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誰に知られることもない物語  作者: 一条 夜月
1/6

プロローグ

他作を完結させてないのに書くなよという。

ストックが無くなるまでは週1であげていきたいなとか思ってます。



何処とも知れぬ名のない山脈。

力ある魔物がひしめき、人は到底立ち入れないようなその最奥地にひっそりと、しかして荘厳な雰囲気を纏った城が聳え立っている。

その城の最上階。

王の間に二つの影が対面していた。


「よく来たね!世界最初の”勇者”!そしてさようなら」


王座に座った男が唄うようにそう告げる。

対峙した勇者と呼ばれた者はあちらこちらに傷があり、まさに満身創痍という言葉がぴったりである。

立っているのが、そして死んでいないのが不思議なほどに。


「最期の言葉はあるかい?」


妙に優しい声で男は勇者に尋ねた。

勇者は掠れる声で辛うじて言葉を返す。


「せめて………努力が、報われる世界にしてくれないか。”魔王”」


幼さの残る、少女の声で。

告げると同時に力尽きたのか倒れた勇者を近寄ることもなく見下ろし、魔王は目を閉じた。


「さようなら、僕の愛しい勇者。君の望む世界を約束しよう。報われぬ人生を送った君の為に」


全てはここで終わり、始動する。

この瞬間、”これまで”は神話となりようやく世界は廻り出す。



__この世界に神はいない。

在るのは”魔王”と”勇者”のみである。

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