3話
「よし、それでは教室へ移動する」
男は自己紹介を終えるとすぐに背を向けて歩き出した。
入学試験はここでする訳では無いのか?
同じことを思っているやつがもう1人いたらしい。
「おい待て、ここで試験をするんじゃないのか。対人戦をすると聞いていたぞ」
ユーザだ。恐れ多くも教官に対して礼儀も何も感じられない。
教官は規律に厳しそうだし、これはまずいのでは……
と思った矢先、教官が無表情で振り返った。
「教室で説明をする前に一つだけ教えておいてやろう。この学校では、教官の言うことが全てだ。指示を聞かなかったり、逆らったり、意見したりすることは、断じて認められない。例えそれがこのクラス全員の考えであってもだ。お前らには、従うという選択肢しかないのだ。まずはこれを肝に銘じておくんだな。ユーザだけでなく、シェイド、ケト、ルカもよく覚えておけ」
教官は早口でまくしたてた。
「教室で全てを説明する。従え」
ユーザはそれ以上何も言うことは無かった。
俺たちは黙って教官の後ろを歩いた。
ちなみに、照明にぶら下がっていたルカと呼ばれた紫髪の少女はいつの間にか俺たちの後ろについてきていた。
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《警察学校3F特殊能力クラス》
「貴様らは全員合格。試験も行わない。戦闘試験があると聞いたのかどうかは知らないが、それは担当によって変わる。俺はしない。分かったな」
俺は合格であれば異論は何も無かったが、ユーザは納得できないらしく俺をずっと睨みつけている。
俺を睨みつけるな。
教官に口出ししても理不尽に怒られるだけなので、口には出さないつもりらしい。
「それでは、この学校のルールを説明する!」
俺たちは1時間ほど校則についての説明を聞き続けた。
説明が長すぎる。途中寝そうになったからよく覚えてないが、半分ぐらいは教官の娘の話だった気がする。
説明が終わると、教官はまた教室を出ると言った。
講堂で、入学式があるらしい。入学試験の1時間後に入学式とは。早すぎるな。
「じゃあついてこい」
俺たちはまた移動を始めた。
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《警察学校1F講堂》
俺たちが1番に来て並んで待っていると、入口から1クラス20人ずつ入ってきた。
俺たちのクラスはたったの4人。やはり少ない。
そのうち全員が集まったのか、司会の女性が話し出した。警察署長及び警察学校長の演説だそうだ。
舞台袖からでてきたその男を見た瞬間、体の内側から熱が湧き上がった。
金髪の男が歩いてくる。
その男は舞台の中心に置かれた台の前に立って話し始めた。
「はじめまして。警察官を志す諸君。私はリース警察署の署長であり、この警察学校の校長、ゼストだ」
俺を殺した男ーーゼストだった。




