漆黒の勇者
一瞬だった。
俺は切り離された自分の胴体を見ながら思った。
ユージが膨大な魔力を放出した時、俺が硬直してしまったところを一閃。
ユージは伸ばした爪で俺の首を切り飛ばした。
「俺の負けか……」
『この悪魔め!』
「ふっ。だが次はおまえの番だぜ」
何を言っているのかわからないって顔だ。
それもそのはず、漆黒の勇者の【異能】は死んだ時にしか発動しない。
俺が八代目漆黒の勇者であるということは、過去に7回しか発動しなかったということ。
『……何を言ってる?』
「お前は九代目漆黒の勇者となる。そして、漆黒の勇者としての精神汚染を防ぐことはできない。お前は狂人となり、世界を混沌へと導く者となる!」
俺は体から一気に抜け出る力を感じた。
そしてその力がユージに継承されていくのも……
「不幸なことだ」
『ウグっあがっぷぺ』
ユージの体が漆黒の勇者に適応しようとして悲鳴を上げている。
「世界を救った勇者がつぎの漆黒になるんだ……」
『何を言ってルゥぅぅ!?』
「救ってくれてありがとう。せいぜい足掻いてくれよな」
漆黒の精神汚染が弱まり、過去の記憶が蘇ってくる
(ああ、そうだ俺もユージの様に、世界を、家族を、守ろうと……)
『うぐぁぁぁぁぁ!!!!』
ユージの感情が爆発したような叫び声を最後に、俺は二度目の死を迎えたのだったーー。
〜完〜
ありがとうございました!たのしかったです




