夢に出た女神の話
自分は何か救わなければいけない立場だった。
気づいたら高校の教室のような場所の1番壁際の真ん中の列に座っていた。教室には40人分ほどの木製の机と椅子があったが、隣に座っている人以外誰もおらず、その人も自分と同じ立場で、自分が死んだら、その人も死んでしまう運命共同体であることがわかっていた。
前を見ると、教壇に女神としか表現できない神が美しい人?がいつのまにか存在していた。
女神に魅了された自分は女神の絵を紙に描かなくてはいけない使命感に襲われて絵を描くことにした。
鉛筆で描いた絵が完成し、前に立つ女神と絵に描いた女神を交互に見ていると絵に描いた女神の右目が動いているのに気づいた。
何故だかそれを舐めなくてはいけない気になった。舐めると絵の中の女神も前に立つ女神も微笑み、こちらを見ているようだった。
何度も舐めた。その度に女神は微笑んだ。
いつのまにか色付けされていた左目が気になった。左目は瞳孔は赤でそれ以外が黒だった。少し気色悪かったが、こちらの目も舐めると微笑んでくれるのかと思って舐めたら、少し怒ったような顔を女神はしていた。
しかし、女神は何も話さない。
再度自分は女神の左目を舐めた。
その時、視界は一瞬だけ暗転し巨大な女神の右目に見られているように感じた。
そして前に立つ女神の右目を視界に入れた。
「こうなってしまうのですね」
その時、自分は死ぬことがわかった。
でも別に怖くはなかった。美しい女神に殺されるなら本望だとも思った。
何かを救わなくてはならないと思っていたことも忘れ、隣の人が突如として心臓麻痺のように苦しみ出しても何も感じなかった。
「あなたには救うべきものがあります。」
「しかしこの呪いは私の記憶があなたにあると発動してしまう。だからあなたを私と合う前のあなたに戻してあげる。私を見た記憶はあなたから消えてしまうけどね」
女神は悲しそうな顔でそう告げると、有無を言わさずにテープの巻き戻しのように場面が戻されていった。それを客観視点で見ながら女神の記憶がなくなってしまうことを自分は悲しんだ。
自分...一言も話さないし、その場所を動いてない。絵が上手い。絵に描いた女神の左目だけ勝手に色付けされてた。
隣の人...一言も話さないし、その場所を動いてない。性別不明。女神に気付いていない。意味もなく殺された。
女神...いつのまにか教壇に立っており、勝手に人を呪うが、記憶を消すことでそれをなかったことにした。
筆者...自分ではない誰かを操作している感じだった。ちょっとホラーだった。