七話
「警察だ!」
騒ぎがバレたか、退散しよう。
そう思って、窓を割って飛び出そうとすると、窓は想像より硬く、頭を打って転んでしまった。
「逃げられないよ。外では一級の国家魔法師たちがこの建物に結界を張っているんだからね」
こいつは、警察のトップであり、人類最強と呼ばれるものの1人である。一般市民の生まれながらに、勇者に匹敵する力を持つとされる正真正銘の天才だ。引きこもりの俺でも知ってる有名人だ。
「ゼスト、お前が出てくるなんて何かあったのか?」
「話をしに来たのではない。S級指名手配犯シャドウ、お前をこの場をもって死刑とする。」
俺は、仰向けになって頭だけをゼストに向ける体勢から一転して、すぐに戦闘体勢になった。
「俺は、強いやつが好きだよ。楽しませてくれるからね!!!」
「狂ってる。俺は、人類の敵、悪魔を殺しただけだぜ?」
ゼストはすぐに距離を詰めるためにこちらに走る。
俺は、先程キトに刺された右腕が動かなくなってることを確認し、左手でゼストの胸に向かって再生の剣を投げる。
ゼストは最小限の動きで躱したが、少し隙が生まれる。
そしてその隙に、殺戮の剣を左手に持ち替えて、自分の胸に突き刺した。
この剣は、自分の胸を指すことで、自分を殺戮に特化した体に変貌させる効果を持っている。
俺の体が、みるみると大きくなり、2メートルを超える巨躯になったところで、俺を中心に強い殺意が放射状に放たれた。
ゼストは、驚いた顔をして一瞬ひるんだが、すぐに突進を続けた。
俺は、ゼストの拳が届く距離まで詰められる前に、唯一、無詠唱で取り出せる、太陽の剣、アポロを召喚する。
アポロは、常に周囲へ高い熱を放っており、殺戮の剣で覚醒した状態でなければ、持っていることもできない。
俺は、それを構えて横に全力で振り払う。
ゼストがいくら躱すのが上手くても、高温による範囲攻撃では、やり切れないはずだ。
「なるほど」
ゼストは分かったようなことを言って、天井に着地して、そのまま突進を続けた。
俺は驚いたが、ゼストなら、生身で空中に滞在してもおかしくはないと、自分に言い聞かせながら、もう一度、剣を構えた。
ゼストの拳が届くまで、後1mといった距離で、俺が剣を振るそぶりをした瞬間、視界の左から、高速で迫るかかとを捉えた。
俺は、間一髪で体勢を崩しながら避けた。
ゼストの射程圏内は思っている倍はあるのか。
「残念、俺から目線を外したね。君の負けだ」
乾いた銃の音がした。
胸に鋭い痛みが走る。これは、魔力を込めた銃弾か、しまった…!
「楽しかったよ。そこからの復活はもう望めないよね。あはは。じゃあね」
ゼストは、その拳で俺の胸を真っ直ぐに貫いた。
「クソ…が」
死んだか、悪くない人生だった。
ご愛読ありがとうございました!今回でこの作品は完結です。長い間、本当にありがとうございました!次の作品も期待していてください!




