第44話 少年王とビクトリナ南洋大戦の終結とビクトリナ共和独立自治国のキリヤ公国連合国への加盟
マギアンティア世界統一暦・1555年・10月12日・午前9時15分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国連合国本国・キリヤ公国本国・キリヤ地方・公王都キリヤ市・キリヤ城・キリヤ城中央棟・謁見の間にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ビクトリナ南洋大戦はキリヤ公国連合国の勝利で終わった。
キリヤ公国連合国に対して、戦争へと突入して戦った3ヶ国は、それぞれ母国へと逃げ帰り、それぞれ自業自得なのにも関わらず、公然と雪辱を必ず晴らすと言って憚らない。
懲りない奴らだと諦めて、勇治達は戦後処理へと移った。
特に一番に大変だったのは・・・・・そう、後片付けである。
船舶の木材や各種の兵器の鉄板のサルベージが一番にめんどくさかったが、これをしないと民間船舶の移動に支障をきたすから、絶対にやらないといけない事であった。
その戦後処理に10日程を掛かる見込みだと言う。
その後始末を現地に居残るキリヤ公国連合国軍とビクトリナ共和国軍に任せ、勇治と軍部首脳陣等は、政治的な戦後処理へと移る。
この大戦に関わったキリヤ公国連合国の各国王諸侯や国家元首、各国の政府高官達は、キリヤ公国連合国の首都である公王都キリヤ市のキリヤ城へと集まった。
謁見の間に入ったキリヤ公国連合国の主要国と高官らは、それぞれの定位置で待ち、ビクトリナ南洋大戦での論功行賞の義が行われた。
五十鈴達のナデシコ地方自治州区領組の軍高官達には、戦功労者ボーナスとして、勇治のポケットマネーから現金20万円と国内のキリヤ公国王室別荘施設の年間使用優待券が与えられた。
これはキリヤ公国内と連合加盟国内に作られた王室関係が使えるプライベートリゾート地を休暇日に好きなだけ使える特別優待券の事である。
静かなリゾート地での休息は、国政の仕事が忙しい政府高官組に取っては、とても嬉しい福利厚生サービスと言えた。
まぁ、こんなのがボーナスの副賞なのは、下手な物では賄賂に見えてしまうからと言うのが、勇治の国政上の制限された上で、宮仕えしてくれて居る部下達に、与えられる精一杯の報酬と言うのが、法的な制限が為されて居るからであった。
同じくキリヤ公国本国軍に所属する者達にも、同じような報酬が与えられた。
主な支払先は直轄軍、武士軍団や忍び衆の物達である。
勇治は階級関係が一切関係無く、一括で報酬を支払うので軍関係者達は大喜び。
留守を預かった文官や政府首脳達にも、しっかりとした報酬も支払われて居る。
特に近衛軍の近護衛官長である塚原・伝江・朴伝は、ちゃっかり上等な酒類を求めて来て居たので、勇治は呆れながらも高級なつまみ付きで副賞を支払って居たりする。
近衛近習衆軍は、滅多な事では出陣はしない勇治の護衛戦力兼公王都キリヤ市の防衛戦力である。
だが、今回ビクトリナへと遠征に向かった勇治には、十分な護衛戦力が在った為に、本土で暇を持て余して居る戦力軍の一つである。
それはとても良い事なのだが、一輝が人手不足と言うので、気まぐれに伝江が戦地へと赴いた事で、思わぬボーナスが得られたとホクホク顔の伝江であった。
次に国王等の国家元首達への報酬だが、フェリス侯爵独立自治領国とアマテラス皇国の藩王達と奥州独立自治王国へは鉄道とレールを国内にゴットタブレットを使用して開通させる事が報酬と成った。
電気機関車も10両づづ送られ、更なる国力の発展をする事を期待するとした。
政実は大喜びで国元の王政府に、この事を電話で報せたと言う。
アマテラス神皇国の各連合加盟国は、早速、鉄道の線路を通す為の土地の選定を開始し、早ければ1月後には開通と営業を開始する予定である。
そして、最後はビクトリナ共和国の総督と高官達を出迎えての今後に付いての最後の協議結果を言う事に成って居た。
「それで今後は如何するんですか、ジェシカさん?」
「それなんだがな。どうせなら、このままお前の所の連合国の一員として、家の国を置いてくれないか?」
「それは、今更何でまた?と言いたいですが、何と無く理由が察しますね。」
「結局は、この世界で敵を多く作ってしまったからな。」
「今の同盟国と言う立場だけだと、キリヤ公国連合国以外の国々からは、まだまだ舐められるし、この先も助けて貰うのに色々と法的な面や外交交渉が面倒だろう?」
「それに一々敵対する外国からの横槍を入れられるのも嫌だからな。」
「だったら国土を共有して居る方が色々と便利で楽だからさ。」
「ですが、ジェシカさん。折角の自分達で、好きにやれる独立国の権利をわざわざ捨ててまで、家の連合国に加盟しなくても・・・・・・・・」
「勇治。ジェシカさんが入りたいと言うのだから、此処は素直に受け入れるのが筋と言うものよ。」
宰相であるリィーゼは、中央政府としての立場的な見解に立って意見を言う。
「それに今後も四方から攻め入られる可能性を考慮するとなると、ジェシカが治めているビクトリナ共和国の軍勢を東側の抑えとして受け入れるのも、キリヤ公国連合国軍の総軍を預かる私としては、大変に有り難い事だわ。」
「私も五十鈴の言う事には賛成だ。」
キリヤ公国連合国軍を取り仕切って居る国防大臣の足柄・一輝と総司令官の山本五十鈴の二人も賛成に回った。
「経済的面や産業的観点かららも賛成。」と文部総合技術省大臣の地位に就き始めた魔導師レイラも賛成票を投じた。
「外交安全保障的な観点からも賛成だ。勇治、相手の事を思うばかりで、相手の意見を聞き入れる度量が成って無いぞっ!」
今度は外務大臣を務めて居る結城・梅晴にすら、ダメ出しを喰らってしまい。
更にはビクトリナが、キリヤ公国連合国へと加盟する事に、賛成する一票を投じて来た。
(此処は僕の国だよね?その割には国家危機以外では、僕の権力がとても弱い様な・・・・・・・・・・・・・・・・)
キリヤ公国連合国と言うのは、桐谷勇治を国家元首とする公爵王位国である。
当然のことながら勇治の意向が一番に反映される筈なのだが、この国はセレジアと言う次期王妃を筆頭にして、何故か女性の内閣首脳陣と政府幹部や政府高官と連合国元首達の意見がとても強い。
・・・・・・と言うか、何時の間にか勇治が、彼女達の尻に敷かれて居ると得た。
全く以ってして、とほほほほほ・・・・・・・・・・な感じである。
「セレジア。」
「あー、諦めた方が良いわよ。この国では貴方の人の良さのせいで、色々と良い意味で、甘えて来る人達ばかりだから、絶対に貴方を独裁者には、させてはくれないわよ。」
「えー、それはそれで嬉しい事なんだけどね。折角の親切な行為を台無しにするのも、アレかなーって・・・・・・・・・・」
ジーっと見つめられるキリヤ公国連合国の重臣や連合国の国王諸侯等に見つめられた勇治は、絶対に勝てないこの多数決勝負に負けを認めるしかなかった。
「はぁ~分かったよ。分かりましたってばっ!!ビクトリナ共和国をキリヤ公国連合国への加盟を認めますよ。」と言って、絶対の権利者である公王が、根を上げると言うのがキリヤ公国連合国だったりする。
「有難う。感謝する勇治。」
「序ですから、キリヤ公国連合国軍の再編を軍部に命じます。」
「ふっ、良いぞっ!王たる者は、そう来なくてはなっ!」
「はっ!」
国防大臣の足柄・一輝と総司令官の山本五十鈴の二人は、姉としての顔立ちから顔を改め、国務を担う者として国王への力強い返事して答えた。
「今回の騒動で我がキリヤ公国連合国は、更に外へと国土と国軍が大きく成りました。」
「それに加えて、海軍力も拡大の一途を辿って居ます。」
「其処で陸海空軍の円滑なる運用の為に、新たに加盟編入したビクトリナ共和国軍を第二連合自治方面軍とし、国名をビクトリナ独立自治共和国と成ります。」
「国軍名もビクトリナ独立自治共和国統合軍と成り、その海軍艦隊は、キリヤ連合公国海軍・第二連合自治方面軍・第二統合連合艦隊・ビクトリナ独立自治共和国統合海軍艦隊と成ります。」
「第二連合自治方面軍司令長官をジェシカ・クローディア大将兼国家総督に担って貰います。」
「はっ!謹んで拝命を致します。」
「軍幹部としての地位は4番目と成りますが、国防大臣の足柄・一輝・宗輝さんとキリヤ連合公国統合総司令官の山本五十鈴さんとキリヤ公国軍副司令官の板垣妙子さんとは序列順は在れども、その立場は同格です。」
「何か有れば彼女達を頼ったり、協力し合ったりして、キリヤ公国連合国を支えて下さい。」
「それとビクトリナ地方の軍政務の一切の人事は、ジェシカさんに任せます。これからも宜しくお願いしますね。」
「ああ、宜しく。それと・・・・・・・」
「えっ?」
ジェシカは勇治に近づくと王座に座る彼の手の甲にキスをして忠義を示した。
(驚いたか勇治?これでも貴族の家の出だからな。ビクトリナ王家に忠義が在る祖国の在った世界から転移して来た、我々貴族の者達は、王家に遠慮して王族には成らない。)
(だが、何時かお前がその気なら、この私は何時でもお前を受け入れるぞっ!例え年の差が弟と姉ほどの差が在る関係でもな。)
ジェシカは小声でそう言うとビクトリナ独立自治共和国の為なら勇治の子種を受け入れて代々ビクトリナ独立自治共和国を治めて行く事に協力しても良いと言った。
これは彼女のこの地で生きて行くと言う覚悟の現れでも有るのだった。
(えーっと・・・・・・・・・・)
(ふふ、お前にはまだまだチョイと早いか・・・・・・・・もう少し大人に成ったら返事をしてくれば良い。)
(私と似た様な年上の女を味わないと女への欲が出ないか。今回の一件で私はお前の事がとても気に入った。)
(それには好きに成ったと言う意味入って居るし、此処で生き行く覚悟の表れでもある。)
(連合国内で確固たる地位とお前との関係をより強固な物とするならば、お前との間に婚姻関係か血の繋がりを持てば、我が国の地位は安泰と成るだろうからな。)
(だがその前に、お前は成るべく早く、セレジア王妃に手を付けるか、大人のお姉さん達に大人の男にして貰って、夜の手解きをされるんだな。)
(何なら私が手ほどきをしてやろうか?それほどまでに私は惚れ込んで居るんだよ。)
「ええっと・・・・その・・・・」と赤らめる勇治。
彼は大人のお姉さんから、愛の告白に近い事を囁かれ、真っ赤に成ってしまう。
ジェシカと言う女性は、異性関係で年齢の差を気にしないタイプらしく、身体を張って助けてくれ勇治の事を男女の関係に成ってでも構わないほどに気に入ってしまう。
貴族出身者であるジェシカは、そう言った貴族としての心構え在るので、肉体関係にまで言及しつつ、勇治の事を誘って居るのであった。
その事に勇治自身は困り果ててしまうが、結局のところは、五十鈴と一緒に抱いてしまうのは、彼は大物の女垂らしなのかも知れない。
言いたい事を言い終えたジェシカは後ろへと下がり、ビクトリナ独立自治共和国政府幹部ら共に宣誓を誓った。
「我々ビクトリナ独立自治共和国の政府は、無断で桐谷勇治陛下とキリヤ公国連合国を裏切る様な真似と、無断での連合国から脱退をしないと此処に誓う。」
ジェシカは高らかに誓いを宣言する。
「では加盟条約に調印をお願いします。」
勇治は調印文をゴットタブレットで呼び出すと、ジェシカ達ビクトリナ独立自治共和国幹部らとキリヤ公国連合国幹部のサインが入る。
此処にキリヤ公国連合国の加盟国の7ヶ国目の国家である。
ビクトリナ独立自治共和国が加盟が正式認められ、その事がその日の内に、全世界に向けて宣言発進されたのであった。
こうして、ビクトリナ独立自治共和国の転移に端を発したビクトリナ南洋大戦は、これにて幕を閉じたのであった。
マギアンティア世界統一暦・1555年・10月15日・午前9時15分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸北部地方・ゲルニアン帝国・帝都ベルリナ市・ベルリナ帝城宮殿・皇帝執務室にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ビクトリナ南洋大戦が終わり、ゲルニアン帝国・帝都ベルリナ・ベルリナ帝城宮殿に、バンドー山脈盆地の戦い敗戦の報が伝わる。
キリヤ公国連合国の連合加盟国であるフェリス侯爵独立自治領国のバンドー地方の何れかの国土を攻め取られんとゲルニアン帝国。
彼の国が仕掛けた国境付近の紛争は、独眼竜・伊達・政実の尽力により、ゲルニアン帝国の侵攻計画は失敗に終わった。
その一方が入るとヒットラン皇帝は、別の一手たるアイヌル民族独立解放急進派、アイヌル民族解放血盟団による奥州独立自治王国・北海島国州内の内乱を拡大させる事に方針を転換させた。
「ロンデルよ、グデーリアンの奴目が失敗したか・・・・・・・」
「はっ!!申し訳ございません。」
「まぁ良い。キリヤの小僧め抜きでも、油断が出来んと分かっただけでも、良しとするしかあるまい。」
「はっ!独眼竜の名は、伊達では無いと言う所で御座いましょう。」
「伊達と毛利か・・・・今後は小国と言えども優秀なキリヤの小僧の臣下と見るべきだな。」
「それは・・・・・キリヤ公国本国の支援を受けて、軍備が増強されて居ると見るべきと言う事ですか?」
「暫くはアイヌルの蛮族どもを嗾けて、キリヤ公国連合国の者供らを困らせる様にするしかあるまい。」
「あの小僧と伊達の小娘は、仔細が分かるまでは、非情な手段に打って出る事は出来まいて。」
「それでは引き続きアイヌル民族独立解放急進派、アイヌル民族解放血盟団による反乱を増長させる方針で参りたいと思います。」
「うむ。暫くは様子見だな。」
ゲルニアン帝国とヒットラン皇帝の暗躍は、まだまだ続く様だ。
マギアンティア世界統一暦・1555年・10月12日・午前12時15分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国連合国本国・キリヤ公国・キリヤ地方・公王都キリヤ市・キリヤ城・祝賀宮殿にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ビクトリナ南洋大戦の戦後処理を終えた勇治達。
彼らはキリヤ公国連合国の首都である公王都キリヤ市内のキリヤ城・祝賀宮殿では、戦争での慰労を兼ねた祝賀会が開かれて居た。
前回はキリヤ公国が建国して初めての初戦勝であった為、国を挙げての大規模な戦勝会としたが、今回はキリヤ公国と連合加盟国の政府関係者のみの祝勝会と成って居る。
しかしながらキリヤ公国民達は、公王である勇治の気質のせいか、お祭り騒ぎが好きな性格と成って居た為に、今回の戦勝でも国を上げてのお祭り騒ぎと成って居た。
だが、祝勝会が開かれて居るキリヤ城・祝賀宮殿に、トンデモない報せが入った。
「勇治陛下、政実さま。一大事で御座います。」
「あれ楓?一体、どうしたの?」
「勇治、どうしたんだ?」
「今、楓が急に現れて・・・・・」
不意に現れたキリヤ公国秘密工作諜報情報部局の局長である服部楓が、メイド服姿で、勇治と政実の前に現れた。
コッソリと背後から現れ勇治に声を掛けて来た為に、勇治と談笑していた政実は楓の動きに気付けなかったのである。
「楓だと?」
政実は勇治の真後ろに立って居たメイドを良く見ると、数回だけ顔を見た事の在る楓の姿を確認する。
「確かに楓だ。何か私にも用か?」
「はい。政実さまにも、この御一件には、大いにご関係が御座います。」
「実はビクトリナ南洋大戦の最中に、奥州独立自治王国の北方領である北海島国州内で、アイヌル民族独立解放急進派による反乱です。」
「「何だって?!」」
勇治と政実の二人は声を揃えて、びっくりした声を上げてしまった。
「一体、どう言う事?」
「楓っ!!何故だっ!!我が伊達家も北海島国州知事に任じた松前忠邦殿も圧政を敷いては居ない。」
「寧ろ相手に非常に気を使った政策で、慎重に彼らには対応して来た筈だっ!!」
「落ち着いてよ政実さんっ!!それじゃ楓も落ち着いて話せないよっ!!」
「うっ!済まない勇治・・・・・」
政実も突然の事態に狼狽して、楓に食って掛かってしまった事を勇治に抑える様にと、窘められた事で冷静に成った。
「はい。確か南部のアイヌル民族の者達は冷静で、アマテラス人にとは交流が深く、町での暮らしや国の国政に明るい人達なのです。」
「ですが、北部の一部では、未だに南部から北へと統治権を主張するアマテラス人の事を快く思わない人々が居るのも確かなのです。」
「今回の反乱の原因は、その・・・・先の将軍王で在らせられた一輝さまが原因の様なのです。」
「んん?私がか?」
其処へ自分の名前が上げられ、何事かと近寄って来た一輝。
「一輝さん。実はアイヌル民族の反乱が起きたらしんです。」
「はぁ?又なのか?連中も懲りん奴らだな。」
「100年前も勘違いして、奴らは大反乱を起こしたんぞっ!!それを誤解だと言い聞かせるのに何人死んだと思って居るんだ?」
「我が伊達家も鎮圧軍に加わるが、凄惨な光景だった聞く。確か双方に10万人の死者を出すと言う大内乱だったとかを聞きました。」
「うちのご先祖様が率いた足柄家の軍勢も、5千人の死者を出したよ。全く面倒な奴らだ。」
「勇治、言っておくが100年前の大乱の時も、アマテラス人の方からは、絶対に手出しはして居ないぞっ!」
「そうなの?」
「ああ、アイツらは民族の誇りが、如何だとか言って、他民族から学ぼうと言う習慣が無いそうだ。」
「それでも南部の連中は、足柄幕府時代に成って海南地方に代官を置いたり、監視と交流を目的に、反乱鎮圧に手柄を立てた貢献した松前家を大名王にしたりと色々戦を起こさせない様に取り組んで来たのだ。」
「それ以前の歴代の幕府政権も同じくな。」
「なまじ学が無い分、思い込みと反発感情が高くてな。事ある毎に戦を仕掛けて来る。」
「それが今回の反乱を起こした首謀者は、アマテラス人と半ば仕方なく交易をしていたアイヌル民族商人だったらしいとの情報を掴んで居ります。」
「ああ、今度はそう言う事か、なまじ南部の情報を得て居るから・・・・・ってそう言う事か、私が幕府を閉じた事とキリヤ公国に仕官しに渡海した事が原因か?」
「はい。ですが渡海したと伝わって居らず、クーデターに遭って死亡したと言う事に成って居るらしいのです。」
「それまた酷い誤解だな。」と苦笑交じり言う一輝。
「しかも・・・・・幕府に反乱を起こした首謀者が織田・信長さまらしいんです。」と楓の口からトンデモナイ御仁の名前が飛び出て来た。
「フハハハハハっ!!!そりゃ面白いっ!あの虚け娘が、この私に手向かいするかっ!!それは傑作話だっ!」
「くっくっくっ、これは滑稽すぎる話で、こりゃあ、笑いが止まらず腹が痛いっ!!アハハハハハハっ!!」
「当の本人も、この話が知れ渡る頃合いの筈、今頃は地団駄を踏んで、怒り狂って居る事だろうよ。アハハハハハハっ!!」
一輝は余りに酷い噂話を信じたアイヌル民族独立解放急進派達の事を大笑いしてしまった。
「笑い事じゃ無いですって!!」
「所で楓、反乱を起こした場所は?」と勇治が肝心の話に戻した。
「はい。最初の反乱が起きた場所は、八雲平原です。」
「八雲平原だと?確か北海島国州の国土開発の為に鉄道を敷かせて居た筈・・・・・はっ?!忠邦殿は如何したっ!!」
「忠邦殿は確か、近くナデシコ地方自治州区の建築会社の川浪建設の者達と鉄道建設予定の工事視察に出かける予定だった筈っ!!」
「落ち着いて下さい政実さま。忠邦さまご無事です。」
「反乱軍を相手に非戦闘員を逃がすべく剣を振るって戦い、軽傷の手傷を負いましたが、我がキリヤ公国秘密工作諜報情報部局の隠密衆。」
「ナデシコ自治統合陸軍と北海島国州地方軍の護衛で、非戦闘員にも犠牲者は出て居りません。」
「そうか・・・・・・」と味方側に犠牲者が出て居ないと聞いて、ホッとして、一先ずは気持ちが落ち着いた政実。
(政実は、才は在れども、まだまだ若い。此度の一件では、とても良い勉強に成る筈だ)と一輝は心の中で思った。
「一輝さん。この一件は如何したら良いですか?」
「すまんな。これも家の・・・足柄幕府王朝の・・・いゃ、アマテラス人の全体の問題だった。」
「それをお前たちに、押し付ける様な事に、成ってしまう事に責任を感じるが、これは一筋縄では行かぬ事なんだ。」
「だから私から提示出来る手段は二つ。一つは武力で徹底的に押さえ付けて諦めさせる。」
「その後に話し合いの席を設けさせて納得させる。」
「まぁ、この方法は歴代の幕府政権が取って来た政策だが、死人が多く出るが、手っ取り早く片が早く付くやり方だ。」
「もう一つは、アイヌル民族を分断させて、分からず屋とそうでない連中とを二つにして、味方に成りそうな奴らから此方に取り込んで行く策。」
「こっちは金が掛かる長引くし、色々と面倒くさいが犠牲者は少ない。」
「奴らは誤解し易く、学に疎い北の民達だ。相手の方が強く優れていると見なさないと諦めが悪いぞ。」
「・・・・・・・話し合いだけは無理ですか?」
「無理だな。半数は聞いてくれても、後の半分は歯向かうだろうな。」
「お三方、もう一つ報告したい事が有ります。」
「何だ、楓?」
「まだ有るの?」
楓がもう一つ嫌な報告がしたいと言うと、勇治と一輝の二人は嫌な顔付きと成る。
「アイヌル民族独立解放急進派の者達は、北海島国州内では民間人の保有が原則禁止と成って居る種谷島、詰まりは鉄砲です。」
「アイヌル民族独立解放急進派の者達は、大量の鉄砲を手に入れたらしいのです。」
「鉄砲だと?我が奥州独立自治王国は勿論のこと、アマテラス列島地方内の連合加盟国内では、特別な理由でも無い限りは、商会組織や個人ですら保有する事を禁止にして居る武器の筈だ。」
「況してや、日々の暮らしに困窮して居るアイヌル民族の民達が、おいそれとは手に入れられない代物の筈。」
「独立過激派の奴らは、一体どうやって・・・・・・・・・・・・・・・」
政実は一般の流通を禁じている火縄銃が、アイヌル民族の反乱軍の手に渡って居る事に疑問に思った。
今は今の猟師達が、狩猟を目的として扱うくらいで、アマテラス神皇国内のキリヤ公国連合国加盟国の民間人には手に入れる事が無く成った代物でも在るのだ。
「その出所に関しては、目下のところキリヤ公国秘密工作諜報情報部局の隠密衆が全力を挙げて調べて居る最中です。」
「今は一刻も早く、この反乱を如何にかする事かと思われますっ!!」
「そうだな。政実、お前は今から急いで帰国しろっ!私が政府の力を使って足の速い船の手配をして置いてやる。」
「はい。分かりました。勇治、済まないが、私はこのまま国へと帰る。仔細が分かり次第、追って直ぐに連絡する。」
「分かったよ。でも助けが必要なら何時でも言ってね。」
「ああ、ではな。」
政実は慌ただしくその場を後にして、そのまま大急ぎで自国へと帰国した。
その様子を見た数名のキリヤ公国連合国の上級首脳者と幹部達達は、何事かと集まり仔細を聞いて驚きを隠せずに居た。
事はキリヤ公国連合国が建国し、連合制を敷き、体制が連合国と成って以来、初の内乱である。
キリヤ公国と連合加盟国等は、何時でも奥州独立自治王国を助けられる様に連携強化に努める事を確認する事と成ったのだった。