6話 スキルポイント
目覚ましの音で俺は目を覚ます。
ぐっすり眠れたようだ。頭がすっきりしている。
体もすこぶる快調だ。
筋肉痛になるかと思ったが。
身体強化のおかげだろうか。
だが、戦闘での擦り傷や痣が気になる。
簡単な朝食を済ませると。
歯を磨いて、俺は森へと出かけた。
よし。
早速だが、身体強化を試してみよう。
ストレージから剣を取り出して両手で持ち、適当に構えてみる。
――。
うーん。
剣が昨日よりも軽く感じる――か?
しかし構えや振り方はお粗末だ。
これは、おそらく剣術スキルが必要なのだろう。
試しにその場で何度かジャンプしてみるが、思った以上に飛ぶことができた。
地球でいえばアスリート並みか。
かなり有用なスキルだったようだ。
さて、気持ちを切り替えよう。
俺は昨日と同じ様に森を歩き回り。
大兎を見つけると、それを片っ端から狩っていった。
――。
しばらく狩り続けること、2時間半。
20匹ほど狩ったところでステータスの確認をする。
サトウ キヨシ ――
男 18歳 健康
旅人Lv2
おお!Lvが上がっているではないか。
しかし――、あまりその実感はない。
何か特殊な操作が必要なのか、とも考えたけれど。
出来ることは特になかった・・・。
うーん。
ステータスといいながら、それを示すものがないんだよな。
“ちから”とか“すばやさ”といったものだ。
そういった概念がないのか。
はたまた閲覧するにはスキルや道具が必要なのか。
気を取り直し、合わせて取得可能スキルも確認してみたが――。
こっちは、そもそも開けなかった。
ポイントが増えていないのだろう。
確認を終えた俺は、再び狩りへと戻ることにした―。
――。
そして、2時間ほど経っただろうか。
さらに20匹狩ったところで、俺は休憩にすることに。
狩りは身体強化のおかげか、目を見張る効果があった――。
魔物を倒す時間の短縮もさることながら、体の方は疲れておらず。
珍しく2匹いるところを見つけたが
特に苦もなく、倒してしまったのだ―。
部屋に戻ってきた俺は。
すぐにシャワーを浴びて、昼食にした。
そして―。
食べながら、スキルについて考えを巡らせることに。
というのも、
確認したらSPが1増えていたのだ。
20匹狩って以降、ステータスと合わせてちょくちょく確認していたが
数え間違いでなければ39か40匹目でポイントが増えた。
昨日と合わせると、50匹程狩っている計算になる。
昨日は11匹で確認したらSPが1増えていた。
今日は昨日と足して50匹で増えた。
そしてLvは2のままだ。
SPの条件はLvじゃないのか。
もしかしたら討伐数が関係してるのかもしれない。
ということは10匹、50匹ときて―
次は100匹目くらいだろうか。
☆ ☆ ☆
午後は休憩もそこそこに再び森へと戻った。
今日中にあと50匹は狩りたい。
兎狩りに慣れてきた俺は、その楽しみ方を覚えつつあり――。
午後の目標設定をしてみたのだ。
そして――。
新たなスキルの取得だが、これは見送ることにした。
SPが2に増えると、新たに取得可能なスキルが追加されるかもしれない。
実験も兼ねて、それから考えることに決めた。
「よし。狩りを再開しよう。」
――。
午後は今までと異なり、早歩きで森を移動して。
大兎を次々と狩っていった。
2日と経ってないが慣れたものだ。
ふむ。
これだけ狩りをしているが大兎以外の魔物は見かけない。
同じエリアをぐるぐる周って狩りをしているからだろうか。
そうすると。
魔物は決められたエリアにしか生息していないのかもしれない。
そして倒されれば、一定時間後にポップするといったところか。
まるでゲームのようだが今更だ。
もしかしたら間違っているかもしれないので、一応念には念をいれておく。
その後――。
スキルを小まめに確認しながら更に50匹を狩り終えると。
やはりSPが1増えていた。
まだ辺りは暗くなっていないが――。
一日中、ひたすら狩り続けていたこともあり
少し早いが部屋に戻ることにした。
シャワーからいつもの流れで一息ついた後。
俺はスキルを確認する。
≪取得可能スキル≫
剣術(1) 生活魔法(1) 地図(1) 簡易作業(1)
隠密(2) 視力強化(2) 料理(2) 鍛冶(2) 精力増強(2)
2SP
取得可能スキルが新たに追加されていた。
「5つも増えたが、こんなものか。」
なかなかポイントが増えにくい。
しかし、わずかに期待していた魔法はそこになかった。
取れるとしてもSPが3以上必要か―。
ふむ。
スキルは簡単に取得できないのかもしれない。
SPを3獲得するのに100匹も必要だしな。
それにポイント獲得までの討伐数が増えてきた。
これは何を意味しているのか――。
同じ魔物を狩り続けていては、
いずれポイントが手に入らなくなるのかもしれない。
ということは、もうそろそろ大兎乱獲でのポイント取得は難しそうだ。
取れてもあと2か3くらいだろう――。
必要討伐数にもよるだろうが。
「他の魔物を狙っていくか。とすると、森の奥へ―。」
ふむ。
そう考えると隠密が欲しいところだな。
しかし――。
やはりここは、剣術と地図が無難なところだろうか。
―よし。
取得っと。
その後もベッドに横になりながら、俺は色々と考えを巡らせていたが―。
睡魔におそわれたところで、静かに眠りについた。