エピソードブラス・アマテラス神皇国・戦国無双・萌将伝 尾張の大虚けと岡ヶ狭間の戦いっ!!2
マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・美濃国・稲葉山城内にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
織田守護代家老家の当主である織田信秀は、高熱を出して倒れた。
それは尾張周辺地域の大名王家の国々に取って、新たな火種を産む事に成る。
そんな出来事が起こった、その年の秋のこと。
織田信秀は己の命の生い先が、短い事を悟り、元服したばかりの娘の後事を託せる同盟国と成り得る人物は誰かと思案する。
当然のことながら、尾張国を制圧して、天下統一を目指す足掛かりにしようと目論むものは多く居る。
その中でも駿河国の駿府城に本拠地を置く今川家の当主である今川義本は、東海一の弓取り武将、もしくは穴熊と言う渾名で呼ばれる油断の成らない人物として知られて居た。
この今川家は、足柄将軍王家の親族にして、その政権を牛耳ろうと目論んで居る家柄の一つでも在る大名王家。
その義本には、今年12歳に成ったばかりの愛娘である今川・鞠華・氏真が居た。
彼女を今川家が皇都・平庵京へと上洛した際に、武力と財力に物を言わせて、足柄家の養子にさせて、アマテラス神皇国の天下を取ろうと言う絵図を義本は思い描いて居た。
そんな企みなんぞ、お見通しである信秀は、和紗と尾張国を守るには、美濃国を完全に制し、我が手中に収めて見せた斉藤道三こそが、一番の人物では無いのかと考える。
昨日までやりあったライバル相手ならば、信用も出来るち思われた。
それに万が一にも、和紗が道三の傀儡と成る様ならば、それまでの才覚だった言って、諦めも付く。
アマテラス神皇国内では、当主の突然死が起きそうなだと、当主本人が判断して居る場合は、後見人を指名する事が在る慣習が存在して居る。
それが一族の誰かだったり、近くの領主か大名王だったりと、その指名方法と指名人と成る人物は、様々ものが在った。
信秀が指名をしたのは、宿敵とも言うべき斉藤道三その人であった。
後見人を決めた信秀は、後見人に成って貰う条件として、大垣城周辺地域を差し出す事が、織田守護代家老家としての条件と書き記した。
斉藤家側が呑んで欲しいのは、帰蝶姫と言う斉藤家の長女を信秀の養女として迎え、跡取り娘である和紗の義妹とする事で同盟国と成りたいとした。
アマテラス神皇国内では、同盟条約を結ぶ裏付け方法として、跡取りが娘だった場合は、相手国の娘を養女にして義妹とした人質とする事で、同盟条約の証として居た。
男の場合は異性同士の結婚と、これは地球世界でも良くある政略結婚であり、この世界でも広く取られて居る安全保障条約の確かな証とされて居る事が多い。
その書状を受け取った道三は、ニヤリと笑う。
「ふふっ!!ぐははははははっ!!」
「やはり、信秀の奴目め、揖斐川での戦で受けた鉄砲傷が元で、くたばりそうたがら、娘の事をこのマムシの道三に頼みたいと言うてきおったわっ!!」
「それは勿怪の幸い。あの虚け娘を傀儡とされるのですか?」
「馬鹿めっ!!」
「道空よ。あの小娘めは、その様な玉の輩では無いわっ!!」
「何んとっ!?」
「下手をすれば、此方が呑まれかねん。腹に何を抱えて居るのか分からぬ輩よ。」
腹心である堀田道空と共に、尾張からの書状を見ながら話す二人は、信秀の寿命が、幾ばくも無い物だと言う事を悟り、如何しようかと思案して居た。
堀田道空は、斉藤道三の腹心として知られて居る人物で、事あるごとに道三と話し合って居ると言う。
その風貌は、チョッと小太りな身体付きと白髪交じりのちょんまげ頭で、顔つきは、著名な俳優として知られて居る長〇裕〇さんとそっくりさんな感じの人物であった。
「では道三さまは、如何なされるお積りで?」
「ふふっ!!信秀たっての遺言書じゃ、聞き入れるのもやぶさかでないと言う物。」
「それに駿府の穴熊も近頃は不穏な動きが在ると聞く。」
「貴人被れの今川如きに、この美濃国をくれてやるのも、詰まらんでは無いか?」
「では・・・・・・・・・」
「ワシはあの虚け小娘の義父と成ってやろう。それが死に逝く信秀への礼儀と言う物よ。」
「それにワシは、あの揖斐川での戦いで、このわしに土を付かせた、あの小娘を気に入って居る。」
「アレをこき使う駒と成り果てるか、このワシの財産を全て奪う怪物と成るか、実に面白そうな輩よ。」
「もし、ワシや斎藤一族よりも上と見たのならば、この美濃国一国をくれてやっても良いとまで思うて居る。」
「何んとっ!!道三さまが其処でお気に入りとは、珍しい事も在るものですな。」
そんな話をして居ると、斎藤家の嫡男であり、今年20歳を迎えたばかり跡取り息子である義竜が、信秀が死に掛けて居るとの噂を聞きつけ、尾張を如何するのかを進言しにやって来た。
「父上っ!!あの信秀が、鉄砲傷で病を得たと聞きます。」
「この期に乗じて、奪われた大垣城周辺地域を一気に取り戻し、そのまま尾張を攻め取りましょうぞっ!!」と大きく高飛車に進言する。
「義竜っ!!その義に及ばず。」
「たった今、信秀から書状を受け取った。大垣城周辺地域を返すから、娘を頼むとな。」
「何んとっ!?父上っ!!予もやそのお話をお受け為されるわけでは在りませぬな?」
「馬鹿者っ!!今の斉藤家と織田家の二家は、大戦を終えたばかり。」
「しかも、今川家が美濃国や尾張国を狙って居ると言う時期でも在るのじゃぞっ!!」
「信秀は今川家が動き出す前に、ワシらと決着を付けたかったが、それも叶わないと悟り、こうして和睦と娘の後事をこのワシに託したと言うのじや。」
「ですがっ!!」
「戦ばかりが、この世の全てでは無いぞっ!!」
「こう言う風に退き際を見極め、新たな策謀を巡らすのも、武将としての心得である。」
「父上は甘いっ!!敵は徹底的に叩く方が良いに決まって居るっ!!失礼するっ!!」と出て行く義竜。
「道三様が虚け娘の事を買い被るのも納得ですな。」
「今の斉藤家内でのご心配をしている悩みの種が、あの義竜さま。」
「成るほど、それで対今川家への対策として、尾張国を城塞の壁としたいのですな。」
「その通りじゃ、ワシらが尾張国を支援し、その尾張国を今川家への城壁として居れば、当面はワシらは安泰と言う訳じゃ。」
「それに織田守護代家老家には、津田の港が在るからのぉ~っ。」
「資金調達には事欠かない。」
「ワシら織田に兵糧と武具を売り付けだり、西から調達して売り付ける事で、一儲けも可能と言う物。」
「今川義本の奴目が、尾張国と織田の虚け娘を攻めあぐねて居る間に、小娘が台頭出来るだけの態勢が、どれだけ進められるのが、勝敗の鍵と成ろう。」 」
「それが何故、あの馬鹿息子には、こんな簡単な事すら分からんのじゃっ!!」
「全く嘆かわしい事よのう。」と道三は、嫡男である義竜の暗愚振りに。嘆いてしまって居た。
この親子関係が、後に和紗の飛躍と悲劇を齎す事に成る。
それから数日後の事である。
道三は、織田守護代家老家と同盟条約を結び、長女の帰蝶姫を養女として差し出すと返事を織田家へと返した。
その条約締結の為に、美濃国と尾張国の国境に在る聖徳寺へと参られたたしと書き記して居た。
これが後の歴史に記される聖徳寺の会見と言われるエピソードである。
この会見で道三は、その才覚を高く買って居た和紗に対して、万が一に備え、美濃国譲り状を和紗に用意したと言われて居る。
出発の数日前の事である。
道三の長女である帰蝶姫は、この時14歳。
血気盛んなお転婆のじゃじゃ馬娘で、剣術は当たり前の事として嗜み。
馬術・薙刀・弓・槍と、挙句の果ては鉄砲までもが、扱える無骨な性格をして居たが、勉学意欲も高く、文武両道の才女と謳われる少女であった。
黒髪ロングヘアースタイルのポニーテールを結った髪型に、赤と紫色が合わさった和櫛と簪で、飾り付けられて居る。
背丈も小柄だが、やや高く伸びており、鍛えられた中肉中背のボデイスタイルを有して居る。
その顔立ちは、ツリ目顔の気の強い風貌をして居る女の子だった。
「父上っ!!」
「おおっ!!帰蝶か?如何致した?」
「父上の為さる事は、何時も何時も唐突なのです。」
「昨日に成って聞きました。わたくしは織田家へ・・・・・それも織田守護代家老家の当主の娘として、養子に出すとのこと。」
「如何なるお考えで、このわたくしめを人質として、養女に出されるお積りかっ!!」と豪い剣幕で、父である道三へと怒りの言葉を言い放つ。
帰蝶が養女と成る一件を知ったのは、昨日のこと。
決めたのは織田信秀から送られた書状が、やって来た日から三日経ってからのことである。
急な話であるのは承知の上では在るが、申し入れをして来た信秀が、自分が生きて居る内に事を済ませたいと言って居る。
それに加えて、信秀が息の在る内に、誰もが有無を言わせない状態で、同盟条約を締結したいと言って居るのだ。
信秀は後事の事を盤石な態勢とする事で、和紗には後顧の憂い無く当主と成って欲しいと言う親心から来る心配りが在ったのである。
「と言う訳なのじゃ。帰蝶には何も知らせずに、事を進めた事は済まんかったのう。」
「そうですか、信秀様が・・・・・・」と事情を知り、相手国の当主本人が命懸けで頭を下げて居るのだから、その義に報いるのは当然の事と言うアマテラス武士のの義侠心から来る心意気を道三は、信秀に向けて示して見せていた。
そして、この一件で同盟条約を結べば、大垣城周辺地域を返還して貰えると言うは、非常に美味しい話でも在るのだ。
話は理解できるが、帰蝶は一番に気に入らないのは、虚け姫武士と噂される織田・和紗・信長が、彼女の義姉と成る事である。
「その様子じゃと、気に入らんと言う顔じゃな?」
「はい。馬鹿だアホだ、変わり者だと言う虚け姫武士と噂される織田・和紗・信長が、わたくしの義姉と成るのです。」
「わたくしは、どの様な扱いを受けるのが心配で堪りませんっ!!」
「はっはっはっはっはっ!!その心配は無用と言う物じゃっ!」
「このワシはのう、虚け姫武士の事を気に入って居る。」
「何せ、先の揖斐川での戦いで、このワシに一矢報いて見せたのじゃからのう。」
「父上にですって?!」と驚きの顔つきをしてしまう帰蝶姫。
戦上手と謳われる斉藤道三を負かしたと言うのだから、帰蝶姫が驚くのも無理もない話だ。
それも15歳の小娘に負けたと、娘に言うの事は、大抵の武将では、有り得ない事である。
「そうなのじゃっ!ワシを負かせられる実力と才能を併せ持った小娘だから、ワシは信秀の提案と頼みごとを受けてやる事したのじゃっ!」
「帰蝶よ、其方の役目は重要じゃぞっ!」
「お主の態度しだいで、織田が敵にも味方にも成るのじゃっ!心せよっ!!」
「はい・・・・・・」と落ち込む帰蝶。
これも戦国乱世の習いと、話の理解は出来るが、やはり不安も在った。
だが、これが帰蝶姫の運命のすらも変えて行く切っ掛けと成り、この乱世を運よく生き延びる事と無った。
マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・尾張国・美濃国境地域・聖徳寺周辺地域にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そして、道三は帰蝶や跡取り息子の義竜の他にも、多数の息子達も引き連れて、美濃国と尾張国の国境に在る聖徳寺へとやって来た。
この会見で道三は在る事を思い付く。
それは会見日に合わせて道三が早く聖徳寺へと向かい。
次の日にやって来るであろう和紗が、どんな感じで現れるのかを見て、最終的な決断を決める事を考えて居た。
意地の悪いやり方だが、揖斐川での戦がまぐれ当たりだった事も見据えての、道三から和紗への本当に味方と成るべき相手なのかを見定める為の最終試験でも在った。
会見の日は道三達がやって来た次の日。
詰まりは、明日の昼過ぎ、午後1時くらいの刻限として居た。
「それでは行くぞ。あの虚け娘が本当に才在る者なのかを見定め為に、途中の宿場町で隠れながら覗き見る。」
「供する者達は30名だ。鉄砲と弓やを用意して置けっ!!」
「何故で御座いますか?」と腹心である堀田道空は訳を聞き出そうと問い質した。
「ふん、これがワシから奴目への最終試験よっ!!」
「少しでも腑抜けた答えを出す様な輩で在ったのならば、この道三自らが、その場で討ち取ってくれるわっ!!」とマムシの道三と謳わるあくどい顔付きで言う道三であった。
道三は富田宿場町のメインストリートの中心地に在った、とある一軒の古惚けた居酒屋として使われて居る民家を貸切って、其処から和紗達の織田軍の行列を覗き見ようと隠れる。
配下の手勢である30名も近くの者達は、数件の民家を借り切って隠れ控えて居た。
和紗が道三の意に添わぬ者であった場合は、その場で暗殺すら計画されて居た。
揖斐川戦いでの一件が、まぐれで在ったと言うのならば、この宿場町に通りかかる和紗の軍勢は、隙だらけの筈である。
そうで無いと言うの成らば、油断の成らない規模や装備で身を固めた軍勢が通り掛かる筈だと、道三は腹心である堀田道空と供回りの家臣達に向けて、そう言い聞かせた。
気に入らんと見たならば、討ち取る合図をするとも言い含め、和紗が率いる織田軍が通り掛かるのを静かに待つ準備体制を整える為に、各隊は予定配置に向かって移動して行く。
「お屋形様、此方で御座います。」と供回りの家臣の一人に導かれ、富田宿場町のメインストリート沿いの中心地の一画に在った古惚けた居酒屋の二階へと登り、二階の窓から宿場町のメインストリートを見下ろした。
「うむ。おお、此処の民家から成らば、織田軍の行列が良く見えるわい。」と窓際に座り、良く冷えた井戸水から作った冷たい茶を片手にして、和紗が率いる織田軍を見物する積りの道三。
「おおっ!!来ましたぞっ!!あれが織田勢でしょうな。」と堀田道空が、織田軍の先陣部隊を指さす。
黄色い旗指物に織田木瓜の家紋が翻ると共に、最近に成って和紗が考案した旗印が見えて来た。
和紗が言うには「これからの世は商売で一番に大儲けをして居る国が、強大な大国へと伸し上げるのだ」と言う願いを込めて、永楽通銭の旗印を織田軍の飾り軍旗の一つとして掲げて居る。
飾り軍旗とは、一目でどこの誰なのかを示した旗印の事で、アマテラス神皇国内でも、特に名の在る大名王が掲げる事の多い旗印の一つ。
これが在る事で当主が如何に優れて、目立った人物なのかを示している事を誇示する為の旗印でも在るのだ。
やがて織田軍の行列は中軍に差し掛かると、8.2メートルもの長柄槍と呼ばれる部隊が、続々とズラリと歩いて居た。
普通サイズの槍は精々3メートル以上が相場で、馬上槍は橙1.5メートル前後。
人によっての特注品も在るが、そんなに長いやり何て馬上で振り回すのは使いづらいのである。
時代劇ドラマや時代劇映画なんかで使って居る槍は、カメラから移り映えの良い形に成って居るだけなので、本物を見るとアレ?短くない?とか言って、勘違いして居る人達も多いと思う。
馬上槍は特に短い物が実戦に用いられて居るので、空想ドラマしか知らない人達から見れば、変なサイズに見えてしまう事だろう。
「・・・・・!! 何じゃっ!!あの槍の長さはっ!!我が軍の2倍は長いぞ・・・・・・・・・。」と織田軍の長柄槍を見て驚愕の声を開けでしまう道三。
「ハッタリでは?アレで使い勝手が悪いかと・・・・・・」
「いや、槍歩兵部隊の改良に勤めたワシも、5メートルから6メートルくらいが的確だと思うて居ったが、奴目はその2倍の長さを求めたらしいのう。」
「これは発想の転換と言う奴じゃっ!」
「恐らくは周辺諸国の槍兵が使って居る槍を調査と見聞し、相手よりも有利な戦い方をする事を目的とする為、あの長さじや、突かれれば、一突きで胴体を串刺しにし、振り下ろす事で相手の頭を袋叩きにも出来よう。」
「全くトンデモナイ事を思い付きよる小娘じゃっ!」
「流石は道三様、あの様な見てくれとも見える武器の使用方法に付いてですら、言い当てて見せられるとは、この堀田道空、目から鱗が落ちる思いで御座います。」
道三は和紗が考案したと思わしき、長柄槍の凄さに舌を巻くと共に、その使用方法すら言い当てて見せた。
堀田道空も和紗が只者では無いと感じ始めて居た。
「それにしても長い行列ですな。恐らくは当家に負けまいと、金に物を言わせて、無理にかき集めたのやも知れませぬな?」
「そうじゃのう。何せ織田家は家老職の家柄にしては、大金持ちじゃからのう・・・・・」と呆れる道三と道空
「おおっ!!次は鉄砲隊ですな。」と堀田道空は言う。
和紗が率いる織田軍の中には、夥しい数の鉄砲隊が行進して来て居た。
その数は500人であった。
この織田軍の総数は4000人である。
その内中で、四分の一の部隊に鉄砲隊を取り入れて居るのだから、この時期のアマテラス神皇国内の大名王家諸国の他国からすれば、それは絶対に在り得ない事であある。
この時期のアマテラス神皇国内では、鉄砲の事を種谷島と呼んで居た。
ユーラシアン大陸を経て島津家の領土てある種谷島に伝わったとされる火縄式の鉄砲。
アマテラス神皇国内では、種谷島式火縄銃または普通に火縄銃とも言われるマスケット銃の事だが、ゲルニアン帝国を含めた一部の技術立国で製造と流通が為され始めて居る最新武器とされて居る遠距離武具。
この10年後の時代には、キリヤ公国の建国と勇治の登場で、連射式銃が登場する事で、旧式武器へと追いやらる運命と成ってしまう。
「何時の間に、アレだけの鉄砲の数をどやって揃えたのか?」
「はっ!!我が斎藤家でも鉄砲を買い漁っては在りまするが、精々50丁が良い所っ!!」と道空は言う。
「五月蠅いぞっ!!」と道三は、要らぬ事を言ってしまった道空に対して、思わずツッコミを入れてしまう。
「はっ!!申し訳ございませんっ!!」と堀田道空は、迂闊な発言をした事を謝る。
「流石のワシでも一丁あたり250万両(日本円で250万円)もする武具を大量に買い揃えられる財力なんぞ持っては居らんっ!!」
「津田港が栄えて居るとは言え、どれだけの租税を受け取って居るのでしょうな。」
「信秀と小娘めは、銭の使い方と集め方を良う心得てる様じゃっ!!」
「それに・・・・アレは只の寄せ集めの兵には見えぬ・・・・・・・・・・・。」
道三は段々と和紗と言う姫武士が、どの様な人物なのかが、分かり始めた様である。
「道三様、恐らくアレが信長の旗本本隊で御座りましょう。」
「ああ!あの真ん中に居るのが、織田・和紗・信長殿では?」
「どれ、見せてみよ。ん、な、なんと・・・・・・・・・・!」と道三は窓枠へと、もっと近づいて和紗を良く見ようとする。
「あーあー、噂に違わぬ虚けぶり。」
「道三様との会見へと、あのような出で立ちでやって来るとはっ!」
「全くもって怪しからんっ!!」と堀田道空は怒りを露わにした。
和紗は古惚けた薄着の着物を右側に袖を通し、反対側の袖には腕を通さず、叩けさせた状態で来ていた。
そのせいで当時Dカップだったおっぱいが、半分食み出て居る。
しかも晒を巻いた状態を晒し、瓢箪から水を仰ぎ呑み、懐からはおやつとして持って来た梨を頬張り、食べ辛い部位を地面に吐き捨てて居た。
何所の誰が見ても行儀が悪いと、怒り出すに違いないと言える姿を世間の皆様に晒して居た。
「・・・・・・・・・・」
「道三様っ!!やはり討ち取って後顧の憂いを絶ちまするか?」
「・・・・・・・・数が違い過ぎる。見た所・・・・・信長軍の兵力は、凡そ4千人は居るだろう。」
「それにアレは・・・・馬鹿でも阿呆のする所業ではない。此処は引き揚げるぞっ!!」
「宜しいので?」
「良い。あの娘が、どの様な性格をした輩なのが分かった。」
「何事も型にはまらず、それに堅苦しく、古臭いやり方を毛嫌いする性格なのだ。」
「たがら世間の者らからは、虚けと揶揄されるのじゃっ!」
「アレを理解するには、あの者の行動を良く見る事じゃっ!」
「あの小娘は意味の無い事は絶対にやらんっ!!」
「そう言う小娘なのよ。」と道三の中で、和紗のお株がうなぎ登りと成って居た。
「道空よ、小娘への試験問答は、取り敢えずは合格じゃっ!」
「はっ!!わたくし目は少々得心が得ませんでしたが、並の輩では無さそうだと言うのは分かる気がします。」と言って、その場を引き払う道空達は、急いで聖徳寺へと退き返して行ったのであった。
それから聖徳寺へと戻った道三は、服装を和紗の着て居る服装と合わせた格好へと着替え、会見へと望む事にした。
「道空、会見は堅苦しい様な正装よりも、小奇麗にした普段から使って居るこのままの服装で良い。」
「ワシだけ正装に成ったのでは、虚け姫殿に悪い上に、この一件を聞いた民草や諸国の者らからは、笑い者に成るだけじゃっ!!」
「着飾らず、普段通りの姿を見せれば良い。」
「はっ!!」
「織田・和紗・信長殿のお成りに御座いますっ!!」と報せを持って来た家臣が現れると、織田家側に用意された西側に在る寺の建物の中から現れた和紗を見た斉藤道三と家中の者達を絶句する。
「あれが・・・・・・・・・・・・信長だと?」と道三はポカンとした顔付きと成ってしまった。
和紗は完全に着飾った姫武士用の・・・・それも上位階級の家柄の娘が着る最高級の織物で、作られた紅葉色の晴着姿を披露する。
「くくくくくっ!!ぐははははははっ!!これは、これはっ!完全にしてやられたっ!!」
「あの虚け娘めが、この道三を二度も謀りおったぞっ!!」と大喜びの道三。
和紗は生涯でただ一人の師であり、父信秀と同じく理解者であり、後見人として支えてくれる事と成った義父と成る人物との会見へと望む。