国について
「他には?」
「この国の様子が知りたいな」
私は即答した。聞きたいことは山ほどあった。
だが、結局何が知りたいのだろうと考えたら、おのずと質問内容が決まってきた。
「この国はとっても素晴らしいところなんだよ!」
トトはとても嬉しそうに話し始めた。
「前にも話したと思うけど、この国は1人の王様によって治められている。家臣はいるけど、仕事内容はほとんど事務仕事に近い。王様自身で政治を行っているの。
でも、この国で争いはまったく起きない。
これは、王様の豊富な知恵と人徳がなせる技なんだよ。
皆、王様が大好きなの。私も好き。だって、私達の言葉をちゃんと聞いてくれるし、あんな良い王様めったにいないよ。
そしてこの国も好き。皆やさしいもの。国といっても大きさはそこまで大きくないけど、発展していて住みやすい。
ここは独立国家っていったよね?具体的に言うと、独立してるっていうより、この国しかないって感じなんだ。私は他に国があるなんて知らなかった。国という言葉も、呼びづらいから、そう名付けているだけで、国って言葉に意味はないと思っていたし。だから茜が、ここがどこの国か聞いたときにとても驚いたの。他にも国があるんだ、って。
他にもたくさん話したいけど、大まかな国の様子はこんな感じかな」
話の序盤から、日本と全然違うことに気がついた。日本は民主主義国だから、国のことは議会で話し合って決める。それに争いがないというのも全然違う。
私の世界では、争いが絶えず続いて、秒単位で人が死んでいく国がいくつもある。
もし、トトの言ったことが全て本当なら、なんて理想的な国なんだろう。
「そうだ。町に行こうよ。
話を聞くより、そっちの方がよく分かるよ」
「え?」
私が反応しきる前にトトは私の手をひいて外に飛び出した。
「行ってきまーす!」
トトと私は玄関を飛び出した。