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キリヤ公国英雄戦記物語  作者: 伊達教宗
第4章 少年王とビクトリナ南洋大戦っ!編
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第31話 少年王とビクトリナ共和国の独立を巡る世界の策謀 3

マギアンティア世界統一暦・1555年・9月6日・午前10時05分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国連合国本国・キリヤ公国・キリヤ地方・公王都キリヤ市・キリヤ城・キリヤ公国宰相内閣府内・公王執務室にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 キリヤ公国連合国が、ビクトリナ共和国を保護独立領国とする事にしてから更に10日が過ぎた。


 キリヤ公国連合国本土、キリヤ公国本国の首都、公王都・キリヤ市内のキリヤ城に、トンでもない凶報が入る


「ななっ何だって!?」


「ゲルニアン帝国を含む世界各地の列強国や世界中の中小国家群が、我が国と連合加盟国と同盟各国とが呼び掛けて居た。」


「ビクトリナ共和国への独立国としての承認。独立国家建国為の支援などの呼び掛けに反対を表明して、新たな政策提案をし、国際会議の開催を要求して来たって?!」



 公王執務室で何時もの様に書類と睨めっこをして居た勇治の元には、キリヤ公国宰相であるリィーゼとキリヤ公国外務大臣たる結城・梅晴が揃って現れて来て居た。



 勇治は何事かと思ったら、マギアンティア世界の各国からのビクトリナ共和国への現時点での独立国承認の反対表明である。



 しかも、ゲルニアン帝国は異世界マギアンティアの世界中の国々を巻き込んで、キリヤ公国連合国とその友好同盟国の動きを封じようと、多数派工作を仕掛けて来た。


 しかし、ゲルニアン帝国と皇帝のヒットランが思い描く様な事は、キリヤ公国連合国中央政府も国家元首である勇治ですら、そんな気は全然無いのに、奴らは勝手気ままにキリヤ公国とその連合加盟国と友好同盟国に攻め込んで置いて、負けたらキリヤ公国連合国を世界征服を企む悪の覇権国家だと風聞を言い触らして居た。


 更には、この野望を打ち砕かんと世界中の雄志ある国々が一致団結して、これを防ごうと呼び掛けるのは、本当に滑稽な話である。




「そうなのよ、勇治。本当に困ったものだわ。」


 優しそうな笑顔が似合っているリィーゼは、故国の政務を国元の摂政代理に預ける形を取って、キリヤ公国本国及び連合国中央政府の最高位であるキリヤ公国宰相内閣府大臣。 


 通称名・宰相大臣又は宰相と言呼ばれる地位に就きつつ、勇治の政務の補佐をする日々を送って居た。



「勇治、下手をすれば、我が国は世界中の国々を敵に回した挙句の果てに、四面楚歌だ。」


「少し前の身軽だった小国であった頃の時とは違って、今は連合加盟国に加え、相互防衛を確約した同盟諸国との関係も在るのだ。」


「勇治、今は迂闊な行動と発言で、軽率に敵対した国々との戦は、簡単には出きない状況だぞっ!」


 アマテラス皇国の結城地方の元大名王である結城・梅晴・春宗は、近衛近習衆軍に所属して居ながらも、外務大臣の地位を与えられて居た。


 数多の大名王や土豪国人衆に周囲を囲まれた結城地方の元大名王であった事から適任とされ、結城城の腹黒女狐とも称された梅晴。


 その彼女が治めて居た先祖代々の土地は、諍いが途絶えない関東地方である。


 そんな地で長年培った辣腕を見込まれての選任で、その手腕は卓越指定ると言われて居る。


「うーん、それは理解出きますけど・・・・・・・・」


「かと言ってジェシカとビクトリナ共和国を見捨てる訳にも行かないわ。」


「余りにも彼女とあの地域の力が強力過ぎるもの・・・・・・・・」


 リィーゼも何とかしようとして居るが、中々良いアイディアが浮かばないらしい。


「それでな、あのゲルニアン帝国の奴らの言う言い分にも一理有ってだな。」


「キリヤ公国連合国にばかりに転移物の独占や転移地域の保護をするのは、世界の脅威にしか成らないと言って来て居るのだ。」



「梅さん、そう成らない様にする為に、僕らは先に手を打った筈なのに・・・・・・・・」



「それが返って裏目に出ちゃったと・・・・・・」と言ってリィーゼが会話を締めた


 外交と国家運営のトップが雁首揃えて、うーんうーんと頭を抱えていた。


 如何にキリヤ公国が強くて、勇治のタブレッドが優れて居ても、この状況下では、迂闊な行動が取れないと言えたのだった。


「敵対国の言い分ねぇ・・・・・・・」


「「「はぁ・・・・・・・・・」」」


 

 ついつい溜息を一緒に揃ってしてしまう3人・・・・・・・・・・・・



 すると勇治は、有る事が気掛かりと成り、ハッと何かに気が付く。

 

 

「そうだよ、肝心のジェシカさんは何て言って居るの?」



「それがね、これ以上キリヤ公国に迷惑が掛かる様なら、駐留軍や技師達を受け入れるって言って居るわ。」


 リィーゼは勇治と話し合う前に、当事者である本人の意思を聞くべく、通信装置でジェシカとビクトリナ共和国の意思を確認したらしい。


「じょ、冗談じゃないっ!」



「勇治・・・・・」


 リィーゼと梅晴の二人は、目を丸くして驚いた顔つきと成った。


 普段から大人しい性格の勇治が声を荒げるのは、とても珍しい事だからだった



「あの島に在るのは、未来科学技術の集合体だっ!」


「全ての技術に関する設計図や船体と機体一つだって世界中に流出させたりすれば、力の無い国でも、それを基にして、何んとしてでも工作機械を作りだしつつ、模造品の兵器を量産体制に持ち込んで、強力な兵器を生産してたくさん揃える事に成ってしまう。」


「そうなれば、少しでも国力と軍事力の劣って居る近隣諸国を蹂躙させる位の事は簡単に出きるだろう。」


「そうなったら、僕はあの地下格納庫の奥の手を使わなければ戦争に勝てなく成るんだっ!!」


「それに、世界中に異界物の兵器がバラ撒かれたりしたら、其れこそマギアンティアに取っての重大な世界の脅威で、大戦争の引き金に成るって言うのに、この世界の連中は後先の事を真剣に考えて居るのか?」



「僕はこの世界の覇権なんて欲しくないし、ジェシカさんだって戦争を望んでない。」


「だからビクトリナ共和国に対して、自主独立をさせて、戦争や紛争に内戦を避け、地域の安定を図ったって言うのに、如何してそれをわざわざ崩そうって言うんだよっ!!」


「勇治よ、お前の気持ちと言いたい事は分かるが、世の中には、お前の事を色々と快く思わない者も多く居るんだ。」


「況してや、反対の音頭を取って居るのは、あのゲルニアン帝国と皇帝ヒットランだ。」


「それに加えてロンデル元帥も、お前と我が国の軍隊に先の大戦で、コテンパンにブチのめされて、国土を奪われたんだ。」


「その事を妬んで、奴らが仕返しを企んでも不思議は無い。」


「それにこの世界の覇権国家は、何だかんだで国家としての主張はそれぞれ互いに違うし、その上国家の数も多いからな。」


「隣国との戦争に内戦、紛争に裏工作に反乱と並べるだでも、争いの数の切りが無いくらいだ。」


「梅さーん、そんな冷静に分析して居ないで、何とか出きる知恵は無いの?」



「無い事もないがな。」


「それは?」


「当事者のジェシカ殿、そして此処に居るリィーゼとも話し合ったが、このままだと我がキリヤ公国連合国がビクトリナ共和国に関わる大義が無いし、関わる意味も弱いだろうな。」


「いや、現状を厳密に言うのなら、ビクトリナ共和国に対して、その土地と優れた超科学技術力が目当てだと言われ、我が国が肩入れし過ぎて居ると蔑まれてしまって居る。」


「今のままでは、我々の今掲げている正当な大義名分が、世界規模の言い掛かりのせいで、消し飛んでしまうだろうな。」


「其処でなんだか、一旦は向こうの言い分を飲んで、当事者を交えた国際会議を開いてやったら如何だろう?」


「とても話し合いで解決が出きる問題じゃないと思う・・・・・・・・・・・・って、ああっ?!」


 聡い勇治は梅晴の企みに気が付いた。


「気付いた様だな、勇治よ?」


「流石は結城城の腹黒女狐と言われて居る御人ですね。」


「相手よりも、人の悪い策略で相手を陥れるとは・・・・・・」


「私もそう思うわ。梅さんが家の家臣だったら我が国も、もう少し大きく成ったかも知れないわね。」


「二人とも、どう聞いても絶対に私を褒めては居ないだろう。」と不敵に微笑する梅晴。



 勇治とリィーゼの二人は、敵の狡賢い策略に対して、腹黒い賢作で打ち負かそうとして居る梅晴を白い目で見つつも、彼女のその知恵をとても頼もしく思っていた。


 その梅晴は、ちょっとだけ怒って居たりする。


 何せ、二人は揶揄い半分に彼女の事を皮肉を言って居るのだから・・・・・・・・・・・


「詰まり、連中は数を頼みにして、我がキリヤ公国連合国にビクトリナ共和国への支援介入から手を引かせて、自分達でのその利益を分かち合い貪ろうと言う目論見なんですね。」


「その通りだ。」


「だから此方が楯突いて来る事も想定済みであり、受け流しても外圧に屈するしかないと連中は思って居る筈だ。」


「其処を逆手に取って、要求通りに国際会議に置いて、ビクトリナ共和国の代表であるジェシカ殿に、世界各国の国家代表が居並ぶ中で、自らの意思をハッキリと宣言するんだ。」


「そうする事で、例えその場で連中が、どう言う言い掛かりや納得出きないとか言って、国際会議の交渉での合意が決裂したとしてもだ。」


「その最終的な行き着く先が戦争と成っても、我がキリヤ公国連合国は、大手を振ってビクトリナ共和国に向けて、援軍を派遣が出きる事に成るだろう。」


「どの道・・・今の所は、それしか打てる手立てが無い見たいですね。」


「では梅さんは引き続き各国の調整並びに、国際会議の開催場所の選定をお願いします。」


「それと場所は・・・・・・・・」


「中立国と言うのが国際慣例上では成るが、キリヤ公国連合国は、建国から然程時間が経って居ない新興国だ。」


「国が出来て間もないから付き合いの有る国も少ない。」


「そんな国の厄介な面倒ごとを抱えて居るの問題を解決を図る為に、国際会場の場を貸し出してくれる様な国は無いな。」


「やるにしても、今回はキリヤ公国本国の本土に近い領内でやるしかなと思うぞっ!」


「その方が面倒こどのコントロールが容易だからな。」


「それに我が国には、付き合いの有る国が余りにも少ないから、下手に反対国なんかで開催した会議では、とても不利と成るだろう。」


「それにキリヤ公国連合国と関係国側の国家元首や代表団の警備の問題も有る。」


「逆に我が国の同盟国での開催も問題だ。」


「敵対や反対を言っている各国は、数が多い上に付き合いが多いのは、言うまでもない。」


「そんな連中が敵対国の中へと入って来て見ろっ!何が起きるのかは分からん。」



 梅晴は国際会議開催をする上での問題点と開催地の選定に措いて、最終的にキリヤ公国本土に近い領内で開催した方が、全ての騒動をコントロールが容易である事からキリヤ公国本土か連合加盟国領内での開催を推奨した。


「それじゃ、表向きは交通の利便性を理由に、特別独立自治州行政区と成っているナデシコ地方自治州区・横須賀市で行うと言うのは、如何かしら?」



 リィーゼが総合的な面から導き出された妥協案を提案して来た。


「横須賀なら結構広い会場施設も充実して居るし、ナデシコ自治統合軍やナデシコ地方自治州区警察庁の警備も受けられるから、特に問題は無いと思うんだけど・・・・・・・・」


 横須賀市開催を提案したリィーゼだったが、問題点が一つだけ有った。


 それはナデシコ地方自治州区での開催をキリヤ公国連合国自身が提案すると成ると、敵対国から大反対をされる可能性が有った。


 反対される主な理由として、敵対国が自由な裏工作活動がやり難いからである。


「それならばジェシカ殿が、自前の巨大船で停泊が出来る港を指定した言えば、相手からの文句が言い難い筈だ。」


「梅晴さん、中々良いアイディアだわ。それで行きましょうよっ!」


 リィーゼがパァッと明るく笑みを浮かんで、知恵の回る梅晴を賞賛した。


「ではその様に、事を運びましょう。」と勇治も賛成する。


「ジェシカさんには、くれぐれも自棄や自暴自棄に成らず、絶対に何とかするからと言って下さい。」



「ああ、大丈夫だ。彼女もお前に世話に成って居るから、その顔を潰したく無いとも言っていた。」


「この話し合いが終わるまでは、素直に大人しく待って居るよ。」


「結局は戦争する事に成ってしまうけど、この姦計を使った会議で、少なくとも全世界と戦う事は避けられる筈よ。」


「国同士の駆け引きは、お二人にお任せします。」



「僕は五十鈴さんと打ち合わせをして置きます。」


「それに、後2週間で、ナデシコ軍の全体の第一次近代化改装が済む筈ですので・・・・・・・・・」



 

 ナデシコ軍の第一次近代化改装とは、海軍の艦艇全ての偽装を勇治のタブレッドを用いて、船体装備をミサイルや超距離弾丸砲。


 そして、自動換装砲台や連射機関砲の換装を含めた全自動化改造を進め、エンジンをガスタービンエンジンに切り替えたりする事である。


 陸軍では古い型式の戦車を61式戦車や74式に切り替えて行く計画と成っていた。


 自動車や大型トラック等も新しく成り、航空機もプロペラ戦闘機からジェット戦闘機のF-1支援戦闘機タイプ形式に切り替えて行く事に成っていた。


 しかも、戦闘機等の飛行機パイロット達は、操縦席に座って、乗りこなすだけで良いと言う神様的な補助機能付である。


 他国からすれば、なんてズルイ事をと叫ばれるかもしれない機能を備え付けられた代物の兵器達だった。


 勇治達キリヤ公国連合国は、ゲルニアン帝国が企んだ目論見を阻止するべく、ビクトリナ共和国の処遇に付いての国際会議に臨む事と成った。



 ビクトリナ南洋大戦の開戦まで、残り日数が2週間を切って居た時の出来事である。



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