8話
「お前……テロリストだったんだな」
「そーね」
ルカは軽い調子で答えた。
テロリストってことはゼストを殺そうとしてるってことでいいんだろうか。
「俺は今からゼストを殺しに行く。殺したいなら、ついてこい」
ルカはふふっと笑いながら答えた。
「ルカは殺したいとかないの、ただ見たいだけ」
「見たいだけ?」
「ゼストを殺せる人間がいるのかをね」
ゼストを殺せる人間……俺はシャドウの記憶を持っているがあいつの能力は見た事がない。
「ルカは君なら倒せるかもって思ってるよ?」
「もちろん俺が殺すつもりだ」
「すごい自信。あなたを選んでよかった」
俺を選んだ?
「どういう事だ」
「まあ、教えてあげたいけどー。そろそろ、あの女の人死んじゃうんじゃない?」
「あ!!」
「ふふ、質問ならあとでいくらでも答えてあげるよ。早く行ってきなー」
俺は階段を5段飛ばしぐらいで駆け上がった。
8階の廊下にはまだ傷だらけで黒焦げのリーザ先輩が倒れていた。
「先輩! 大丈夫ですか」
返事がない。首に手を当てる。
まだ脈はあるか……
「ふぅ」
「気絶してるだけか、良かったね」
「ルカ!?」
こいつの瞬間移動の能力、心臓に悪いな。
「とりあえず、保健室に運ぶ。どこだ?」
「知ってるわけないでしょ。新入生だよ?」
探すしかないか。
俺はリーゼ先輩を背負って廊下を歩き出した。
「ルカ、さっき質問に答えるって言ったよな?」
「なんでもどうぞ」
「お前なら、ゼストを殺せたんじゃないか?」
舞台にルカが突然現れた時、ゼストは素直に驚いていた。反応できなかったのだ。
不意打ちで首を切り裂けば殺せたかもしれない。
「無理だったね。ゼストの背後に転移した瞬間、どんな攻撃をしても勝てないって気づいたんだ。だからやめた」
「……そうか。じゃあ、お前はゼストの能力を知ってるか?」
今の俺が最も知りたいことだ。
「なんとなくね。でも、教えられないね」
教えられない?
まあ、ルカはゼストを殺そうとしてる訳じゃない。俺の味方をしないってだけか。
「じゃあそれはいい。なんで、生徒たちを散らした?直前まで人質にするって言ってたのに、おかしいだろ」
「まあ、それはゼストの能力対策だね。現実度を下げるためにわざと目的の曖昧な行動をしたのさ」
「意味がわからないな」
「だろうね」
そうこう話しながら学校を探索していると、4階に保健室の札のぶらさがった部屋を見つけた。
中に入って先輩をベッドに横たわらせる。
「ルカが応急処置しといてあげるよ。早く行ってきな」
「信じていいのか?」
「この女が回復する頃には全て終わってるし、ルカはいいよ」
「……そうか。任せた」
さて、1階に向かおう。
「最後に、ゼストはまだ講堂にいるのか?」
「間違いないね」
俺は感謝の意を示してから保健室を後にした。
これからゼストを殺しに行くと思うと、胸が高まって仕方がない。
「待ってろよ、ゼスト。俺が必ず殺す」
俺は1階に繋がる階段を降り始めた。




