4話
ーーーーーー
《警察学校1F講堂》
「まずは入学おめでとう!!」
ゼスト、ゼスト……奴への憎しみが心の底から湧き上がってくる。
殺す……殺す!!
「優秀な君たちを迎えられたことをこの上なく嬉しく思う!」
ころすぅぅぅゥゥ!!
俺が舞台に向かって動き出そうとしたその時だった。
「髪の毛いーい匂いですねぇ!」
「は?」
舞台に突然現れてゼストの髪の毛を嗅ぎ出した女。紫色の長髪を後ろで結ったその女は、俺と同じクラスのルカだった。
「……あなたは?」
ゼストが尋ねる。
「私は……特殊能力クラスの、『移送』のルカでーす! ぴーすぴーす」
講堂全体が静まり、ピリピリした雰囲気の中で、俺は1人ルカに感謝していた。
今、間違いなく俺の意識はシャドウの記憶に乗っ取られかけていた。
しかし、それはあってはならないことだ。シャドウとかいう悪に呑まれるなど、有ってはならない。
しかしそれ以上に、ゼストという大悪を討つ機会を逃す訳にも行かない!
「そうですか……舞台に昇ってきては行けません。降りなさい」
シャドウの記憶を持つ俺だからわかる。シャドウは確かに人を何人も殺した悪だ。
しかし、ゼストはそれをも超える……あいつは世の中をひっくり返し、支配しようとしているクズ!
俺は自分の正義のために、ゼストを討たなければならない!
そのためには、ここで冷静さを欠いてはいけなかった。
本当に助かった……
俺が冷静さを取り戻し、更に決意を固めていると、ゼストの命令を無視して黙っていたルカが喋りだした。
「降りるのは、おめーだよ! くそゼスト」
ルカがそう言った瞬間だった。
講堂の天井の窓や二階の窓を割って、杖で武装した集団が飛び込んできた。
「なっ……!」
黒ローブの集団はすぐに舞台に上がり、ゼストやほかの教員を包囲した。
ゼストはとても困惑しているようだ。
それは俺も同じだった……
「何が起きてんだよ……」
俺が戸惑っている間にも、杖を装備した黒いローブの集団は講堂全体を包囲し始めていた。
俺の後ろに立っていたケトが脅え出す。
「え!? え!? 何が起きてるんですかぁ!」
「黙れ! そこの女」
「ひぃ!」
ケトが黒ローブの1人に杖を向けられて黙らされる。
舞台を包囲する部隊以外に、生徒や教官を制圧する部隊もいるとはな。こいつらどれだけいるんだ……?
しかし……これは逆に好都合かもしれない。
俺は慌てふためくケトを見て自分を落ち着かせる。
舞台上の状況を見るに、ルカと黒服集団は仲間で、ゼノスを狙っているらしい。
このまま放っておけばゼノスをやってくれるかもしれない……
(俺にやらせろ……!俺が殺す!!)
頭の中に声が響く。シャドウか?
くそっ、体が熱い。シャドウの復讐心は並じゃない。まあ殺されてるんだから仕方ないのか。
しかし、シャドウに対する心配はすぐに不要になった。
「巫山戯るなよ貴様ら」
我らが担任ゲールだ。一瞬のうちに舞台を制圧してしまった。
ルカも消えていると思ったが、気づけば入口の近くに立っていた。転移能力か?
ルカのそばに白髪と茶髪の交じった男が立っている。
白茶男が喋った。
「ゼノスゥ! この学校を封印する! お前を殺すまで絶対に開かない。大人しく降伏して、生徒たちを家に帰してやるんだなぁ」
「……」
ゼノスはずっと黙っている。
「とりあえず、生徒は人質にする! 解放して欲しければ武器を持たずに1人で第6訓練場まで来い!! 分かったァ?」
「じゃあね、訓練場で待ってるからー」
ルカはそう言って自分の持っている杖を振り回した。
その瞬間、俺の視界は真っ白になった。
ーーーーーーー
《警察学校?F廊下》
「うっ……ここは?」
視界を埋めつくした白色が消えると、俺は廊下に倒れていることに気づいた。
廊下の装飾は1階とかとかわらないから、一応ここは警察学校の中のようだ……
しかし、どうなってる?
「講堂がテロリストに占領されたと思えば、いつの間にか廊下で1人……」
そこで俺は気づいた。
ひとつの影が俺を見下ろしていることに。
「2人だよ? 後輩くん」
そこに居たのは燃えるような赤い髪をした綺麗な少女だった。
ヒロイン登場




