ヤンキーの在り方(2)
「じゃ、行くぞー」
「はい。」
「うっす。」
ポケットに手を突っ込んだリーダ一格の男は2人の手下をひきつれて、校門を出て行く。
「こらー、てめーら! まだ授業中だぞー!」
ひどい形相をした竹刀を持った大柄の男が迫ってきた。
「兄貴、あんなの気にする必要ないっすよ!」
「そうです、大将。あんな教師、返り討ちにできます。」
「ひっ、ん、んー、お前らー、走るぞ一!」
男は、言うやいなや、男2人をおいてまっさきに走り出した。おいこら、そんな大層な格好して教師から逃げんのかーい!
「あっ、待ってくださいよー。兄貴一!」
「うるせー!さっさと走りやがれ、このやろー!」
言われて後の2人もモヒカンを追って走り出す。
「ちっ、あいつら、逃げやがってー!」
3人はコンビニの前までたどりついた。
「はーはー、お前らー、無事かー。」
「はい。」
「うっす。」
男は息を切らせながら、やっとのことで口を開く。対して丸尾、田中は全く息を乱していない。
「大将、このくらい走ったくらいで、かなり息が荒くなっているようですが、体調が悪いのですか?」
丸尾がモヒカンに不思議そうに問う。
「うっ!実は、今熱が40℃あってな。それで大幅に体力が落ちているのかもしれんな。」
…いやいや、何真剣な表情で言ってんの。やめとけ、ばればれな嘘をつくな、嘘を。今、「うっ!」とか驚いていただろうが! 元から体力がないだけだろーが! そんなんで騙せるかい!
「そ、そんなにっすか!今すぐ家に帰って休んでくださいよ!」
「いや、気にするな。俺レベルになるとこのくらいどうってことないっ!」
挙をグッドマークにし、どや顔で…、ってもういいわ!どんだけ、どや顔大好きだよ!それかっこいいと思ってんのかー!全然かっこよくねーよ、かっこつけてるようだがよー。うざいだけだよー!
「さすが、兄貴一! 男気はんぱないっすー!」
なんだ、ただの「バカ!」な信者か…。
「それより、走りながらコンビニに向かっていたんだ。さぁ、ボランティアだ。俺が先にやってくる。お前らはここで待っていろ。3人でいけばあやしがられるかもしれんからな。」
リーダ一格の男はコンビニに入って行く。
「大丈夫かな大将、40℃も熱があったらさすがに…。」
丸尾が「大将」の身を案じていた。大丈夫!彼は元気だから!体力ないだけで…。