いせかいにいくよ?
心地よい風が吹く日、俺こと空向 照は幼馴染の海野 光と高校の帰り道を歩いていた。
彼女はルンルンと上機嫌で歩いているが俺は浮かない顔をしていた、まぁ俺は帰り道、いつもこんな感じなのだが。
俺は何も出来ない、出来ることが無い、だから他の人がキラキラと自分の得意な事をしてたり、得意な分野の話をしているのを見ると劣等感を感じてしまう。
「全く、いつもいつも浮かない顔をしてるね。何を気にしているのさ。」
彼女はいつもはスルーして自分の話をするのだが、今日に限って訊ねてきた。
「いや、みんなすごいなーって。」
ため息混じりで私は言った。
「すごい?」
「俺は、普通以下の高校生だから。抜きん出ているものも無いつまらない人間だ。だから、俺は皆のことがとても羨ましいって。」
「そんな事ないよ、君は他にはない個性があるじゃないか。それに皆はもう気付いていると思うよ。」
俺は、個性が無いと思ってた。運動、勉強ができないのは当たり前のこと、特にこれといった知識も、技術もなかった自分に彼女はそう言った。
自分が他の人に全て劣ってると思ってた僕はそれを聞いて、少し嬉しかった。
そして彼女は笑顔でこう言った。
「だって・・・。君はロリコンじゃないか!」
・・・何?ロリコン?それ笑顔で言うような言葉?大体人が浮かない顔してて励ます言葉かそれ。
とりあえず私は思ったことをそのまま声にした
「うわー!後悔した!今多分ナレーションがあったら絶対彼は嬉しがったとか言ってる!それの何が個性なんだよ!」
「そんな事言うなって、ロリコンだってちゃんとした個性だよ?あー・・・いや、ごめんちゃんとはしてないかもね☆」
こいつ・・・人が結構深刻に悩んでいるのに・・・大体、私の個性はロリコンなことです。って言えないだろ。
「二次元ならまだ分かるけどさ、君最近三次元でもイケるようになってるでしょ?どうせ、道行く幼女を捕まえて楽しもー、とか思ってるんでしょ?おー、怖い怖い。」
こいつは・・・好き勝手言いやがって・・・流石に三次元でそんなことしたら犯罪だ。こいつは私を犯罪者かなにかと思っているのか。大体二次ロリと三次元の少女好きは別物だ。昔は同等の扱いを受けたこともあったらしいが、完全な別物である。俺は二次ロリは割と好みだが三次はあまり興味がない。
「そういう人とは違うよ、確かに3次元の少女もかわいいとは思うが性的興奮を覚えたりしない、二次ロリ好きなだけ。まぁ、困っている少女がいたら助けるくらいのことはするけど。」
「・・・そっか、じゃあ今日来てた愛子の妹どう思った?」
全く、そんな質問されても普通の反応しかできないぞ・・・とりあえず思ったことをそのまま言っとくか。
「小5にしては身長が低く135cm位だった。そして今時珍しい無垢な笑顔がまぶしい子供、良く、守りたいこの笑顔、と、いう言葉を聞くがそれがよく似合う純粋そうな子だった。俺に初めて会ったときはおびえた小動物のような少し、いじめたくなるような表情をしてたけど、偶然購買で買っていたお菓子を上げたところ、見る見るうちに笑顔になって、その後、」
「ありがとー!お兄ちゃん!」
「って言われたとき、あぁ、こんなにも愛おしい生き物がこの世に存在していいのだろうか・・・俺はこの笑顔を見るために生まれてきたんだ!って思った。」
「はい、危ない人決定」
なんでだ、普通の人はこれくらいの感想を持つんじゃないのか、俺の何がおかしいんだ。
「意味わかんないって顔してるけどその言動を聞いて普通だと思う人いないからね」
「ええ・・・でも困った少女を見かけたら助けるのは普通だろ?」
「本当に助けるのかその言動聞くと怪しいよ・・・」
「大丈夫だって!自分にできることがあるなら絶対助ける!」
「本当ですか!?なら、私を手伝ってください!」
ん?今の誰だ?
声の聞こえたほうを光と一緒に向くと、黒髪の生真面目そうな顔立ちの小学校6年生位の女の子がお姫様が着ていそうなふわふわのドレスと大きな宝石のようなものをもって着て立っていた。
「えっと・・・君は迷子かな?お父さんとお母さんは?」
俺は尋ねた。困っている少女は助けると言ったし、光に言われた通り人として無視するのも最低だからね。
「お父様とお母様はお城です!詳しい話はお城で話すのでついてきてください!さあ!」
お城?近くにお城なんてものは無いし、乗り物も見当たらない。
「えっと、お城ってどうやっていくのかな?」
光が訊ねると、
「こうやってです!さあ!行きましょう!」
俺と光は目の前の少女に手を掴まれたかと思うと少女の持つ宝石が輝きだした。その輝きはその場の3人を巻き込むほどに大きくなっていった。
「さあ!ご案内します!私たちの世界に!守護騎士様!」
「「え・・・ええええええええええ!?」」
なにこの急展開!ついていけないんですけどぉぉぉぉぉぉぉ!
こんな二人の心の声も空しく二人は光に吸い込まれていった。
こうして、一人のロリコンとその幼馴染は心の準備もできないまま今いる世界から異世界へ飛んで行ったのでした。