16話 スキル考察と魔法
また寝てたのか―。
大丈夫か、俺。
顔を洗うと、朝飯にすることにした。
さて。飯も済んだところで。
SPが貯まっている。スキルを取得しよう。
≪取得可能スキル≫
生活魔法(1) 簡易作業(1) 視力強化(2) 料理(2) 鍛冶(2) 精力増強(2)
火魔法(3) 地魔法(3) 光魔法(3) 索敵(3) 消音(3) 消臭(3) 直感(3)
4SP
取得可能スキルが増えている。
昨日、ポイントを確認したときに気がついていたが。
うーん。
もっとあってもいい気がするな。
こんなものか。
以前から感じていたが――。
これって、俺が適正あるスキルしか手に入らないのかもしれない。
剣術はあるが、槍術や斧術がない。
火魔法なんかはあるが、定番の風魔法や水魔法がない。
なるほどね。
それにしても消音か――、隠密もあったし。
俺はいわゆる盗賊や斥候みたいな位置づけなのだろか。
だけどその割には、光魔法なんかもあるし。
どうも俺がやったことのあるゲームとは、感じが違う。
それなりの適正を与えつつも、1つの方向へ特化するのではなく。
幅広く様々なスキルが手に入るらしい。
鍛冶とか生産系もあるしな。
-さて。
どうしたものか。
SPが2のスキルは、視力強化に、料理、鍛冶、精力増強か。
今まで、あまり戦闘に役立たないと思ってスルーしていたスキルだ。
翼鹿戦で使えそうなのは鍛冶――だろうか。
だけど全く説明がないんだよな・・・。
もし材料を要求され。
それが足りなかったら、今の時点では死にスキルになってしまう。
他の要素が絡んでくる為、未だ貴重なSPを投じるのは如何なものか―。
そして、今回新たに追加されたSPが3のスキル。
折角4ポイントも貯めたのだから、取るならここから選びたいところだ。
火・地・光魔法に索敵、消音、消臭、直感――か。
うん。
これは嬉しい。
やっと念願の魔法が一覧に並んだ。
しかし、どんな魔法が使えるのかわからない。
ゲームでよくありがちな属性魔法でいいのかね。
説明がないのは何度も言ってるが――それが、微妙に俺をイラつかせる。
翼鹿戦を考えると攻撃の手数が欲しいところだ。
あるいは、自身に効果をあたえる補助魔法も捨てがたいか―。
うーん、――火魔法が無難だろうか。
攻撃なら地魔法より強そうだという、俺のイメージが理由の1つ。
そして2つ目の理由として。
光魔法は主に回復や補助系だろうと考え、まだLvの低い俺に補助魔法がどの程度の効果を齎すのか、それが分からず見送ることにした。
索敵も喉から手が出るほど欲しい―。
だが、今回はパスだ。
消音、消臭もやめておく。そして、直感はよくわからない。
よし。
―取得っと。
すると視界にウィンドウが開く。
『火魔法』
―ファイアーボール 対象単体 威力小
―シャープネス 対象単体 攻撃力+20%
おおっと。
取ってから説明きたこれ。
不親切な設計かと思いきや、微妙に親切だな―。
まあいい。後で使ってみよう。
しかし――ボスを倒すと2ポイントは美味しい。
スキル取得が捗る。
死にかけたけどね―。
ふむ。
大兎や耳馬のように、ボスも複数匹倒すと更にポイントが貰えるのだろうか―。
☆ ☆ ☆
それから2日間。
力不足を感じた俺は元の狩場へ戻り、大兎と耳馬の乱獲をしていた。
目的はLv上げとSPの獲得だ。
以前の廃狩りメニューの通り、大兎は50匹、耳馬は20匹で狩って行く。
「しかし。もう、こいつら。いい加減飽きたな―。」
そんなことをぼやくも、打倒翼鹿の為にやるしかない。
意地になってるのかも―。
でも。このまま引くのは悔しいじゃないか。
狩りの合間には火魔法を試してみた。
ファイアーボールはその名の通り、火球の魔法。
一発の威力は、耳馬にそれなりのダメージを与えた。
更に、魔力を込めるとでも言うのだろうか―。
より強い火球を打ちたいと念じると、大きさが増し、威力も上がった。
これは耳馬を一撃で葬っていた。
そしてもう1つの魔法、シャープネス。
使用すると、持っている剣が薄い赤色の光に包まれた。
これは攻撃力上昇だが、確かに剣の切れ味が上がっている―。
耳馬で試し切りすると、今までより抵抗を感じず剣が通った。
効果時間は15分程だった。
どちらも非常に有用な魔法だ。
―しかし、1つだけ欠点が。
どちらの魔法も、合わせて1日7回が限度なのだ。
それ以降は全く発動しない。
魔力切れというやつだろうか。
特に、疲れて動けないということはなかった。
魔力を込めたファイアーボールでは1日2回のみだった。
現状では、これにシャープネス1回が限界である。
まだ俺のLvが低いせいだろうか――。