9話
1階まで降りた所で、受付に人が立っているのを見つけた。
あの爆弾魔の攻撃を生きのびたやつがまだ居たのか。
しかし、どうやって受付を避けて講堂まで行くか。と考えていたところで、その受付から話しかけられる。
「また会いましたね。シェイドさん」
その男は、俺の入学受付をしてくれた人だった。
「受付の……」
「カインです。あなたはきっと来ると思ってましたよ」
「どういう事だ?」
「私のアビリティは『看破』。初めて会った時から、あなたのゼストへの憎しみを感じとっていたんです」
男は受付のカウンターから出ながら話を続けた。
「いえ、あなたのもうひとつの記憶を読み取ったと言った方がいいですか」
! シャドウのことまで……
この男やはり危険ーー殺すか?
「焦らないでください、私は仲間ですよ。ゼストに対抗する戦力を待ち望んでいたんです」
「なに、そうだったのか」
「ええ、そしてもう1人。私たち3人でゼストを殺します」
カインが俺が降りてきた階段を指差す。足音が聞こえる。
あの階段は地下にも繋がっている。登ってきているのか?
現れたのは、ユーザだった。
「シェイド……見つけたぜ」
ユーザは口の端をゆがめながら、中空から剣を取りだした。
!? なんだ今のは、アビリティ?
「実は最初にあった時は嘘をついてたんだ。ほら、嘘のアビリティで目立とうとするやつが嫌いとか言ってたろ?」
「それが嘘だったって? あんなに怒っていたじゃないか」
「怒りは本物だよ。俺の2つ目のアビリティ『八本の剣』がお前を殺せってうるさかったからなぁ」
2つ目……だと?
アビリティはその人間の潜在能力を引き出したもの。2つ持っている人間など聞いたことがない。
「受付のあんたも、疑って悪かった。本当にすぐに戦うことになったぜ」
「おい、カイン。あなたはさっきもう1人の仲間と言ったはずだ。ここで戦う意味はあるのか?」
カインは顎を撫でながらゆっくりと喋った。
「戦わなければならないのです。彼もまた、地下のゼストの手先を倒してここに来た。彼はあなたよりずっと強い。ここで負けているようでは、ゼストと勝負など話になりません」
ゼストの手先……さっきの爆弾魔はゼストの仲間だったのか。この学校の人間を皆殺しにすることになんの意味がある。ゼストは何のためにーー
「オラァ!」
俺が考え事をしていると、前からユーザが斬りかかってきた。
俺は横にころがって躱す。
「俺はイライラしてんだ。『八剣』があまりにもうるせぇからよ!」
ユーザはもう一本剣を取り出し、二刀流で連撃を仕掛けてくる。
俺も両手に剣を生やして対抗するが、ユーザの剣はそれぞれが火と水を操る能力を持っているようで押し切られてしまう。
壁に打ち付けられた俺にユーザが追撃をしようと迫る。
どうする? このままじゃ負ける。何か、ないのか!
何も見つからないまま、俺は防戦一方の戦いを続けた。
何分たっただろうか。俺の体には無数の傷が刻まれ、息も絶え絶えだった。
戦闘の疲労で地面に手を付き俯く。そこで、首にかけたペンダントがかすかに光を取り戻しているのに気づく。
コレだーー!もう一度あの光線を放つことが出来れば、ユーザを倒せる。
一縷の希望を見出した俺は、ほとんどない力を振り絞ってユーザの攻撃を避ける。
「チィ! しぶといんだよ!」
「すぐに逆転してやるさ」
「やってみろ!」
反撃してやる……!
ユーザが両手に持った剣を振りかぶってこちらに向かってくる。
俺は赤いペンダントをユーザに向けて構えた。
「出ろ! 赤い光線! 全てを焼き尽くセェ!」
光線は出なかった。
一瞬の静寂の後、俺はユーザの火と水の刃で攻撃を受けて地に伏した。
「くっそ……」
視界が徐々に霞んでいき、俺はついに意識を失った。
勝てねぇーー;;




