だからこそ、陽菜は余計に悩んでしまって居た。


「・・・・・・・・・」と更に思案を深めてしまう陽菜。


「無いか?では良い。」と言う和紗は、直ぐに立ち去ろうとした時である。


「いいえっ!!御座いますっ!!」と陽菜はハッキリと答えた。


「陽菜ちゃんっ!!」


「やっぱり、それは止めて置けってっ!!」と、幼馴染みである頃代と恵那の二人は、陽菜から先に述べた事に関して、予め相談を受けていた為に止めに掛かる。


 それを言うと、ドけちと言われ兼ねない嫌われ者に成り兼ねない行為だったからだ。


「ほう・・・・・何だっ!!」


「今年の冬に備えても有りますが、私はその更に先、来年の春や夏に向けて備えて、織田家や各城内での薪や炭に油と蠟燭と言った燃料物資の無駄遣いを減らすべきと思いました。」


「確かに薪や炭に油と蠟燭と言った燃料物資は、秋の終わりから冬、それに春先にかけて消費量が多くなる。」


「はいっ!!その時期に成ると多くの燃料を使うので必然的に値段が高く成り、物資も不足しがちです。」


「それを如何にかすれば・・・・・・」と陽菜が言い掛けた時である。


「分かった。サルっ!!お前を織田家の台所奉行に任じる。好きなように差配して、来年度に備えさせろっ!!」


「ははっ!!畏まりましたっ!!」と陽菜は返事をしてしまう。



 和紗は又もや陽菜が何かをしでかすのだろうと思い、満面の笑みで立ち去って行くのであった。



「どどどっ!!如何しようっ!!勢いで言っちゃったよおおおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーーーー!!」と半泣きの陽菜であった。


「あらあら、言っちゃったよ。」


「こりゃ、城内が荒れるよな。」



 幼馴染みである頃代と恵那の二人は、台所奉行と成った陽菜を呆れながらも渋々手伝う事にしたのであった。



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