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キリヤ公国英雄戦記物語  作者: 伊達教宗
第7章 少年王と魔王織田・和紗・信長との対峙とアイヌル民族解放血盟団の反乱の終焉編
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エピソードブラス・アマテラス神皇国・戦国無双・萌将伝 尾張の大虚けと岡ヶ狭間の戦いっ!!1

 マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・尾張国・美濃国にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 広大な多元世界の一つである異世界マギアンティア。


 それは大宇宙が丸ごと詰まった次元世界上の世界の一つであり、その中には、数多の大陸を含めた陸地と大海で成り立って居る世界。


 そんな世界に、ワザとではない神々による災いが、降り掛かってしまう。


 その災いとは?と言うとだ。


 新米世界神ユイテルシアが、誤って地球の入って居る玉を落としてしまい。


 その球が転がり落ちて、複数の世界と衝突しまう。


 その結果、複数の球の世界が融合し合って一つと成ってしまうが、大慌てて世界神アルテジアが、その世界を再び元通りにしようとするが、一部だけどうにも成らない状態と成って生まれた世界が在った。


 それが・・・・この異世界マギアンティアと言う新しい世界であった。




 そして、その災いの影響で、死亡してしまった日本人の少年である桐谷勇治が転生した異世界である。


 その世界は基本的にファンタジー世界だが、様々な世界や世界感を持った国や地方が点在して居る世界で、多国間での戦争が日常的な世界でも在る所でもあった。



 これは本編が始まる10数年前の・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国内の様子を描いた物語の記録である・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 アマテラス神皇国には、アマテラス列島地方を統一に導いたとされる3人の英傑が居た。


 その前に伊達家・毛利家・上杉家等は、各々勝手に独立し、キリヤ公国の公王である桐谷勇治に対して、それぞれの立場に見合った王と成って臣従してしまう。



 まぁ・・・・・・それはそれとしてだ。


 その3人の英傑の事である。


 

 その一人は、アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・尾張国・清州市・清州城の守護大名王家であった斯波義統の家老家たる織田家の長女である織田・和紗・信長。



 もう一人は、三河国の戦国大名王である松平忠信の長女である松平・千代・元康。


 後の徳川・千代・家康の事である。


 最後一人は尾張国・中村と言う農村の木下弥右衛門と木下仲と言う農民の長女として生まれた木下・陽菜。


 これは後にキリヤ公国連合国の桐谷勇治公王から領地を分割され、豊臣独立自治大公藩国を建国した大公豊臣・陽菜・秀良と呼ばれ人物と成る。


 3人は数奇な運命に導かれ、10数年後にキリヤ公国連合国の加盟国を建国し、桐谷勇治公王を盟主王として仰ぎ仕え、共に生涯を過ごした相手と成る定めと成って居る。



 さて、唐突にたが、織田・和紗・信長が15歳の時である。


 美濃国を支配下に置いて居た土岐頼純は、突如として臣下である斉藤道三と言う男に反旗を翻すべく織田家当主である織田信秀と越前国の守護大名王家である朝倉義景と手を組んで、総勢8万人もの軍勢を使って稲葉山城を攻めさせた。


 今年の前年度に織田信秀は、津島市の膨大な税収入を使って大垣城を攻め取り、美濃国西側にまで版図を広げて居た。


 その手腕を褒め称えた諸国の者達は、彼の事を尾張の虎と呼び、称賛したと言う。


 だが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・稲葉山城にまで迫った土岐軍・織田軍・朝倉軍から成る連合軍らは、稲葉山城下町の井ノ口市内で、斉藤道三軍の7千人の軍勢の待ち伏せ奇襲攻撃を喰らってしまう。



「それえええええぇぇーーーーーーっ!!」と大声で道三は、八万人もの三連合軍を迎え撃つ。



 稲葉山城の城門櫓で指揮を執る道三は軍配を振り、城門周辺に展開している部隊に攻撃命令を下した。


 その風貌は、大柄な身体に半分以下の禿げ頭で、口回りから揉み上げに至るまで白いお鬚を蓄えて居る。


その顔つきは往年の俳優で有名な松〇弘〇に似ているかも知れない。




 ズダダダダダーーーーンッ!!ズダダダダダーーーンッ!!ズダダダダダーーーーンッ!!


 ズダダダダダーーーーンッ!!ズダダダダダーーーンッ!!ズダダダダダーーーーンッ!!


 ズダダダダダーーーーンッ!!ズダダダダダーーーンッ!!ズダダダダダーーーーンッ!!


 ズダダダダダーーーーンッ!!ズダダダダダーーーンッ!!ズダダダダダーーーーンッ!!


 ズダダダダダーーーーンッ!!ズダダダダダーーーンッ!!ズダダダダダーーーーンッ!!


 最近に成ってアマテラス神皇国内に大陸から伝わって来たと言う火縄銃(マスケット銃)成る武器。


 アマテラス列島地方内では、伝わって来た由来の地名を取って、種谷島と呼んで居た。


 道三は和泉国の交易都市である堺市を通じて、ユーラシアン大陸の雄であるゲルニアン帝国で大量生産された鉄砲を買い入れて500人の鉄砲隊を作り上げ一斉射撃を慣行する。


 弓部隊と合わせた飛び道具兵器による射撃戦は、この時代のアマテラス列島地方内では、今だ余り見られては居ない戦術と言えた。


 斉藤軍の弓部隊と鉄砲隊は、迷路の様な作りで入り組んでいる井ノ口市内を縦横無尽に駆け回り、歩兵隊と連携した散兵戦術を駆使して連合軍を討ち取って行く。


「道三さまっ!!これは凄いですっ!!」


「8万もの連合軍が、寡兵に過ぎない我らに討ち取られ、次々と倒されて居りますっ!!」と道三の戦術眼の手腕に感激に打ち震えて居るのは、若き日の明智・十華・光秀であった。


 10数年前の明智・十華は、美濃国の国衆の家柄である明智家の跡取り娘だった。


 だがしかし、14歳の時に父である明智光綱が領内争い事を鎮める為に、出陣した合戦の手傷が元で、破傷風を患って病死してしまう。


 その後、明智家の家督は、父の弟である明智光安が、明智家の家督相続をし、明智・十華は、道三の旗本の一人として仕える事に成った。


 と言うより先代の長女が代替わりしたばかりの明智家内に居るのは、一族としては諍いの元として、体裁良く外へと追い出されと言えた処置もであった。


「くっくっ、全ては計算どおりじやっ!」


「ユーラシアン大陸渡りの戦術も中々に面白き物よ。」と頭部が剥げ、口回りと揉み上げが繋がった髭を蓄えた初老の男が、稲葉山城の正門である櫓門の上で、不敵に笑って居た。


「これが・・・・鉄砲や弓を組み合わせ、歩兵隊と連携させた散兵戦術・・・・・凄いっ!!凄いですっ!!」


 明智・十華は、道三の元に来て以来、そのやり口に驚かされる日々を過ごして居た。


 この戦いに備えると言って、堺市で鉄砲を買い付けろと言われて放り出されたり、尾張国を探って来いと言われては、無理やりに敵地へと、命懸けで潜入されせれた事も在った。

 

「さぁて、仕上げじゃ。」と道三は守勢から一気に攻勢に転じる。


斉藤軍は稲葉山城の正門から本隊を出陣させて行く。


 この時、朝倉軍は北部の大野市へと伸びている街道の大野街道へと撤退して居た。


 朝倉軍は、美濃国の守護大名王である土岐家の親族であった為、義理として連合軍に参加して居ただけで在ったので、戦に勝てないと分かると、スタコラサッサと撤退してしまった。


 所詮は金と権威で集められた烏合の衆にしか過ぎず、とても士気の低い連合軍なのであった事が、この戦いでの一番の敗因である言えた。


「「「「「うおおおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーっ!!」」」」」と斉藤軍は雄叫びを上げて、大垣城へと逃げて行く土岐・織田連合軍を追撃して行く。


 道三が狙うは、土岐家の当主である土岐頼純を生け捕りにし、織田信秀を討ち取って、その織田家の金蔓である津田港を占拠。


 更には、軍事政権を失って空白と成った尾張国を我が物とする積りなのだ。


 名目上の国主である守護大名王家・斯波義統等と言う輩と織田一族なんぞ、信秀以外では、只のカカシ人形も同然と言われて居る事から、攻め落とすのも赤子の手をひねるが如しと思って居た道三。


だが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「姫様っ!!」と告げるのは、和紗直属の守役を務めて居る丹羽・米実・永秀。


 彼女は、遠眼鏡で織田軍が敗走して来たのを確認する。 


「ほれ見ろっ!!糞親父めがっ!!俺の言った通りに成ったではないかっ!!」


「信じられません。姫様の仰られた通りに・・・・・・・・」


「ふんっ!!鼻から欲ばかりを掻いた戦だ。」


「得た土地を良く耕さず、味方に付けるべき筈の国衆達と領民達から兵力を無理やりに徴収した結果が。これだっ!」


「糞親父と重臣の古だぬきどもそれが分かって居ない。」


「金はこうだと言うやり方に投資しないと、自分の首を絞めると言うのが分かって居ないんだっ!!あのバカ共はっ!!」


 信秀と重臣達は、津田市で搔き集めた税収入を美濃攻め攻略の為に、兵力徴収の為の資金源として使った。


 要は金をやるから兵隊を寄越せと、支配下の領民と国衆達に言ったのだ。


 その結果、やる気の無い兵隊が集まり、やる気無い同盟国と名家に胡坐を掻いた傀儡御当主さまと共に、大事な戦で敗戦と成ってしまった訳である。


 和紗はそれが分かって居るから止めて置けと言ったので在ったが、誰にも理解されて居なかったと言う事である。


 派手な鎧を着込んだ172センチの背丈に、抜群のボディスタイルを持って居る巨乳姫武将が、茂みに潜んで、逃げて来た父親の姿を遠眼鏡で見て居た。


 そして、和紗直属の馬回り衆の前田・利美・利家、佐々・海未・成政、金森近恵・長近の三名が旗下の部隊指揮を執らされて居た。


 和紗は父信秀に、この戦は最初から負けて居ると予言して居た。


 斉藤道三と言う美濃のマムシと言う男は、金と兵を使った力押しで負ける様なじじいでは無いとね。


 それを聞いた信秀も織田家重臣達は大笑いする。


 どうやったら8万もの連合軍が、寡兵に過ぎぬ斉藤軍7千人に、負けると言うのだとね。


 元々は美濃守護大名王の傀儡看板を欲しくて始めた戦で在る。


 大垣城が簡単に取れたから、勢いに乗って斉藤道三を倒して、美濃すら金と軍事力で支配しようと言う信秀の見通しの甘さが、この戦いには現れて居たと言える。


 和紗は、そんな愚かな父でも助けてやろうと、こうして出番を待って居たと言う訳である。


「実に惜しい事です。姫様が総指揮を取られて居られば・・・・・・・・・・」


「バカ言うな。今の織田家、引いては尾張国の誰もこの俺を信用する者は居らぬわっ!!」


「だが、あの親父に今死なれるは困るっ!!」


「この俺に実力が在るのだと言う事をだっ!!」


「織田家と尾張、いや、アマテラスの全土に分からせる為にもっ!!まだまだ時が足りぬだっ!!」と言うと指揮下の家来達に命令を言い放つ。


「鉄砲隊っ!!弓隊っ!!構ええええええぇぇぇぇぇーーーーーーっっ!!」



 

 やがて斉藤軍に追われた味方が大垣城の前に在る。


 揖斐川を終えようとして居た頃合いを見計らって、和紗は馬回り三人衆に命じた。


「今だっ!!放てえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」


 ズダダダダダーーーーンッ!!ズダダダダダーーーンッ!!ズダダダダダーーーーンッ!!


 ズダダダダダーーーーンッ!!ズダダダダダーーーンッ!!ズダダダダダーーーーンッ!!


 ズダダダダダーーーーンッ!!ズダダダダダーーーンッ!!ズダダダダダーーーーンッ!!


 ズダダダダダーーーーンッ!!ズダダダダダーーーンッ!!ズダダダダダーーーーンッ!!


 ズダダダダダーーーーンッ!!ズダダダダダーーーンッ!!ズダダダダダーーーーンッ!!


「ぐはっ!!」


「ぐえっ!!」


「ぎやあああああぁぁぁぁぁーーーっ!!」


 斉藤軍は、揖斐川のど真ん中に在る中州まで川を渡河して居たが、其処を和紗達に、狙い撃ちを仕掛けられてしまう。


「ちいっ!!嫌な頃合いで仕掛け来おるわっ!!」


「道三さまっ!!」と明智・十華は道三を守る為に近くへと駆け寄る。



「それえええええぇぇーーーーーーっ!!」



「「「「「うおおおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーっ!!」」」」」と、ドッと伏兵達が姿を現す。


 現れた和紗軍の軍勢は、三千人前後で在り、敵の不意を突いての奇襲攻撃を仕掛けて来た。



「敵は三千人程度と思われます。」と道三の近く居た武将は言う。


「指揮官は?」


「それが・・・・・・・・・・・」


「どうした?」


「あの尾張の守護代家老家の大虚け娘、織田・和紗・信長との事ですっ!!」


「何じゃと?」と余りにも以外過ぎる人物に、強面の道三も呆けた顔付きをしてしまった。


「それえええええぇぇーーーーーーっ!!あわよくばマムシを討ち取れえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」と大声で叫ぶ和紗。


 その指揮下に居るのは、幼い時から遊んで居た身分の上下も性別もを気にしない者達で構成されて居た。


 皆和紗の豪快で気さく、其れで居て即決即断で、何でもやりたがる負けず嫌い。


 大陸から入って来た文化や武器を進んで扱う変わり者。


 大虚けや大戯けと呼ばれて居るが、単に性格と生き方が変わって居るだけで、決してバカではない人柄が、大好きに成った人達ばかりである。


 和紗ならデカい事ができると信じて付いて来る結束力の優れた軍勢達は、命懸けで家来に成ると心に誓った猛者達が、下剋上を体現して居るアマテラス戦国大名王の美濃マムシの道三と言われる傑物に、無謀にも戦いを挑んだのである。



「くくくくくっ!!グハハハハハハっ!!ガハハハハハハハハハっ!!」


「このワシとした事が朦朧したわい。齢15歳の大虚けの小娘めに、こうも簡単にしてやられるとはな。」


「全軍っ退けいっ!!織田の小娘めは、もう一手の手札を在ると見るべきじゃ!!わざわざ罠に掛かってやる必要は無いっ!!」


「道三さまっ!!しかし・・・・・」と折角の勝ち戦が勿体無いと思う明智・十華は、此処での撤退を嫌だなと思って居た。


「十華、良く見て置けっ!!アレが虚けと思うか?」と道三は和紗の鎧姫武者姿を指す。



 明智・十華は目を凝らして和紗を見ると、良く統率の取れた軍勢を指揮して突撃して来て居る事が分かった。


「嘘、アレが虚けが指揮する軍勢?在り得ないわ。」


「くくくくくっ!!織田信秀もトンだ小娘を隠して居ったわい。」と言って道三は馬を翻す。



 この稲葉山城の戦いに措いて、圧倒的だった数の軍勢を誇って居た連合軍は敗れ去る。


 連合軍の傀儡大将であった土岐頼純は美濃国からの国外処分とされ、斎藤家が美濃国を完全に下剋上して、国一つを本格的に乗っ取ったのであった。



戦を終えた和紗は、大垣城の謁見の間まで、父信秀と対面して居た。



「このっ!!大虚けめがああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーー!!」



 ぱあぁぁーーーんと言う頬を叩く音が、広間に響き渡る。


 和紗は黙って、父に叩かれて居た。



「お前は織田守護代家老家の跡取り娘なのだぞっ!!」


「それを軽々しく、しかも、このわしに命令を受けたのでは無くっ!」


「勝手に出陣をし居って、あの斎藤道三を撃退しに行く等と言う、大それた事をし居ってえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」と烈火の如く怒る信秀。


「お館様っ!!どうかっ!!どうかっ!!お怒りをお沈めくださいませっ!!」


「平手っ!!貴様はこの大馬鹿を監督する為に付けていると言うのにっ!!今まで貴様は何をしておるのだっ!!」


「ですが、この度の一件では、和紗様の予見されて居た通りと成り、お館さま危機をお救いに成りましたっ!!」


「和紗様は大器のお方と思われ、この私めも含めて、常人には理解し難い物が在り。」


「また、それに魅力を感じて、魅了される者も少なからず多く居るのも事実。」


「お館様も、どうか、どうか、和紗様の事を少しでもご理解下さいませっ!!」


 織田・和紗・信長の筆頭守役を任され、赤ん坊の時から世話をしていた平手政秀と言う中年男性武士は、床板に額を擦り付けて、主君とその娘の間を取り持つべく奮闘する。


平手は和紗が赤子の時から感じて居た事が在った。


 一目で和紗は、只者では無いとね。


 だが天才を理解する事は、常人と言うべき人々には、無理な事柄と言えた。


 天才は世の中に数パーセントとしか存在しない人種であり、大勢を握って居る常人からすれば、間違いを言って居る愚か者と見なされて居るからである。


「はぁ~、そのくらいの事、このわしも分かって居るわっ!!」


「だかのう、天才を叱り付けるのも必要が在るのじゃ、特に親が生きて居る内はな。」


 信秀も和紗の天才であると分かって居るが・・・・・それとコレとは別と割り切って居るのであった。



 幾ら天才でも、現当主は信秀である。


 和紗が好き勝手なことして良い訳では無い。


 それに天才と言う盆栽の枝木を・・・・今の内に針金を使って矯正して置かないと、いざと言う時にトンデモナイ結果と成るからである。


 それに和紗の母親である織田・富和は、娘の偏屈ぶりに嫌気を出して、その子育ての匙を投げてしまって居た。



「不吉な事を言わないで下さりませっ!!」と平手は言う。


「何が起こるかは分からぬが戦国の世と言う物。」


「和紗、今日は助かった。」


「だがな、お前を特別扱いはせぬ。他の家臣達と親族一門衆の目も在る。」


「この場は、とっと清州へと戻れっ!!」


「ふんっ!!」と詰まらないと言わんばかり和紗は立ち去る。


「姫様っ!!」と平手は追いかけて行こうとした時である。


「平手っ!!」と信秀は呼び止める。


「はっ!!」


「あのバカの天才娘の事を・・・・・・・・・頼むぞっ!!」


「はっ?ははっ!!」と言われた平手は、忙しなく主君に頭を下げてから、大慌てで和紗を追いかけ行く。



 大垣城の城門前で、馬回り衆と合流した和紗に、やっとの事で追いついた平手に向かって、和紗は言った。


「珍しく親父殿は、弱気に成った。気に入らんっ!!」


「はい?何故で御座いまする?」


「お館様が姫様の事をお叱り、軽く褒めるのは何時もの事で御座いましょうに・・・・・・・」


「今日のは、丸で遺言みだいだった。」


「俺が跡目を継ぐのに後数年は掛かろう?」


「それまで他の織田一族を抑えてくれねば、この俺が面倒くさい事に成る。」


「今死なれたら堪らんのだっ!」


「万が一、その時に成って、誰の信用されて居ない俺は誰の後見を受ければ良いのだ?」と言って馬を走らせた和紗。


「姫様ああああぁぁぁぁーーーーーーーーーーっ!!」と慌てて騎乗し、追いかける平手。




「ふんっ!!バカ娘めが、行った・・・・・・か・・・・・・・・・・・」とパタリと倒れる信秀。


「ああっ!!お館様あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーっ!!」と叫ぶ近習の侍達。


「誰かっ!!誰かっ!!誰かあああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーっ!!医者わおおおおぉぉぉぉーーーっ!!」


「お館様があああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーっ!!」


 和紗が大垣城を立ち去った丁度その頃、織田守護代家・老家の当主である織田信秀は、高熱を出して倒れた。


 その主な原因は、稲葉山城の戦いに措いて負った鉄砲傷が元での破傷風が、原因と言われて居る。


 尾張の虎と称賛された織田信秀は、娘に勢力圏地盤を譲る前に倒れ、その命は残り僅かと成ってしまうのであった。


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