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キリヤ公国英雄戦記物語  作者: 伊達教宗
第4章 少年王とビクトリナ南洋大戦っ!編
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第32話 少年王とビクトリナ共和国の独立を巡る世界の策謀 4

マギアンティア世界統一暦・1555年・9月8日・午前10時12分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸・ゲルニアン帝国・帝都ベルリナ市・ベルリナ帝城宮殿・皇帝執務室にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 キリヤ公国連合国からの返答がこの日、ゲルニアン帝国の帝都ベルリナ市・ベルリナ帝城宮殿に住まう皇帝ヒットランの下に届けられて居た。


 彼はキリヤ公国連合国・勇治公王からのビクトリナ共和国に関する協議案の返答を読む進める。


 その内容に皇帝であるヒットランは大満足をして居た。


「がはははっ!流石のキリヤの小僧めが、相当困り果てて居ると見えるな。」とか言って居るが、やって居る事は大人気ない、みみっちい嫌がらせ行為である。


「はい。我が方の思惑通りかと・・・・・・・・・」


「彼の少年王は、渋々此方側の陣営の要求を呑むしか無かった様ですな。」


「だが、会議の開催場所がキリヤ公国連合国の準独立自治国の権限を有する地方自治州区。」


「我らを先の戦役での戦いに措いて、散々に打ちのめしたナデシコ地方自治州区の者共が治める州都・横須賀なる軍港都市を指定して来たのは気に入らんな。」


「完全に向こうの領内ですからな。」


「これで下手な小細工が迂闊には出きないですし、かと言って、目当ての土地の者達の船が停泊出きる大きな港町と成ると・・・・・・・・」


「確かに筋は通って居るな。あんな馬鹿でかい船を泊められる港湾都市なんぞ、この世界には何処に無いからなのう。」


「此方の要求を無理やり飲ませたから、開催地の都合を呑んでくれと言うのも、外交儀礼的に納得せざる負えないな。」


 ヒットランとロンデルは、勇治・リィーゼ・梅晴らが対抗策として提示した国際会議の会場は、ビクトリナ共和国の艦隊が停泊できる場所の湾港都市である事と言う返書に付いて、忌々しいと感じながらも納得せざる負えないと、その筋の通った条件を呑む事にすると決めた。


「ふっ、ではロンデル。次なる一手を打つのだ・・・・・・・抜かるなよ。」


「はっ、外交交渉は、ヘスター・ダッケン外務大臣を派遣させれば、この交渉は必ずや大成功は間違い有りませんな。」


「2週間後の国際会議が楽しみよのう。」


「がははははははーーーーーーーーーっ!!!」



 ヒットランの高笑いは、ベルリナ帝城宮殿内に響き渡っていた。


 ゲルニアン帝国は次なる一手へと行動を開始するのであった。



 マギアンティア世界統一暦・1555年・9月11日・午前10時05分頃 マギアンティア世界・東方世界地域・第二文明圏・アメリナ大陸・マギウス・ギアース王国・王都マギナス市・マ・ギアース城にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 此処は遥か東の果てに存在する東方世界地域・第二文明圏の中心たるアメリナ大陸の6割5分を制して居る大国で、魔導技術がとても高い国と言わている大陸地域。


 更にはアメリナ大陸の群雄達を強大な軍事力と国力で押さえ付け この大陸の覇者と成ったマギウス・ギアース王国。


 この王国は、魔導技術を極限まで高めた世界有数の魔導王国の1つなのである。


 その中でも優れた魔道技術で生み出された大型魔導船と巨大な二足歩行兵器たる魔導騎兵マギゥスナイトを使った軍隊は、マギアンティア世界でも指折りの軍隊との一つ言われて居た。



 その王都であるマギナス市では、ゲルニアン帝国の皇帝であるヒットランの呼び掛けに付いての会議が開かれていた。


 国王であるシェニッアー・ギアース国王の年齢は25歳。この世界の国家元首の中でも勇治を除けば、比較的国王としては若過ぎる王の一人であった。


 この世界の国家元首は、ある程度が30代以上の年齢の国家元首が多く占めていて、若くして王や国家代表の座に就くのは、特別な理由が有る以外は有り得ない出来事なのである。


 シェニッアーが王座に若くして就いて居るのは、父親が年老いてから生まれた一人っ子で、20歳に成る際に両親とは死別して居たからだった。


 彼は何代にも亘って国を大きくして来たこの国を武力によって更に強大にしようと目論んでいた。


 シェニッアーは先代の父親と違って内政によって国を富みさせ、国力を増大させて行く事をせずに、軍備によって土地と国の生産量を増やす事こそが、国を富ませられる一番の方法なのだと考えていた。


 彼は王族専用機の魔導騎兵マギゥスナイトであるレギオーンを駆って先陣を切って戦う武闘派的な性格を持っていた。

 

「ヒットランのオヤジめ、先の戦争に負けた腹いせをこの俺にさせようと言うのか?」



「恐らく・・・いえ、間違い無くそうでしょう。」


「キリヤ公国連合国に敗れて以来、彼のゲルニアン帝国は、その国力と軍事力を大きく損なって居りますからね。」


「今ではヒットラン皇帝は、チョット国力と兵力が多く在るだけのちょび髭オヤジと、専らの評判が立つだけの人物に過ぎませぬ。」


 この会議で重要な決定権を有するのは、ヒューズ・ガンドラー元帥。



 元帥と軍務大臣を兼務し、対外戦争と抗争に関わる軍事外交の一切を取り仕切っていた。


 この世界では、戦争に関する外交関係は軍の大臣が担って居るのが当たり前と成っていた。



 だからヒューズ・ガンドラー元帥の様な軍属の人物が、軍務大臣を兼務職として勤めながら同時に軍部トップの元帥か提督をやって居る事も多いのだ。


 そまヒューズ元帥ですら、ヒットラン皇帝の事をちょび髭オヤジと小馬鹿にしてしまうと言うのだから、最早彼のちょび髭オヤジ皇帝陛下の評判は世界規模と成りつつある様だ。



「あんな小国のガキの1人に遅れを取る様なら、あのちょび髭オヤジも耄碌と成り果て、ヤキが回ったな。」


「そうとも言えません。」



「何だ、あの出きたばかり成り上がりの小国如きが、まさか強いとでも言うのか?」


「はっ、少なくとも大軍歩兵戦術を主軸とする中央世界第一文明圏では、一番の国と言えます。」


「流石に俺には、そうとは思えんがな。」



 シェニッアーの政治志向は、広大な国土を持つ事と強い軍隊を持ちつつ、どれだけ家柄が優れて居るかが優劣を決める基準の中心である。


 そんな考えと思想から、彼は勇治とキリヤ公国連合国が自分達よりも優れて居るとは、とても考えられない事なので有った。


「陛下には信じられない事と思われますが、下手をすれば我が国と同等との分析が、我が国の軍情報局へと、その様な情報が上がって来て居ります。」


「何だとおおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?」


 自分大好きの自尊心と虚栄心の塊であり、短気な性格をして居るシェニッアーは、驚きと怒りから大声で叫んでしまう。

 

「お怒りとご動揺は、ご最もかと・・・・・」


「ですが、彼の国の強さは編入した異界地域とキリヤ公国の連合制度に加盟して居る国々によって、飛躍的に上がって居ります。」



「優れた文物を有する異界地域には地下資源供給地域も多く、多数の兵力を齎したアマテラス神皇国の武士軍団や独立自治君主達。」


「それに先の大戦でゲルニアン帝国からキリヤ公国連合国へと降り、新規にキリヤ公国連合国へと加盟編入したフェリス侯爵独立自治領国が加盟した事で、豊富な食料供給源を確保して居まする。」


「それ等に加えてユーラシアン大陸南部地方の二か国も同盟国と成って居ますが、事実状のキリヤ公国連合国の加盟国に近い扱いと成って居ます。」


「万が一にもユーラシアン大陸外の他国との国交断絶されても、同盟国と連合国だけでも十分に経済活動が可能なので、経済制裁が意味を為しません。」


「彼の少年王はユーラシアン大陸南部地方の覇者となり、ユーラシアン大陸の4割近くを国土とする小大国と見ても構わないかと思われまする。」


「それを過小評価をして見誤れば、トンでもない結果に成る恐れが有ります。」


「その事を気にもせずに失敗した先例が、既に御座います。」


「それが公帝戦争です。」


「公帝戦争?」


「はい。先のゲルニアン帝国とキリヤ公国連合国と戦った戦争の事で御座います。」


「ああ、その事か。」と、この世界の国王達は、宮廷に居ると小さな噂は余り興味も関心も無い者が多い。


 情報収集や情報力を重視でもして居ない限りは、些細な出来事として聞いて居ない事も多い。


 このシェニッアーもその一人なのであった。


「近頃最近になって公帝戦争と世間では呼ばれ始めて居る大戦に敗北して、大失敗をしたのが、ゲルニアン帝国とヒットラン皇帝なのですよ。」


「貴様が其処まで言うのだから、あのガキは油断の為らない何か持って居るのだろうな?」



「はい。更に付け加えるのならば、巨大な鋼鉄戦艦を多く持ち、鋼鉄の陸上兵器も多数有する国です。」


「我が国の魔導技術力の粋を集めた魔導戦艦隊や魔導騎兵マギゥスナイト軍団を持ってしても勝ち切れるかは、今だ未知数なのです。」



「だがな俺は、そんな事は言い過ぎたと言いたいがな。」


「だが、貴様は万が一と言いたいのだろう?それはヒットランのオヤジが痛い目に遭って居るからか?」


 シェニッアーは、腐っても王様をして居る男だ。


 短期で直情的な性格をして居るが、見る所は見て居る中途半端な小利口な輩なので、始末が悪い性格とも言える。


「ヒューズ、お前ならこの一件を如何する考えだ?」


「はい。途上国だと見て居たキリヤ公国連合国は、新興国であると見つつ、その扱いを先進国の扱いと同等と見なします。」


「彼の国が、これ以上の国力と軍事力が高まる事は、我がマギウス・ギアース王国を脅かす恐れが在るので、ゲルニアン帝国と共謀する事は悪い話では有りませぬ。」


「其処でキリヤ公国連合国の動きを封じる為にも、先ずはビクトリナ共和国なる土地に関する国際会議に、外交決断権限を有する外交官か外務大臣を派遣し、キリヤ公国連合国の動きを抑え付けます。」


「彼の国が大人しく世界の大半の意思決定に従えば、キリヤ公国連合国の勢力をビクトリナ共和国内から追い出して、大国同士で同地を共同保護領統治を名目にした駐留軍と管理外交官や技官僚を派遣します。」


「そして、そのまま多国間で、土地を分け合い島を占領してしまうのです。」


「中小国家軍には差し支えの無い異界物の技術を垂れ流し、重要物は大国同士で分け合い、現地民は奴隷の様に扱き使いましょう。」


「彼の土地には異界技術の技師も多いでしょうし、流石にその者達を殺害するのは勿体ないです。」


「確かにな、俺も異界物は優れて居るとか言う噂を聞いて居る。」


「特に強力な兵器が作れるともな。」


「はい。あの異界技術を小大国程度の王に過ぎない卑しい出自の少年王だけが独占するは、世界の脅威に成り兼ねません。」


「今の内に早く叩いて置く必要が有ります。」


「何だが面白そうな策だなヒューズ。」


「成るほど、お前の言いたい事は分かった。」


「そのやり口ならば、あのガキの軍隊も世界中の国軍を相手に流石に迂闊には戦争は出きないって寸法な訳だな。」


「早速、その策で事を進めろっ!!少しでも多く、俺様の国に異界技術を手に入れて見せろっ!!」


「この俺様のマギウス・ギアース王国が、このマギアンティア世界を手に入れる為にもなっ!!」


「ははっ!必ずやっ!!」



 東の雄たるマギウス・ギアース王国も異界物を手に入れ様と動き出した。


 丁度その頃、南方でも似たような動きが有った。 




 マギアンティア世界統一暦・1555年・9月13日・午前10時25分頃・マギアンティア世界・南東部世界地域・第四文明圏・ドラゴ大陸・ドラリュウス帝国・ドラゴ連峰山脈地帯中央地域・ドラゴ連峰山脈盆地・龍帝都ドラゴ市・龍帝城にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 巨大な山脈と河川に、様々な地形や厳しい気候を有するドラゴ大陸。数百の属国と数百の部族と人種を従える龍人族の頂点に立っている火炎龍人族。



 その部族長にして皇帝たるバラン・ドランガーは、数百年に亘って戦争によってドラゴ大陸内外から外へと国土を広げ圧政を強いる強固な支配体制で君臨して居る龍族至上頂点主義者の竜人族皇帝であった。



「グルルルルルルっ!!」


「偉大なるバラン皇帝陛下、下等なる人間族の国々から国際会議の参加要請が参りました。」


「内容は異界物の島々の取り扱いに付いてで御座います。」


「その様な粗末な事は放置して置けっ!!」


「ですがっ!」



「ガルルルルっ!!異界の玩具や小さな小島なんぞに、ワシは興味なんぞは無いっ!!!」


「その様な小事に、一々わしを呼び出すなっ!適当に人事を決めて処理するが良い。」


「ははっ!申し訳が御座いませぬっ!」



 バラン皇帝は、この一件に興味を示さなかった。


 それだけ他国や他種族の動きに対して興味が無いのである。



 彼は己が武とそれに対抗が出きる面白そうな相手と戦う事だけに興味を持つだけの戦闘狂なのだった。



 マギアンティア世界統一暦・1555年・9月1日・午前10時17分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・キリヤ公国連合国加盟国家・奥州独立自治王国・北アマテラス北方三方列島地方内・北海島国州・シャッコロ平原・アイヌル民族集落・コシャマンベ集落村にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 公帝戦争が終わって久しく、此処アマテラス列島地方・キリヤ公国連合国加盟国家・奥州独立自治王国・北アマテラス北方三方列島地方内では、ある事が話題と成って居た。



 北方三方列島地方とは?それはアマテラス列島地方の最北端地域である唐太島国・万年島列島地方国・北海島国3つの国州地域の事を指して居る。


 此処は代々アマテラス神皇国の将軍王が統治下に措いて来たが、実際の統治下に措かれて居た地域は、全体の一割に過ぎなかった。



 それは何故かと言うだ。何処にでも在る様な先住民族たるアイヌル民族と文明圏人たるアマテラス人との軋轢がこの地域の統治と開発を遅らせて、今だに未開地を多くの残して来たからである。




 この地の歴史を辿ると100年前の若狭国の大名王家の若狭武田家に当たり、若狭武田家の武田宣広の4男である蠣崎広季が羽後国の安東氏の分家へと養子に入り、その時に当時支配を始めたアマテラス列島の最北端の一つである北海島。


 その南端である尾島半島は、この当時は足柄室町幕府王朝から派遣された代官によって統治されて居たが、北海島古来の原住民族であるアイヌル民族との紛争が勃発し、5年にも渡る激しい戦いコシュマイン乱に出兵し、その乱を沈めるのに至る。


 乱を収めた蠣崎広季は、足柄室町幕府王朝から尾島半島と松前館を恩賞として下賜され、其れ以来4代に渡ってこの地域を治める大名王家と成った。


 その五代目に当たるのが松前忠邦で、本家である蠣崎が途絶えた為に家督相続の序列順位の順番から分家の松前家へと養子に出て居た忠邦が、蠣崎家の当主と成ったが、自分はあくまで松前家の人間であると言う立場から、本家の家督を相続しても松前性を名乗り続けて居る。



 

 奥州動乱事件後には、キリヤ公国連合国と仙台陸前独立自治藩王国の傘下に半ば強引に組み入られた松前忠邦は、動乱戦後は北海島国の国州知事に任命され、同地の執政に努めて居るが。


 その事には特に不満は無く、新政権に措いて未開拓地地域開発責任者と成った事を誇りに思って居るらしい。


 奥州王たる政実も、北アマテラス北方三方列島地方のアイヌル民族とは融和を以って治めて行きたいとの方針を示して居るので、圧政を強いる様な真似は絶対にしないと決めて居る。



 

 さて、此処までの説明は北アマテラス北方三方列島地方に住まう先住民族であるアイヌル民族とアマテラス神皇国との歴史を含めた説明である。




話の本題は此処からである。




 北アマテラス北方三方列島地方に住まうアイヌル民族人口40万人の人々は、ある噂を耳にして居た。


 それは松前忠邦が治めて居た館箱市へと交易取引にへと出かけていた同胞達の口々から知らされた事で有る。


「みんなあああぁぁぁーーーっ!!聞いてくれええええぇぇぇぇーーーーっ!!」



 交易取引に出かけたコシャマンベ集落のオガルは、館箱市内で耳にしたアマテラス神皇国の中央地方での出来事を集落の同胞達に報せた。


「何だ、オガルじゃねぇか?」


「如何したんだよっ!そんなに慌ててっ!?」



「はぁはぁはぁはぁ、ひぃひぃひぃ、ふぅーっ。てっ、ていへんなんだよっ!」


「だから何がだよ?」


「聞いて驚けっ!!足柄室町幕府王朝が倒れたってよ。」



「はぁ?200年間以上も続いたアマント人(天人)の王様が倒れたのか?」


「ああ、噂によればアマントの中央地方は今じゃ荒れ放題って話だ。」


「それはスゲー話だが、どうせ何も変わらねぇよ。」


「そうそう、大した武具をもたねぇ俺達にゃ、アマントのセムライ(侍)達には敵う訳が無えんだ。」


「いや、今こそ俺達は団結するべきだっ!」


「足柄室町幕府王朝が倒れて、アマントの中央地方が混乱して居る今こそ、俺達はホッカイ島を含めた三島の島々をアマントの連中から取り戻すんだっ!!」


「無理無理だって、幾らなんでもな。」


「命あっての物種だもんな。」



「何だよお前らっ!!俺だけでもやってやるっ!!」



 コシャマンベ集落のオガルは、 生活の為に渋々アマント人、詰まりはアマテラス人との物々交換での商取引で夏場に稼ぎつつ、冬場の為に生計となるお金や生活物資を稼いで居た。



 そんな彼はアマテラス人との商取引きで得た読み書きと計算が、ソコソコ出きる男であるが、キチンとした学校に通って居ない為に、稀に詐欺に遭う事もあった。



 そんな境遇が有るのは全部アマント人のせいだと、事ある毎に憤慨して周囲に怒りの愚痴を知人と話して居た事も有った。



 その怒りが今回彼が聞き付けて来た足柄室町幕府王朝の滅亡の噂。 


 それはアマント人への物凄い劣等感を持って居るオガルを始めとするアイヌル民族の人々を武装蜂起させるのには、導火線の火種と成るに持って来いの材料と成ってしまうのには、十分な事なのだった。



 彼は武装蜂起の為にアマント人との交易で財を成した貯蓄を投げ打って、アマテラス神皇国人から 北アマテラス北方三方列島地方に住まうアイヌル民族人口40万人を解放しようと動き出した。



 これが後に言うアイヌル・シャッコロ・北地の反乱と呼ばれるアイヌル民族解放戦争の始まりであった。



 コシャマンベ集落のオガルが耳にした噂話は、本当はアマテラス神皇国中央地方から流れて来た捻じ曲げられた話で、本当は足柄室町幕府王朝・第13大将軍王たる足柄・一輝・宗輝が、将軍王地位の引退を宣言し、桐谷勇治にスカウトされたと言う話と言う事。


 そして、その彼女が足柄室町幕府を閉じて、キリヤ公国連合国へと渡海したと言う話が、複数の大名王の軍勢によって起こされたクーデターで、討たれたと言う話にすり替わってしまった様だ。



 

 アイヌル民族の人々は、頭が決して悪い訳では無いのだが、伝統的に教育は意心口伝制が当たり前とされて、家族やその手に長けた部族内の同胞から教わるのが普通であり、学校で習って教わると言う様なやり方で、読み書き計算を含めた勉学すると言う慣習が無い民族だった。



 その為にデマを信じてしまう事や詐欺に遭ったり、文明圏人と対等に付き合える者が極端に少なく、更には自分達の伝統や誇りを頑固に大事にする余り、時代の変化には取り残され、その流れに付いて行けない等と言った多くのデメリットを抱えて居た。



 だから時より、自分達に都合の良い噂話を聞き付けて、大規模な反乱や民族独立運動を展開するが、何れも時の将軍王政権に討伐制圧されてしまって居た。




 北アマテラス北方三方列島地方に、寒い暴風の時代の嵐が吹き荒れようとして居た・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


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