二話
俺がカウンターについたところで、少し食い気味に茶髪のゆったりとした若い受付嬢が話しかけてきた。
「シャ、シャドウさんでいいんですよね!私はシャドウさんの担当をさせていただきます。キトと申します。よろしくお願いします」
「ああ、こちらこそ」
頭に響く高い声で叫んできたものだから、困惑して無愛想な返事しかできなかったが、俺は気を取り直して用件を伝えた。
「今日は冒険者登録をしにきたんですが、今すぐできますかね?」
「冒険者登録ですか?Aランク冒険者のガルシア様をあれほど簡単に倒しておられたので、Aランク以上の冒険者だと思っていたんですが…」
「そんな、俺はただの勇者ですよ」
「勇者ですか、アハハ」
本当のことを言ったら、少し馬鹿にされたようだ。もとより信じないと思っているから、こうして公衆の前で声を大きくして言えるのだが。
「では、こちらの登録シートに個人情報をお書きください。ステータス欄はこちらの水晶玉に手を当ててもらえると表示されますので」
「わかりました」
〜3分後〜
俺は、住所なし、年齢不詳、経歴なしの引きこもりだと、書いていて気づいてしまった。
また、意外と時間がかかってしまった。それはステータスの桁が高すぎるせいで、このステータス検査の値はどうにかならないのかと思わせるほどだ。
しかし、キトさんに引かれないだろうか。少し心配になってきた。
「あの、かけました」
「はい、それでは拝見させていただきま…え!?な、なんですかこの異常なステータスは!」
さっきの騒ぎですでにマークされてるっていうのに、キトさんが大声で叫ぶからまた奇異な視線で見られてる。それにしても、キトさんは何を言っているんだろうか。
登録シートを書くとき。
俺にはステータスの基準が分からなかったので、水晶玉に表示された不可思議な桁のステータスをそのまま書いてしまったのだ。
それがいけなかったということだろうか。
黙っていても分からないので質問するか。
「…どのステータスですか?」
「どれって…全部ですよ…」
「?」
「と、とりあえず、ギルドマスターと会って話していただきます。私には処理しきれないと判断しましたので」
また、急展開だ。いつまでかかるんだ。冒険者登録ってのは。