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キリヤ公国英雄戦記物語  作者: 伊達教宗
第5章 少年王と吠える独眼竜っ!!伊達・政実編
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第41話 少年王とヒットラン皇帝の暗躍に奮闘し立ち向かう独眼竜っ!3

マギアンティア世界統一暦・1555年・10月3日・午前15時30分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸・キリヤ公国連合国・キリヤ公国・三浦川地方・準独立国特別指定権限保有地方自治州区・ナデシコ地方自治州区・州都・横須賀市にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




勇治の留守を狙って暗躍を始めたゲルニアン帝国のヒットラン皇帝。


彼の狙いはフェリス侯爵独立自治領国北東部のゲルニアン帝国との国境領を掠めとる事で、先の公帝戦争での痛手とこの前の国際会議での大恥を掻いた事への腹いせをする事にあった。



 まぁ、上手く事が運んでキリヤ公国連合国軍が、東の大国であるマギウス・ギアース王国と南東の大国であるドラリュウス帝国との戦争で大敗戦と成れば、キリヤ公国の軍事力バランスが大きく崩せるし、その隙を狙って旧ゲルニアン帝国領を取り戻す事も出来ると考えていた。



 そうならない様にしようと考え、公王都キリヤ市には当面の間は自国の態勢を整える為に、上洛が出来ないとして居た奥州独立自治王国・国王の伊達・藤枝・政実は、盟主であり弟分とも思え来て居た勇治の為に、少数精鋭の伊達軍を率いて上洛する。


 勇治の南征から帰るまでの防備を請け負うべく公王都の伊達奥州王家・公王都キリヤ公邸屋敷にて待機を決めていた。



 そして、彼女の読み通りに事は、最悪の事態を迎えた。



 ゲルニアン帝国のヒットラン皇帝が、ゲルニアン帝国軍を動かして、キリヤ公国連合に加盟したばかりであり、先の公帝戦争で経済・軍事・国力に措いて疲弊して居る状態のフェリス侯爵独立自治領国の防備の薄い国境付近の国土を攻め取ろうと言う動きを見せていた。


 これに関して対策に動いたレイチェル、一輝、リィーゼ、政実らは、なるべく多くのキリヤ公国連合国各地の軍を動かさずに、北へと精鋭軍を動かして事に当たる事にした。


 キリヤ公国の国家中枢を担う一輝、リィーゼの二人は、政実に臨時の司令官職である北方防衛将軍と言う任職を与えて、この事態に当たらせる事を決めた。



 政実は伊達軍3千人を率いて、公王都・キリヤ市から電気機関車で北上を開始した。




 その途上で政実は、ナデシコ地方自治州区州都・横須賀市を訪れて居た。


 キリヤ公国連合国軍副司令官であり、ナデシコ自治統合陸軍元帥でもある板垣妙子に会う為に、キリヤ公国連合国軍・総司令部・横須賀鎮守府を訪れた。


 五十鈴が3つの艦隊を率いて留守である為に。妙子がキリヤ公国連合国軍の残存軍を国防大臣である一輝と共に軍を纏めていた。



 政実は副司令官室へと入ると、妙子が笑顔で出迎えてくれた。


「待って居たぞ、政実。一輝さんからは話は聞いて居る。万が一の場合でも連合国軍副司令官である私の方も、動く訳には行かないからな。」


「貴女が行ってくれるのなら、我ら軍総司令部としては、非常に助かる。」


「いいえ、これは私が勝手にやりたくて動いて居る事です。」


「本来なら一輝さまにはお叱りを受けている所です。それにこの一件では国元の父上にも我が儘を言って、出向いて来て居ますから・・・・・・・」


「その我が儘を聞いて下さる御父上を大事になさる事だ。」


「はい。」



「さて、世間話はこのくらいにして、本題に入ろう。」



「妙子殿、ナデシコ自治統合陸軍はどれくらい動かせますか?」


「そうだな・・・・・・歩兵が3500、機甲車両部隊の車両が500と言った所か。」


「十分です。」


「悪いな。同盟国にも我がナデシコ自治統合軍の各部隊を貸し付けて居るせいなのとナデシコ領やアマテラス神皇国領、それにキリヤ列島領にも防備や開墾に開拓の手伝いでナデシコ陸軍を割いて居るから、そんなに多くの人数を割けんのだ。」


「後はフェリス侯爵独立自治領国内に駐屯して居る部隊の一部や、近衛が2500くらいだろう。」


「全軍で4万人ちょっとを見込んで居る。」


「だが、対するゲルニアン帝国7・8万を動員して居るらしい。」



「こりゃ、奴らは我が国とは、本気での戦はせん気の様だな。」



「精々国境線を変更する程度だろうが、恐らくこれは政治的な意味での敗北を狙っての動きだろうな。」


 


 他に招集命令を受けたのは、フェリス侯爵独立自治領国に治安維持派遣軍として派遣されて居る雑賀銃歩兵軍団の雑賀孫一と娘の雑賀さやか親子コンビ。 


 第十武士団の大将である真田幸恵と第二武士団大将である津軽乃為。


 それと最前線の地の近くに治安維持と防衛の為に、毛利陸軍の吉川・春美と伊達陸軍の伊達・成美の凸凹コンビが、北方のへの備えと防衛の為の定期交代任務に就いて居た。



 それに加え毛利海軍の小早川・隆美と小早川艦隊7隻とナデシコ艦隊の第四戦隊から派遣されて居る11隻が、ガントー地方の沿岸部とその海であるローレライ大海洋の領海防衛の為に常駐して居た。



 これらの戦力と政実が引き連れて来る援軍部隊全軍で4万強と言った具合の軍勢が、北の地でぶつかり合う事に成るだろう。



マギアンティア世界統一暦・1555年・10月6日・午前13時30分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸・キリヤ公国連合国・フェリス侯爵独立自治領国・北西地方に在るバンドー地方の北部内大陸地方のゲルニアン帝国との国境付近にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 バンドー地方の北部内大陸地方に在るゲルニアン帝国との国境付近では、8万人のゲルニアン帝国軍が、ヒットラン皇帝からの命令を受けたハイレンツ・グデーリアン将軍の手によって集まって来て居た。



 グデーリアン将軍は先の公帝戦争で、キリヤ公国本国へと攻め入る物の近代化軍と近代化要塞軍に阻まれてしまい、手痛い敗戦を味わう事と成ってしまった。



 そして、この度起きた異世界から新たに現れた転異国家であるビクトリナ共和国の独立建国問題に措いて、外交戦を仕掛けたゲルニアン帝国。


 彼らの企みはキリヤ公国秘密工作諜報情報部局の忍び衆の手によって、ゲルニアン帝国と各国との間に裏取り引きとして、ビクトリナ共和国の領土分割保護領とする事と、その科学技術を分配すると言う密約が交わされた事を暴露されてしまう。  



 外交戦に敗北したゲルニアン帝国は、世界各国の大国を焚き付け形で、東の魔導大国であるシェニッアー・ギアース国王と南東の龍人族の大国であるドラリュウス帝国を巻き込んでの大戦争を仕掛けた。  



 後の世では、ビクトリナ南洋大戦と呼ばれる戦争であり、ゲルニアン帝国は非公式戦争を仕掛けたとされて居るバンドー山脈盆地の戦いが始まろうとして居た。


「うーむ。流石に守りを固め始めて居るか・・・・・・・」


「グデーリアン将軍閣下。偵察結果を報告します。」


「ご苦労っ!!」


「敵のバンドー山脈盆地駐屯地基地を防備して居るのは、伊達軍の伊達・成美大佐と毛利軍の吉川陸軍の吉川・春美大将の軍勢合わせて、1万人程度が守備に就いて居る模様。」



「相手は毛利軍の吉川の小娘と伊達のチビガキか・・・・・・・」




 グデーリアンは、相対する軍勢の指揮官が、先の公帝戦争で自軍を追い回し暴れまくった憎き二人組である事を忌々しく思った。



 何せ、その二人はグデーリアンが率いて居てた軍勢100万人が敗走する際に散々に追い散らした挙句に、容赦なく将兵達を討ち取って居たからである。



 吉川・春美は論功受勲の席で勇治に対して「これで先の失敗の叱責は、手打ちじゃけんね」と大威張りに言い放って居た。


 それを素直に褒めた勇治、それをツンデレ風にフンと言い代えしまうのが、吉川・春美と言う女の子だった。


「全く調子が狂うけん」とぼそって言いながら、恥ずかしく成って論功受勲の宴席を出て居たらしい。



 だが、長女毛利・輝実と三女小早川・隆美の二人は、これで春美は素直にキリヤ公国連合国の為に、働いてくれると胸を撫で下ろして居た。


 素直じゃ無く、へそ曲がりで、口は悪いが義理と人情を通すのが春美の性格だった。



 祝宴の宴席で、まともに勇治と話して、どんな奴なのかを知った春美は、頼りない弟みたいな感じの奴と思ったらしい。


 そして、底知れぬ何にか大きな力を持って居ると感じたらしく、風格は格上と見たらしい。


この手の猛将は、こう言った感じで心服しないと、格上の存在に対して、素直に従う事を良しとはしないので、とても面倒な奴でもあるのだ。




 そんなキリヤ公国連合国内切っての猛将である二人が相手である事から、グデーリアンも迂闊な手には出られなかった。



 バンドー地方の南沿岸地域では、ナデシコ自治統合海軍の第四戦隊が派遣され、撫子型戦艦・尾張。金剛型戦艦・榛名、空母葛城。


 重巡・古鷹、加古。軽巡・夕張、大井、木曾。駆逐艦・夕立、睦月、島風が展開して居た。



 艦隊の指揮官は第四戦隊・司令官・黒島亀代大佐で、それに補佐として随伴して居る毛利海軍の小早川・隆美海軍大将と巡洋艦厳島、駆逐艦宮島を含めた小早川艦隊7隻が、湾港周辺海域の治安維持の為に派遣されて居た。



 これらの軍勢は、フェリス侯爵独立自治領国が公帝戦争で受けた被害から、領国軍と治安維持機構の再建の真っ最中である為、キリヤ公国連合中央本政府からの支援処置であった。




 これらの防備戦力を打ち破らないと、ゲルニアン帝国がバンドー地方での領有権の回復は有り得ない事だろう



 グデーリアンが、この地でキリヤ公国連合国軍と睨み合い始めて、半日が経過して居た。


 この時既に南方での戦は、キリヤ連合公国側の勝利は確実に成って居た頃の事。


 相手側の様子の探りをして居る最中の事である。



 ゲルニアン帝国バンドー地方侵攻作戦軍司令官であるグデーリアンの下に前線での動きが有ったとの報せが入る。



「報告ーーっ!!」



「キリヤ公国連合国側に動き有り、フェリス侯爵独立自治領国軍の1万5千人が着陣。続いて奥州独立自治王国の伊達軍の3千人が着陣。」


「ナデシコ自治統合陸軍の歩兵が3500人、機甲車両部隊の車両が500両とその乗員を併せて5千人が着陣。」


「キリヤ公国直轄軍の第十武士団の大将である真田幸恵と第二武士団大将である津軽乃為の軍勢を併せて1万人。」



「更に滅多な事では表に出ないと公言して居る公王専属護衛総隊長及び近衛近習衆軍特別顧問剣士でも在る塚原・伝江・朴伝が率いて居る2500人から成る近衛近習衆軍の兵を引き連れて現れたとの事でありますっ!」


「援軍と合流した現地駐留軍のキリヤ公国連合国の総勢は、凡そ4万5500人と成りました。」


「彼我の軍勢での戦力差では、我が方が有利だが、将兵の質は相手側が有利か・・・・・・・・・・」


「しかも相手の中には、アマテラス神皇国の鹿嶋の神刀と謡われし剣客たる塚原・伝江・朴伝が戦地に出向いたと言うのかっ!!」


「これは非常に不味い。」


「噂に聞く神の如き剣客。その実力の噂は本当でしょうか?」


「本当だ。一人で数百人は一瞬にして平気で切り捨てるとの話だ。それも魔法や弓矢や銃砲火の中でもだ。」


「とても侮れない剣士である事には間違いない。」


「それ程までの使いてなのですか?」


「貴様らが知らんのも、無理は無い。」


「その手の武芸者でも無い限り、今の様な武器や兵器が発達しつつある世では、最早過去の遺物とさえ言って居る国軍の将も多いからな。」


「この世界の世の中に措いて、アマテラス神皇国・六剣聖と並ぶ武芸者は、どれくらい居る物か、アレら全ては化け物の様な存在だ。」


「だから決して、正面から相手にしては成らない。」


 アマテラス皇国六剣聖とは、鹿嶋の神刀流の使い手たる塚原・伝江・朴伝を筆頭とした化け物クラスの剣客達の事だ。


 筆頭格の伝江を始めとして、元足柄幕府将軍王の足柄・一輝・宗輝。文武両道の達人たる細川・藤夜・悠斎。


 上野国の眠れる獅子と言われる長野・業乃・正則。


 伝江にその剣の才能を認められし、新陰流の達人にして赤城の鬼神と言われる上泉・伊澄・信綱 


 そして、大和柳生の若き剣聖である片目の奇神と言われる柳生・冬香・十兵衛。


 何れもどう言う訳か、何れの人物らも士官して欲しいと言う大名王が多い中で、一輝と師匠の呼びかけでキリヤ公国へと渡って来た。



 一輝は将軍王を退いてキリヤ公国政府の首脳陣に迎えられる。


 勇治からは仕事が少ないから片手間で済むと言われて居たのだが、その話は公帝戦争が終わると、その話が一変し、今や大国の国防大臣で、仕事量の多さは半端ない程に成って居た。


 それでも将軍王だった頃よりは、充実した毎日を過ごして居ると、本人は言って居る。


 それ以外では小国の領主をして居たり、誘い話が面白そうだったからと、いい加減な理由も混じって居た。


 それに伝江は面倒を見て居た弟子も育て切った事で、やる事が無く成り、ボーっと過ごして居るのもなぁと思って居た時に、一輝からキリヤ公国行きの話を聞いたので、彼女は行く事を決意。


 3食昼寝付きで給与も悪くない公務員である。


 仕事内容は、勇治の専属護衛部隊で、その筆頭隊長である公王専属護衛総隊長と軍の将兵達の基礎体力訓練の教官職で、偶に勇治の剣術指南をして居れば、後は自由と言う契約だった。


 まぁ、一輝は師匠である伝江の性格を熟知して居るので、この条件なら簡単に「うん」と言うだろう思ったからの契約内容であった。




「其処までの剣の使いてなのですか?」と副官を務めている将校は驚愕のを顔付きを果て居た。



「今は公王都・キリヤ市内の邸宅で、のんびりとして居るらしいが、キリヤの小僧めっ!!とんでもない留守番を多数居残して居るな。」



 ゲルニアン帝国の現状では、海戦では兵器の質から絶対に勝てず。


 陸戦では多数方向から大軍の軍勢を搔き集めてから攻め掛かり、更にはキリヤ公国連合軍の主力軍とはぶつからずにする事。


 そして最後の一手として、自分達と変わらない甲冑を身に付けて居る地方軍と戦って、局地戦で一度でも勝てれば、勝った勝ったと吹聴して回れる。



 情けない話だが、それ程までにキリヤ公国連合国とゲルニアン帝国の軍事力バランスの差は、天と地の差が在ると言えた。



「どちらにしても一戦もせずに、我がゲルニアン帝国軍は撤退すると言う事は出来ない。」


「では・・・・・・・・・・・・」



「これも皇帝命令だ。致し方あるまい。」



 グデーリアンは諦めに似た表情を浮かべながら、8万人の軍勢に部隊展開の命を下した。


 異世界マギアンティアの国際慣習法では、停戦・講和条約を結んでから最低六ヶ月から1年は、やりあった相手とは争わないのが暗黙の了解ルールと成って居るが、紛争と国境線での諍いはアリとされて居る。



 その際の戦果で出た利益は、奪った側の物と成る事が多かったが、それは格下に仕掛けた場合だ。



 

 伊達政実が率いる伊達軍を中心としたキリヤ公国連合軍の実力と言うのは、二番煎じに過ぎず、兵力差は有れども、明らかにゲルニアン帝国軍よりも格上である。



 それを相手取って戦うのは、軍人としては腕の見せ所と言いたいが、武装が違い過ぎる事も有るので、それは無理と言うもの。



 

 グデーリアンはヒットランの無茶振りで、無謀な紛争をしなければ成らない事に苦悩するであった。


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